家賃の値下げ交渉の方法は?コツや適したタイミングを解説
そもそも家賃交渉ってできるの?

賃貸物件を借りるとき、最初に確認するのは家賃ではないだろうか。自分のニーズに合った良い物件が見つかったら、できるだけ安く借りたいと思うのが心情だ。しかし、大家さんにいきなり「値下げしてください」とは言い出しづらい。
そこで今回は、家賃交渉に適したタイミングや具体的な交渉方法について解説する。
このページの目次
そもそも、賃貸物件の家賃はどんな基準で決められている?
賃貸物件の家賃は、主に「積算法」と「賃貸事例比較法」のどちらかによって決められている。
積算法とは、大家さんが元手となる費用に対して、どの程度の利益を上げたいかによって適切な家賃を割り出す計算法のことを指す。
一方、賃貸事例比較法とは立地や築年数、構造や間取り、設備といった条件が似ているほかの物件と比較しながら家賃を決める計算法のことを指す。
積算法は、主に不動産売買取引額を決める際に用いられ、家賃の決定に使われることはあまりない。そのため、賃貸物件の家賃は「賃貸事例比較法」で決められるのが一般的だ。
家賃交渉を行うことは可能!ただし成功するとは限らない
成功するかどうかは状況次第だが、基本的にどんな賃貸物件でも家賃交渉をすること自体は可能だ。不動産会社や大家さんにとっても、家賃交渉されることは日常的なことなので、特に遠慮することはない。
ただし、家賃は賃貸物件のローンの支払い、定期的な修繕・リフォームなど、大家さんにとって賃貸物件経営に必要な資金となる。
そのため、家賃交渉が失敗に終わることも珍しくない。
家賃交渉を行う相手は、不動産会社もしくは管理会社
家賃交渉をしようと思った場合、どこに連絡すればいいのだろうか?
具体的な家賃額を最終的に決めるのは大家さんである。しかし、不動産会社が物件を紹介している場合や、管理会社が入っている場合、交渉相手は大家さんではなく不動産会社や管理会社となる。入居前に不動産会社から物件を紹介してもらう際は、不動産会社に家賃交渉をしよう。
また、入居後の場合は賃貸物件の管理形態によって交渉先が変わってくるので、家賃交渉するときは以下の表を参考にしてほしい。
入居後の家賃交渉先
家賃の振込先 | 管理形態 | 家賃の交渉先 |
---|---|---|
大家さん | オーナーによる自主管理 | 物件を紹介してもらった不動産会社 |
不動産会社 | 管理会社 | 管理会社 |
家賃を大家さんに振り込んでいる場合、家賃の交渉先は物件を紹介してもらった不動産会社で問題ない。
注意が必要なのが、家賃の振込先が不動産会社になっているケースだ。
家賃の振込先が不動産会社の場合、物件を管理しているのは物件を紹介してもらった不動産会社ではなく、管理会社である可能性が高い。このケースの交渉先は、管理会社となる。
家賃交渉に適したタイミング
家賃交渉には適したタイミングがある。オススメなのは以下のとおりだ。
- 入居前の場合:閑散期の5月~9月上旬
- 入居後の場合:契約を更新するタイミング
ここではそれぞれについて、詳しく解説していく。
家賃交渉に適したタイミング:繁忙期は家賃交渉の難易度が上がりやすい
一方で、物件を探す人が増えるタイミングは1月〜3月。これは、4月から進学・就職などで新生活をスタートさせる人が多いためだ。また、社会人の異動や転勤が増える9月中旬〜10月も比較的引越しする人が多い。
これらの時期は賃貸物件への入居希望者が多く、大家さんがあらかじめ設定していた家賃でも入居者が見つかる可能性が高いことから、家賃交渉を受けてもらいにくい。そのため、繁忙期の家賃交渉は避けるのが無難だといえる。
家賃交渉に適したタイミング:閑散期の5月~9月上旬は比較的家賃交渉がしやすい
逆に5月〜9月の上旬は引越しの閑散期といわれており、場合によっては家賃の値下げに応じてもらえる可能性もある。この時期に引越しを考えていて家賃を抑えたい人は、一度不動産会社に相談してみるのも良いだろう。
家賃交渉に適したタイミング:契約を更新するタイミング
一般的には入居前に家賃交渉を行うケースが多いが、入居後に交渉することも少なくはない。
入居後に家賃交渉する場合は、契約を更新するタイミングで行うのが良いだろう。契約更新は賃貸契約自体を見直す機会であるのと同時に、家賃交渉をしやすい時期でもあるからだ。これまで特に問題なく家賃を支払い続けていれば、家賃交渉に応じてもらえる可能性も高まる。
次は、家賃交渉に応じてもらいやすい物件の特徴をご紹介!
家賃交渉に応じてもらいやすい賃貸物件の特徴

やみくもに「家賃を下げてください」と大家さんに伝えても、家賃交渉を成功させることは難しい。ここでは、比較的家賃交渉に応じてもらいやすい物件の見極め方を紹介する。
家賃交渉に応じてもらいやすい賃貸物件の特徴①:築年数がある程度経過している物件
賃貸物件の家賃は、築年数が古くなればなるほど下がっていくのが一般的。そのため、築年数がある程度経過している物件なら、家賃交渉に応じてもらえる可能性が高くなる。
反対に、新築や築浅の物件の場合は人気が高く、家賃を下げなくても借り手が見つかりやすい。家賃交渉をしても、応じてもらえる可能性はほとんどないだろう。
家賃交渉に応じてもらいやすい賃貸物件の特徴②:空室期間が長い物件
住みたい物件が見つかったら、可能であれば空室期間を調べてみよう。不動産会社に聞けば教えてもらえる可能性もある。
もし、空室期間が長い物件であれば、大家さんが家賃の値下げを検討してくれるかもしれない
家賃などの値下げ交渉を成功させるコツ【入居前の場合】

入居前に家賃などの値下げ交渉を行う際は、以下の2点を意識してみよう。
- 入居したいという「本気度」を伝える
- 礼金やフリーレントなど、家賃の値下げ以外の交渉をする
それでは、それぞれ詳しく見ていこう。
家賃などの値下げ交渉を成功させるコツ【入居前の場合】①:入居したいという「本気度」を伝える
もし入居したい物件が少しだけ予算オーバーだった場合は、「家賃をあと2,000円値下げしてもらえれば入居します」と具体的な希望を伝えよう。この物件を気に入っていて、値下げしてもらえた暁には必ず入居するという「本気度」を伝えれば、その熱意に動かされて交渉に応じてくれるかもしれない。
家賃などの値下げ交渉を成功させるコツ【入居前の場合】②:礼金やフリーレントなど、家賃の値下げ以外の交渉をする
物件を借りるときに初期費用がネックなのであれば、礼金など家賃以外の値下げを交渉してみよう。
また、一定期間のみ家賃の免除が受けられる「フリーレント」を交渉してみるのもひとつの手だ。他の入居者の手前、家賃の値下げには応じづらいという大家さんも、フリーレントであれば交渉に応じてくれる場合もある。
家賃交渉を成功させるコツ【入居後の場合】
入居後に家賃交渉を行う場合は、以下の2点を実践してみてほしい。
- 周辺エリアの家賃相場を伝える
- 家賃減額が妥当であると判断されるような「根拠」を明確に伝える
それでは、それぞれ詳しく見ていこう。
家賃交渉を成功させるコツ【入居後の場合】①:周辺エリアの家賃相場を伝える
冒頭でも述べたとおり、賃貸物件の家賃は基本的に「賃貸事例比較法」によって決められている。そのため、家賃の値下げ交渉をしたい場合は、現在住んでいる周辺エリアの家賃相場を不動産会社や管理会社に伝え、それが妥当なものかどうか判断してもらうのがオススメだ。相場から大きく外れている場合、家賃を下げてもらえる可能性がある。
仮に家賃相場がわからなくても、インターネットを使えば簡単にチェックできる。たとえば、沿線や住所を入力すれば、自分の希望エリアの相場がどれくらいかを把握できる。また、間取りや建物種別で絞り込むこともできるので、気軽に使ってみてほしい。
家賃交渉を成功させるのコツ【入居後の場合】②:家賃減額が妥当と判断されるような「根拠」を明確に伝える
家賃を減額するにあたって、それが妥当であると判断してもらえる根拠を示すことも家賃交渉のコツのひとつだ。
- 「近隣にあった商業施設が撤退して利便性が低下した」
- 「窓の反対側に高いマンションが建設されて日当たりが悪くなった」
- 「築年数が経過して物件や設備が古くなった」
など、生活が不便になったと感じられるような具体的な根拠がある場合、それらを提示しながら交渉を進めよう。
家賃交渉自体は可能!タイミングやコツを押さえて挑戦してみよう
賃貸物件の家賃交渉は、入居前はもちろん入居後でも可能だ。入居前は閑散期となる5月〜9月上旬、入居後は契約を更新するタイミングが良いだろう。
家賃交渉は必ずしも成功するとは限らないが、今回ご紹介した方法を実践することで、成功する可能性は上がるはず。謙虚な姿勢を大切にしつつ、ぜひチャレンジしてみてほしい。
文=宅野美穂(株式会社YOSCA)
2022年3月加筆=CHINTAI情報局編集部