【一人暮らしビギナー向け医療コラム】怪我や病気の備えや対処法を医師が解説
初めての一人暮らし、病気や怪我が不安!
初めての一人暮らしでは、誰かに気を遣うこともなく生活できるため、あこがれや夢も広がる。しかし風邪などの病気になってしまったり、怪我をしてしまったらどうしよう、と不安に思う人も多いはず。実家から離れた場所など、知り合いのいない土地に引っ越す場合はなおさらだ。
そんな一人暮らしビギナーのお悩みを少しでも解消するべく、Twitterで医療ニュースなどを発信して人気を博している医師のおると先生(@Ortho_FL)の医療コラムが本日連載スタート!
第一回目のテーマは「一人暮らしで病気や怪我になった時の基本的な備えと対処」。このコラムを参考に、病気や怪我で辛い思いをしないように備えておこう。
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これは辛い! 一人暮らしで病気になったときの対処法
一人暮らしで病気にかかってしまったときの備え
一人暮らしをするうえで不安なことの1つは「病気になる」ということではないだろうか?急に体調が悪くなった時に、なんの知識もなく、誰も助けてくれないという環境は不安を強くさせる。
一人暮らしでよく遭遇する病気としては、風邪、胃腸炎、インフルエンザなどなど様々だ。では自宅で個人ができる対処、準備はなんなのか?
基本的にできる対処というのはある程度限られており、以下の3点を特にしっかり行うことが、より早い回復を促すと考えられる。
・栄養をちゃんととる
・水分をしっかりとる
・しっかりとした睡眠をとる
病気になってしまった時のために薬は備えておくべき?
総合感冒薬など市販薬の使用に関しては、必ず飲むべきだとか、飲めば早く治るというではなく、あくまで症状を緩和させるためのものであるため、症状が辛ければ使用する程度で問題ない。
病気になってしまった時におすすめの食べ物は?
食べ物に関しては消化吸収が良い物を摂取する必要があり、おかゆ、重湯、よく煮込んだうどん、味噌汁、野菜スープ、リンゴのすりおろし、アイスクリーム(脂肪分の少ないもの)などが無難ではないだろうか。
ただ、何か食べると吐いてしまう、下痢してしまうなどの場合は無理せず病院へ行くことを考えた方が良い。

病気の時は食事、水分、睡眠をしっかりとることが基本の対処だ
一人暮らしで怪我をしてしまったときの備え
一人暮らしをしていると、包丁で指を切ってしまった、階段で捻挫をしてしまった、棚に腕をぶつけてしまった、料理中にやけどをしてしまったなど、怪我を経験する場合もある。
いわゆる外傷(体の外部から受けた傷)ができてしまった時は、症状に合わせて以下のような対処をするのがよいだろう。
・傷口は流水でよく洗う
・出血は綺麗なハンカチなどで軽く5分程度押さえて止血
・患部は氷などで冷却する
・動かしたり体重をかけたりしない
・患部を心臓より高い位置でキープする など

怪我をしてしまったら、焦らず症状に合わせて対処しよう
怪我をしてしまった時のために薬は備えておくべき?
基本的に家に備蓄しておくべきものはスタンダードな絆創膏程度で良いだろう。
なお、キズパワーパッドのような湿潤療法の絆創膏は、基本的に細菌などへの感染のない傷に使用することが望ましいが、素人には判断が難しいため医師の診察ののちに使用すべきである。
病気や怪我が辛いときは病院へ
病気になったら病院に行く必要があるが、特に一人暮らしの場合、いざ病気になってしまってからだとなかなか病院を調べるのすら辛いときがある。
病院のリストアップに関しては普段からできることなので、引越しをしたら、まず近隣の病院について一度調べておきたい。引越したら、以下の項目については必ずチェックしておこう。
・病院の場所はどこか
・病院までの移動手段は何になるか
・家の近くに何科があるのか
・診療日、休診日や受付時間
また、休日・夜間救急を受け付けている病院や医療機関を押さえておくことも非常に重要である。

引越し先が決まったら近くの病院について調べておこう
病院でスムーズに症状を伝えられる? どう伝えればいいの?
正しく診断を受けるためにも、受診の際は要点をまとめて話す必要がある。以下に添って告げることができるとよいだろう。
・What 主な症状は何か
・Who 誰が
・When いつ / いつから
・Where どこが
・Why 何か思い当たる節があるか
・How どんなふうに
例:
「昨日重いものを持った時、腰に痛みを感じた。今は腰を動かすと痛い」
「6時間前からお腹が痛い。中央から右下に痛みが移動している。周りに同じ症状の人はいない」 など

診察を受ける前に症状をまとめておこう
その他に気をつけることって?
その他には、既往歴や内服歴などをあらかじめまとめておき、紙やスマホで提示できると便利だ。
また、救急受診に関して注意すべきこととして、基本的にあくまで「救急」であり、重症でない限りは翌日の専門科受診を勧奨されることがある。自分が本当に今すぐに受診して薬をもらうべきなのかはしっかり考えよう。
とはいえ、体調が悪すぎてどうしても動けない場合などは、躊躇せずに救急車を要請すべきである。
まとめ:一人暮らしでけがや病気になった時のポイント
辛い病気や怪我に備えて、一人暮らしの不安を解消しよう!
「備え有れば憂いなし」ということわざの通り、普段から準備をしておけばある程度の不安は解消することができる。
上記に加えて一人暮らしで大切なことは「一人でなんとかしようと思わない」ということである。
体調不良になった時は、同僚、友人、家族などに体調不良の旨を伝え、場合によっては何か頼んでもいいのだ。人と話すことはそれだけで不安の解消にもつながる。
また病院もギリギリまで受診しないのではなく、早めに日中に受診することも非常に重要。そして一番大切なことは、体調を崩さないように普段から予防するということである。
文=おると@整形外科医
フリーランス整形外科医。Twitter・YouTubeにて一般向けの医療啓蒙からネタまで取り扱っている。Twitterではフォロワー5万人越え、医師アカウントの影響力ランキング1位。YouTubeでは一般向けに分かりやすかつ面白く病気に対する知識を発信している。
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