賃貸物件で水漏れ!応急処置や正しい対処法、原因別の費用負担を弁護士が解説

最終更新日:
賃貸物件で水漏れ!応急処置や正しい対処法、原因別の費用負担を弁護士が解説

賃貸物件で暮らしていると、「洗濯機の周りが水浸しになっている」「天井から水が垂れてきた」といった突然の水漏れトラブルに巻き込まれることがある。

水漏れは被害の進行が早く、処置が遅れると自分の部屋だけでなく階下の住人の部屋まで水浸しになり、高額な損害賠償に発展する恐れもある。

本記事では弁護士監修のもと、水漏れが起きた際にまず取るべき行動や、夜間で管理会社に繋がらない場合の対処法、そして気になる「修理費用や損害賠償は誰が負担するのか」について詳しく解説する。

※記事の内容は、2026年9月の法令・情報に基づいています

芝大門法律事務所 高橋真司先生

慶應義塾大学卒業後、99年に弁護士登録・芝大門法律事務所へ入所。不動産紛争、居住者間のトラブルなど多くの大家さんが悩むテーマを中心に取り扱う「不動産問題のプロ」。著書に「賃貸住宅の法律Q&A」(大成出版社・共著)ほか。

ホームページ

水漏れ発生!まずは被害の拡大を防ぐ「3つの応急処置」

自分の部屋で水漏れが発生したら、何よりも先に被害の拡大を防ぐ応急処置を行う必要がある。以下の3つのSTEPを速やかに実行しよう。

STEP①:水を止める(止水栓・元栓を閉める)

最優先で行うべきなのは、水の供給を止めることだ。

  • 箇所がわかっている場合:
    キッチン、洗面台、トイレなどすぐ近くにある「止水栓」を閉める。
  • 箇所がわからない場合:
    玄関付近(パイプスペース内)や屋外にある「元栓(水道メーター)」を閉める。これで、部屋全体の水を止めることができる。

STEP②:被害の拡大・二次災害を防ぐ

水を止めた後は、室内に広がった水による被害を最小限に抑えよう。特にコンセントや家電製品の周辺は漏電や感電の危険を伴うため、安全を最優先に行動してほしい。

  • ブレーカーを落とす:
    水漏れがコンセントや電気設備にまで及んでいると、漏電の危険がある場合は、迷わず部屋のブレーカーを落とす
  • コンセントを抜く:
    家電の近くで水漏れしている場合は、感電を防ぐために速やかにコンセントを抜く(濡れた手で触らないよう注意) 
  • 水を拭き取る:
    濡れている床や家具を、タオルや雑巾ですぐに拭き取る。放置するとカビや床材の腐食の原因になる

STEP③:状況を写真や動画で記録する

応急処置が済んだら、スマートフォンのカメラ等で水漏れの状況を写真や動画で記録しておく。 以下の箇所を撮影しておこう。

  • 水漏れしている箇所
  • 被害の範囲(床・壁・家具・家電など)
  • 時間の経過による変化

これらは後から責任の所在を判断する際や、保険金を請求する際の決定的な証拠になる。

応急処置を終えたら、管理会社・大家さんへ連絡

応急処置と記録を終えたら、速やかに管理会社または大家さんへ状況を報告し、今後の対応(修理会社の手配など)を仰ぐ。

連絡時に伝えるべき項目

電話をかける際は、以下の情報を整理して端的に伝えよう。以下の項目をメモしておくとスムーズに伝わる。

伝える項目 具体的な内容・伝え方の例
① 基本情報 物件名、部屋番号、氏名、連絡先
② いつから 「今日の10時頃から」「仕事から帰宅した先ほどから」など
③ どこから キッチンの収納下、洗濯機の蛇口、トイレのタンクなど
④ 漏れている量 「ポタポタ垂れている」「勢いよく噴き出して床が水浸し」など
⑤ 現在の状況 「止水栓を閉めて水は止まっている」「タオルを当てているが止まらない」など
⑥ 階下への影響 「床下まで浸水しており、下の階へ漏れている可能性がある」など
⑦ 証拠の有無 (可能であれば)被害状況や漏水箇所をスマートフォンで撮影しておく

夜間や休日で管理会社に繋がらない場合の対処法

管理会社に電話しても繋がらない場合は、賃貸借契約書や配電盤などに貼られている「緊急連絡先24時間サポートセンターなど)」へ連絡しよう。

それでも繋がらない場合は、自分で専門家を手配して応急処置をしてもらうことになる。その際は、パニックに乗じた悪徳業者を避けるため、 各自治体の「指定給水装置工事事業者」や「下水道排水設備指定工事店」に相談すると安心だ。

  • 指定給水装置工事事業者:
    蛇口や給水管など「水が出る」設備のトラブルに対応
  • 下水道排水設備指定工事店
    排水管の詰まりなど「水が流れる」設備のトラブルに対応

また、水漏れがコンセントなどの電気設備に影響している場合は、漏電の危険があるため管轄の電力会社へ相談しよう。応急処置が終わったら、事後報告として必ず管理会社や大家さんへ連絡を入れよう。

賃貸物件の設備トラブルは「勝手に専門家を呼ぶのはNG」が基本ですが、水漏れが激しく被害が拡大しているような一刻を争う「急迫の事情」がある場合は、入居者自身で水道工事の事業者を手配することが法律上も認められています。

ただし、あくまで「止水などの応急対応」にとどめ、大掛かりな配管工事などは行わないようにしてください。勝手に修理まで済ませてしまうと、後から「そもそも本当に水漏れやその被害が存在したのか」が大家さんとの間で争いになる可能性があります。

賃貸の水漏れ、修理代や弁償代は誰が負担する?

水漏れに関する費用(配管の修理代、床や壁の修繕費、階下の住人への弁償金など)を誰が支払うかは、「水漏れが発生した原因」によって大きく異なる。

原因が「設備の不具合(経年劣化)」なら大家さん負担

部品の劣化や配管の不具合など、設備の不具合が原因である場合、基本的には大家さんが費用を負担する。

特に築年数が経過しているアパートやマンションでは、壁の中や床下の配管が劣化して水漏れを起こす可能性がある。常に水圧がかかっている給水管や給湯管に亀裂が入ると、一気に水が噴き出して被害が拡大しやすい。

民法上、大家さんには、物件を問題なく使用できる状態に維持・修繕する義務があるため、設備の修理費はもちろん、床の張り替えや階下への弁償金も大家さん負担となるのが一般的だ。但し例外として、契約書に「特約」として「小修繕は自己負担」等とある場合は、パッキン交換などは入居者負担になることがある。

原因が「入居者のうっかりミス」なら入居者負担

一方で、以下のように入居者の過失(うっかりミス)が原因の場合は、入居者自身が修理費や原状回復費用、階下への損害賠償を支払うことになる。

  • お風呂やキッチンの蛇口の閉め忘れ
  • 排水口(浴室やベランダ)に溜まったごみを放置したことによる溢れ
  • 洗濯機のホース外れに気づかず作動させたことによる浸水

また、「少しの水漏れだから」と大家さんに報告せずに放置し、床材が腐るなど被害が拡大してしまった場合も要注意だ。この場合も入居者の過失善管注意義務違反)とみなされ、「放置したことで増加してしまった分の修繕費」を入居者が負担することになる恐れがある。

賃貸物件の水漏れにおいて重要なのは、「どこ(誰)が発生原因なのか」をハッキリさせることです。原因が自分なのか、建物の老朽化なのか、あるいは他の部屋の住人なのかによって、負担する金額が大きく変わります。自己判断はせず、管理会社の手配した専門の工事会社にしっかり調査してもらい、原因を特定してもらうようにしましょう。

上の階から水漏れ!被害を受けたときの正しい対処法

もし自分の不注意ではなく、天井からポタポタと水が落ちてくるなど「上の階からの水漏れ被害」を受けた場合は、安全確保と証拠(写真等)の記録を行った上で、必ず管理会社や大家さんに連絡をして対応を任せよう。

上の階の住人が水漏れに気づいていないケースは少なくありません。直接クレームを言いに行くと、感情的なトラブルに発展する恐れがあります。当事者同士で関係がこじれてしまうと、その後の修繕や損害賠償の話し合いまで難航するリスクがあるため、管理会社に対応を任せましょう。

日頃からできる水漏れ予防策と、万が一に備える「保険」

水漏れは一度起きてしまうと対応に大変な労力がかかる。余計なトラブルを防ぐためにも、日頃からの予防と備えが重要だ。

自分でできる水漏れ予防策

  • 排水口のこまめな掃除(にゴミを溜めない)
  • 洗濯機の給水・排水ホースにゆるみやひび割れがないか定期的に確認
  • エアコンのドレンホースの詰まりを確認
  • 長期間不在時は水道の元栓を閉める万が一に備えて「保険」の内容を確認

いくら気をつけていても、水漏れを起こして「加害者」になってしまうリスクはある。そんな時に被害額をカバーしてくれるのが保険だ。 賃貸契約時に加入している火災保険の内容を確認しよう。

  • 借家人賠償責任保険
    自分の部屋の壁や床の修繕費が補償される
  • 個人賠償責任保険
    下の部屋の住人の家財に対する弁償金などが補償される

まとめ

賃貸物件で水漏れトラブルが発生した際の正しい対処法やポイントは以下の通りだ。

  • まずは「止水栓・元栓」を閉めて被害の拡大を防ぐ
  • 感電に注意しつつ、濡れた場所や被害状況を写真・動画で記録する
  • 夜間等で管理会社に繋がらない場合は、水道局指定業者を呼んで応急処置を行う
  • 配管の劣化が原因なら大家さん負担、うっかりミスなら入居者負担になる
  • 他の部屋から被害を受けた場合、直接言いに行かず必ず管理会社を通す

水漏れ対応は時間との勝負だ。万が一発生した際は、まずは落ち着いて水を止め、適切な手順で管理会社へ連絡しよう。

リンクをコピー
関連記事関連記事