プライベートでも『浦鉄』でも、妻であり母親。水野美紀が考える家族のあり方と愛情の注ぎ方

公開日:2020年4月17日

テレビ東京のドラマ24『浦安鉄筋家族』出演中!水野美紀さんにインタビュー

『浦安鉄筋家族』水野美紀さんインタビュー

©「浦安鉄筋家族」製作委員会

4月10日からスタートした、テレビ東京のドラマ『浦安鉄筋家族』(以下、『浦鉄』)。シリーズ累計発行部数4400万部を記録したギャグマンガのドラマ化作品で、浦安に住む大沢木(おおさわぎ)家を中心に繰り広げられるドタバタの日常を描いたホームコメディだ。

破天荒で自由人、超がつくほどのヘビースモーカーな父親、大鉄(佐藤二朗)が主人公。そしてその妻、順子を演じるのは水野美紀さん。順子は登場人物の中では比較的常識人でありながらも、破天荒な大鉄を唯一鎮められる力を持つ。

プライベートでも妻であり母親である水野さんは、大沢木家の中でどのように母親を演じているのだろうか。また、実写化不可能とも言われた問題作をどのようにドラマとして成立させているのかなどについても話を聞いた。

ぶっ飛んでいるけど、“この人たちは家族なんだ”と感じられる

『浦安鉄筋家族』水野美紀さんインタビュー

©「浦安鉄筋家族」製作委員会

―― 『浦鉄』の中で描かれている家族像は“昭和的”ですよね。

水野美紀さん(以下、水野) 今の時代から見たら古い家族像かもしれないですが、私が幼少期を過ごした時代的に考えると、リアルに経験していることなんですよね。亭主関白な父親が家の中でタバコを吸っているとか、わりと馴染みのある家族像で。

ただ、私にとってはリアルでも、若い人たちにはどう受け止められるのか気になるところではあります。

大鉄の“カートン吸い(タバコ1カートン丸ごと火をつけてタバコを吸う)”なんて時代的にも表現的にも厳しいですけど、1話目から描いてしまうことで強制的に世界観に引きずり込んじゃうようなところがありますね。

――ぶっ飛んだ設定とキャラクターが印象的な『浦鉄』ですが、順子についてはどう思っていますか?

水野 大鉄の妻である順子は登場人物の中では比較的まともで、地に足がついたキャラクターだと思っています。だからその役を演じることに関して何も疑問は持たなかったですね。

キレてプロレス技をかける演技も、私がアクションをできると瑠東(東一郎)監督がご存知だから声をかけてくださったのだと思っていますし。

『浦安鉄筋家族』水野美紀さんインタビュー

©「浦安鉄筋家族」製作委員会

―― 演じるうえで意識したのはどんなことですか?

水野 撮影に入る前に監督から、「しっかり家族愛を描きたい。家族の物語を描く中におもしろい要素が積み上がっていけば、作品として必ずおもしろくなるから」と言われたんです。

だから、原作のおもしろい部分を出しつつも、“この人たちは家族なんだ”と感じてもらえるよう意識しています。

―― その意識を演技にはどのように反映されているのでしょうか。

水野 監督から、シーンごとに「笑いナシで、家族愛を見せたいです」「ここは思いっきりぶっ飛ばしてください」といった具体的な指示をいただきながらお芝居をしているんですよ。

その線引きはドラマをご覧いただくとわかるようになっていると思いますが、それだけはっきり分けられていても、根っこの部分のキャラクターはブレていない。ふざけていてもまじめでも、“ちゃんと同じ人間なんだ”と感じていただけるはずです。

ダメな人のお世話をしたいDNAが、順子にも桜にもある

『浦安鉄筋家族』水野美紀さんインタビュー

(右)本多力演じる大沢木家の長男、晴郎 ©「浦安鉄筋家族」製作委員会

―― 順子を演じる中で苦労したのはどんなところですか?

水野 晴郎(本多力)のことを息子だと思えるようになるまで、すごく苦労しました。なかなか愛せなかったです(笑) そもそも本多さんが私と年齢が近いというのもありますけど、働かずに家にいて、ひたすら家計を圧迫し続けるので。

でも家族として一緒に過ごしていると、晴郎は晴郎として家族の中で重要な役割を担っていることがわかってくるんですよね。

―― そう思えるのは、水野さんが順子の感情を理解されているからこそかもしれませんね。

水野 順子って結局、ダメな人のお世話をしたいDNAがあるんですよ。娘の桜(岸井ゆきの)も、花丸木くん(染谷将太)という彼氏を選んでいますし。

―― 花丸木くんも、かなり特殊なキャラクターですよね。

水野 そう。だから桜の持つ愛情は、順子から受け継いだものなんだろうなと。そこにリアリティを感じたんです。

きっと順子も、大鉄や晴郎のお世話をすることで愛情を感じているんですよ。そうして自分の中で感情を理解することができましたね。

この人と夫婦役をできることに幸せを感じる

『浦安鉄筋家族』水野美紀さんインタビュー

佐藤二朗演じる大鉄(左)と、岸井ゆきの演じる長女・桜(右) ©「浦安鉄筋家族」製作委員会

―― メインキャスト陣の中で特に印象的な人をひとり挙げるとしたら、どなたでしょうか?

水野 やっぱり、佐藤二朗さんの存在は大きいですね。あれだけ破天荒なキャラクターなのに家族への愛情がにじみ出ている感じもあり、存在にリアリティがある。バランス感覚が本当にすごいんです。本当に、モンスターだなと思います。

二朗さんの演技を指針に、安心して妻として寄り添っているようなところはありますね。圧倒的な存在の父親を中心に家族が作られていくのを感じますし、二朗さんと夫婦役をできることに幸せを感じています。

―― 撮影以外の時間も、佐藤さんが中心になっているのでしょうか。

水野 そうなんです。二朗さんがコミュニケーションをとても大事にとってくださる方で、いつもみんなでいろんな話をしていますね。

何気ない世間話や他愛もない会話もあれば、リハーサルの中で湧いてきたアイデアを本番に活かせないかを話し合うことも多いです。

リアルな母親の視点から芝居のアイデアを

『浦安鉄筋家族』水野美紀さんインタビュー

©「浦安鉄筋家族」製作委員会

―― 水野さんはプライベートでも母親ということで、順子の役柄をイメージしやすかったところもあるのではないでしょうか。

水野 そうですね。母親の視点からお芝居のアイデアを出すことがあります。たとえば「家族で食卓を囲むときに、手数多くバタバタと動いていたい」とか。

そのほうが、家の中の忙しなさをリアルに感じていただけるんじゃないかと思ったんです。子供を抱えているお母さんって一日中家事に追われているじゃないですか。家事の大変さや手数の多さは普段から感じていることなので。

―― お子さんとの接し方なども、役に活かせているところはありますか?

水野 自分が母親になっていたことで、子供との距離感はイメージしやすかったです。大沢木家の子供たちに対して、愛情を伝えるときは伝えつつも叱るときはきっちり叱る、とか。私の子供はまだ小さいので同じようにそのままというわけにもいかないですが、産む前よりはイメージしやすくなっていたと思います。

―― プライベートでも『浦鉄』でも妻であり母親である水野さんにとって、家族のあり方にどんなイメージを持っていますか?

水野 自分も結婚してから4年くらい経って今思うのは、夫婦や親子の関係って、ケンカしたり仲直りしたりしながら、オリジナルのあり方ができていくものだと思うんです。

それは順子を演じるにあたっても意識しているところではあって、大鉄と順子が今に到るまでのいろんな歴史とかも想像しながらお芝居をしていますね。原作に描かれていないような背景まで想像しながら。

『浦安鉄筋家族』水野美紀さんインタビュー

©「浦安鉄筋家族」製作委員会

―― 『浦鉄』のドラマに描かれているのはどんな家族像だと思いますか?

水野 大沢木家はみんな、なんだかんだお互いのことを思い合っているんです。演技にもそれがにじみ出るように心がけています。ただ暴れまわったり、怒ったりしているだけじゃないんですよ。

―― 最後に、『浦鉄』を通じて視聴者の方に伝えたい、届けたいことはなんですか?

水野 今こんな時期なので、スカッと笑っていただいて、ドラマを観ていただくほんのわずかな時間でも現実逃避していただけたら嬉しいなと思います。

家族愛をしっかり描きつつも、ぶっ飛んだシーンのおもしろさはそのままに描いているので、原作ファンの方々にもお楽しみいただけると思います。ぜひご覧くださいね。

愛のある家族の物語を感じながらも、ぶっ飛んだ演出やセリフ回しに思わず「これは間違いなく『浦鉄』だ」と原作ファンも納得すること間違いなしのドラマ。

破天荒な父親をどうしても甘やかしてしまう家族や周りの人々の中で、唯一厳しくする愛情を持っている順子がいるからこそ物語に締まりが出ています。

水野さん演じる順子がこれから大沢木家をどうまとめ上げていくか、大鉄に妻としてどう寄り添っていくのか、ぜひ注目してご覧ください。

水野 美紀

俳優。ドラマ・映画・舞台で活躍中。それ以外にも舞台の脚本、エッセイ等の執筆活動に取り組んでいる。
昨年、AERA dot.で連載中のエッセイをまとめた著書「水野美紀の子育て奮闘記 余力ゼロで生きてます」(朝日新聞出版)を出版し、話題に。
フジテレビ系バラエティ「突然ですが占ってもいいですか?」(毎週水曜日 夜10時〜)、讀賣テレビ「水野美紀の映画生活(シネマライフ)」(毎週金曜日 夜10時54分〜、関西ローカル)にレギュラー出演中。

ドラマ24「浦安鉄筋家族」

毎週金曜 深夜0時12分〜
テレビ東京系で放送中!
※テレビ大阪のみ、翌週月曜 深夜0時12分放送
https://www.tv-tokyo.co.jp/urayasu/

動画配信サービス『ひかりTV』『Paravi』では
毎話放送後に配信中!

出演
佐藤二朗、水野美紀、岸井ゆきの、本多力、斎藤汰鷹、キノスケ、坂田利夫
染谷将太、大東駿介、松井玲奈、宍戸美和公/滝藤賢一

編集・ライター:鈴木 梢
1989年、千葉県市川市生まれ。出版社や編集プロダクション勤務を経て2019年からフリーランスに。主に日本のエンタメ/カルチャー分野の企画・執筆・編集を行う。もちもちしたものが好き。

取材協力:テレビ東京

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