引越し時に不要なものを、そのまま残していっていいの?賃貸の残置物に関する対応

公開日:2018年10月25日

引越しの際に不要なものは置いていける?前の住人の「残置物」が残っている場合は?

残置物
まだまだ使えて処分するにはもったいない残置物はどうすればいいの?

引越しの際に荷物を片付けていたら、使わなくなった家電や家具が出てきてしまった。しかし、まだ使えるので処分するのは忍びない。そんな時、元の物件に残しておけたら……と考えたことがある人もいるのではないだろうか。

今回は、賃貸物件における「残置物」について、退去する側・これから入居する側の双方で必要になる対応について紹介していく。

引越しの際に、照明器具などの「残置物」をそのまま置いていっていい?

残置物はどうするべき?

使わなくなったけれど、まだまだ使用できる家具や家電。ただ処分してしまうよりも、新たに物件を借りる人に使ってもらった方が物も喜ぶような気がする。しかし、元の物件にものを残していくことはできるのだろうか。まずは、どんなものが残置物にあてはまるのかということから説明していこう。

残置物とは、前の住人が残していったもの

残置物とは「前の入居者が退去する際に残していった私物」のことである。残置物としてよく見られるのは照明やエアコン、冷蔵庫やガスコンロ、ガス給湯器といったものだ。

残置物は、賃貸物件に元から設置されている「設備」とは扱いが異なる。詳しくは後述する。

残置物を置いていく場合、大家さんの許可が必要

退去時、借主には原状回復義務を果たさなければならず、原則的に不要になった家具家電などを勝手に置いていくのはNGである。ただし、大家さんが許可した場合にはOKとなるケースもあるため、どうしても不要なものを残していきたい時は相談してみると良いだろう。

引越し後、前の入居者の「残置物」がそのまま残っている場合の対応

正しい対応をしよう!

新居に残置物があった場合は、以下の3つのポイントに注意して対応しよう。

残置物の所有権は大家さんにあるのが一般的

大家さんの考えで取り付けた設備の所有権は大家さんにあるが、残置物の所有権は大家さんと入居者、どちらになるのだろうか。

前の住人が大家さんに「不要な家具や家電を残していく」と伝え、大家さんが了承した場合、所有権は貸主である大家さんになる。

しかし、大家さんに相談せず、勝手に不要な家具や家電を置いていってしまった場合は、以前の入居者側に所有権が残ることになる。大家さんが残置物を処分したいと思っても、前の入居者と連絡が取れない場合は一時的に大家さんが処分の手続きを行うケースもあるようだ。

残置物を勝手に処分するのはNG!大家さん・管理会社に確認する

残置物の存在については、契約時に大家さんや管理会社が説明する義務がある。大家さんが残置物について認識している場合でも、新しい入居者が残置物を勝手に処分することはNGだ。許可を取らずに処分してしまうと、場合によっては損害賠償が発生することもあるので注意してほしい。

また、契約時に大家さんや管理会社から説明がなかったにもかかわらず、部屋に残置物と思われるものがある場合は、大家さんがその存在を把握していない可能性が高い。残置物を処分したいと思った時は、まずは大家さんや管理会社に連絡を取ってみよう。

残置物を使用して破損・故障した場合、修繕義務が発生する可能性も

大家さんには、入居者が設備を問題なく使用できるようにしておく義務がある。このため、もともと用意されていた設備が故障した場合には、大家さんが費用を負担して修理することになる。

しかし残置物の場合、通常の設備とは扱いが異なり、大家さん・入居者ともに修繕義務はないとされている。必要に応じて入居者が費用を負担しなければならないケースもある。

具体的には、残置物の所有権がすでに大家さんにある場合は、修繕義務も大家さんが負う。一方、「契約前に大家さんが入居者へ残置物の取り扱いを任せることを説明し、入居者が了承した」場合はその限りではない。契約書にも「特約」として記載されていることがあるので、確認しておくと良いだろう。

残置物としてよくあるエアコンに関するトラブルについて

エアコン
新居に備え付けられているから…と残されることの多いエアコン

ここでは、残置物として物件に残されることが多いエアコンについて解説しよう。

設備だと思っていたエアコンが、実は残置物だった!?

賃貸物件を探す時に、初めからエアコンが付いている物件は比較的多く見られる。たいていは設備であったり、残置物であっても契約時などにその旨についての説明があったりする。

しかし、まれに何の説明もなく、設備だと思っていたエアコンが実は残置物だったというケースもあるようだ。内見の際に、設備か残置物かを確認しておくとトラブル防止につながるためおすすめ。

残置物が古いエアコンだと電気代が高くなることも

近年のエアコンは省エネ仕様になっているものが増えている。しかし、2000年以前のエアコンは、消費電力が高いものもある。

消費電力が高いほど電気代も高くなり、騒音やカビ臭さなどのトラブルが発生する可能性もある。設備の場合はエアコンの所有権は大家さんにあるため、新しいものに取り替えたい時は事前に相談するのが良いだろう。

残置物を残さないために!引越しの際に不要なものを処分する3つの方法

賃貸物件を退去する際に不要なものが出そうな場合は、早い段階で処分する必要がある、次の入居者や大家さんに迷惑をかけないためにも、以下の3つの方法で不用品を処分しよう。

残置物を残さない方法➀自治体のサービスを利用する

家電リサイクル法の対象となっている冷蔵庫やテレビ、エアコンや洗濯機などを除いた不用品であれば、自治体に粗大ゴミとして回収してもらうことが可能だ。割安な手数料で引き取ってもらえるので、引越しの際に大量に不用品が出た場合にも安心して活用できるだろう。

ただし自治体の粗大ゴミ回収日は決まっており、事前申込みが必要な場合がほとんど。引越し直前になって急に処分したいと思っても回収してもらえないため、予め収集日や申込方法を調べておこう。

残置物を残さない方法②購入したお店に引き取ってもらう

大型の家電が不要となった場合には、新しいものを購入する際に店舗の方で引き取ってもらおう。手数料がかかるかどうかは、購入した店舗による。また家電リサイクル法の対象となっている家電4品目の場合には、指定のリサイクル料金を支払うことで、店舗に引き取ってもらうことが可能だ。

残置物を残さない方法③不用品回収業者に依頼する

不用品回収業者は、中古品として今後も使えそうな不用品であれば、比較的さまざまな種類のものを引き取ってくれる。引越し作業で時間がない場合などに便利だ。もちろん、処理費用を極端に高く設定しているような悪徳業者には注意しよう。

残置物については必ず不動産会社や大家さんに確認を!

基本的に退去の際は、借りる前の状態に戻さなくてはならないもの。不要な家具や家電を置いていく時は、管理会社や大家さんに相談をして了承を得よう。

また、これから物件を借りようとしている人は、後々のトラブルを避けるためにも、内見時に照明やエアコンなどの家具・家電が残置物か否かの確認をしておこう!

文=宅野美穂(株式会社YOSCA)
2021年8月加筆=CHINTAI情報局編集部

一人暮らし向けの賃貸物件はこちら!

CHINTAI編集部
CHINTAI編集部

1992年創業、お部屋探しや生活の情報を発信してきた株式会社CHINTAIが運営するWebメディア。引越しに関する情報はもちろん、家事や家計、季節の楽しみなど日々を豊かにする知識を調査・ご紹介。
不動産店舗での業務経験者、宅建試験合格者などお部屋探し分野のプロも活躍する編集部が、新生活に役立つ情報をお届けします。

リンクをコピー
関連記事関連記事