引っ越しの挨拶はしない方が良い?マナーや迷ったときの対処法
引っ越しの挨拶はしない方が良いって本当?
新居に引越しをしたとき、近所への挨拶をすべきかどうか悩むことがあるだろう。かつては、これからお世話になる近隣の方々へ引っ越しの挨拶をすることが礼儀とされていたが、時代が変わった今、引っ越しの挨拶を行わなくても良いという声も多い。
今回は引っ越しの挨拶にまつわる基本的なマナーや、挨拶を行うことによるメリット・デメリットについて解説する。また記事後半では、引っ越し挨拶をしない方が良い場合や、挨拶をすべきか迷った場合の対処法についても紹介しているので、引っ越しを予定している方はぜひ参考にしてほしい。

この記事でわかること
賃貸物件の場合は、部屋の上下左右に住む人に引っ越し挨拶をしよう
挨拶をするメリットは「もしものときに助けてもらいやすい」、しないデメリットは「生活音がトラブルに発展しやすい」
女性の一人暮らしは、自分の身を守るために挨拶をしない方が良い場合も
このページの目次
引っ越しの挨拶とは?基本マナーを紹介
これまでに引っ越しの挨拶をしたことがないと、「誰に挨拶すれば良いのか」「どのタイミングですれば良いのか」など、わからないことも多いだろう。
引越しの挨拶は引っ越し前に住んでいた旧居と、新居の両方で行うもの。旧居ではお世話になったお礼、新居ではこれからお世話になる旨を伝えることを目的としている。
まずは、引っ越しの挨拶に関する基本的なマナーを紹介していく。
引っ越しの挨拶をする相手
旧居での引っ越し挨拶は、引っ越し当日に荷物の搬出や騒音で迷惑をかけてしまう可能性があるため、両隣の部屋や下の階の部屋の方へ行うのが望ましい。
ただ、人によって近隣の方への関わり方が違うため、挨拶をする範囲は変わってくる。大家さんや、お世話になった近隣の方がいれば挨拶をしておくのが良いだろう。
新居の引っ越し挨拶をする相手は、アパートやマンションといった賃貸物件なのか、一軒家なのかによってそれぞれ異なる。
賃貸物件の場合、基本的には自分の部屋から見て上下左右の住人に挨拶をしよう。隣の部屋の住人はほかの住人よりも顔を合わせることが多く、さらに何か起きた際に関わる機会もある。また、上階と下階の住人に対して挨拶を行うのは、足音などの生活音で迷惑をかけてしまう可能性があるからだ。
大家さんへの挨拶を行うかどうかは、大家さんが住んでいる場所によって変わってくる。住居から遠い場所に住んでいる場合は基本的には必要ない。ただし、近所に住んでいる場合や同じマンション内に住んでいる場合は、一言だけでも挨拶をしておくのが良いだろう。
一軒家へ引っ越す場合は「向こう三軒両隣」だけでなく、自宅の裏側にある三軒にも挨拶をしておくとよいだろう。このとき、自治会長への挨拶もした方が無難といえる。
引っ越しの挨拶をするタイミング
引っ越しの挨拶は、できれば引っ越し日の前日までに済ませておこう。当日は引っ越し作業で迷惑をかけてしまうことがあるため、お詫びの意味も込めて事前に挨拶するのがおすすめだ。
事前の挨拶が難しい場合は引っ越し当日、引っ越しが落ち着いた翌日以降でも構わない。ただし、遅くても引っ越しをしてから1週間以内に挨拶を済ませておきたいところだ。
おすすめの時間帯は日中といわれている。早朝は、出勤の準備や食事の支度などで忙しい家庭も多いので、昼間~夕方の時間帯を選ぼう。もし何度か訪問しても不在だった場合は、挨拶状を挨拶品に添えて、ドアノブなどにかけておけばよい。
引っ越しの挨拶品・熨斗(のし)の付け方
引っ越しの挨拶品の相場は500~1,000円ほど。実用性の高いタオルやティッシュペーパー、洗剤や入浴剤などが喜ばれる。お菓子の場合、日持ちするクッキーなどが良いだろう。
また、熨斗をつけると相手の印象に残りやすい。表書きの上部に「御挨拶」、下部に自分の名字を書こう。
引っ越しの挨拶をするメリット
新しい街に住む際、ご近所トラブルを避けて穏やかに生活したいと思う人も多いだろう。引っ越しの際に挨拶回りをする理由は、気持ち良く新生活を始めるためだ。一人暮らしであれば挨拶をしない人も多いが、地域の方に引っ越しをしたことを伝えておけば、良好な関係を築く第一歩になるだろう。
また、地元の人だからこそ知っている地域の情報を共有してもらえるかもしれない。ここからは、引っ越し後の挨拶回りをするメリットについて詳しく解説していく。
引っ越しの挨拶をするメリット①:地域の情報交換ができる
近所に引っ越し後の挨拶をすると、地域に関しての情報交換ができるようになる。田舎やファミリー層向けの地域など、町内会や子ども会などの活動が活発なところも多く、引っ越しの挨拶で子どもの年齢や家族構成などを伝えればそのようなイベントにも参加しやすくなる。
引っ越しの挨拶をするメリット②:もしものときに手助けをしてもらいやすい
家の鍵を落とした時など、緊急時の場合は誰かに助けてほしいと思うもの。
しかし、まったく話したことのない人であれば声をかけることすら躊躇してしまうだろう。引っ越しの時に一度挨拶をして顔見知りになっておけば、何かのトラブルに見舞われた際もスムーズに頼ることができる。
引っ越しの挨拶をするメリット③:相談がしやすい
知らない土地での暮らしを始めると、ちょっとしたことで不安になってしまうこともあるだろう。引っ越しの挨拶をしておけば、近所の方に声をかけられることも多くなるため、悩みを聞いてもらうことも可能だ。
悩みを打ち明けることに抵抗を持つ人も少なくないが、正直な気持ちを話すことでより仲良くなることができるだろう。

引っ越しの挨拶をしないデメリットはある?
新天地での良いスタートを切るために、お世話になる近所の人には引っ越しの挨拶をしておきたいところ。
しかし、近頃は近所付き合いが希薄になり、一人暮らしであれば「そこまでする必要はない」と感じる人もいるだろう。近所付き合いは一切不要と、割り切って引っ越しの挨拶をしないケースも少なくない。
一人暮らしでも引っ越しの挨拶をした方がいいかどうかは、その人の状況や環境によってそれぞれ異なる。しかし、引っ越し後の挨拶をしなかった場合に想定されるデメリットは把握しておこう。デメリットを確認したうえで、引っ越しの挨拶をするかどうかを判断してほしい。
引っ越しの挨拶をしないデメリット①:第一印象を悪くしてしまうかも
近所にどんな人が住んでいるかは、実際に会ってみないとわからない。引っ越し後の挨拶を行わないデメリットとしては、近所の人の印象を悪くしてしまうケースもあるということだ。
ある程度長い期間その場所に住む予定があるのなら、その分地域の人との付き合いも長くなる。最初のイメージが良くないと、その後に挽回の機会がなければ悪いイメージを持ち続けられることになってしまいかねない。
引っ越しの挨拶をしないデメリット②:生活音がトラブルに発展しやすくなる?
引
越し後の挨拶をしないことによって、隣人との騒音トラブルが生じやすくなる可能性がある。見ず知らずの人の住まいから聞こえる生活音は不快に感じがちで、人に多くの不安感・ストレスを与える。特に子どものいる家庭やペットを飼う場合などは、いくら気をつけていても足音や泣き声が響いてしまうことがある。
普段から言葉を交わし、近所の人と良好な関係を築いていれば大目に見てもらえることもある。しかし、引っ越しの挨拶をすることなく疎遠な関係が続いてしまうと、大きなトラブルに発展する可能性があるのだ。
引っ越しの挨拶をしないデメリット③:災害発生時に近所の人に頼りづらい
地震や大雨などの災害時に、一人ぼっちでそのような緊急事態を乗り越えられるだろうか。
仮に災害に巻き込まれてしまった場合、自分を心配してくれたり、探してくれたりする人がいないと、窮地に陥ってしまう可能性が高くなる。

引っ越しの挨拶をしない方が良い場合とは
知らない土地で、隣や上下階にどんな人が暮らしているのかは謎である。近所との関係を円満にするために役立つのが引っ越しの挨拶だが、現代では近所付き合いをしたくない人、関わりたくない人も少なくない。特に単身向けの物件においては、引っ越しの挨拶に行く場合、歓迎してくれない人もいるということをあらかじめ理解しておこう。
また、女性の一人暮らしの場合は、引っ越しの挨拶を無理に行う必要はない。プライバシーの問題だけでなく、場合によっては犯罪のきっかけにもなってしまう。意図的に引っ越しの挨拶をしないことで、自分の身を守っているという方も多いのだ。

引っ越しの挨拶をしない人のよくある理由
防犯上の理由以外で、引越し挨拶をしない主な理由は以下の3つだ。
引っ越しの挨拶をする時間・タイミングがない
引越しの挨拶をする時間がなかったり、タイミングが合わなかったりすることで、挨拶ができなかったというケースがある。
一人暮らしの場合、平日の日中は仕事や学校などで忙しく、休日は予定が入って朝から外出することも少なくはない。また、一人暮らしが多く住んでいるワンルームの物件が中心のマンションは、住人の生活時間がそれぞれで異なり、挨拶するタイミングがつかみにくいことも理由のひとつだ。
面倒な人間関係を作りたくない
面倒な人間関係を作りたくないという理由から引っ越しの挨拶をしない人もいる。昨今のライフスタイルの多様化から、近所の人と積極的に関わる必要がないと感じている人も少なくない。また、プライベートな時間を大切にしたいという考えからあえて挨拶をしない人もいるようだ。
挨拶をしたこと・されたことがない
これまでに引っ越しの挨拶をしたことがなかったり、相手からされたりしたことがないことで必要性を感じていないというのも、よくある理由のひとつだ。挨拶をされた経験がないため「挨拶をしないのが普通」と捉えていることも考えられる。
引っ越しの挨拶をすべきかどうか迷ったときの対処法
引っ越しの挨拶をすべきかどうか迷ったら、大家さんや管理人さんへ相談すると良いだろう。ほかの入居者が挨拶をどうしているか、ほかにどんな入居者が住んでいるのかを可能な範囲で聞いてみると良い。
単身者向けの物件なら、挨拶はしなくても問題は起きにくいだろう。今では引っ越しの挨拶を常識だと思わない人が多く、訪ねると逆に迷惑になってしまうこともある。仕事や学校などで家を空けていることも多く、タイミングが合わずに挨拶できなかったというケースも少なくはないのだ。
一方、ファミリーが多いマンションなどは、挨拶をした方が良い場合もある。家族ぐるみの付き合いをしている方も多く、普段から地域の情報交換などを行っておくと、いざというときに助かるケースが多いからだ。相手の家族からしてみても、近所にどんな人が住んでいるか知っておいた方が安心といえるだろう。

一人暮らしの場合、引っ越しの挨拶をすべきか否かは状況に応じて判断を
一昔前は常識だった引っ越し時の挨拶だが、今は挨拶をしない人や、訪ねて来られるのは迷惑だと感じる人が増えてきている。特に女性の一人暮らしの場合は、セキュリティの観点から挨拶をしない方が良い場合もある。
挨拶すべきか迷ったら、大家さんに相談し、近所にどのような人が住んでいるのかを確認して判断しよう。また、もし引っ越し直後に形式張った挨拶をしない場合にも、入居後に近所の人と顔を合わせた際には「こんにちは」など軽い挨拶をして、お互い良好な関係を築いてほしい。
文=ブロック
2022年3月加筆=CHINTAI情報局編集部