土砂災害警戒区域とは? 調べ方から住むときの注意点まで解説
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住んだ後に土砂災害警戒区域になることもある
家を建てる前に、その土地が土砂災害警戒区域なのか、気になる人は多いもの。
しかし賃貸物件となると、何かあったらすぐ引越すことができるということもあり、土砂災害警戒区域かどうか調べる人は、さほど多くはないのが現状だ。
とはいえ、賃貸物件であっても事前に調べることは可能であり、住んだ後に土砂災害警戒区域になることもあるということも頭に入れておいてほしい。
賃貸物件が被害にあった場合、自分の持ち物ではないため引越せば済み、最悪家電や家具などは再度購入もできる。しかし、買い替えができないような思い出の品なども被害に遭う恐れがあるのだ。過去に災害がなかったからといって、今後も安心とは限らない。また、その逆もあり、指定が解除される可能性もある。
今回は、土砂災害警戒区域の調べ方から住むときの注意点を解説する。これから引越しをお考えの際は参考にしてほしい。
土砂災害警戒区域の調べ方
土砂災害はできるだけ被害に遭いたくないというのが本音だ。事前に自分が住む場所が、土砂災害警戒区域かどうかを調べることができれば、ひとまずは安心といえる。
では、実際にどのように調べたら良いのか解説していこう。
ハザードマップで確認する
ハザードマップとは、災害が発生した際に危険な地域や、避難場所などを地図にまとめたものだ。ハザードマップは主に市町村で作成され全家庭に配布される。
賃貸の仲介会社に聞く
賃貸物件の契約の際に、必ず行わなければいけないのが、重要事項説明だ。賃貸物件の所在している場所が土砂災害警戒区域に指定されている場合、重要事項説明の中に、その旨を記載しなければいけない。
しかし、重要事項説明を行って初めて知るというケースがほとんどだ。したがって、賃貸物件の内見の際に、賃貸の仲介会社に聞くのが確実といえるだろう。
土砂災害警戒区域に住むときの注意点
気にいった賃貸物件が見つかったとして、その物件の所在地が土砂災害警戒区域だったということも考えられる。しかも、住んでみて後から気づくことも多いだろう。
では実際に、土砂災害警戒区域に住むとしたら、どんな注意点が必要なのか解説していこう。
避難場所を確認しておく
自分の住んでいる場所が、土砂災害警戒区域だったとしても、すぐには引越しできないという人も多いだろう。その場合は、いざというときに備えて、避難場所を確認しておくことが重要となる。
各家庭に配られているハザードマップに、自分が住んでいる場所が災害にあった場合の避難先が記載してあるので、確認しておくと良いだろう。
また、土砂災害警戒区域は、すべての都道府県でインターネット公開されているので、ハザードマップを失くしてしまった場合は、インターネットで確認すると良い。また、指定範囲を確認できる図面を公開している都道府県もある。
土砂災害特別警戒区域に指定される
土砂災害警戒区域とは、土砂災害が発生した際に、住民の生命や身体に危険が及ぶ恐れがある地域のことだ。土砂災害特別警戒区域とは、どのような違いがあるのだろうか?
土砂災害特別警戒区域とは、警戒区域の中でも土砂災害が発生した際に、建築物に損壊が生じ住民の生命や身体に危険が及ぶ恐れがある区域のことだ。
自分が住んでいる物件が、土砂災害警戒区域と分かっていても、さらに特別警戒区域に指定される可能性もある。実際に土砂災害特別警戒区域に指定されると、居室がある建築物の構造が規制されたり、著しい損害が起きたりする可能性がある場合は、移転の勧告がされる場合もあるのだ。
雨が降り出したら土砂災害警戒情報に注意する
雨が降り出したら、テレビやラジオなどの、土砂災害警戒情報に注意しよう。
土砂災害警戒情報とは、都道府県と気象庁が共同で発表される防災情報のこと。大雨による災害では、住民としては避難して良いのか判断しかねるものだ。住民の自主避難の参考となるのが、土砂災害警戒情報ということになる。
テレビやラジオのほか、気象庁のホームページや各都道府県の砂防課のホームページでも確認できるので、いざというときのためにブックマークしておくと良いだろう。
都道府県や市町村によって、スマホなどに自動で土砂災害警戒情報を通知してくれるサービスもある。そして土砂災害警戒判定メッシュ情報、1〜5kmの単位での危険度が、気象庁や都道府県のホームページで確認できる。
避難のタイミングとしては、警戒レベル3で高齢者等避難、警戒レベル4で全員避難としている。(平成31年3月内閣府 避難勧告等に関するガイドラインの改訂)
早めの避難を心がける
実際に、どのタイミングで避難すれば良いのかイマイチ疑問という人も多いだろう。自分の住んでいる地域に土砂災害警戒情報が発表された時点で、警戒レベル4相当という点を頭に入れておいてほしい。
土砂災害警戒情報が発表されたら、自治体からの避難勧告の発令がされていなくても、土砂災害警戒判定メッシュ情報を参考に避難を開始すると良い。
その際は、近所の人や家族や親戚などと声を掛け合うことが重要だ。お年寄りや身体の不自由な人のことを考え、早め早めの行動が必要となる。
早めに避難できない場合は、避難場所のほかにも鉄筋マンションなど頑丈な建物で、2階以上の避難場所を確認しておくと良い。さらに心配であれば、日頃から避難訓練に参加したり、避難ルートを確認したりしておくと良いだろう。
土砂災害の前兆現象にも注意する
ところで、土砂災害を発生させるには3つ現象があるのをご存じだろうか。主に、崖崩れ・地すべり・土石流だ。
この3つの現象が発生する前に、前兆現象が起こることがある。日頃から前兆現象に注意しておけば、早く避難することも可能だ。
崖崩れ
崖崩れとは、雨水の浸水や地震等で地面がゆるみ、崖が崩れ落ちる現象だ。前兆には以下のものがある。
- 崖のひび割れ
- 崖から水が湧き出る
- 地鳴りがする
- 石などが落ちてくる
- 湧水が止まったり、濁ったりする
地すべり
地すべりとは、斜面の一部や全部が地下水の影響により、下方向に移動する現象だ。前兆には以下のものがある。
- 地面のひび割れ
- 斜面から水が噴き出す
- 井戸の水が濁る
- 地鳴りや山鳴り
- 亀裂や段差ができる
- 木などが傾く
土石流
土石流とは、川の石や土砂が雨により、一気に下流に押し流される現象だ。前兆には以下のものがある。
- 山鳴り
- 川の水が濁る
- 川に流木が混ざる
- 腐ったような土の匂い
- 川の水位が上がる
- 木が裂ける音や石がぶつかる音がする
安心して暮らすには事前の準備が大切
今回は、土砂災害警戒区域の調べ方から住むときの注意点を解説した。これから引越す人は、自分が住む土地が土砂災害警戒区域なのか、事前にしっかり確認していただきたい。
万が一、住んでから土砂災害警戒区域に指定された場合でも、ハザードマップなどで避難所を確認しておくと安心だろう。