賃貸で画鋲は刺していい?退去時に穴埋め費用が発生する可能性は?画鋲の代用品も紹介

公開日:2018年7月4日

賃貸物件の壁に画鋲を刺したい。これってNG?

壁にポスターを張りたい、飾り棚を取り付けたいなど、部屋の壁に画鋲を刺したくなる場合がある。しかし賃貸物件に住んでいる場合、壁に穴を開けてしまったり、壁紙に傷をつけてしまったりした場合には退去時に修理費用などを請求される可能性がある。「画鋲の穴程度なら良いだろう」と思ってしまいがちだが、実際のところはどうなのだろうか。

そこで、今回は賃貸物件で画鋲を刺した場合、費用負担が発生するのか、戻ってくるはずだった敷金が引かれてしまう可能性があるのかについて調べた。また、一般的な画鋲よりも壁へのダメージが少なく、賃貸にオススメの画鋲の代用品も併せて紹介する。

賃貸の壁に画鋲を刺しても良い?|敷金が引かれる可能性や画鋲の代用品を紹介
賃貸の壁に画鋲を刺しても良い?

賃貸物件に画鋲を刺したことで、費用負担が発生する可能性は?

賃貸住宅における「原状回復義務」とは

賃貸物件の入居者には、退去時に「原状回復」の義務が課される。原状回復とは、簡単に言うと「退去する際、入居時の状態に部屋を戻すこと」。ただし、国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では以下のように規定されている。

原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること

※国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より

つまり、入居者=賃借人が「通常の住まい方」をしていても発生すると考えられる範囲内の損傷は「原状回復」の対象にはならず、修復の際は大家さんの負担となるのが原則だ。

ただし、日々の手入れを怠ったことによるひどい汚れ、引越しなどの際に誤ってつけてしまった床の傷などの修繕費は入居者の負担になる。

賃貸物件の壁に画鋲を差したときにできる穴は「原状回復義務」に含まれる?

では、画鋲を刺したことによってできる穴については「通常の住まい方」に含まれるのだろうか。ガイドラインでは次のように記載されている。

ポスターやカレンダー等の掲示は、通常の生活において行われる範疇のものであり、そのために使用した画鋲、ピン等の穴は、通常の損耗と考えられる。

※国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン 損耗・毀損の事例区分(部位別)一覧表」より

上記のとおり、賃貸物件の壁に画鋲を刺して壁に小さな穴が空いた程度では入居者側に費用負担が発生する可能性は少ないといえそうだ。ただし本ガイドラインには強制力はなく、個別の賃貸契約の内容が優先されるため、正確には自身が結んだ契約書の内容を確認してみてほしい。

なお、重い物を引っ掛けるために空けたネジ・くぎ等の大きな穴については「通常の使用を超える」と判断され修繕費が入居者負担となる場合もあるので注意しよう。

他にもある!「入居者負担」となる賃貸物件の修繕箇所

画鋲や釘の例と同じように、入居者の住まい方次第では発生しなかったと思われる損傷については入居者側の負担になる。ガイドラインで紹介されている「入居者負担」となる例、「大家さん負担」となる例をそれぞれ紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。

入居者の負担となるもの
・ガスコンロ置き場、換気扇等の油汚れ、すす
・結露を放置したことにより拡大したカビ、シミ
・タバコ等のヤニ・臭い
・落書き等の故意による毀損
・飼育ペットによる柱等のキズ・臭い

大家さんの負担となるもの
・テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)
・エアコン(賃借人所有)設置による壁のビス穴、跡
・クロスの変色(日照などの自然現象によるもの)
・家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡

※国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン 損耗・毀損の事例区分(部位別)一覧表」より

次のページでは、賃貸住宅でも安心な、壁に穴を開けずに貼れる画鋲の代用品や、穴が目立ちにくい画鋲を紹介!

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