家賃の値上げを求められたら?拒否や交渉は可能?対処法を解説

公開日:2021年2月22日

大家さんから賃貸物件の家賃を値上げしたいと連絡が!

家賃 値上げ1
誰にでも起こるかもしれない、「家賃の値上げ」

「ある日突然、大家さんから借りている部屋の家賃の値上げを求められた!」
このような展開は、誰にでも起こる可能性がある。
一度契約したらずっと同じ家賃で借りられると思いがちだが、実際は家賃の値上げを求められることもあるのだ。

今回は、家賃の値上げを求められた場合の対処や、いざというときに役立つ賃料交渉の方法を解説していく。

家賃が値上げされるのはなぜ?

家賃の値上げは、「借地借家法」という法律に基づいて行われる。

建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。(借地借家法 第三十二条より引用)

……難しい文章だが、かみ砕いて説明すると以下の通り。

大家さんが家賃を引き上げることができるのは、相場の変動など正当な理由があった場合のみ。単に大家さんの収入アップのため等で家賃を値上げされるということはない。

具体的には下記のような場合、家賃の値上げを求められる場合がある。

建物や土地の価値が上がって、大家さんが払う固定資産税が増えてしまった場合
・周囲の同様の賃貸物件と比べ、家賃が安すぎる場合

同じ入居者が長く住み続けている場合など、大家さんが家賃を見直すタイミングを失い、家賃が数十年間そのままになっていることもある。その間に周辺の家賃相場が変化するというのはよくある話だ。
もちろん、エリアの再開発などで急速に人気が高まり、地価が上がる場合もあるだろう。

ちなみにこの「借地借家法」に基づけば、周辺の物件と比べて明らかに家賃が高い場合など、借主側からも家賃の値下げを提案することが可能だ。

家賃が値上げされるタイミングっていつ?

家賃の値上げが起こりやすいタイミングは、賃貸物件の契約更新時だ。多くの場合、賃貸物件では2年契約となっている場合が多い。
しかし、家賃の値上げを求める時期に法的な規定はないので、前触れもなく突然求められることもある。

契約更新の際には、合わせて火災保険や保証会社の更新もある。引越しを考えるいい機会ともいえるだろう。

家賃の値上げ拒否や交渉ってできるの?

家賃の値上げに納得がいかなければ、拒否や金額の交渉はできる
一方的に大家さんが言い出して、勝手に値上げが決まるわけではない。大家さん・入居者の双方の合意があり、契約が成立してはじめて値上げとなるのだ。

ただし、納得がいかないからといって無下に断るのは禁物。話し合い自体を拒否する、連絡を絶つなどの状態が続くと、場合によっては退去を求められるなどのトラブルにつながることもある。

大家さんもボランティアではなく、賃貸経営の収益で生活をしている。大家さん側の事情もよく聞いたうえで、しっかりとコミュニケーションをとるようにしよう。

家賃の値上げを通知されたらどう対処すればよい?

家賃の値上げを求められたら、借主はどのような対応ができるだろうか。
ここでは対処方法を大きく4つのポイントに分けて解説する。

突然のことに混乱するかもしれないが、冷静に対応すれば大家さんから条件を譲歩してもらえたり、家賃の値上げを回避できたりすることもある。

家賃の値上げを通知された際の対処①:大家さんの言い分をしっかり聞こう

まずは、大家さんが家賃の値上げをしなければならなくなった事情をきちんと聞いてみよう。そのうえで、値上げの理由は正当か、納得できるかを判断することになる。

理由を聞く際には、値上げの根拠となる資料やデータを提示してもらうとよい。値上げが正当かどうかの判断をしやすくなるはずだ。

例えば固定資産税が上がったことが値上げの理由なら数年分の資料を提示してもらうなど、明確な根拠を示してもらえるように提案してみよう。

家賃の値上げを通知された際の対処②:住んでいる物件の相場を調べよう

次に、現在住んでいる物件の家賃が周辺の類似物件と比べて高いのか安いのかを確認してみよう。

賃貸物件検索サイトで、周辺の似た条件の物件の家賃がいくらなのかを調べよう。その際、築年数や間取り、駅からの距離、建物の構造(木造か鉄筋コンクリート造か)など、自分の借りている部屋の条件になるべく近いもので確認することが重要だ。

また、物件の人気度も値上げ交渉のポイントとなる。入居希望者が多い物件では、もし値上げに納得できずに退去する人がいたとしてもすぐに次の入居者が決まるので強気な対応をされる場合がある。逆に入居者が少ない物件だとスムーズに交渉が進んでいくこともある。

家賃の値上げを通知された際の対処③:長く住みたいという意思を伝えよう

現在入居している物件を気に入っている場合は、交渉の際に「家賃を現状のままにしてくれたら今後も長く住み続けたい」という意思を大家さんに伝えてみよう。

大家さんにとって、空き家になるリスクは避けたいところ。家賃を値上げするより長く住んでもらえる方がメリットになるのであれば、交渉に応じてくれる可能性が高い。長く住みたいという一言は、交渉材料の切り札として使えるだろう。

家賃の値上げを通知されたときの対処のポイント④:値上げ拒否・退去以外の選択肢も視野に

家賃の値上げは喜ばしくないものだが、大家さんへの対応は感情的にならないように冷静に話すことをおすすめする。落ち着いた対応をすることで、無用なトラブルを避けることができる。

もし値上げに納得できなかったとしても、一方的に拒否する、即退去するといった極端な対応だけではトラブルになってしまう場合がある。例えば下記のような選択肢も視野に入れるとよい。

・家賃の値上げ幅を変えてもらう
・値上げ時期の後ろ倒し
・更新手数料や退去費用の値下げ

大家さんの事情や自分の状況をふまえ、お互いに大きな損にならないような落とし所を見つけよう。

家賃 値上げ2
家賃値上げに至った事情や、条件などをしっかり確認して冷静に対処しよう

家賃の値上げ交渉が決裂したら?退去しなければいけないの?

家賃の値上げ交渉がまとまらなくても、基本的に値上げ前の家賃を支払っていれば退去の必要はない。大家さんに「値上げに納得できないなら退去を」と求められることがあるかもしれないが、現行の家賃を支払っているなら強制的に退去させられることはないので安心してほしい。

ただし、なかには「値上げ後の家賃でなければ受け取らない」という大家さんいる。借主は家賃の支払いができず、“家賃不払い”を理由に契約解除・立ち退きを求められることも。そのような場合には供託制度を利用できる。国家機関である供託所に従来の家賃を預けることにより、家賃を支払ったことになり不払いの責任を回避できるのだ。

話し合いが決裂してしまった場合には、各自治体の消費生活相談窓口(消費者センター)に問い合わせる手もある。法律に精通した人に相談することで、話し合いの突破口となる可能性が高い。

値上げ交渉が賃貸物件の更新時の場合、納得できなければ引越しをするのもよいだろう。更新時には家賃1ヶ月〜2ヶ月分の更新料がかかるのが一般的。さらに家賃が上がるとなると負担も増えてしまうので、新たに部屋を探して引越してしまうという選択もおすすめだ。

家賃の値上げを打診されても冷静に状況を判断して対処しよう

家賃の値上げを突然求められれば、誰でも混乱してしまうもの。ただし、対応次第では値上げを回避できる場合もある。冷静に落ち着いて対応することが大切だ。

また家賃交渉がまとまらない場合も、現行の家賃を支払っておけば急な退去に応じる必要もない。これらを覚えておけば、焦らずに対処することができるはず。家賃の値上げを求められても、冷静な対処を心がけよう!

文=CHINTAI編集部

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