引越しシーズンの3月!入居審査に時間がかかる理由と対策
引越しシーズンの入居審査。なるべくかかる時間を短くするには?

賃貸物件を借りる時に必ず受けなければならない「入居審査」。
特に引越しシーズン真っ最中の2~3月は、他の時期より入居審査に時間がかかってしまうのをご存じだろうか。
ここでは2~3月のお部屋探しで入居審査に時間がかかる理由と、できるだけ早く入居審査を突破しスムーズに引越しをするための方法を伝授する。
このページの目次
入居審査とはどんなもの?

入居審査とは、物件を管理する大家さんや管理会社が、入居希望者に対して行う審査のこと。その物件に住む条件を満たしている人物かどうかを判断するものである。
入居者募集時に「ペット不可、単身のみ」などの条件の提示がある物件もある。しかし、それ以外の表立って提示していない諸条件があるのだ。特に大家さんが重視する点は「毎月遅滞なく家賃を払えるかどうか」という点だ。
次に「近隣トラブルを起こすような人物ではないか」ということ。家賃を払ってもらえなければ家賃収入が途絶え、退去してほしくてもなかなか出て行ってもらえないのでは困ってしまう。また、近隣トラブルで善良な先住者たちを退去に追いやることがあってはならない。そのような人物が住む物件とわかれば、敬遠されてしまい空き物件が埋まらない。そのため、事前に人物のチェックを欠かすことができないというわけだ。
入居審査は程度の差こそあれ、どこでも必ず行われるものであることを理解しよう。
入居審査でチェックされるポイントとは?
入居審査のチェックポイントは、主に「家賃の支払能力の有無」であるが、本人の収入が家賃に見合った額であるかという点と、万一の際の保証人の支払能力も審査される。
そして、トラブルを起こしそうにない誠実な人物であることも重要だ。身なりや言動から交友関係まで推測されることもある。物件の内見時などから、既に人物像をチェックされているものと思った方が良い。
本命の物件でなくともいつ候補に浮上するとも限らないため、不動産会社の担当者に与える印象は良いに越したことはない。
担当者が感じる不確かな印象だけでなく、書類に基づき勤務先の在籍確認や勤続年数、給与額や過去の金融トラブルなども審査される。くれぐれも虚偽申告とならないよう正確な記載を心掛けたい。
引越しシーズンの3月。入居審査に時間がかかる理由

4月には進学、就職、転勤など、多くの人が新生活を迎えるシーズンとなる。このため、3月から4月上旬までは、不動産会社や引越し業者にとっては一年のうちで最も忙しい繁忙期となる。
引越し業者はこの時期に、年間の売上の大部分を稼ぎ出すといっても過言ではない。この時期には引越したくても業者の予約が取れない「引越し難民」が出るほど、引越し需要が集中するのだ。
このため、3月は不動産会社においても窓口対応、内見案内、事務作業等が一気に押し寄せることになる。
多忙を極めオーバーワークになってしまい、通常では3日から1週間ほどで済む入居審査に、いつも以上に時間がかかってしまうのである。
忙しいのは不動産業界だけではない。連帯保証人の代わりに賃貸保証会社との契約が義務付けられている場合は、与信調査に時間がかかることが考えられる。
「与信調査」とは、信用情報機関にデータ照合をし、申込者本人の金銭トラブルの有無を精査すること。調査依頼が殺到すれば、ここでも結果が出るまでに時間を費やすことになる。
入居審査が長すぎて待てない!引越しシーズンの3月でも早く賃貸契約を結びたい人は

気に入った物件が見つかれば、すぐにでも申し込んで物件を確保したいのは当然だ。しかし、入居審査に落ちてしまったら、早急に次の物件を見つけ確保しなければならない。
下手をすると4月の新生活のスタートに間に合わない可能性がある。入居審査をスムーズに通過し、希望の物件をいち早く押さえるにはいくつかのコツがある。これから入居審査を迎える人は留意してほしい。
注意点① 自分の収入に合った家賃の物件を選ぶ
入居申込時にには、「収入額を証明する書類」の提出が必要だ。
提出先によって、直近の給与支払明細書3ヵ月分、源泉徴収票、課税証明書、新社会人の場合は採用証明書などになるだろう。この収入額によって、家賃が毎月継続して支払えるかどうかを判断することになる。
一般的には、家賃は月収の3分の1~3割以下にするのが理想だと言われている。たとえば、手取り月収が額面20万円の場合、各種控除後の手取り額は16万7000円程度だ。3分の1だと5万5666円、3割だと5万100円となる。つまり、入居審査では直接的に収入額の高低は問題にはならない。むしろ、月々の収入に対する家賃の割合が問題になるのだ。
収入に対して背伸びをした家賃の高い物件を選ぶのは、先々家賃を払い続けられるのかという懸念が生じる。自分の身の丈にあった家賃の物件なら、計画性があり誠実な人物とみなされることが多いものだ。第三者が見ても安心できる、適正な家賃の物件を選ぶのがポイントだ。
注意点② 書類に不備がないようにする
滞りなく入居審査を進めるには、不動産会社の指定する書類一式を漏れなく揃えるのが大前提。書類に誤字や記入漏れがないかどうかも当然チェックしよう。不明箇所や書類の不備を本人に電話で確認しようにも、すぐに繋がらないのではどんどん後回しにされてしまう。
必要書類について、例えば住民票一つにしても、個人の写しなのか世帯全員分の写しなのか、書類を提出する趣旨を理解しておかないと誤ったものを取得することもあるため注意が必要だ。
また転職のために引越す場合、前職の前年度の源泉徴収票では意味がない。この場合は、転職先の今後の見込み給与が記載されている雇用契約書など類似する書類が必要になるだろう。不動産会社の担当者の説明をよく聞き、抜け漏れの内容に準備を進めよう。
注意点③ あらかじめ連帯保証人の承諾をもらっておく
多くの物件において、賃貸契約を結ぶ際には「連帯保証人」が必要となる。契約前に、連帯保証人をお願いしたい人物にあらかじめ承諾をもらっておくようにしよう。
気をつけたいのは、連帯保証人に電話確認がある場合だ。多くの場合、連帯保証人に「保証人となることの意思確認」や「連絡先」が確実につながるかの確認が行われる。でないと、連帯保証人の承諾なしに書類を不正に取得した疑いが持たれるからだ。
不動産会社としても後々にトラブルになりそうなことは事前に避けなければならない。連帯保証人には前もって「着信があったらすぐに電話に出てほしいこと」「連帯保証人を承諾した旨をハッキリと伝えてほしいこと」などを予めお願いしておこう。何日の何時ぐらいに電話確認があることを連絡しておくとなお良い。
入居審査が長すぎて待てない!引越しシーズンの3月でも早く賃貸契約を結びたい人は
不動産会社が多忙になる3月。どうしてもこの時期に引越しをしなくてはいけない場合は、契約の流れをよく理解し、必要な書類を漏れなく準備することで、入居審査にかかる時間を縮めることができるだろう。
文=saepon
親と配偶者が転勤族のため引越し経験は十数回。特に子どもの頃の北海道から九州への引越しでカルチャーショックを経験し日本は広いと実感。引越しノウハウや賃貸借契約に関する執筆多数。