賃貸物件の室内やベランダで、たばこを吸っても良い?【CHINTAI法律相談所】

賃貸物件の室内やベランダで、たばこを吸っても良い?【CHINTAI法律相談所】

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賃貸物件に関する疑問に弁護士がアドバイス

賃貸にまつわるトラブルや疑問について解説する【CHINTAI法律相談所】。

入居前から入居中、退去時まで、さまざまなタイミングで発生しやすい賃貸トラブル。その疑問や対応について、不動産トラブルに強い瀬戸仲男弁護士に聞いた。

賃貸トラブルは、いつ巻き込まれてしまうかわからない。現在トラブルにあっている人だけでなく、これから賃貸物件を借りる予定の人もぜひ参考にしてほしい。

瀬戸仲男さん
瀬戸仲男 弁護士

「アルティ法律事務所」所長。東京弁護士会、および東京簡易裁判所・民事調停委員に所属。顧問弁護士業務や遺産相続など取扱分野は多岐に渡り、特に不動産問題に精通している。弁護士になる前に不動産会社に勤務しており、不動産業界・実務にも詳しい。テレビやラジオなど多数のメディアに出演し、不動産関係の講演も行っている。
アルティ法律事務所 公式HP

Q.賃貸物件の室内って喫煙OK? ベランダでなら、たばこを吸って良いの?

最近では喫煙禁止エリアが増えて、たばこを吸える場所が少なくなっている。せめて自宅ではたばこを吸いたいのだけど、賃貸物件での喫煙はOK? 室内はダメでもベランダでなら吸って良い? 喫煙のルールを知りたい!

A.賃貸物件内での喫煙は契約次第

室内で喫煙できるか否かは賃貸借契約書の内容による。室内での喫煙が契約で禁止されていたら、当然NGだ。ルールを破って喫煙をしたら違約金を請求されたり、退去を勧告されたりする。強制退去が認められるケースは少ないだろうが、規約違反がトラブルに発展する可能性が高いことは間違いない。

逆に、喫煙について特に賃貸借契約書に記載されていないなら、室内での喫煙もOK。ただ、喫煙によって壁や床が汚れたり、臭いが残ったりした場合は退去時に支払う原状回復費が高くつく可能性がある。金銭的なリスクはあるが、たばこを吸うこと自体は自己責任として認められる。

室内で喫煙して良いかを知りたいなら、まずは賃貸借契約書を確認。書類がなかなか見つからないようなら、直接管理会社に確認してみると良いだろう。

ベランダでの喫煙は規約で禁止されていなくても難しい

ベランダでも、喫煙の可否は賃貸借契約の内容に大きく左右される。集合住宅におけるベランダは「共用部」に該当する。そのため、契約書に「共用部は火気厳禁」などと明記されていたら、当然ベランダでの喫煙は禁止だ。ただ、室内と異なり、契約書に明記されていない場合でもベランダの喫煙には要注意。たばこの煙と臭いが「近隣住民への迷惑行為」となる恐れがあるからだ。

大家さんとの契約上は問題なくても、近隣住民がたばこのニオイを嫌ったり健康面に気をつかっていたりすると迷惑と感じてしまうだろう。結果、ベランダでの喫煙はクレームに繋がりやすい。場合によっては健康被害を理由に慰謝料を請求されることも。そこまでのトラブルに発展しなかったとしても、近隣住民と揉め事を起こしたら住みづらくなるはずだ。

加えて、近隣住民から管理会社にクレームが入った場合には注意勧告を受けるだろう。もし注意を無視して喫煙を繰り返したら、周囲への迷惑行為を理由に、退去を勧告されることもあり得る。そういった事態を避けるために、ベランダでの喫煙には近隣住民への配慮が必要。火事を起こさないように注意するのはもちろん、時間帯や風向きに気を付けたり、吸う本数を減らしたりするなど、周りに迷惑をかけないように注意しよう。

なお、電子たばこの場合、交渉次第では室内やベランダで喫煙できるかもしれない。喫煙を禁止する目的は、たばこの火による火事や、煙と臭いによる室内の損耗を防止するため。その趣旨を考えると、火や煙が出ない電子たばこの喫煙は交渉によって認められる可能性がある。もちろん、理屈ではそのように言えても、実際は各賃貸物件のルールが優先される。電子たばこの喫煙については、管理会社などに直接確認し、交渉してみると良い。

ここがポイント!

喫煙の可否は賃貸借契約書や使用細則などの内容によって異なります。喫煙を禁止されていないか、契約書など契約時にもらった書類を調べてください。またベランダでの喫煙については、規約で禁止されてない場合でも、近隣住民に配慮することが大切。もし喫煙を注意されたら時間帯や本数を制限するなど、住民と話し合って妥協点を探ってルール作りをするのも良いでしょう

覚えておきたい法律用語「慰謝料請求」

喫煙トラブルの場合、主に「健康を害したか否か」が争点になる。近隣住民が被害を受けていると感じる場合は慰謝料請求を求めて訴訟に発展することもある。慰謝料請求についての規定は民法710条に定められている。

民法701条
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

民法 – e-Gov法令検索

喫煙による健康被害は財産以外の損害なので、慰謝料請求に該当する。ただ、健康への被害は立証が難しい。嗜好品としてたばこを嗜む程度では損害として認められることはないだろう。とはいっても迷惑行為として捉えられる可能性は十分にある。たばこを吸う際は周りに配慮することが大前提だ。

取材・文=綱島剛(DOCUMENT)

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