あこがれの田舎暮らし! メリットや注意点、実現するためのダンドリを解説
田舎暮らしができる物件に住む方法
あこがれの田舎暮らし。実現させたいけれど、何から始めればよいのだろうか?
昨今は在宅勤務の人も増え、田舎暮らしを検討している人も多くなってきたというが、地域になじめるのか、買い物をする場所はあるのかなど心配な点も多いはず。
そこで、ここでは田舎暮らしのメリットや田舎暮らしをする前にぜひ確認しておきたいこと、初めての田舎暮らしを検討するうえでの不安を解決するQ&A、田舎暮らしにおすすめな自治体紹介まで徹底ガイドなど、理想の田舎暮らしを実現するためのノウハウを伝授する。

田舎暮らしを始める前に。物件探しのコツは自分自身と向き合うこと?
田舎暮らしの魅力は多種多様だ。例えば、自分のやりたいことを存分に楽しめるのは大きなメリット。
家で絵画や写真など創作活動に打ち込むこと。農業や山菜採り、キャンプなど自然と触れ合うこと。趣味に没頭できる生活は魅力の一つだろう。
一方で、喧噪とは無縁の穏やかさや地域ならではの密な人間関係、四季の移り変わりを感じられる住環境に良さを感じる人もいる。
理想の田舎暮らしは人によって大きく異なる。それを踏まえると、田舎への移住は、都会以上に「自分自身と向き合わなければならない」ということに気付くはず。自分は田舎暮らしに何を求めているのか? どのような暮らしをしたいのか? 自分のライフスタイルを把握し、自分に合った地域を探すことが田舎暮らしを始めるうえでもっとも重要だ。
そういう意味で田舎への移住はミニマリズムに似ている。田舎は人も物も施設も少ない。それはつまり余分な物事を見極めること。余計なことを省いて本当にしたかったことに集中できる田舎暮らしは、人生を豊かにしてくれるはずだ。
田舎暮らし5つのメリット
では、田舎暮らしを選んだ場合の具体的なメリットを5つ紹介していこう。
①周りをあまり気にせず趣味に没頭できる
庭付きの広い家を安く借りられるのは、田舎ならではのメリットだ。隣の家と離れていることも多く、周囲の目を気にせず好きなことに熱中できる。例えば、家具のDIYや本格的な家庭菜園、馬や山羊などの飼育など都会では難しい趣味も楽しめる。
②広い家が借りられリフォームも自由自在
過疎化が進む田舎では、広い家でも空き家になっている。さらに古民家なら、賃貸であってもリフォームOKな物件が多い。部屋数を増やしたり、逆に居間を広くしたりと、自分の思い通りに間取りを変えられるのもポイントだ。
③アットホームな付き合いが自然とできる
自然に囲まれている田舎では、助け合いが基本。草刈りや雪かきなどへの参加は、もはや義務だ。しかし、それは同時に交流の場。自然にご近所さんと親身な付き合いができる。アットホームな人付き合いを好む人にはピッタリ。
④通勤時などのストレスが少ない
田舎では、都会ほど交通網が発達していないため、基本的にマイカー通勤となる。通勤ラッシュの時間帯でも電車でもみくちゃにされることもなく、大雨などの悪天候でもドア to ドアなので、毎日の通勤ストレスは少ないのは大きなメリットだ。
⑤地価が安いので住居費が安い
固定費の中でも大きな割合を占めるのが住居費だ。都会と比べて田舎では、地価が安い。賃貸住宅に暮らす場合でも、いつの日か土地を購入して家を建てるとしても、住居費は安く済む傾向が高いといえる。
総務省統計局の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、1ヶ月当たりの家賃は、全国平均で55,695円、東京都で81,001円となっている。その他の都道府県では3万~6万円台ということからも、都会と田舎では家賃に大きな開きがあることがわかるだろう。

田舎暮らしをする前に確認したい注意点
良いことずくめのように感じられる田舎暮らしだが、田舎ならではのデメリットも当然ある。一念発起して田舎暮らしを急に始めようと行動する前に、以下の4点について、自分が求める生活に大きな影響がないかどうかぜひ考えてみてほしい。
交通費やガソリン代の出費がかかる可能性がある
通勤や買い物など日常生活の移動手段が車になることから、車の購入費用にくわえ、必然的にガソリン代も固定費としてかかることになる。田舎ではバスや電車の路線・本数が少ないため、通勤・通学する家族を毎日駅まで車で送り迎えするファミリーは多い。
また、出張や旅行などの大きな移動をする際は、新幹線を利用できるターミナル駅や空港などへ遠いケースもあるだろう。利用客数の少ない田舎では、交通網の発達している都会よりも区間料金が高く設定されていることも多いのだ。このように、全体的にかかる交通費が高くなってしまう可能性は高い。
病院が近隣にない可能性がある
田舎では人口が少ない分、いざという時に頼りになる病院の数自体も少ないのが現実だ。住むエリアによっては、駅前に地域の医療センターがひとつのみであったり、医者が常駐しておらず決まった曜日のみ診察するスタイルだったりというところも。病院の存在は、若いうちはそれほど気にならないかもしれないが、体の不調は思わぬ時にやってくるものなので、近くに医療施設があるかどうかも確認しておきたいポイントだ。
都会と比較すると給料が低い
都会は地方より地価や物価が高い分、給料や時給も高めに設定されている。では、都会と田舎では、給料の差がどのくらいあるのだろうか。
厚生労働省発表の「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、月賃金の全国平均は30.6万円、東京都は38万円と最高額をマークしている。一方、この全国平均よりも高い東京都・神奈川県・愛知県・大阪府を除いた都道府県の平均はおおよそ27万円となった。その差は月額にして11万円! 地方の政令都市を除いた地方都市では、月賃金は27万円よりも低くなるだろう。
遊ぶ施設や大型スーパーが少ない
これはやはり人口の少なさからくるデメリットだろう。ある程度の客数を見込めなければ、娯楽施設や大型スーパーは出店しない傾向にあるからだ。生活に必要なものの買い出しには困らない環境にはなっているはずだが、店舗数が少ないため、遠くのスーパーへ車で行かなければならないこともあるだろう。
その反面、山や川・温泉など、気軽に自然に親しめる要素はたくさんあるのが田舎暮らしの特徴なのだ。

初めての田舎暮らしQ&A
初めての田舎暮らしには不安がつきもの。そこで、田舎暮らしに関する疑問と気になる解決策をQ&Aで紹介!
- Q どうしたら地域にうまくなじめる?
- A 地域の人と、よく会話することが大切。わからないことはどんどん聞こう。地域になじもうとする姿勢を見せれば、相手も心を開いてくれる
- Q 日用品の購入など生活に不便はないの?
- A 近くに商店があるかは場所による。しかし最近では、amazonなどインターネット通販の発達によって、田舎でも買い物で困ることはほとんどない
- Q 子どもがきちんと学校に通えるか不安
- A 高校からは遠方に進学する人もが多いが、小中学校はバスで通学できるケースもある。引越し前に子どもの通学方法や経路を確認しておこう
- Q 古民家に住みたいけど注意点はある?
- A 古民家はその造り上、断熱性が低い。冬場はとにかく冷える。暖房器具をきちんと用意し、リフォームでドアを二重にするなど寒さ対策を施そう
田舎暮らしができる物件の探し方
ここからは、田舎暮らしをスタートするための方法を伝授! あこがれはあるけれどイマイチどう始めていいのかわからない田舎暮らし。
これさえ読めば、夢の田舎暮らしが現実になる!
①.優先順位を決めて住みたい地域を決める
田舎に住む場合でも部屋を選ぶ際は、条件の優先順位づけをしよう。一口に田舎と言っても、山に海、湖に森と千差万別。どのような環境で、どのように住みたいかを具体的にすること。同時に家賃や広さ、通勤範囲などの条件を決め、住みたい地域を絞り込もう。

②.住みたい地域の空き家バンクに登録する
田舎で物件を探すなら「空き家バンク」に登録するのがおすすめ。空き家バンクとは、地方自治体が空き家の情報を提供する仕組みのこと。民間の不動産会社では取り扱ってない物件を紹介してもらえる。

③.気になる物件を見つけたら内見の段取りをつける
空き家バンクの登録物件は、各自治体のホームページに掲載される。気になる物件を見つけたら自治体の担当職員に問い合わせよう。内見の段取りは自治体によって異なり、案内してくれる場合もあれば、連絡先を教えてもらいオーナーと直接交渉する場合もある。

4. 物件を気に入ったら契約交渉をする
物件に住みたいと思ったらオーナーと契約交渉。基本的には、オーナーと直接話し合うことになる。また、自治体によっては地元住民との面談を設けていることも。

田舎暮らしビギナーにもオススメ! おすすめ自治体の紹介
最後に、田舎暮らし初心者でも暮らしやすい、田舎暮らしにおすすめの自治体をご紹介。いずれも自然に囲まれた魅力的なエリアなので、ぜひ参考にしてほしい。
静岡県南伊豆町
東京から約3時間半の場所にあり、日本の渚100選の「弓ヶ浜」などが人気の温暖な観光地。短期のお試し移住制度のほか、長期滞在の場合は家賃補助(1〜5年)、家財処分・リフォーム費用補助などの支援制度がある。
URL:http://www.town.minamiizu.shizuoka.jp/docs/
TEL:0558-62-1121(南伊豆町企画課地方創生室)

愛知県豊田市
“クルマのまち”として知られるが、2005年の市町村合併により香嵐渓などの広大な自然に恵まれた。賃貸契約が成立した空き家には改修費補助の助成があるほか、家計に優しい支援制度も多数。子育て世代に特におすすめ。
URL:http://www.city.toyota.aichi.jp/kurashi/sumai/akiyabank/
TEL:0565-34-6629(豊田市地域支援課)

三重県紀北町
世界遺産「熊野古道伊勢路」、日本有数の透明度を誇る「銚子川」などがあり通年多くの人が訪れる魅力あふれる街。リアス海岸と熊野灘に恵まれ海辺に住むこともできる。中学生まで医療費無料なので子育てにも◎。
URL:http://www.town.mie-kihoku.lg.jp/hpdata/gyosei/akiya/
TEL:0597-46-3113(紀北町企画課)

人生は一度きり! あこがれの田舎暮らし、実現するなら今しかない!
自然に囲まれた住環境で、自分がやりたかったこと、好きなことをとことん追求できる田舎暮らし。一度しかない人生、ぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか。
文=綱島 剛
イラスト=ナカオテッペイ
※「CHINTAI2018年7月号」の記事をWEB用に再編集し掲載しています
※2021年2月加筆=CHINTAI情報局編集部