賃貸物件の家賃の更新料とは?相場や支払う意味などを解説
賃貸物件の契約期間満了前に知っておきたい更新料のこと

賃貸物件に住んでいると、数年ごとに届くのが更新手続きの案内。更新するのか、あるいは契約解除するのかという意思確認をするもので、契約を更新する場合は更新料を払う場合がある。
ところで、更新料とは何だろうか?改めて聞かれると、きちんと説明できる人は多くはないだろう。
そこで今回は、そもそも更新料とは何なのか、更新料を支払わなかったらどうなるのかといった疑問に答えていこう。これから契約更新を控えているという人は参考にしてほしい。
このページの目次
賃貸物件の更新料とはどんなもの?
そもそも更新料とは 、賃貸物件の契約を更新する際に、大家さん(貸主)に支払う費用のこと。契約期間満了ごとに更新料を支払うというのが一般的。ちなみに、契約期間は2年間であることが多い。
しかし、この更新料は一体なんのために払わなければならないのか?と疑問に思ったことがある人も多いのではないだろうか。
実は賃貸物件の更新料に関しては、有効なものなのかどうか、何度か裁判でも争われたこともあるのだ。更新料に関して争われた裁判の判決では、※「更新料は賃料の補充ないし前払い的な性質を持ち、賃貸借契約を維持するための対価」とされている。
つまり、更新料は月々の家賃が低く抑えられている代わりに、大家さんに前払いとして支払うもの。住み続けるための謝礼という意味を持っている。
更新料を請求するためには、賃貸借契約書に更新料の条項が含まれていなければならない。更新料の条項を含んだ賃貸借契約を交わしているということは、不当に高額でない限り更新料を支払う必要があるというわけだ。
更新時期間際になって更新手続きができない、そのようなことにならないためにも契約時にしっかり確認しておくと良いだろう。
※出典元:公益財団法人全日本不動産協会 更新料に関する最高裁判決2011年8月
賃貸物件の更新料の相場
更新料の相場は一般的に、家賃の1ヶ月分から2ヶ月分といわれている。以下で家賃10万円の物件に住んでいる人を参考に、更新に必要な費用を見ていこう。
更新料が1ヶ月分の10万円であれば、手数料やその他の費用を含めると約15万円が必要だ。通常の家賃10万円に、更新時にかかる費用を足すと合計で25万円の支払いになる。更新月は支払う額が大きくなるので、前もって費用を準備しておこう。
家賃 | 10万円 |
---|---|
更新料 | 10万円 |
更新手数料 | 1万円 |
火災保険更新料 | 2万円 |
家賃保証更新料 | 2万円 |
賃貸物件の更新料を支払う方法・タイミング
賃貸物件の更新料を支払う方法とタイミングは、物件を借りる際に手渡される契約書に記載されている。一般的に更新料の請求が来るのは2年に一回。住んでいる物件にそのまま住み続けたい場合、決められた更新料を支払うことになる。
契約期間の満了が迫ると、管理会社や大家さんから通知を受けるはずだ。更新料を支払う方法は手渡しや振込、引き落としなどがあるので気をつけよう。
また、支払期日は物件によって異なるため、受け取った通知書に記載された期日をメモしておくのがおすすめ。更新前に退去する場合や、更新料の支払いが間に合わないときは、管理会社か大家さんに早めに伝えるようにしよう。
更新料なしの賃貸物件もある?
日本全国どの物件でも、更新料の支払いがあるというわけではない。
更新料が発生する物件は主に関東圏が多く、関西圏では京都を除き、大阪や兵庫では更新料がないという物件がほとんどだ。また、北海道では、2年契約で更新料なしの自動更新となっている物件が多い。
国土交通省が平成19年に行った「民間賃貸住宅にかかる実態調査」では、更新料の徴収割合は以下の通りとなっている。
北海道 | 28.5% |
---|---|
東京 | 65% |
神奈川 | 90.1% |
埼玉 | 61.6% |
千葉 | 82.9% |
京都 | 55.1% |
大阪 | 0% |
兵庫 | 0% |
広島 | 19.1% |
福岡 | 49.4% |
通常は更新料がかからないような地域であっても、大家さんが関東の人で更新料を請求するといったケースもある。更新料に関しては賃貸借契約書をしっかりと確認するようにしよう。
更新料なしの賃貸物件に入居する際の注意点
賃貸物件に住み続けるためには避けられない更新手続きだが、更新料が不要な物件もある。更新料が発生しない物件に住みたい思う方も多いが、安易に入居してしまうと余計に損をしてしまう可能性もあるので気をつけよう。ここからは、賃貸物件の更新料が必要のない部屋を選んだときに注意したい点を紹介する。
他の費用が高めに設定されている可能性がある
決して安くはない更新料を、物件の更新のたびに支払うのはもったいないと感じる人は少なくないだろう。しかし、更新料が不要なために、それ以外の費用が高めに設定されている物件があるのだ。得をしたと思っていたのに、それほど値段が変わらなかったり、逆に損をしたりする場合も考えられる。
たとえば更新料がない分、家賃や敷金、礼金の値段が上げられていた場合、更新料を支払う金額と変わらなくなる。また退去時清掃料や消毒料、鍵交換代など、細かな費用が高い可能性もあるので、更新料だけでなくその他の費用も確認したうえで物件を検討しよう。
条件があまり良くない物件の可能性がある
更新料不要と謳っている物件の中には、長らく空室が続いているものも多い。安易に決めてしまうと、入居後の後悔につながる恐れがある。
しかし、中には大家さんの温情で更新料を不要にしている場合もある。また設備が悪いわけではないものの、何らかの理由で入居者がなかなか決まらず、更新料不要を宣伝文句に募集している大家さんも多い。更新料不要=訳アリと一方的に決めつけるのではなく、いくつかの候補物件と比較検討しながら部屋探しをすると良いだろう。
賃貸物件の更新料。支払い拒否や値下げ交渉ってできるの?

契約のたびに支払う更新料。契約時に説明がなかった、説明はあったけど覚えていないなど、更新料に関して不明確なこともあるのではないだろうか。
そのような場合、支払い拒否や値下げ交渉などはできないのかと思う人も多いだろう。更新料を支払わなかった場合のリスクはどんなものがあるだろうか。ここからは更新料の支払い拒否で起こるペナルティーや、値下げ交渉のやり方について詳しく解説していく。
賃貸物件の更新料:支払い拒否が可能かは契約書の記載による
最初に交わした契約書の中に、更新料についての記載があるので、支払い拒否が可能であるかは契約書を確認しよう。契約書に更新料の取り決めについて記載がなければ拒否は可能だが、記載があった場合は過大な請求額でない限り支払う必要がある。物件を決めるときは、初期費用に目が行きがちだが、契約書の更新料に関する記載にも注目しておこう。
賃貸物件の更新料:値下げ交渉はハードルが高め
更新料の値下げ交渉をすることは可能だが、物件を借りるタイミングでは家賃減額交渉の方が一般的だ。そのため、更新料の値下げ交渉はハードルが高いといえる。物件に住み始めた後、更新の期日が近づいた段階で更新料の値下げを交渉する方が成功率は上がるだろう。住人に退去されて空室ができるよりも、値下げをしてでも住み続けてもらった方が良いと考える大家さんも多い。
ただし前述の通り、契約時に更新料の支払いについて同意している以上は、値下げは簡単にはできない。必ず交渉成立するとは考えず、交渉してみよう。
賃貸物件の更新料を払わなかった場合、強制退去のリスクがある
もし、住んでいる物件の更新料を支払わなかった場合、状況次第では強制退去になることが考えられる。
物件を貸している大家さんが、借りている入居者と結んだ契約を解約するには「正当事由」が必要だ。契約書に記載された更新料を拒否するのは、賃貸契約の解約が認められる「正当事由」に該当する。契約解除と退去を直ちに命じられるわけではないものの、トラブルに発展する可能性が高いため注意しよう。
賃貸物件の契約期間満了までに更新料について知っておこう!
更新料について詳しく知ることで、余計な出費を抑えることができる。交渉のハードルはかなり高いものの、うまく交渉することで更新料を下げることも可能だ。
契約満了の通知が届いてから焦らないためにも、契約期間の満了が近づいているという人は、賃貸借契約書に目を通して、更新料についてチェックしてみよう!