【事実婚と同棲の違い】メリット・デメリット、手続きや注意点を解説

公開日:2022年1月28日

パートナーとの同居。事実婚と同棲はどう違う?

夫婦別姓を望んでいたり、入籍する必要性を感じなかったりと、さまざまな理由から注目されている「事実婚」

この記事では「事実婚」と「同棲」、そして「事実婚」と「法律婚」のそれぞれの違いについて解説する。事実婚のメリットについても紹介していくので、新しい選択肢の1つとしてチェックしてほしい。

2022年現在、事実婚をしている編集部Aのコメントと共にお届けします!

編集部A:

2年ほどの同棲を経て、2020年に住民票を夫の世帯に移動する形で事実婚を選択。現状大きな不便はないが、遺産相続や住宅ローンなどを考えると、夫婦別姓ができるようになったら法律婚にしたいなあと思っている。

そもそも事実婚とは何か

事実婚とは、戸籍上の男女が、法律上の婚姻届を出していないものの夫婦としての結婚の意思と実態がある状態のこと。

二人が婚姻の意思をもっており、お互いが夫婦関係と認識しながら一緒に生活を送っているなど、「結婚と同等」の状態であれば事実婚として認められる。具体的に、以下のような特徴がある。

  • 生計を共にして共同生活を送っている
  • 住民票や社会保険など公的手続きで事実婚を証明している
  • 子どもを認知している

婚姻届の提出の有無以外に、異なる点がないようにも思える法律婚と事実婚。実際には、一部のサービスや契約などができないこともあるため、まずは法律婚と事実婚の相違点を紹介していく。

住民票を置いている地域の市役所・区役所などに行って、「住民票の移動」をして世帯を一緒にしました。事務手数料がかかるのですが、保証人も不要で、簡単にできましたよ。
婚姻届に比べると書類がかなり簡素で、結婚証明書ももらえないのがちょっと残念でした。

法律婚と事実婚との違い

事実婚 同棲 違い1

法律婚と事実婚は、いくつかの場面で同様の恩恵を受けられる。しかし、なかには法律婚で得られるメリットが、事実婚では受けらない場合もある。以下に、法律婚と事実婚の違いを表にしてまとめてみた。

  項目 法律婚 事実婚
手続き 婚姻届 提出する なし
戸籍 同じになる
どちらかを名乗る 変わらない
住民票の 続柄 世帯主と妻
世帯主と夫
世帯主と妻(未届)
世帯主と夫(未届)
※一緒にする義務はないが、
証明になる場合がある
税金 ・配偶者控除
・配偶者特別控除
受けられる 受けられない
・相続税
・贈与税
受け取れる 基本的に受け取れない
配偶者を受取人とする
生命保険での
生命保険料控除
受けられる 受けられない
社会保険 健康保険の
被扶養者
できる
国民年金の
第3号被保険者
できる
遺族年金の
受け取り
できる
保険 生命保険受取人 できる 保険会社による
相続 財産相続の権利 ある 遺言書や
生前贈与が必要
生活 住宅ローンの
連帯保証人や連帯債務者
できる
携帯電話の家族割 できる
子ども 子どもの親権 共同 原則は母親
不妊治療の助成金 受けられる
離婚 財産分与 できる
・慰謝料
・養育費請求
できる

事実婚でも、健康保険への加入や財産分与請求などが可能だ。しかし、「子どもの親権」「遺産相続」「税金控除」などの点において、法律婚とは異なる扱いを受けることになる。

子どもの親権

法律婚では子どもが生まれた場合、子どもは両親の戸籍に入り親権は共同になる。一方、事実婚は原則として母親の戸籍に入り、共同親権者にはなれない。父親の姓を名乗る場合、基本的に認知届を出すことになる。

遺産相続

事実婚ではどちらかが死亡した場合、法定相続人にはなることができない。そのため遺言書に残したり、生前贈与したりする必要がある。

税金の控除

また、法律婚では受けられる配偶者控除と配偶者特別控除が事実婚では受けられない。税金の支払い額が増え、世帯収入が減ってしまうおそれがある。

私の場合、事実婚の相手を保険の受取人に設定するのが少し面倒で、いまのところ全部は対応していません。遺言書などももう少し先でいいかなと考えています。
子どものいない共働きなので、親権や控除については不便を感じていません。

なお、これらの制度を利用するには、夫婦が事実婚をしていることを証明しなければならない。のちほど事実婚の証明方法について解説しているため、そちらもチェックしてほしい。

事実婚をするメリット・注意点

事実婚を検討している場合は、以下のメリットと注意点を知っておこう。

メリット 注意点
・夫婦別姓のため面倒な手続きが必要ない
・戸籍に履歴が残らない
・手術の同意署名や病状説明を受けられない場合がある
・賃貸や保険などの契約に手間がかかる

日本では(選択的)夫婦別姓が導入されていないため、入籍をしたあとはどちらかの姓を名乗ることになっている。一方、事実婚は名字を変える必要がなく、各所への変更手続きも不要となることが多い。

なお、姓が変わると少なくとも以下の変更手続きをしなければならない。

姓が変わると変更手続きが必要なものの例

  • マイナンバーカード
  • 健康保険や国民年金
  • 印鑑
  • 銀行口座やクレジットカード
  • 免許証
  • 携帯電話
  • 会社やフリーランスの場合の契約

上記で挙げた以外にも、会員登録をしているECサイトの情報なども変更する必要がある。これらの手続きの多くは仕事の合間や休日などにおこなうことになり、名字を変えた側の負担は大きい。その点、事実婚は名字の変更が発生しないため、面倒な手続きが必要ないのだ。

同棲のまま事実婚をしたので、どちらの名前も住所も変わらず、生活はほとんど変わりませんでした。名字を変えた友人からは手続きが大変だったと話を聞くので、だいぶ楽ちんだったと思います!
大家さんには、契約の際と続柄に変更があったということで、不動産会社を通じて「事実婚の夫婦になりました」とお知らせしましたよ。

また、事実婚を解消しても、戸籍に変更がないため離婚歴が残らない。仮に別の人と法律婚をすることになった場合は初婚となる。

反対に注意したい点は、お互いの関係性が証明しにくいことだ。事実婚の夫婦は配偶者として証明がしづらいため、夫婦どちらかが入院や手術をすることになっても、署名ができなかったり病状説明を断られたりする場合がある。

また、証明のしづらさゆえに、法律婚と比べると契約関連など、手続きに時間や手間がかかることも多い。会社によって対応が異なる場合があり、スムーズに契約にいたらないケースもある。

同棲と事実婚の違いとは?

事実婚 同棲 違い2

同棲は、交際中のカップルが「お互いを夫婦関係」とは認識せずに同居をしていることを指す。結婚に向けて同居しているカップルも多いが、お互いが「恋人関係」という認識であれば同棲である。

同棲をするメリット・注意点

デメリットや注意しなければならない点が多いように思えるが、同棲にはいくつかのメリットが存在する。ここからは具体的なメリットと、同棲の前に注意すべきポイントについて解説していく。

カップルが同棲をする際に得られるメリットと注意点を以下の表にまとめたので、1つずつチェックしていこう。

メリット 注意点
・お互いの価値観や生活するスタイルを確認できる
・生活費の負担を分け合うこともできる
・忙しくても一緒にいられる
・結婚するタイミングを見づけづらい
・不貞行為(浮気)をされても慰謝料を請求することが難しい
・同棲を解消しても財産分与などがない

同棲をすることで、一緒に住まないとわからないお互いの生活スタイルや価値観を確認できる。衛生観念や苦手な家事など、細かいすれ違いがあるとストレスになるため、結婚前にわかるのはメリットだ。また、家賃や生活費の負担が減ることになる。頻繁にお互いの家を行き来していたカップルであれば、その恩恵は大きなものになるといえるだろう。

生活費を2人で折半できるようになったのが本当に大きかったです。

また、忙しくても一緒にいる時間を確保できるのも大きなメリットだ。お互いの予定を合わせずに済むため、貴重な時間も有効に活用できるようになるだろう。

仮にどちらかが浮気をしても慰謝料請求などの権利がなく、泣き寝入りする方も多い。なお、事実婚では不貞行為(不倫)が原因で解消をした場合は、法律婚と同じように慰謝料を請求できる。

事実婚と同棲の違いを証明する方法はあるの?

事実婚と同棲の違いは、本人や周囲の人が夫婦関係として認識している点だ。しかし、手続きや契約をする際に、口頭の説明だけでは事実婚であることを証明できない。

住民票が便利

事実婚を証明するために有効なのが住民票だ。同一世帯で、続柄の記載が世帯主と妻(未届)/夫(未届)になっていれば、事実婚が証明される。

また、自治体によっては「パートナーシップ制度」がある。「パートナーシップ制度」は、同性カップルなどが法律婚と同様の権利やサービスを受けるための制度だ。一部の自治体では異性カップルの事実婚も認めており、結婚に相当する関係を認める証明書を発行してもらうことができる。

事実婚に際して公正証書や遺言書をつくるという方法もあるのですが、それだけで結構な金額がかかってしまうので、わたしたちは住民票だけで済ませています。
両実家との関係性がそこまで面倒ではないので、何かあればそれぞれの親と相談してしまおうという考えもあります。

事実婚の制度をうまく利用してみよう

パートナーと一緒に生きていきたいが、「婚姻届」という形を取る必要はないと考えるカップルも増えてきており、その選択肢のひとつとして事実婚がある。

事実婚をすることで不利になる面もある一方、夫婦別姓などのメリットも多いため、十分に検討して自分たちにとって最良の選択をしていこう。

よほど近しい関係だったり、書類などの影響があったりという訳でなければ、「事実婚です」ということをあえて周りに伝えなくてもいいと思います。
わたしたちはこういう選択肢があって本当によかったなあと思っているので、参考になればうれしいです!

CHINTAI編集部
CHINTAI編集部

1992年創業、お部屋探しや生活の情報を発信してきた株式会社CHINTAIが運営するWebメディア。引越しに関する情報はもちろん、家事や家計、季節の楽しみなど日々を豊かにする知識を調査・ご紹介。
不動産店舗での業務経験者、宅建試験合格者などお部屋探し分野のプロも活躍する編集部が、新生活に役立つ情報をお届けします。

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