大河ドラマ『麒麟がくる』第九回あらすじ&イラストレポート【麒麟がきても、こなくても】
ファン目線で大河ドラマを楽しむイラスト連載!
毎週日曜放送のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』を楽しむ、大河ドラマ追っかけレポート!
毎週金曜日、前の週のおさらいを兼ねてあらすじと感想をお送りする(以下、ネタバレを含みます)。
『麒麟がくる』第九回「信長の失敗」のあらすじ
今川義元(片岡愛之助)に織田との戦を指示された松平広忠(浅利陽介)は、山で何者かに襲われ命を落とす。駆け付けた菊丸(岡村隆史)が亡骸を確認し、竹千代(のちの徳川家康)の実母・於大の方(松本若菜)とその実兄・水野信元(横田栄司)に死を知らせる。菊丸は三河の間者だったのだ。
祝言をすっぽかされた帰蝶(川口春奈)のもとに、「化け物退治をしていた」と早朝になって信長(染谷将太)がやってくる。信秀(高橋克典)と土田御前(檀れい)に挨拶へ向かう二人だったが、信長が持参した記念の品は「松平広忠の首」であった。広忠を殺したことで今川を刺激した、と叱責する信秀に「誉められると思った」とふてくされる信長。
そんなやり取りを知らぬ帰蝶は、同じく人質として尾張に住まう竹千代(岩田琉聖)と出会う。予定外の父の怒りを受け、不機嫌になって城へ戻った信長は、帰蝶と共に鉄砲に興じる。父親との関係性に共通のものを感じた帰蝶と信長は、意気投合する。
十兵衛(長谷川博己)は、叔父の光安(西村まさ彦)の策略で、年頃の娘がいるという妻木の城への使いを頼まれていた。かくれんぼをしていた熙子(木村文乃)と偶然の再会を果たし、過去の約束を聞かされる。
大河ドラマ追っかけレポート⑨(3/15放送回)

さまざまな対比が入り乱れる、スピーディーな第九回
スピーディー。山を駆け抜ける菊丸のように、とにかくスピーディーな回だった『麒麟がくる』第九回。
ただの農民ではないことが先週の予告で明かされていた菊丸、開始早々に松平家に仕えていることが明かされる。菊丸がその死を水野信元に報告した松平広忠は、先週分と合わせても数分の出番で消えた。早い。
物語の展開のスピーディーさとともに、光と闇、表と裏という対比についての話でもあったように思う。
婚礼をすっぽかされ、純白の衣装のままでうつらうつらしている帰蝶の前に現れる、黒くドロドロに汚れた着物の信長。
白と黒。夫婦となった二人だが、不釣合いで、まるで違った人間に見える。
しかし帰蝶は、村人と同じ目線に立った信長の話を聞き、汚い着物から取り出された見たことのない食べ物・干しダコを受け取り、口にする。誰かから渡されたものを食べるのは、相手への信頼がないとできないこと。「ゆっくり味わいとうございます」と言う帰蝶は、村人たちに慕われてニコニコ笑う信長を、すでに信じている。
結婚の引き出物として、帰蝶は青々とした「生」の象徴の松を織田信秀に差し出す。
同じく引き出物として、信長は広忠の首という「死」をにこやかに差し出す。ここにも、生死という対比がある。
信長にとって、村人のために化け物退治をするのも、広忠を討ち取るのも同じ「いいこと」なのだ。父に褒められると思ってたのに厳しく叱られて、口をとがらせて涙目になる信長の子どもっぽさが逆におそろしい。
そんな子どもの思いつきで殺された、「死んでも誰も喜ばない」広忠が気の毒になってしまう。
父に怒られて機嫌が悪い「子どもモード」になった信長は、竹千代に駆け寄られてもじゃまだと突き飛ばす。楽しく将棋を指せる信長は、人質の竹千代にとってわずかな光。信長は、そんな竹千代の父を殺すことになんのためらいもない闇を持っているのだと考えるとまたおそろしい。
父(の一部)がすぐそこにいることも知らず、慕った信長には意味もわからず冷たくされ、凡庸な信長の弟信勝には将棋でわざと負けるしかない囚われた小さな金魚・竹千代は本当にかわいそう。
たぶん信長の頭の中では「それはそれ、これはこれ」「あの時はあの時、今は今」的に、整理がついている話なのだろうけど、光から闇への変化が大きい人が自分の近くにいたらたまらない。
「こんな狂ってる相手と結婚して大丈夫なのか帰蝶……」と思ったけど、そのあとのシーンで心配は消えた。夫婦初めての共同作業のごとく、仲良く鉄砲を打つ二人。楽しいとはしゃぐ帰蝶は、それが人を殺す道具だということはどうでもいいように見える。そうだ、彼女はやはりあの道三の娘、そんなにやわではない。
父が大好きで大嫌いな孤独な子どもたち、クレイジーな信長と、マムシの娘・帰蝶。人の死に慣れている夫婦。まるで違うように見えて実はそっくりで、結局この二人はお似合いなのである。
そんな光と闇、生と死、白と黒のカップルが尾張で誕生している頃、やっと十兵衛が登場。……正直言うと忘れてた、そうだったこの人が主人公だった。話の3分の2が終わったくらいで主役が現れても違和感ないくらいに、他のキャラクターが魅力的で、展開がスピーディーでおもしろいというのもすごいこと。
その娘、策略か無意識か
十兵衛の前にも、煕子という女性が現れた。子どもたちとかくれんぼしながら花を散らす、妖精のようなつかみどころのなさ……だけれど、あの、これ、すべて計画通りな匂いがして仕方ないんだけど、大丈夫か十兵衛。
わざわざ道しるべの花を散らして二人きりになるように誘導、会うなりさりげなく手を取ってボディタッチ、子どもの頃にすでに十兵衛からプロポーズ済みだと既成事実であることを告げる。この日十兵衛が来ることを聞いてないはずもないし……綿密な計算に基づいてるとしか思えない煕子の行動。
もしこれが計算じゃなくて無意識だとしたら、逆にもっとこわい人だと思うけれど、「にぶい」を人の形にしたような十兵衛は、そのおそろしさには気づかないだろうなあ。かわいらしくこわい煕子とにぶい十兵衛。こちらの二人は、どんなカップルになっていくのか。
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