整理収納アドバイザーが実践する「片付けの習慣」。シンプルライフで自尊心が高まる理由とは?
シンプルライフを送っている、整理収納アドバイザーFujinaoさんのお宅を訪問!

今回訪問したのは、シンプルライフを実践しているFujinaoさんの賃貸住宅。
Fujinaoさんは夫の仕事で転勤族になったことをきっかけにシンプルライフに目覚め、いまでは整理収納アドバイザーとして活躍している。彼女によれば、整理収納は自分の価値観を変え、自尊心を高めることにも繋がっているのだそう。
そんな彼女に、自分が実践している整理整頓術やシンプルライフを始めて起こった変化、親子で実践できる片付けのコツを伺った。
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プロフィール
名前:Fujinaoさん
instagram:@fujinao08140814
居住地:千葉県千葉市
居住形態:4人(Fujinaoさん、夫、子ども2人)
ルームデータ
間取り:3LDK
築年数:7年
Fujinaoさん流・シンプルライフを維持する工夫
Fujinaoさんがシンプルライフに至ったキッカケのひとつは、夫の転勤。引越しのときに大変になることから、自然と家具や雑貨といったモノも減らすようになったという。
そんな彼女と家族のリビングでは、整理収納アドバイザーならではの工夫を垣間見ることができた。
部屋の役割をはっきりさせる

彼女自身が実践している整理収納のコツは、まず部屋の役割を決めること。部屋の使用目的を決めることで、他の目的のモノが進出して散らばることがなくなるという。
「例えば、リビングは共有スペースなので、爪切りや文房具など、家族で共有して使うものしか置いていません。個人の持ち物は個人の持ち場に置くと決めています。子ども達はおもちゃで遊ぶときリビングを使いますが、戻す場所は子ども部屋と決めています」(Fujinaoさん)
ワンアクションで戻せる収納スペース

いざ「綺麗な部屋にしよう!」と思ったところで、人のやる気はなかなか続かないもの。だからこそ、Fujinaoさんは頑張らずに片付く仕組みづくりを心がけていると話す。
「大事なのは、“出しやすい”よりも“戻しやすい”こと。出すときと違い、モノを戻すときは必要性に迫られていません。だから少しでも面倒だと『あとで戻せばいいや』となってしまう。だから、収納スペースはとにかく戻しやすい工夫をしています」(Fujinaoさん)
Fujinaoさんによれば、引き出し収納などにトレイを重ねて2段にするのも要注意だ。
「ワンアクションで戻せない収納だと戻すのが億劫になり、その積み重ねで部屋が散らかってしまうこともあります。整理収納アドバイザーとしても『ワンアクションでしまえる仕組みにしましょう』とお伝えしています」(Fujinaoさん)
シンプルライフを始めて、自尊心が高まった
整理収納アドバイザーの資格をとると同時にシンプルライフを意識するようになり、かれこれ6年になるというFujinaoさん。シンプルライフを実践するようになってからは、価値観が大きく変化したという。
「以前は、『まだ使えるモノを手放すなんてもったいない』と思っていました。それはつまり、自分が狭い思いをしてもモノがあった方がいいと、自分よりもモノを大切にしてたんですね。でも、今は価値観が変わって、自分が気持ちよく暮らせない方が『もったいない』。モノよりも自分を大切にするようになって、自尊心が高まったように感じます」(Fujinaoさん)
とはいえ、プレゼントなどの“貰い物”は、なかなか捨てられないという人も多いのではないだろうか。例えば、人に貰ったからといって、使い勝手の悪いモノを無理して使っていたり、使わないモノが空間を占拠していたり……。これらも、自分よりモノを優先してしまっている例だという。
「それも同じく、自分よりモノを優先しているんですよね。捨てられない気持ちはよくわかりますが、相手の気持ちを受け取ることで、本質的なプレゼント(モノ)の役目は果たされていると思うんです。生活に馴染まないときには、気持ちだけいただいて、手放してもいいのではないでしょうか」(Fujinaoさん)
1日2回で掃除が楽になる!片付けを習慣化するコツ

Fujinaoさんによれば、片付けで大切なのは“習慣化”。寝る前と外出前の1日2回の片付けを習慣づけることをおすすめしているという。
「片付けを習慣化しないと、敵(片付ける量)がどんどん大きくなっちゃうんです。外出から帰宅するときって、買い物などで荷物が増えていることが多いですよね。そのタイミングですでに散らかっていると、片付ける量がさらに増えることになります。でも、外出前にリセットしておけば、帰宅時の片付けも簡単です」(Fujinaoさん)
外出前に加え寝る前にも片付けることを習慣にすれば、慌ただしい朝でもスムーズに1日を朝を始められるうえ、モノが増えにくくなるそうだ。
「モノを減らすと、掃除がすごく楽になるんです。モノが多い部屋って、想像するだけでも掃除が嫌になっちゃうじゃないですか。でも、モノが少なければ5分あれば掃除できるな、と気軽に掃除できる。その心地よさを知っていくと、モノを捨てることよりも、自分が掃除で苦労する方がもったいないという気持ちになると思います」(Fujinaoさん)
“モノが帰る場所”を考える。親子で考えたい片付けのキホン

子供の片付けについても、大人と同じく習慣化が大切。外出前と寝る前の2回は片付けて、何もない状態にするのをルールにしているという。
「ルール化するとはいえ、1度言えば次の日から完璧にできるかと言えば、難しいですよね。例えば挨拶の習慣って、『朝起きたらおはようだよ』と伝えるのを毎朝繰り返して、気長に教育していくものじゃないですか。片付けもそれと同じで、できなくても繰り返し『こうやって片付けるんだよ』と気長に続けてあげるのが大切だと思います」(Fujinaoさん)
もう一つの習慣は、子どもと一緒にモノの収納場所を考えることだ。
「誕生日プレゼントなど、事前に新しくおもちゃが入ってくるのがわかるときには、『新しいおもちゃのお家を考えてあげなきゃね』と、モノの収納場所を一緒に考えるようにしています。空間には限りがあること、だからこそ、モノが増えるときには量や置き場所を見直す必要があることを、おもちゃを通して伝えている感じです」(Fujinaoさん)
大人でも、収納場所を考えずにモノを増やしてしまう人は少なくないという。
「例えば、コップに水を入れるときには、『8分目まで入れよう』と器に合わせて注ぐ量を調整しますよね。でも、それが部屋のモノになると、なぜか『はみ出して入れる方法はないかな?』と器を無視して考えてしまうんです。でも、器という意味では部屋もコップと同じ。入る量は決まっているので、入れる量を調整する必要があるんです」(Fujinaoさん)
既にあるモノを減らさずに収納を増やしても、限りある空間ではいつかは行き詰まってしまう。モノを増やす際には、収納場所を考えるのが大切なようだ。
部屋の景色が変われば、人生も変わる!?
Fujinaoさんによれば、部屋は“自分を包み込む景色”のひとつ。目から入る情報は、知らず知らずのうちに心に影響を与えるからこそ、部屋を綺麗にすることが重要だと話す。
「目に映る景色で、心はすごく変わるんです。例えば、パワースポットで美しいものを見て元気が出たり、お洒落なカフェやラウンジで飲むコーヒーが美味しく感じたり……。部屋も同じです。ごちゃごちゃした空間で過ごすか、それとも、スッキリと片付いた空間で過ごすか。自分を取り巻く景色が変われば、心の持ちようも変わってきますよね。その積み重ねで、最終的には人生も変わってくると思います」(Fujinaoさん)
気分が落ち込みがちなときこそ、部屋の“景色“に意識を向けてみよう。整理整頓を続けていけば、人生が変わるキッカケになるかも……?
文=市川 茜
写真=編集部