日本一のインド人街・東京都西葛西でリトル・インディアを体感してみた
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「リトル・インディア」西葛西
東京都江戸川区の南に位置し、東京メトロ東西線で都心から約15分と好アクセスな街・西葛西。近年インド人が多く住み始めており、“リトルインディア”なんて呼び名がついているという。
日本一インド人が多い街として名を馳せつつある西葛西の街の様子はどんな感じなのか。編集部が現地に出向いて調査してみた!

西葛西ってどんな街?
広々とした緑地やレクリエーション公園が点在する閑静な住宅街としてファミリー層に人気の街・西葛西。駅高架下の「西葛西メトロセンター」には、全長約900mにわたって飲食店、保育園、100円ショップ、美容室など50店舗以上が軒を連ね、駅北口そばには24時間営業のスーパー「ワイズマート」もある。都バスは葛西臨海公園行き、両国駅行き、亀戸駅行きなど10路線が発着している。





西葛西が日本一インド人が多い理由
その「西葛西」では近年インド人が急増している。江戸川区内に居住するインド人は2,840人(江戸川区統計・平成28年1月時点)で、その大半が西葛西エリアで暮らしているとのこと。日本に在留するインド人30,048人(政府統計・平成29年6月時点)の1割に迫る数値だ。
インド人が「西葛西」に集まるのは〝ビジネス街にアクセスしやすい〟から。来日するインド人の多くは金融系ITエンジニアゆえ、大手町、茅場町、日本橋に乗換なしで通える「西葛西」は便利なのだ。
そして、40年前から「西葛西」で暮らしているジャグモハン・チャンドラニさんの存在も大きい。東京におけるインド人コミュニティーの〝お父さん〟として、多くのインド人がチャンドラニさんを頼って来日している。
かくして「西葛西」に形成された〝リトル・インディア〟だが、横浜中華街や新大久保コリアンタウンなどのように観光地化していない。
エリア内にはインド料理店や食材店も点在しているが、それらはあくまで彼らの生活の一部だ。日本人向けに商売していないため、店によっては日本語が全く通じないスタッフもいたりするが、そんなところに日本人はリトル・インディアを感じてしまう。
次は、実際に「西葛西」を歩いて訪ねたリトル・インディアなスポットを紹介!
西葛西のリトルインディアなスポット
〝インド人コミュニティーの父〟が営む紅茶専門店「シャンティ紅茶」
〝インド人コミュニティーの父〟として慕われるジャグモハン・チャンドラニさんが営む貿易会社のアンテナショップ。
業務用に取り扱っている常時300種以上のインド直輸入紅茶やフレーバーティーなどの中から数十種を厳選し、スタイリッシュにパッケージングして一般販売している。ギフトに最適な季節限定品もある。
住所:東京都江戸川区西葛西3-3-15
HP:http://www.shanti-jbs.com



在日インド人御用達レストラン「スパイスマジック カルカッタ 本店」
この店は当初、単身赴任で来日したインド人が食事に困らないように、とチャンドラニさんが作った食堂だった。その評判が口コミで地元の日本人にも広がり、レストランとして営業することに。
現地シェフが作る北インド料理がリーズナブルに味わえると好評だ。ヘルシーな素材、化学調味料不使用にもこだわっている。
住所:東京都江戸川区西葛西3-13-3
HP:http://www.shanti-jbs.com/curry.html






あらゆるインド食材がそろっている「スワガット インディアン バザール」
色鮮やかな商品の数々、店内で焚いているエキゾチックなインセンスの香り、買い物客と店主の会話も異国の言葉。西葛西で最もインド情緒を感じられるのは、この店かも知れない。
「〝スワガット〟とはヒンディー語で〝ようこそ〟の意味です」と、オーナーのビネシュ・プラサードさん。宝探し気分で楽しめる食材店だ。
取材したこの日も平日の昼間だというのに、さまざまなインド人客が来店。もちろん日本人の来店もあった。
住所:東京都江戸川区西葛西5-12-2
HP:http://sawagatbazzar.web.fc2.com







昭和レトロに違和感なく溶け込むインド食材店「TMVS FOODS」
西葛西駅北口から大通りを歩いて5分。小島二丁目団地の1階に連なる昭和レトロな商店街にある、6畳ほどの小じんまりしたインド食材店。
壁一面にスパイス、インディカ米、インスタント食品などがズラリと並び、店頭には目玉商品もあふれている。団地のおばちゃんもフラッと店に立ち寄っている光景が印象的だった。
住所:東京都江戸川区西葛西5-8-5-108
HP:http://www.tmvsfoods.jp




まだまだ西葛西にはインドを感じるスポットが!
在日インド人の子女が通う「グローバル インディアン インターナショナル スクール」
インド人は英語が話せる民族。つまり人口的に世界で最も英語を話している国はインドなのだ。くわえてインド式初等教育は世界最高とされる。
西葛西駅南口から徒歩20分の「グローバル インディアン インターナショナル スクール」には日本人枠もあるが、我が子を〝真の国際人〟に育てたい日本人が殺到し、狭き門となっている。

在日インド人には故郷のガンジス川を彷彿とさせる「荒川」
インド人が「西葛西」に集結する理由は先に述べたとおりだが、もう一つ、最も重要かも知れない事柄がある。それは〝荒川〟の存在だ。
西葛西エリアの西側を流れる、その雄大な川幅が故郷インドのガンジス川に重なるという。在日インド人は、荒川の河川敷で早朝から体操をしたり、休日にはクリケットをして過ごすのだ。



もしも西葛西に住んだなら……
〝リトル・インディア〟という言葉から、「西葛西」は在日インド人が席巻している独特なエリアなのか?という先入観を持っていたが、そんなことは一切なかった。
インドの方々は日本人と壁を作ることなく街に溶け込み、ごく自然に暮らしているようだ。散歩中に出会ったインドの方々もオープンハートで、スワガット インディアン バザールでは店長にチャイを淹れてもらったりした。
毎年10月末には「ディワリ」というヒンドゥー教の祭りも開催していて、そこにはインド屋台がたくさん並ぶとのこと。インド人もたくさん参加するイベントらしいので、インド人の友達を作るチャンスかもしれない。インド人の友達ができたら、西葛西での生活もグッとインドに近づきそうだ。
都心に出やすく、便利スポットも豊富、しかも静かに暮らせる。そして、本格インド料理を毎日味わえる!そんな生活にあこがれるなら、ぜひ「西葛西」で部屋を探してみよう。
文=野中かおり