敷引・償却の意味とは? 賃貸物件を借りる時のお金の疑問

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敷引の意味とは?

敷引・償却

敷引とは、関西地方をはじめとした、西日本の賃貸借契約で使われることが多い。東日本ではあまり使われないため、どのような意味かわからない人も多いだろう。

東日本から西日本へ引越しする人の中には、敷引という言葉を聞いて敷金が割引されると思ってしまう人もいるようだ。そのような勘違いをしたまま契約してしまうと、後々後悔することになるだろう。トラブルの発生原因にもなる。

敷引とは、退去する際の原状回復費用や家賃の滞納分として、保証金から引かれるお金のことである。つまり、「預けたお金の一部は返ってきません」という解釈だ。

敷引は賃貸借契約書であらかじめ金額が提示されてあり、家賃滞納をしていない場合や、原状回復費用がほとんどかからなかったとしても、基本的に返金されることはない。

戻ってこないお金という意味では、東日本では一般的な礼金と同じような性質といっても良いだろう。ところが、物件資料には敷引は小さく記載されていることも多く、後になってトラブルに発展するケースも多い。

契約の時に、敷引という項目がある場合は、しっかりと内容を確認することをおすすめする。退去の時に返金されると思っていた保証金が返金されないどころか、敷引以上の金額を請求され、裁判へと発展するケースもあるのだ。

ここでは敷引と償却についての意味や相場などを詳しく解説していく。これから西日本へ引越しを考えている人は、参考にして欲しい。

敷引の相場とは?

それでは、敷引の相場はどのくらいなのか。賃貸物件によっても違いがあるが、一般的な敷引の相場は家賃の2ヶ月〜3ヶ月分だ。敷引とは保証金から差し引かれる金額のため、保証金の相場は敷引の相場より大きく、家賃の4ヶ月〜8ヶ月分となっている。

たとえば、保証金が家賃の4ヶ月分、敷引が家賃の2ヶ月分といった契約の場合、実質返金される保証金は家賃の2ヶ月分というわけだ。

敷引の意味を理解しないで契約してしまうと、退去時に思ったより返金が少なくて、驚くことになる。

償却(敷金償却)の意味とは?

償却とは敷引と同様、関西地方をはじめ、西日本の賃貸借契約で使われることが多い。退去の際に保証金から差し引かれるお金のことであり、つまり戻ってこないお金ということである。

敷金償却とも呼ばれ、敷引同様に保証金とセットで賃貸借契約書に記載されていることが多い。東日本から引っ越す人は、保証金3ヶ月・償却2ヶ月との記載の意味を知らないと後々トラブルになりかねないのだ。

上記の記載がある場合、退去時に保証金3ヶ月分から償却2ヶ月分を引いて返金しますという意味だ。償却には原状回復費が充当されない場合もあり、保証金を超えてさらに請求される場合もある。

敷金と償却の違いとは?原状回復費用はどうなる?

敷引・償却2

敷引と償却は、両方とも保証金から引かれる返ってこないお金のため、性質は同じとなる。

しかし、敷引と償却の違う点としては、原状回復に充当される敷引に対し、償却は原状回復に充当しない場合があるという点だ。家賃滞納や原状回復に当てるというより、敷金が償却するという意味合いが強い。

原状回復費用については、基本的に敷引や償却から充当して足りない場合請求されるということが多い。
この際に、原状回復に充当しない場合がある償却の場合、他に原状回復費の請求が発生し、トラブルになるケースもあるのだ。

敷金・礼金との違いは?

西日本では当たり前のように使われている敷引や償却だが、東日本ではほとんど使われることがない。(一部の契約では使われることが稀にある)

東日本では、敷金・礼金の方が一般的だが、西日本から東日本へ引っ越す人にとって聞き慣れない言葉であり、特に礼金の概念に驚く人も多いようだ。

敷金とは?

敷金とは、西日本の保証金と同じ性質で、契約時に預けるお金のことだ。退去時に原状回復費や家賃滞納分などを差し引いて返金されるが、その金額は退去時の状態によって異なる。

あらかじめ、保証金から引かれる金額を設定している敷引とは違い、家賃滞納がなかったり、原状回復費用がほぼかからなかったりするという場合は、敷金として預けたお金はほぼ戻ってくるのである。

礼金とは?

そして、礼金とは契約のお礼に差し上げるお金のことであり、当然戻ってこないお金である。性質としては、敷引や償却と似ているが、最初からお礼の気持ちとして支払うお金なので、支払う方としても納得がいくのではないだろうか。

敷金・礼金との違いは?

敷金と、敷引・償却は、全く異なる性質のものである。そもそも、敷金とは預かり金なので、西日本でいう保証金と同じ性質だ。

敷引・償却は基本的な性質は同じであり、戻ってこないお金という面では、東日本の礼金と似ている。しかし、お礼として支払う礼金と違い、曖昧な点は原状回復費という点だ。

東日本では退去の時に、原状回復にかかる費用は基本的に見積もりを出して敷金から差し引くのが一般的だ。

もちろん、きれいに使用していた場合は原状回復費がほとんどかからず、敷金がほとんど戻ってくるというケースもある。逆に敷金で充当しきれず、追加で請求が発生するケースもあるのだ。

西日本ではあらかじめ保証金から引かれる金額が決まっているので、戻ってくる金額が計算しやすいという利点もある。しかし、原状回復費用が敷引の金額を超えたり、償却費に充当されず、追加で請求されたりするケースもある。

そして、保証金と敷金の金額にも大きな差があり、相場が家賃の4ヶ月分〜8ヶ月分という保証金に対し、敷金の相場は1ヶ月〜2ヶ月だ。最初に払う初期費用は西日本の方が多いことになる。

しかし、賃貸借契約は一般的に2年契約のことが多く、更新する際に更新料が発生する。更新料の相場は家賃の1ヶ月〜2ヶ月だ。初期費用の多い西日本では、更新料がかからない賃貸物件もある。

このことから、初期費用や退去時に戻ってくる金額、更新料などの維持費などを、契約期間によって総合的に計算してみると良いだろう。

契約の時によく確認しよう

今回は、敷引や償却の意味や違い、敷金や礼金との違いを解説した。敷金と敷引は言葉が似ているが、全く違う性質のものということは理解して頂けただろうか。

本記事を参考に、敷引や償却の意味を理解して、退去時のトラブルを避けて欲しい。

CHINTAI編集部
CHINTAI編集部

1992年創業、お部屋探しや生活の情報を発信してきた株式会社CHINTAIが運営するWebメディア。引越しに関する情報はもちろん、家事や家計、季節の楽しみなど日々を豊かにする知識を調査・ご紹介。
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