大河ドラマ『麒麟がくる』第十六回あらすじ&イラストレポート【麒麟がきても、こなくても】

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ファン目線で大河ドラマを楽しむイラスト連載!

毎週日曜放送のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』を楽しむ、大河ドラマ追っかけレポート!
毎週金曜日、前の週のおさらいを兼ねてあらすじと感想をお送りする(以下、ネタバレを含みます)。

『麒麟がくる』第十六回「大きな国」のあらすじ

家督を譲った高政(伊藤英明)に息子たちを殺された道三(本木雅弘)。
美濃を二分する戦が始まることを案じる光安(西村まさ彦)は、どちらに味方すべきか十兵衛(長谷川博己)に相談する。戦を止めたい十兵衛は尾張へ向かう。

帰蝶(川口春奈)の元を訪れた十兵衛は、殺された孫四郎と高政の対立に関わったことを諌め、これ以上美濃に手出ししないようにと話す。帰蝶は「孫四郎を追い返したお前の言葉は聞かぬ」と譲らず、十兵衛は美濃へ戻る。

駿河では太原雪舟の病死を隠すため、東庵(堺正章)と駒(門脇麦)が寺に留め置かれていた。美濃の内紛を知らされた駒は、国境まで連れ出してほしいと春次(岡村隆史)に頼み込む。

高政の元を訪れた十兵衛。高政は守護の座に就くために「商人から成り上がった道三ではなく、土岐頼芸の息子である」という嘘を流していた。
さらには叔父の光安を隠居させ、明智荘を領知替えすると言われた十兵衛は戸惑う。

道三が兵を集めていることは美濃中に知れ渡っていた。光安は道三に味方したいと語るが、十兵衛は2日だけ待ってほしいと懇願する。
急いで大桑城を訪れた十兵衛は、戦を思い止まるよう道三に頼む。
「出自を騙る高政は上に立つ人間ではない」と話す道三は「平和をつくるのは『大きな国』。自分はなし得なかったことを信長とお前で成しとげよ」と言い残し、戦に向かってしまう。

明智荘に戻った十兵衛だったが、光安はすでに城を出て道三の元へ馳せ参じていた。
十兵衛はついに腹を決め、高政を敵とし道三の元へ向かう。

大河ドラマ追っかけレポート16(5/3放送回)

NHK大河ドラマ『麒麟がくる』第十六回追っかけレポート

道三の血を最も濃く受け継いだ娘

道三と高政との間に争いを起こさぬようにと頼む十兵衛に「弟の孫四郎を追い返したくせに」とブチ切れ、言い訳する時間も与えず追い返す帰蝶。
斎藤家の中で、道三の考え方や気性といった「道三イズム」をいちばん濃く受け継いでいるのは、殺された孫四郎でも嫡男の高政でもなく、娘の彼女だろう。もし彼女が織田家に嫁がず、斎藤の家を継いでいたら。父譲りの強さと賢さで皆を導き、時に甘い蜜でそそのかし、時に毒を盛り。
周囲の人々をその魅力でひきつけて、「大きな国」を作れたかもしれない。しかし、家を継ぐのは女性ではないのだ。

彼女の力はすべて、嫁いだ織田信長のために使われることとなる。
新しいものの考え方をする一方で、「花を雪に例える」など間接的な表現がわからない率直な信長。
強く賢く、「うつ」のひとことにいろんな意味をふくませることができる帰蝶。
正反対の性格を持ち、それゆえに惹かれ合う、同じ野望を持つ夫婦、最強。だが今は、織田家の中にも外にも、彼らの敵が多すぎる。

光安はずっと戦をしていた

斎藤家と織田家は内紛で大変だが、明智家はまた違う意味で大変なことになっている。
道三と高政との間で戦になったら、明智はどちらにつけばいいのか。

道三に目をかけられていた光安(たぶん十兵衛とセットではあったけれど)をバカにして皆で笑うのは、集団いじめでもよく見る構図。家臣たちの「ボス高政」への忠誠を見せるためのものだったのではないか。
酒席でおどけて踊る姿を、見られた光安も見てしまった十兵衛も、私たちもいたたまれない。
領地を安堵してもらいたい光安に恥ずかしいことをさせておいて「隠居させて、明智荘もとりかえよう」とか言っちゃう高政。あの場で十兵衛が斬っちゃっても、個人的には許せる。

道三に反対意見を言わないイエスマン。裏ではいつも「どうすればいいのだ」と十兵衛にぐちり、牧と囲碁を打っては負け、飼っているメジロにも懐かれているようには見えない。十兵衛からも時に冷たい視線が飛ぶ、叔父の光安。
そんな彼だから、媚びて笑われ役になるのもしかたないなあ。この時まではそう思っていた。
しかし高政も家臣団もテレビの前の私も、光安のことを見くびっていた。
強いものに頭を下げ続けるのは、明智の家を守る、彼なりの戦だったのだ。

日がまだ高いうちに森へ逃げろと、せいいっぱいの心遣いを受けて放たれるメジロ。弱い存在に、どこまでも優しい叔父上。
最後のひと踊りを道三に捧げる覚悟を決めた光安には、もうどこにも弱さがない。

十兵衛もまた、道三から譲られた鉄砲を手に覚悟を決める。ふたりとも、もっとずるく立ち回ってもいいのに。逃げちゃってもいいのに。上に立った人に最後まで尽くすまじめさが、明智の血ということなのだろうか。

「十兵衛オリジナルミッション」のむずかしさ

十兵衛はこの物語でたぶん初めて「誰かに命じられて」のおつかいではなく、「自分の意思で」帰蝶を説得しに尾張に行き、戦を止めに道三のいる大桑城に走った。
おつかいミッションはいつも成功してきたのに、今回はどちらのミッションもコンプリートできなかった。RPGならバッドエンドが待っていそうな展開。
誰かの意思を受けて遂行する役割なら成功するのに、自分オリジナルな作戦は失敗してしまう主人公。そして道三の言葉「人の上に立つものは正直でなくてはならぬ」「信長から目をはなすな」……。
十兵衛が織田信長を前にして起こす、最後の「オリジナルミッション」とその結末を考えると、重いひとこと。彼は道三の言葉を、どう受け止めたのだろう。そして今回の十兵衛の決断は、正しいのかどうか。

イラスト・文=渡辺 裕子

テレビ大好きイラストレーター+ライター。ローチケHMV/きょうの健康/リアルサウンドなどで、イラストコラムや挿絵を担当中。
ツイッター:@satohi11
note:https://note.com/satohi11

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