“日本最初の公園”飛鳥山公園がある街・王子を歩く。新旧名物グルメも紹介!
今年のお花見は歴史ある飛鳥山公園に行ってみない?
お花見シーズン到来! 今年はどこで花見を楽しもうかな♪とネット検索しちゃってる、そこのアナタ。現在のワイワイ楽しむ花見スタイルは、八代将軍徳川吉宗が飛鳥山を桜の名所として庶民に開放したことから始まった風習なのをご存じだろうか?
花見と聞いたらジッとしていられない編集部は、飛鳥山公園のある王子に乗り込み、一足早く桜の名所を満喫してきた!

王子ってどんな街?
東京都北区王子は、弥生時代前期(紀元前5世紀)から集落が営まれていた歴史ある土地。八代将軍徳川吉宗が行なった享保の改革(1716年~)で飛鳥山に1200本以上の桜が植樹され、花見の名所となったことで発展を遂げた。
鉄道はJR、東京メトロ、都電荒川線、バスは新宿行き、池袋行き、浅草行きなどの都バス19路線、北区コミュニティバス(Kバス)の王子・駒込ルートが運行している。
王子駅周辺には、北区役所や公証役場、複合文化施設の北とぴあなどの公共施設をはじめ、スーパーや飲食店、各種医療機関、レジャー施設まで集結している。つまり、衣食遊のほとんどをエリア内で済ませられる便利な街なのだ。








北とぴあ17階展望ロビーから王子の街を眺めてみた
王子をめぐる今回の散策は、北区きってのシンボルタワー「北とぴあ」の展望ロビーからスタート!
「北とぴあ」は〝北区の産業と文化の拠点〟として平成2年にオープンした複合文化施設で、館内には芸術ホール、音楽スタジオ、会議室、多目的ルームなどがあり、その最上17階は展望ロビーとして無料開放されているのだ。
大きなパノラマウィンドウからは北・東・南の三方が眺められ、飛鳥山公園、音無親水公園、王子神社などの名所、東京スカイツリー、さいたま新都心、秩父連山、赤城山、筑波山、空気が澄んでいれば富士山まで見渡せるという。








王子グルメを訪ねてみたらキツネとタヌキだらけだった!
「北とぴあ」を後にした我々は、空腹であることに気づいた。せっかくだから王子ならではの店で食べたいね♪と、JR高架下をくぐって王子本町~岸町あたりをブラブラ。
王子本町には地名の由来にもなっている「王子神社」、岸町にはキツネにまつわる言い伝えが多く残る「王子稲荷神社」があり、それらの周辺には古くから営業している店が多いのだ。まずは明治41年創業の蕎麦屋に入ることにした。
遊び心と熟練の技でつくる蕎麦がおいしい「無識庵 越後屋」
席について、真っ先に目を奪われるのが壁に貼られた直筆のお品書き。味のある筆致で描かれたイラスト入りで、注文する前からワクワクさせてくれる。
契約農家から届く蕎麦の実を毎日自家挽きするこだわりは老舗ならでは。洒落を利かせたオリジナル蕎麦、月ごとの変わり蕎麦(3月は海老切り蕎麦、4月は蓬切り蕎麦)を求めて訪れる客も多い。
住所:東京都北区王子本町1-21-4














さてさて、食後のデザートは何にする? 「無識庵 越後屋」を出て駅方面へ戻っていた、その時! ちっちゃいタヌキさんたちが日光浴しているのを発見!! 昭和24年創業「狸家」の狸最中に出合ってしまったのだ。か、か、かわゆすぎる~~!
あんこがたっぷり詰まった狸最中で有名な「狸家」
王子と言えば〝キツネ〟がスタンダードなのに、なぜ〝タヌキ〟なのか。
その理由は、タヌキのほうがぽっちゃりしていて愛嬌があるし、お腹にあんこをいっぱい詰められるから。しかも、ここのタヌキは両面どちらも同じ顔。裏表のない商売をしている、という意味を込めているとのことだ。あんこは注文してから詰めてくれるので、サクサクした皮の食感も楽しめる。
住所:東京都北区王子本町1-23-1






やさしいご主人&かわいい狸最中に別れを告げ、「和(蕎麦)⇒和(最中)と続いたから、次は〝洋〟だな……」と意味不明な命題を己に課してウロウロ……するまでもなく、「狸家」の向かいに素敵なケーキ屋さんがあった! 老舗に負けない味とアイディアで王子グルメに参入している「ランギャール」だ。
〝キツネの行列〟にちなんだお菓子が目白押しの「ランギャール」
フランス料理の名店・三笠會館でパティシエを務めていた杉山亘さんが、2003年にオープンした洋菓子店。地元に愛される定番の味を追求して生まれた、おうじロール(1,100円)は北区名品30選に選定されている。
王子に古くから伝わる〝キツネの行列〟に発想を得たマドレーヌやサブレなどはココだけのオリジナル。自宅用はもちろん、王子土産に買って帰る人も多い。
住所:東京都北区王子本町1-18-9





創業370年「扇屋」の玉子焼きを食べずに王子を語ることなかれ
王子グルメ探訪の締めくくりは「扇屋」。慶安元年(1648年)創業から厚焼き玉子ひとすじ、江戸中期の料理番付でも最上段に大きく屋号が記されている名店だ。
一子相伝で守り続ける味は、卵と出汁、そして焼き上げにこだわった賜物。卵をたっぷり使ってボリューム満点に巻き上げられた玉子焼きは、焦げ目のない美しい黄色。一口噛めばジュワッと出汁があふれ、やさしい甘みが口の中に広がる。
住所:東京都北区岸町1-1-7 新扇屋ビル1F
HP:http://www.ouji-ougiya.jp/




日本で最初に公園と認定された「飛鳥山公園」へGO!
新旧の王子グルメもしっかりチェックできたところで、いよいよ本題の飛鳥山公園へ。
前述のとおりに飛鳥山の歴史は古く、徳川吉宗の命で享保5年(1720年)から桜の植樹が始まり、元文2年(1737年)には江戸庶民に広く開放されている。そして明治6年(1873年)、上野公園、浅草公園(現在は浅草寺所有地)、芝公園、深川公園とともに日本で最初に公園と認定された。
明治15年(1882年)に高崎線が開通するまでは飛鳥山の山頂から瓦投げも楽しめたという。昭和45年(1970年)~平成5年(1993年)には回転式展望タワー「スカイラウンジ」も稼働していた。
そして現在、平成21年(2009年)からはふもとから山頂までの48mを結ぶモノレール「あすかパークレール」が運行している。







































ちなみに飛鳥山公園には3つの博物館が併設されている。



もしも王子に住んだなら……
王子は北区の中心地として公共施設が充実しているほか、風光明媚な公園にも駅から歩いていけるなど、豊かな環境が整っていると感じた。
王子駅周辺は程よく雑多で飲食スポット満載ゆえ、一人暮らしの若者が楽しめるエリアであり、少し歩けば閑静な住宅地があるので、落ち着いた住み心地を期待するファミリー層にもオススメ。そして何より、花見の季節には素晴らしい景色を間近で堪能できる。
そんな暮らしにビビビッと来たら、ぜひ「王子」で部屋を探してみよう。
写真=編集部
文=野中かおり
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