フリーランスだからって諦めない!入居審査を通過して住みたい賃貸物件に暮らすための条件とは?
フリーランス(個人事業主)が賃貸に入居するには?入居審査や物件探しのポイントを解説

一般的にフリーランスや自営業者、一時的に無職の状態にある方は、会社員と比べて「賃貸物件の契約をしにくい」とと言われている。
それは、主に「入居審査」が通りにくいことを指しているのだが、それはどういった理由からなのだろうか。
今回はフリーランスが賃貸物件を借りるために必要な条件について解説していく。
フリーランス(個人事業主)が賃貸の入居審査に通りにくいのは「収入の波」が理由?

大家さんが入居希望者について一番知りたいことは、家賃の支払い能力の有無である。フリーランスの場合は、実際の月収が平均的な社会人の収入を上回っていたとしても、安定した収入とはみなされないことが多い。
会社員に比べて、フリーランスは毎月安定した収入を得られる保証がないからだ。これが、フリーランスが物件を借りにくい大きな理由である。
フリーランスが物件を契約するためには、後にご紹介する「所得証明書」などを用いて収入がある証拠を大家さんに提示することをおすすめする。
フリーランス・個人事業主向け 賃貸の入居審査対策

賃貸の入居審査をスムーズにするためには、ポイントがある。6つの項目に分けて深掘りし、詳しく解説しよう。
フリーランスの賃貸入居審査のポイント1:自分の収入に見合った家賃の物件を探す
自分に見合った家賃は月収の約1/3、1年間分の家賃で計算すると年収の30%以内に収まることが基準とされている。たとえば家賃が10万円の物件を借りたい場合、月収は30万円、年収は400万円という計算だ。
年収と家賃の関係性は入居審査の基準としても重視されるため、収入に見合った物件を探そう。
月収の金額から見て釣り合わない家賃の物件を希望すると、支払い能力に疑問を持たれてしまい、敬遠される可能性が高くなってしまう。
フリーランスの賃貸入居審査のポイント2:過去にクレジットカードの滞納があると審査に通りにくい

今は経済的に問題がなくても、過去にクレジットカードの支払いを滞納した事実があると入居審査に通らないこともある。心当たりがあれば、あらかじめカード情報の審査をしない管理会社や保証会社を選んで物件探しに臨もう。
ちなみに、クレジットカードの支払いを遅延した情報が信用情報機関に掲載されると、借金を完済した日から5~10年程度は遅延の経歴が残り続ける。このような経歴が残っている間は、審査に通りづらくなってしまう場合がある。
フリーランスの賃貸入居審査のポイント3:信用度が高い保証人を選ぶ
万一家賃の支払いが遅延し、本人から回収できる見込みがないと判断された場合、大家さんは連帯保証人に損害額を請求することになる。保証人の信用度が高ければ、大家さんは安心して物件を貸し出すことができるため、借主にとって有利だ。
フリーランスの賃貸入居審査のポイント4:希望の物件条件を緩くする
あまりにも理想が高すぎると、その条件を満たす物件を契約することが難しくなる。大家さんとしては、より信頼できる入居者に貸し出したいと考えるのが普通だ。人気が高い物件を選び、より信頼度の高い入居者と競合した場合、別の入居希望者が優先される可能性が高い。
譲れない条件を主張することは大切だが、なかなか入居先が決まらない場合は、妥協できる部分を見つけて希望条件を緩めていこう。
長期にわたって入居者が決まらない物件は、大家さんはもちろん不動産会社側も早く成約させたいと考えているため、契約がまとまる確率が上がるのだ。
フリーランスの賃貸入居審査のポイント5:好感度のある服装と態度を意識する
物件探しの相談をするときは、清潔感のない服装や反社会的な態度を避け、不動産会社のスタッフに好印象を持ってもらえるように心がけよう。
最終的には大家さんの判断で入居の可否が決まることがあり、この際の判断材料として「入居希望者がどんな人か」を気にされる場合はそれなりに多いのだ。
フリーランスの賃貸入居審査のポイント6:預金の残高証明書を提出する
フリーランスの収入はあくまでも過去の実績。今後も同様の収入を得られるかどうかを判断することは、客観的に見れば難しい。
そのため、たとえ前月までの収入が同年代の会社員の平均月収を超えていたとしても、それだけでは十分な信頼を確保できない可能性がある。
そこで用意すると便利なのが預金の残高証明書だ。現在の貯蓄額を明確に示すことにより、今後の支払い能力をアピールすることができる。万が一、これまでと同様の収入を得られなくなったとしても、預貯金から家賃の支払いができることを証明する材料になるのだ。
ある程度の預貯金があれば、計画性を持った生活を送っている人物であるという印象を大家さんや不動産会社に抱かせることも可能だろう。支払い能力という面のみならず、信頼できる人という印象までプラスでき、賃貸物件の契約成立を大きく引き寄せられる。
フリーランス(個人事業主)の賃貸入居審査に必要な書類

お目当ての物件が見つかったら、次は入居審査だ。大家さんとのやりとりをスムーズにするために、入居希望者は以下のような書類を活用することができる。
賃貸の入居審査に必要な書類:住民税課税証明書
所得証明書、収入証明書とも呼ばれ、各自治体で発行される。どれくらいの年収があるのかを示す根拠として使える書類だ。
賃貸の入居審査に必要な書類:所得税納税証明書
税務署にオンラインまたは郵送で請求できる。きちんと納税している事実を証明できるため、信頼度を高められる。
賃貸の入居審査に必要な書類:銀行通帳の写しまたは残高証明
貯蓄額を明示するために必要で、発行は銀行で行う。前述の通り、残高証明書は自分の支払い能力を示す大事な書類である。これがあれば交渉をスムーズに進めることができるので、通帳の写しと一緒に事前に用意しておこう。預貯金が多ければ、もし仕事に困ってしまった場合でも、当面の家賃は問題なく支払える人物であると判断してもらいやすい。
賃貸の入居審査に必要な書類:身分証明書
運転免許証、パスポート、保険証、マイナンバーカードなどを用意しよう。なお、これらは会社員だとしても必ず用意しなければならない書類である。
上記の書類のほか、連帯保証人を見つけておくことも忘れてはならない。連帯保証人は親族に依頼するのが一般的だが、該当する人がいない場合は連帯保証人が不要の物件を選んだり、賃貸保証会社を利用したりすることも可能だ。
これらを用意できて初めて入居審査のステージに上がることができるのだ。
入居審査の結果を待つ間に契約の準備をしておくとスムーズ

入居審査期間は数日~約1週間が一般的。審査結果を待つ間に、契約に必要なものを用意しておくと入居までがスムーズだ。
契約時に必要となる書類等
- 本人の印鑑
- 印鑑証明
- 住民票
- 敷金、礼金
- 仲介手数料
- 前家賃
- 損害保険料(加入義務があった場合)
- 保証人の同意書
物件によっては必要なものが異なるケースもあるため、あらかじめ不動産会社で確認しておこう。
フリーランス(個人事業主)が賃貸を事務所として借りる場合の注意点

まずは、フリーランスの人がどんな物件に住んでいるのかを見てみよう。フリーランスとして働く場合の物件の使い方は、主に以下の3つに分けられる。
自宅と事務所をそれぞれ別に借りる
文字通り自宅と事務所を分け、それぞれ別の賃貸契約で物件を借りる。
自宅と事務所をそれぞれ別に借りる
自宅として賃貸契約している住居で、部屋の仕様や使い方を大きく変えることなくフリーランスとしての仕事も行う。
賃貸している住居物件を自宅兼仕事場として使う

事務所として使うことが許されている物件を借り、住居と兼用する。最近はSOHO利用に特化したシェアハウスも増えているが、不動産会社を通じて探すのではなく、シェアハウスを主催している事業者との折衝で入居が決まるのが一般的だ。
「自宅兼仕事場」として使いたいのであれば、事務所利用可かどうか確認を!
「自宅」と「自宅兼仕事場」は、通常の住宅用賃貸物件だ。しかし、「自宅兼事務所」のための物件探しなら、最初からその物件の目的を不動産会社に伝えておくべきだろう。なぜなら、大家さんによってはルームシェア不可、ペット不可、事務所としての使用不可などの条件を設けていることもあるのだ。
住人の同居が解消されると家賃滞納の恐れのあるルームシェアや、物音やニオイ、傷みの心配があるペットとの入居が不可となる場合があることは理解できるだろう。
ならば、「自宅兼事務所」としての物件の何が問題なのだろうか。
それは、「事務所としての機能」の有無により大家さんの金銭的負担が違うからである。事務所として使われる物件は、不特定多数の人の出入りや事務所設備による傷みがあることに加え、大家さんが負担する税金・火災保険料などが住居のみとして利用する場合よりも高くつくため、大家さんが不可としている場合がある。
条件が合わない物件にむやみにトライすることは時間の無駄であるし、真実を伝えずに住むと契約違反となるのでやめておこう。
ただし、これらの条件が物件の選択肢を減らすケースがあることを覚悟しておかなければならない。そこで、物件探しの際には第2希望の物件タイプを考えておくのもおすすめ。
フリーランスが賃貸に入居するために、安定した収入を証明しよう

フリーランスは毎月の給料が保証されていない分、会社員と比べて入居審査にはハードルがある。しかし、自分の支払い能力に問題がないことを大家さんに提示して、信頼を勝ち取れば、契約成立に大きく近付くはずだ。
特に収入証明書と身分証明書の提示は重要であり、特に残高証明書の提出は必須ともいえる。相談するときの態度や服装にも注意しながら、快適に暮らせる賃貸物件の契約成立を目指してほしい。
文=明石 白(株式会社YOSCA)
2021年7月加筆=CHINTAI情報局編集部