賃貸の保証会社・家賃保証会社とは?保証人がいても必要?保証会社に聞いた

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賃貸物件を借りるとき、賃貸保証会社家賃保証会社とも呼ばれる。以下、保証会社)を利用することが一般的になってきている。以前は連帯保証人を立てることが主流だったが、最近では保証会社の利用を必須条件とする物件も増えてきた。

「連帯保証人がいるのに、保証会社の利用が必要なの?」と思う人もいるかもしれない。しかし、保証会社には、家賃の支払いを保証するだけでなく、契約をスムーズにする役割もある。

この記事では、賃貸保証サービスを行う株式会社エポスカードに取材し、保証会社の仕組みや利用するメリット、注意点などを聞いた。保証会社の実態について、担当者の話を交えながら解説していこう。

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監修、取材協力:株式会社エポスカード

家賃債務保証業者 国土交通大臣(2)第15号 丸井グループの一員としてクレジットカード事業を展開。クレジットカード事業に加え、家賃保証サービス「ROOM iD」を提供している。

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賃貸保証(家賃保証)の仕組みと保証会社の役割

賃貸保証は、入居者(借主)、管理会社や大家さん(貸主)、保証会社の三者によって成り立つ。入居者が契約時に保証会社と契約を結ぶことで、管理会社や大家さんへの家賃の支払いを保証してもらえる。

賃貸保証の仕組みには、大きく分けて2種類ある。1つ目は入居者が家賃を滞納した場合に、保証会社が管理会社や大家さんに弁済を行う「一般保証型」。滞納した家賃は保証会社から「未払金」として入居者に請求される。

一般保証型の保証会社の「家賃滞納時」の仕組みの図解

2つ目は入居者との契約に基づき、滞納の有無に関わらず保証会社が毎月管理会社や大家さんに家賃を支払い、借主に立替金を請求する「支払委託型」である。今回お話を聞いたエポスカードは、「支払委託型」の保証会社にあたる。

支払い委託型の保証会社の仕組みの図解

保証会社の役割とは?

保証会社は、入居希望者が連帯保証人を用意できない場合でも賃貸借契約を結べるよう、支援する役割を担っている。保証会社を利用することで、個人でも家を借りやすくなり、契約がスムーズになって、物件の選択肢も広がる。

保証会社には入居者の家賃の支払いを保証し、管理会社や大家さんに安定的な賃料収入を提供するという役割もあります。

「支払委託型」の保証会社は、毎月、管理会社や大家さんへ家賃を立て替え払いしています。管理会社や大家さんは確実に家賃を受け取れるため、安心して入居者に部屋を貸すことができるのです。

保証の対象は家賃だけではなく、管理費や共益費、駐車場代や更新料なども含まれることが一般的だ。契約によっては、退去時の原状回復費用が保証の対象に含まれるケースもある。

賃貸保証の利用率は約8割に拡大

国土交通省の資料によると2021年(令和3年)時点で、賃貸借契約の約8割で保証会社が利用されている。その背景には、高齢化により入居者が連帯保証人を頼める相手が減っていることがある。

また、家賃の回収やトラブル対応といった管理会社の負担を減らせるという貸主側のメリットもある。

民法改正により、保証会社の利用が加速

保証会社の利用が広がっている要因の一つとして、2020年の民法改正が挙げられる。この改正では、連帯保証人の保護が強化され、家賃債務の保証額に上限を設けることが義務化された。

連帯保証人の保証額の上限(限度額)が可視化されたことで、親族などに連帯保証人を引き受けてもらえないケースが増加し、保証会社を利用する入居者が増えています。

また、高齢化により連帯保証人になれる方が減っているという背景もあります。多くの物件が保証会社の加入を必須条件にしている中、家賃保証は「連帯保証人を頼める人がいない、頼みにくい」という方や単身世帯にとっても有効なサービスです。

賃貸保証(家賃保証)の保証料

賃貸保証を利用するためには、サービスの対価として「保証料」を支払う必要がある。ここでは、保証料の金額の目安や、決まり方について解説する。

保証料の金額相場について

契約時には、初回保証料」として0.5ヶ月分~1か月分の家賃相当額を支払うケースが一般的。

加えて、入居後は「月額保証料」として家賃の1%程度を毎月支払うことが多い。契約内容によっては、保証会社の「更新保証料」として、1年または2年ごとに1万円程度を支払うこともある。

保証料はどのようにして決まるのか

基本的には、管理会社や大家さんと、保証会社との協議によって決定される。物件の用途(居住用・事業用・駐車場など)ごとに保証料の金額は変わる。

保証会社やプランによって料金体系は異なる。契約前に、自分がどのタイミングでいくら支払うことになるのかを確認しておくと安心だ。

賃貸保証会社(家賃保証会社)を利用するメリット

保証会社を利用することで、入居手続きがスムーズになり、連帯保証人を立てる手間やコストなどを軽減できる。具体的にどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていこう。

連帯保証人を引き受けてもらえる人がいなくても、部屋を借りられる

保証料を支払うことで、保証会社が連帯保証人の役割を担う。そのため、親族に保証人を頼みにくい場合や適切な保証人が見つからない場合でも、スムーズに物件を借りることができる。

連帯保証人になってくれる人を探す手間が省けるほか、年収などを尋ねる心理的なストレスもなくなる。

ただし、連帯保証人と保証会社の併用を求められるケースもある。

敷金が減額される可能性がある

契約内容によっては、保証会社が家賃滞納や退去時の原状回復費用を保証することで、敷金が減額されるケースも。ただし、居住用の物件では敷金の減額につながるケースは少ない。

賃貸保証会社(家賃保証会社)を利用する注意点

保証会社の利用には多くの利点があるが、契約前に把握しておくべき注意点もある。

審査が必要になる

保証会社を利用するには、事前に保証審査を受ける必要がある。そのため、収入状況信用情報によっては審査に通らないこともある。

保証料がかかる

保証会社を利用する場合、前述のとおり初回保証料月額保証料などの費用が発生する。これは連帯保証人を立てる場合にはかからないコストのため、初期費用や更新時の支払い負担が増えることになる。

保証会社を利用することで、連帯保証人を用意する手間がなくなり、入居手続きがスムーズになります。

一方で、審査に通らないケースがあるほか、保証料がかかる点には注意が必要です。

賃貸保証の審査には何が必要?

書類に記入する女性の手元を写した写真

審査項目や審査基準は会社ごとに異なるが、各社で共通するチェックポイントも多い。ここでは、審査に必要な書類、審査にかかる日数について解説する。

審査に必要な書類・情報

保証会社の審査を受ける際、一般的には次の書類が必要になる。

本人確認書類

運転免許証、マイナンバーカードなど。

収入証明書

給与明細、源泉徴収票、確定申告書など。

勤務先の情報

会社名、勤務年数、連絡先など。

物件の情報

契約する賃貸物件の所在地、家賃、管理会社の情報など。

その他必要書類

そのほか、場合によっては在職(在籍)証明書、未成年の場合は親権者同意書など、追加の書類が求められることもある。

審査にかかる日数

最近はデジタル化が進み、保証会社の審査もスピーディーになっている。従来よりも短時間で結果が出ることが多くなり、スムーズに契約を進めやすくなった。

一般的なケース: 当日中に結果が出ることが多い
最短の場合:電子申し込みを利用すれば、数分単位で審査結果が出ることも
追加確認が必要な場合:2~3日以上かかることも

審査結果は当日中に出るケースが多いです。ただし、場合によっては追加の書類確認が必要になり日数がかかることもあります。

賃貸保証に関するよくある疑問と回答

Q1.入居者が保証会社の利用を拒否することは可能か?また、拒否した場合どうなる?

結論から言うと、入居者が賃貸保証会社の利用を拒否すること自体は可能です。

ただし、その場合でも賃貸借契約ができるかどうかは管理会社や大家さんの判断によります。

最近では、多くの物件で保証会社の利用が必須となっている。そのため、保証会社を利用しない場合、希望する物件に入居できない可能性が高い。物件を探す際には、保証会社の利用が必須条件になっているかどうかを確認しよう。

Q2.入居者が保証会社を選ぶことはできる?

可能です。ただし、管理会社や大家さんが決めるケースが一般的です。

Q3.連帯保証人がいても、保証会社の利用が必要なケースがあるのはなぜ?

昨今の家賃高騰に伴い、一個人(連帯保証人)の支払い能力では限界があるため、保証会社の支払い能力を求めていることが想定されます。

金銭的な保証は保証会社が担い、身元保証(何かあったときの連絡先)として連帯保証人を付けているケースが多いと考えられる。

Q4.保証料を安くする方法はあるのか?

基本的に、保証料は管理会社と協議のうえ保証会社が定めるものです。したがいまして、保証料の減額は一般的には難しいです。

保証の内容やリスクに応じて金額が設定されるため、交渉で安くできるケースはほとんどない。ただし、管理会社によっては、入居者を集めるために保証料を低く設定することもあるため、物件によって多少の差があることは考えられる。

Q5.賃貸保証会社を利用している場合、家賃を滞納するとどうなる?

家賃の支払い期限を過ぎると、保証会社から所定の方法で案内がきます。多くのケースでは、この時点で入居者から支払いが行われます。

滞納した場合、保証会社と借主(入居者)、貸主(管理会社や大家さん)の間で取り交わされた契約を元に督促が行われる。

その後も支払いがなされない場合は、保証会社が継続的に督促を行い、それでも対応がない場合は、最終的に弁護士を通じた法的措置に移る。一般的には、数ヶ月の滞納が続いた場合に法的措置が取られるケースが多い。

また、家賃の滞納が発生した場合、契約内容に基づいて延滞金(遅延損害金)が発生することがある。

保証会社を活用し、安心の賃貸ライフを

賃貸保証会社は、入居者がスムーズに物件を借りられるようサポートし、家賃の支払いを保証する重要な役割を担っている。連帯保証人を用意しなくても契約できるケースがある点は、入居者にとって大きなメリットだ。

一方で、審査に通らないケースがあるほか、保証料が発生する点には注意しておきたい。契約時に保証内容や費用をしっかり確認することが大切だ。

監修、取材協力=株式会社エポスカード
取材、文=佐々木正孝(キッズファクトリー)

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