おかえりが聞こえる町・雑色を歩く
「雑色」
知っている人もいるが、聞いたことがない人もいるであろう町。
東京都大田区仲六郷二丁目にあり、京急川崎駅から京急本線で3分のところにある駅です。
“雑色”と書き、「ぞうしき」と呼ぶ街の由来は、鎌倉時代、宮中の雑役の役目をしていたむかしの地名によるものです。明治末期に六郷村に編入されたため、地名が駅名に残りました。
雑色駅について目に入るのが、駅前からJR京浜東北線の線路まで続く商店街。
東京都大田区で最多の店舗数を誇るにぎやかな商店街です。
今回は「人」と関わる温かい町、おかえりがある町をテーマに紹介します。
帰宅時間、夕方の商店街には、スーツ姿、主婦、学生、たくさんの人がそれぞれの一日を終え帰宅しています。
一人暮らしをしていると、誰しも一度は「寂しさ」を感じることがあるのではないでしょうか。
「雑色」はそれを感じさせない、第二の故郷になってくれるでしょう。
商店街を歩く、
それぞれの道の前に立ち話をする奥様方、
通りかかる子どもに声をかけるお店のおじちゃん。
夜ごはんの総菜を買えば、お店の人や近所の人とも会話を楽しむことができます。
商店街を3分ほど歩いたところにある、黄色に赤文字で書かれたレトロな雰囲気のある肉のミゾグチ。お肉だけではなく、厚切りハムカツやコロッケ、なんとカレーや、チャーハンまで置いてあります!毎日の夜ごはんはここへ行けば満足いくと言っても過言ではありません。
コロッケを買い食べながら店主と話をしていると、子ども連れの家族や、サラリーマンが続々と増え、その日あったことの話をし始めました。ここにはおかえりと、お疲れ様、ふたつの声があるようです。
そこから1分ほど先に歩くと見えてくるのが加藤さんご夫妻で営む、おもちゃ屋さん、丸喜屋です。
今年82歳になる加藤さんご夫妻が50年以上やっているお店です。
「商店街が廃れて古いお店がなくなっていくからこそやっている、ボケ防止にもなるしね」と笑って話してくれました。
昔の話から今の雑色のことまで優しく教えてくれる、このお店の中には温かい優しさでいっぱいでした。
奥さんはお店の前を通る人に話しかけ、会話を楽しみます。
子どもがその横で一生懸命おもちゃを選ぶ、おもちゃは子どもの夢です。
いつまでも地域に夢を届ける加藤ご夫妻です。
奥さんに「子どもができたらよろしくお願いします」というと、
「あなたが結婚して子どもができておもちゃを欲しがる頃には死んじゃうわよ、でも待ってるね」と大声で笑われました。
最後に紹介するのが商店街を抜け右に進んだところにある、タイヤ公園。
夜18時、夜の公園には地元の子どもたちがまだ10人くらい遊んでいます。
住宅街の中にあるこの公園は薄暗くなっても遊べるほど、安全な場所なようです。
たくさんのタイヤで遊具が作られている珍しいこの公園には、タイヤ遊具以外にも、ブランコや滑り台があり、子どもから大人まで楽しめる公園です。お昼に行くとまた違った顔が見られそう!
常に地域の人が見守ってくれる街、
レトロだけど活気はあり、美味しい食べ物、楽しい場所があり、
川崎駅からも近くアクセスも良い。
人との関わりが薄れてきている今、昔から変わらない「おかえり」のある街・雑色を選んでみるのも良いのかもしれません。
協力店舗
<肉のミゾグチ>
・住所:東京都大田区仲六郷2-27-2
・アクセス:雑色駅徒歩3分
<丸喜屋>
・住所:東京都大田区仲六郷2-21-8
・アクセス:雑食駅徒歩5分
<タイヤ公園>
・住所:東京都大田区西六郷一丁目6番1号
・アクセス:雑色駅徒歩10分