【二人暮らしのテレワークインテリア】インテリアコーディネーターが教える3つのコツ
棲み分けとルールづくりがポイント! インテリアコーディネーターが具体的な間取りで解説!

コロナ時代の到来により、予期せぬ形で突入してしまった「テレワーク」や「WEB会議」の日々。
二人暮らしや家族と同居している人にとっては、仕事環境がいまひとつ整わず、調子が落ちている人も多いのではないだろうか。
まだまだ続きそうなテレワークやオンラインでのおうち仕事。
パートナーや家族がいても効率よく楽しく進められるインテリアのコツを、インテリアコーディネーターのMAKOさんに聞いた。
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テレワークのお悩み解決! 二人暮らし・家族同居のおうち仕事に多い3大お悩み
テレワークになると、仕事のタイミングは人それぞれ。自分は締め切りに追われていても、相手は気分転換のコーヒーブレイク中だったりする。
「まぁいいか」と諦めると仕事に響くし、相手の行動にいちいちイライラするのも得策ではない。
ここからは二人暮らし・家族同居のテレワークで多いお悩みを、インテリア視点で解決していく。
【お悩み①】「生活音が気になる」の原因と解決方法

オフィスでは気にならなかった人の話し声も、なぜか家の中の相手の音には敏感になってしまうもの。特に仕事をしているときに、パートナーや家族がテレビを見たり音楽を聞いたりしていると、こちらの集中力が削がれてしまう。
しかし相手には相手のリズムがあり、リラックスするはずのテレビや音楽を遠慮してもらうのも心苦しい。ならばこちらがヘッドフォンやイヤフォンを着用し、外界から遮断するのがベストだろう。
また相手の姿が目に入らないように、壁に向かって机を置いたり、目隠しのパーテーションを設置するのも有効だ。
人が得る情報は約90%が視覚からなので、「見えないこと」は脳に余計な情報を入れずに済み、集中力もキープできる。
【お悩み②】「1人になる時間がない」の原因と解決方法

二人暮らし以上で部屋が分けられるのであれば、仕事の間だけでも別々のスペースで仕事をするようにしよう。
例えばベッドルームとダイニング、ベッドルームとリビングなど、物理的に別々の場所にいるようにすれば静かな1人時間が確保できる。
「テレビの上にぬいぐるみが置いてある間は仕事中」「イヤホンをしている間は極力話しかけないでほしい」など、最初にお互いのルールづくりをしておくと、イライラや喧嘩も減少する。
またWEB会議が入った場合は、「個室デスクを優先的に使える」など決まりを作っておけば安心だ。コンプライアンスの側面からも、WEB会議は個室の方が適している。
社外秘書類なども、2人以上で暮らしている場合は書類の取り扱いに注意が必要。
机の上に出しっぱなしにせず、オン/オフを切り替える意味でも、しっかりファイル管理をして収納する癖をつけるといい。
【お悩み③】「書斎がほしい」の原因と解決方法

以前から多かった「書斎がほしい」「仕事部屋がほしい」という声は、テレワーク時代を迎えてさらに大きくなってきた。「専用スペースなんて無理」と諦めた人に朗報がある。
最近耳にするようになった「クロッフィス」という言葉をご存知だろうか。
クローゼットとオフィスを組み合わせた造語で、クローゼットをオフィスのように利用する手法のこと。
海外では以前から活用されていたが、今や日本でもテレワークが進み、再び注目されている。
普段あまり活用できていないクローゼットを、クロッフィスにすることでテレワークスペースとして蘇らせれば、小さな自分だけの書斎ができあがり、まさに一挙両得。
クローゼットの天板を利用したり、小さなデスクを入れるなど、あれこれ考えて造り込んでいくのも楽しい。
二人暮らしのテレワークインテリア作りの基本知識
自由気ままな一人暮らしとは違い、2人以上が暮らす部屋では音やスペース、互いの存在が気になるため、双方の気遣いが必要になる。
その代わり、広めのリビングがあったり、各個人の部屋があったりと、スペースに余裕があることが多いので、「ルールづくり」と「棲み分け」さえしっかりしてしまえば、お互いのテレワーク環境を整えやすい。
ここからは基本的な家具選びから解説していこう。
ダイニングテーブルを活用! 部屋を振り分けて快適テレワーク
2人並んで仕事をすることを想定するなら、お互いの肘がぶつからないように横幅1500cmはほしいところ。
奥行きは60cmあればデスクトップPCを余裕で置けるが、40~50cmあれば仕事に困ることはない。
ただ二人暮らしの場合、「仕事もプライベートも一緒」となると息が詰まるのも事実。
できれば仕事は別々の場所でするのが理想的だろう。
2LDKあれば、それぞれの部屋に小さめのデスクを用意することも可能だが、1LDKや1DKの場合、1人はダイニングテーブルを活用し、もう1人はベッドルームにデスクを置くのが現実的。
これなら部屋が分かれてWEB会議なども遠慮なくできるうえ、仕事中は相手の姿が目に入らないので集中力もキープできる。
しかも新しいデスク購入は1台でOK。余計なスペースも取られなくて済み、出費も最小限におさえられる。
ベッドルームに適したデスクを選ぶ際はスペースを考慮し、手狭な印象にならないものを購入しよう。1cm刻みで注文できる手頃なデスクも増えているので、ぴったりなサイズを入手したい人は探してみよう。
ベッドルーム用のデスクなら、奥行きの浅い「コンソールテーブル」という選択肢もある。
テレワーク収束後には、大きめの鏡を置いてドレッサーとしても利用できるので、無駄な買い物にはならない。
テレワーク用の家具を購入するなら、後々のことを考えて汎用性が高く長く利用できるものを選ぼう。

デスクでもダイニングでも、入手するならコンパクトで疲れないイスを!

ベッドルームに置くなら、邪魔にならない背もたれが薄いオフィス用のイスがオススメ。
アームのないコンパクトなタイプなら、使っていないときはデスクの中に収容できてスッキリ見える。
ファブリック仕立ての落ち着いた色などを選べば、寝室にあってもしっくりと馴染むのでオススメ。
ダイニングを利用する場合は、作業しやすいものであればダイニングチェアをそのまま利用してもOK。
ただし仕事の場合は長時間座りがちなので、骨盤を立たせて姿勢をキープできるサポートクッションなどがあるといい。ただでさえ運動不足になりがちなテレワークなだけに、腰痛や肩こりで悩まされないようグッズを活用しよう。
おすすめグッズ:骨盤サポートチェア ボディメイクシートスタイル
仕事チェアを買い足す場合は、背もたれはないが長時間利用でも疲れない「シューメーカーチェア」がオススメだ。
同じ姿勢で仕事をする靴職人のために改良が重ねられたこのイスは、座面がお尻の形になっており、3本脚で安定感も抜群。
スタイリッシュなデザインでインテリアの邪魔にならず、来客があっても気軽に使えるので、一脚は持っていても損はない逸品だ。

一人二役のダイニングテーブルは、移動収納を賢く使う
ダイニングテーブルを仕事用として利用する場合、食事やティータイムのときには仕事道具をすべて片付けなければならない。
そんなとき、役立つのがデスクワゴンやキッチンワゴンなどの移動式の収納家具だ。
背が低いタイプならダイニングテーブルの下など、見えないところに片付けられるうえ、もし寝室のデスクと場所を替えたいときにも移動が簡単。
汎用性が高いので、テレワークが収束した後もキッチンワゴンや移動収納として利用できる。
おすすめグッズ:アイリスプラザ キッチンワゴン
ダイニングテーブルは部屋の中央に置かれることが多いので、ケーブルに足などが引っかからないよう手元を照らすデスクライトや充電器などもコードレスのものを探そう。
もし可能なら、ダイニングテーブルの一辺を壁につけるレイアウトに変更するのもいい。
パソコンや携帯などの電源を確保する際も、壁際の脚などに這わせてまとめれば、安全なうえにインテリアとしてもすっきりする。
おすすめグッズ:ROSENDAHL COPENHAGEN(ローゼンダール コペンハーゲン)ソフトスポット ポータブルランプ
【1LDK】テレワークインテリアの作り方

二人暮らしでのテレワークなら、仕事スペースをはっきりと分けることが一番の肝になる。
その際、1人はベッドルーム、もう1人はダイニングを利用すると、最低限の新規家具導入でテレワーク環境が整う。
仕事に集中したいタイミングが同じとは限らないので、ルールづくりも重要。時間を決めてお互い静かにするという約束でもいいし、「仕事中」のサインを出すのでもいい。周囲がうるさくても集中できる人もいれば、人の気配だけで気になってしまう人もいる。パートナーや家族といえども、礼儀や気遣いは必要だ。
特に人が集まりやすいリビングやダイニングで仕事をする人は、ヘッドフォンや間仕切りなどをうまく取り入れて、集中力をキープできるよう工夫しよう。
テレワークに合わせたインテリアで、楽しく快適な二人暮らし・家族暮らしを!
さまざまな悩みをもたらすテレワークだが、パートナーや家族と暮らしていれば会話をする相手もいて気分転換もできるので、孤独感や閉塞感も感じることは少ない。
おこもり仕事で気分が暗くなる人が多いなか、ちょっとした話ができる相手がいるのは幸せなことかもしれない。
日々の生活は、そこに暮らす人たちが創り出していくもの。決まりやルールなどをこの機会に話し合っておけば、パートナーや家族の仕事への取り組み方が改めて理解できる。
2人以上が一緒に住めば、そこは立派な社会。相手を思いやりながら、快適で温かいテレワーク環境を整えたい。
教えてくれたのは?
MAKO(小島真子)さん
株式会社Laugh style代表/インテリアコーディネーター。「それぞれのライフスタイルに合ったコーディネートの提案」を軸に、法人・個人のインテリアコーディネート、セミナー講師、コンサルティング、メディア出演などで幅広く活動中。HPはこちら!
取材・文=元井朋子
イラスト=uca U