大河ドラマ『麒麟がくる』第十五回あらすじ＆イラストレポート【麒麟がきても、こなくても】
ファン目線で大河ドラマを楽しむイラスト連載！
毎週日曜放送のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』を楽しむ、大河ドラマ追っかけレポート！
毎週金曜日、前の週のおさらいを兼ねてあらすじと感想をお送りする（以下、ネタバレを含みます）。
『麒麟がくる』第十五回「道三、わが父に非（あら）ず」のあらすじ
長子である高政（伊藤英明）の望み通り、家督を譲り僧となった道三（本木雅弘）。美濃の国衆にも高政への忠誠を命じた。
そんなある夜、明智荘を道三の次男である孫四郎（長谷川純）が訪れる。
帰蝶（川口春奈）は高政が織田信長（染谷将太）と敵対することを案じて弟に文を出していおり、高政に不満を持つ孫四郎は、国衆を集めて高政に対抗しようと考えていた。
十兵衛は、高政に任せた道三の意向を尊重したいと召集を固辞する。
孫四郎の動きに感づいた高政は、十兵衛を呼び出し「信長との同盟は見直すつもりだ」と語る。
「帰蝶に邪魔をするなと話してこい」と言われた十兵衛は、道三に織田との同盟をどうしたいのか確かめに行くが、道三から明確な答えを得ることはできなかった。
信長のおじの織田信光（木下ほうか）が信長に敵対する彦五郎（梅垣義明）から碁に誘われたと聞き、帰蝶は暗殺をそそのかす。
反・信長派の根城であった清須城は、彦五郎の死によって信長の手に落ちることとなった。
信長の活躍と道三・帰蝶・孫四郎の喜びようを知り、高政は家督が奪われることを恐怖する。病に伏せったと孫四郎・喜平次（犬飼直紀）を呼び出し、二人を暗殺させてしまう。
道三は怒り狂い、高政への復讐を誓い、稲葉山城をでる。美濃を二分する戦がはじまった。
駿河で駒が出会った男（佐々木蔵之介）は、尾張の信長に仕え侍になると語る。
大河ドラマ追っかけレポート15（4/26放送回）
道三の「ケチ」が生み出す悲劇
「なぜ今家督を譲ったのだ」と問い詰める十兵衛に「そのような大事な話、ただでは話せぬわ」とニヤリと笑って去る道三。頭を丸め、表面上は世俗から離れても、彼の本質は「ケチ」のまま。その「ケチ」は金銭的なことだけではなく、気持ち・思いやりというところにおいても「ケチ」だった。
これが、今回の斎藤家の凄惨な悲劇のすべての元凶なのではないだろうか。
もしも道三が独断で政治を進めずに家臣たちに自分の考えを逐一語っていたら、稲葉良通たち家臣団がボスの道三をうとましく思うことはなく、高政を持ち上げることもなかったかもしれない。
もしも道三が父としての愛情を高政に与えていたら、高政は実の父は誰かと思い悩むことなく、母の深芳野も死ぬことはなかったかもしれない。高政が弟たちを殺さずに済んだかもしれない。
「自分で考えろ」「言わなくてもわかるだろう」という、頭がいいゆえに自分以外がバカに見えて「説明めんどくさーい」と思っているワンマン社長や独裁的な父親パターン。彼が現代に生きていたら、役員会議で部下たちにクーデター起こされて社長解任されたり、熟年離婚されたりするんじゃないだろうか。
でもこの物語の舞台は現代じゃないので、突然クビになるとか妻子が出て行くとかではなく、何人もの血が流れる結末が待っている。愛情表現をケチった結果が人を殺してしまった。
手を汚さぬ高政、裏で糸引く帰蝶
父に愛情をケチられた末に「道三は父にあらず」宣言をした高政だけど、家臣たちに特に尊敬されているようには見えず、「あの道三よりはマシ」くらいなのではないかと思うと、彼もかわいそうではある。
「戦は好まぬ。日々平穏がよい」と楽しげに十兵衛に語る高政の「平穏」は、まず身内を暗殺しまくるところから始まった。
自ら毒茶を点てて娘婿に飲ませて殺した父・道三とは違う。そして囲碁を打ちに招かれた席で刀を抜く織田信光とも違う。布団に寝たままで、自らの手を汚すことなく、見舞いに来た弟たちを扉を閉めた隣室で部下に殺させる。たしかに高政の周囲1メートルくらいは平穏ではある。しかしそういうやり方は、父とはまた違う意味で、嫌われそうな気がする。
そんな兄弟の様子を遠く尾張から観察し、時にはあやつる帰蝶の腹黒さ。子どもたちの中で、彼女がいちばん色濃く道三の血をついでいるように思える。
父は人に毒を盛るのに対し、娘は甘い蜜で動かす。「“おうち”にいけばよろしいかと……」とかわいらしい笑顔でうながす、その「うつ」は「碁を打つ」なのか「討つ」なのか。
揺れまくる斎藤家の中で、十兵衛はまだはっきりと誰の味方につくとも言わず、今回もあちこちでおつかいを言いつけられながらもやんわりと断ったり愚痴を言ったりしてニュートラル。しかしそろそろ、腹をくくらないといけない頃では。さてどうする。
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