賃貸契約の緊急連絡先はなぜ必要?書ける人がいない場合の対処法も解説

公開日:2021年2月9日

賃貸契約で提出する緊急連絡先は、どうして必要なの?

賃貸物件を借りる際、不動産会社や管理会社に緊急連絡先を提出するよう求められる。実際、賃貸契約書の緊急連絡先欄に家族や親族の連絡先を記入したことがある人も多いだろう。

一般的に、緊急連絡先なしで賃貸契約を結ぶことは難しいといわれている。この緊急連絡先はなぜ必要なのだろうか。

そこで今回は、賃貸契約における緊急連絡先の役割について解説していく。また、緊急連絡先に書ける人がいない場合の対処法についても紹介するので、賃貸契約時の手続きに役立ててほしい。

賃貸契約で必要な緊急連絡先とは

緊急連絡先1
緊急連絡先の役割とは

賃貸契約における「緊急連絡先」とは、入居中に管理会社等から急ぎの要件があった際、本人に連絡がつかない場合に連絡するところ。

近年では、連絡手段として携帯電話が使われているため基本的にはすぐに連絡を取ることができる。しかし、本人が電波の届かない場所にいたり、電源を切っているなどして連絡がつかないことも少なくはない。また、あまり想像したくはないが、火災や地震などで連絡が取れなくなってしまうことも考えられる。そのような際、緊急連絡先に記載されている人に連絡が入ることになる。

入居者は、もしものケースに備えて緊急連絡先を大家さんに伝えなければならないことを覚えておこう。

緊急連絡先と保証会社・連帯保証人の違い

連帯保証人とは、入居者が家賃を支払えない状況のときに家賃を肩代わりする責任がある人、保証会社とは連帯保証人の役割を担う会社のことを指す。賃貸物件の契約には緊急連絡先のほかに、保証会社、あるいは連帯保証人のどちらかが必要だ。

家賃の支払い義務がある保証会社や連帯保証人と緊急連絡先に登録された人との違いは、責任の範囲が異なること。緊急連絡先に登録された人は、家賃を肩代わりする責任はなく、あくまで入居者と連絡がつながらない際の代理人という立場だ。

たとえば家賃の催促のために大家さんや賃貸保証会社が緊急時の連絡先に連絡をしても、その人は家賃を支払う必要はない。そのため、連帯保証人や保証会社と比べると責任の範囲はかなり狭いといえる。

賃貸契約で提出する緊急連絡先はどんなときに使われる?

緊急連絡先は、緊急時以外は基本的に使われないため、日中仕事のため何度か電話を取れなかったぐらいでは、緊急連絡先に連絡がいくことはほとんどない。

ではいったい、どういった場合に緊急連絡先が使われるのだろうか?いくつかの例を挙げながら解説していくので、詳しく見ていこう。

緊急連絡先が使われるケース1:緊急の連絡で契約者本人からの折り返しを待てない場合

賃貸物件で災害が起きた場合、大家さんや賃貸保証会社は無事かどうかを確認するために入居者に連絡をするのが一般的だ。その時点で連絡がつかない場合、入居者に何か起きたとみなし緊急連絡先に連絡が入る。

災害以外にも、入居者の死亡などを大家さんや賃貸保証会社が発見した場合には、緊急連絡先に連絡がいくことになる。このようなもしもの事態に備えて、緊急連絡先は必ず提出しなければならない。

緊急連絡先が使われるケース2:契約者本人と連絡が取れない場合

家賃滞納に関する催促の連絡を何度も無視し続けると緊急連絡先に連絡がいってしまう。最初に入居者に電話あるいは文書で数回連絡がいき、それでもレスポンスがなければ緊急連絡先に連絡が入るというのが一般的な流れだ。

しかし先述の通り、緊急連絡先に登録された人には家賃を支払う義務はないため、緊急連絡先から入居者に家賃の支払いの催促が行われることになるだろう。契約更新についても、更新の有無などについての連絡ができない場合は緊急連絡先の出番となる。

賃貸契約の緊急連絡先に書けるのはどんな人?

賃貸契約の緊急連絡先に、誰を書けばいいか迷う人も多いのではないだろうか。一般的に、自分の両親に頼むことになるものの、場合によってはそれが叶わないことも多い。

ここからは、緊急連絡先に書ける人と書けない人の違いについて詳しく解説していくので、余計なトラブルにならないよう事前にチェックしてほしい。

賃貸契約の緊急連絡先に書ける人

緊急連絡先2
緊急連絡先は身近な人にお願いしよう

前述の通り、緊急連絡先に登録されている方には入居者が負っている責任が一切ないため、基本的には誰でもなることができる。しかし、年齢制限が設けられていることが一般的だ。年齢は不動産会社によって異なるが、一般的には20〜75歳の人が対象である。

また、原則として同居人を緊急連絡先にすることはできない。同居人は世帯主ではなくても入居者扱いになり、災害などの緊急事態には緊急の連絡先としての役割を果たすことができないからだ。

20〜75歳で同居人でない人なら誰でもなれるが、理想は家族または親類だ。なぜなら、その賃貸物件に住み続けている間、すぐに連絡が取れる人の方が好ましいからである。

たとえば仲が良かった友人や恋人を緊急連絡先にした場合、長年住み続ける間にその人と疎遠になるおそれがある。そうなると、緊急時に大家さんや賃貸保証会社が連絡を取っても「入居者のことは知らない」といわれ、緊急連絡先としての役割を果たすことができなくなってしまう。可能な限り、両親や配偶者などの家族を緊急連絡先にするのをおすすめする。

賃貸契約の緊急連絡先に書けない人

賃貸契約の緊急連絡先に記載された人には、滞納時の家賃支払いなどをはじめとした責任は一切生じない。そのため、基本的には緊急連絡先に書くのは誰の連絡先でも構わないとされている。

しかし、厳しい大家さんや賃貸保証会社の場合は、過去に滞納歴のあるようなブラックリストに載っている人は緊急連絡先として認められないケースもある。ほかの人への変更を要求される場合もあるので、できれば避けておいた方が無難だ。

とはいえ、緊急連絡先は緊急時の本人へ連絡を取るためのもの。頼れる人が誰もいないようなら、スムーズに連絡が取れるような身近な人を緊急連絡先として設定しておくのがベターだろう。

賃貸契約の緊急連絡先への、本人確認や審査はある?

場合によって、緊急連絡先としての役割を果たせるかどうかの審査が行われることもある。審査が必要な場合は、以下の情報が求められることが多い。

  • 名前
  • 住所
  • 年齢
  • 電話番号
  • 入居者との続柄

連帯保証人のようにお金に関する責任はないため、基本的に年収や勤務先、勤続年数などを提出する必要はない。そのため、仕事をしていない人でもなることができる。また、緊急連絡先を大家さんや賃貸保証会社へ申請する際には緊急連絡先の当人が直筆する必要はなく、入居者が代わりに記載することも許されている。

賃貸契約の緊急連絡先に書ける人がいない場合の対処法

身近な人にお願いした方が良い緊急連絡先。しかし、事情があり、どうしても緊急連絡先として提出できる人がいない場合も考えられる。特に親族がいない高齢者は緊急連絡先に書ける人がいないケースも多い。

緊急時の連絡先として書ける人がいない場合は、一度不動産会社に相談してみよう。場合によっては連帯保証人と緊急連絡先を同じ人にしても認めてもらえるケースもある。虚偽の連絡先を伝えると、大家さんや賃貸保証会社からの信用がなくなってしまうため、必ず正直に申請することが大切だ。

どうしても緊急連絡先を用意しなければならない場合や、連帯保証人の確保も難しい場合は以下の対策を検討してみてほしい。

緊急連絡先を請け負っている団体に依頼する

一般社団法人など緊急連絡先を請け負ってくれる団体がいくつかある。年間10,000円ほどの費用は発生するが、どうしても緊急連絡先が見つからない場合は利用してみよう。

保証人代行サービスを利用する

緊急連絡先だけでなく、連帯保証人や身元保証人を代行してくれるサービスの会社を利用するのも手段のひとつである。費用は会社によって異なるが、2年ごとに15,000〜30,000円程度となっている。

しかし、保証人代行サービスの中には詐欺まがいの会社もあるので、信用できる会社かどうかをしっかり調べる必要がある。

弁護士に頼む

弁護士の中には緊急連絡先を請け負っている人もいる。1年に50,000円ほどの費用がかかってしまうが、紹介した団体やサービス会社が見つからない場合や、知り合いの弁護士に頼みたい場合は利用してもいいだろう。

自治体の担当職員に相談する

生活保護を受給している人は費用を負担するのが難しい。緊急時の連絡先が見つからないなら、担当のケースワーカーや自治体の担当職員に相談してみよう。場合によっては担当者が緊急連絡先になってくれることもある。

賃貸契約の緊急連絡先になってもらうお願いは早めにしよう

賃貸物件の契約に必須となる緊急連絡先。保証会社や保証人と違い家賃の支払いなどの金銭に関する責任は一切なく、入居者が家賃を滞納したり、地震や火事などの災害といった緊急時に連絡がつかなくなってしまったりした場合に連絡が入るという特徴がある。

難しい審査がないため、基本的に誰でも緊急時の連絡先として申請することができるが、長期のことを考えてずっとつながりがあると予想できる家族や親族にお願いするのが理想的だ。もしも緊急連絡先が見つからない場合は、代行してくれる団体や会社、弁護士にお願いするといいだろう。

緊急連絡先をお願いする場合は、なるべく早めに依頼や手続きを進めておくことが大切だ。特に弁護士や一般社団法人などの団体に依頼する場合、手続きの時間だけでなく数万円ほどの費用が必要になる。事前に準備をしておけば、面倒な賃貸契約もスムーズに進んでいく。

また、入居後は緊急連絡先の相手を心配させないような行動を心がける必要がある。家賃の滞納や契約違反、事故などを起こさないよう努めつつ、トラブルのない生活を送ってほしい。

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2021年2月加筆=CHINTAI情報局編集部

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CHINTAI編集部
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