賃貸物件を借りるときに保証会社の利用を拒否したら、どうなるの?【CHINTAI法律相談所】

賃貸物件を借りるときに保証会社の利用を拒否したら、どうなるの?【CHINTAI法律相談所】

公開日:2022年11月14日

賃貸物件に関する疑問に弁護士がアドバイス

賃貸にまつわるトラブルや疑問について解説する【CHINTAI法律相談所】。

入居前から入居中、退去時まで、さまざまなタイミングで発生しやすい賃貸トラブル。その疑問や対応について、不動産トラブルに強い瀬戸仲男弁護士に聞いた。

賃貸トラブルは、いつ巻き込まれてしまうかわからない。現在トラブルにあっている人だけでなく、これから賃貸物件を借りる予定の人もぜひ参考にしてほしい。

瀬戸仲男さん
瀬戸仲男 弁護士

「アルティ法律事務所」所長。東京弁護士会、および東京簡易裁判所・民事調停委員に所属。顧問弁護士業務や遺産相続など取扱分野は多岐に渡り、特に不動産問題に精通している。弁護士になる前に不動産会社に勤務しており、不動産業界・実務にも詳しい。テレビやラジオなど多数のメディアに出演し、不動産関係の講演も行っている。
アルティ法律事務所 公式HP

Q.賃貸契約だと保証会社を利用しないとダメ? 保険料がかかるし、入りたくない!

気になる部屋を見つけたんだけど、保証会社の利用を求められた。保証料は高いし、契約時の手数料もかかるから加入したくない。保証会社への支払いを拒否したら、どうなる? 

A.「保証会社利用必須」の物件で加入を拒否すると部屋を借りられない

賃貸物件で入居者が家賃を滞納した場合、入居者に代わって家賃の支払いを保証する「家賃保証会社」。その利用には当然、料金がかかるので、入居希望者の中には避けたいと思う人もいるだろう。

賃貸借契約における家賃保証会社への加入について、法的な義務はない。しかし、賃貸物件の入居条件として「保証会社利用必須」と記載されていたなら、保証会社の利用を拒否できない。正確に言うと、保証会社の利用を拒否すると、「入居条件を満たしていない」として入居のための審査を受けられないのだ。

保証会社の利用が必須条件なら、「代わりに連帯保証人を立てる」と言っても、部屋を借りることはできない。もちろん、交渉自体はしてみても良いと思うが、対応してくれる物件はほとんどないだろう。

一方で、「保証会社利用可」という物件や、保証会社の利用について特に記載されていない物件の場合は、利用を拒否できる。入居条件でないのであれば、不動産仲介会社から利用を勧められても断って問題ない。

ただし、仲介会社が利用を勧める理由をきちんと確認しておこう。「物件の入居条件ではないが、大家さんが保証会社の利用を望んでいる」というケースがあるからだ。もちろん、入居の条件でないなら、保証会社を利用しないことだけを理由に審査に落ちることはないだろうが、審査上不利になる可能性も否定できない。

現在では保証料は必要コストと納得するのが無難

保証料を払いたくない気持ちは理解できるが、最近では保証会社利用を条件とする物件が増加。2020年度では家賃債務保証会社の利用率は約8割にまで上昇している(国土交通省調べ)。

つまり、保証会社への加入が必要な物件を避けてしまうと約8割の物件が借りられないことになる。そうなると、納得いかなくても現実的に加入するのが無難といえる。保証料はかかるが、連帯保証人を立てなくて済むことや、審査が通りやすくなるというメリットもある。「保証料の支払いは必要な初期費用」と受け入れるしかないだろう。

なお、賃貸借契約後、または契約更新時に保証会社の加入を求められた場合は、断ることができる。契約の変更には両者の合意が必要なので、「条件に従わないなら出ていけ!」と退去を命じることはできない。しかし、「何度も家賃を滞納している」など契約変更に正当な理由がある場合は、保証会社を利用して契約更改しなければならない可能性が高い

ここがポイント!

家賃保証会社の利用を拒否できるかは賃貸物件の条件次第となります。「必須」としている物件ではほとんどの場合、拒否すると部屋を借りることはできません。最近では大半の物件が、保証会社の利用を必須としているので「保証料は初期コスト」と考えた方が堅実でしょう

覚えておきたい用語「家賃保証会社」

正確には「家賃債務保証会社」と言い、入居者の債務を保証する会社を指す。入居者が家賃を滞納した場合、大家さんに滞納家賃を立て替えて支払ってくれる。もちろん、「保証会社が支払ってくれるから自分は滞納してもよい」というわけではない。保証会社が支払ってくれても、自分で支払わない状態が続けば、契約を解除されて退去させられる。実際にそういった判例もある。

大家さんからすると、家賃の支払いが保証され、滞納家賃を回収する手間も省ける。そのため、保証会社の利用を必須とする物件は増加傾向にある。

保証会社が保証の債務を引き受けてくれるため、利用すれば「連帯保証人は不要」とする物件も多い。最近では、連帯保証人を立てるのが難しい人も増えてきており、保証会社の利用を望む人も少なくない。

取材・文=綱島剛(DOCUMENT)

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