大河ドラマ『麒麟がくる』第二回あらすじ＆イラストレポート【麒麟がきても、こなくても】
ファン目線で大河ドラマを楽しむイラスト連載！
ファン目線で『麒麟がくる』を楽しむ、大河ドラマ追っかけレポート！
毎週金曜日、前の週のおさらいを兼ねてあらすじとイラスト付きの感想をお送りする（以下、ネタバレを含みます）。
筆者コメント
「こんにちは。ドラマ好きのイラストレーター、渡辺裕子（わたなべひろこ）と申します。
歴史にはとんと疎く、明智光秀について知ってるのは本能寺の変くらい。歴史上の他の登場人物やできごとを知らないまま、普通のドラマを観るのと同じ視点で『麒麟がくる』をのんびり楽しみ、感想をイラストと共にお贈りします。どうぞよろしくお願いいたします」
『麒麟がくる』第二回「道三の罠」のあらすじ
十兵衛（長谷川博己）は約束どおり、鉄砲と名医・望月東庵（堺正章）を連れて美濃へと戻った。美濃には、織田信秀（高橋克典）の2万の軍勢が迫っていた。斎藤道三（本木雅弘）から旅の代金を「侍大将の首2つ」で返せといわれた十兵衛は、焦りながら戦へと繰り出す。美濃側の各所が落とされてしまう中、籠城を決めた道三。しかし、籠城は織田をあざむく策略だった。
城に背を向けた織田軍を一気に攻めあげ、大勝利をおさめる斎藤軍。信秀は命からがら城へ逃げ帰る。
一方十兵衛は、目当ての侍大将を斬ろうと追いすがる。殺そうとする刹那、兜の中から見えた侍の顔は叔父である明智光安（西村まさ彦）に瓜二つだった。大将首という手柄をあげたにも関わらず、戦の意味や自らの戸惑いに悩む十兵衛。
道三は、娘・帰蝶（川口春奈）の夫である美濃の守護・土岐頼純（矢野聖人）の来訪を受ける。実はこの戦は、道三の支配を快く思わぬ頼純と信秀の密約が始まりだった。道三に詰め寄られた頼純は、道三による土岐への仕打ちを糾弾するが、道三が茶に仕込んだ毒により死んでしまった。
大河ドラマ追っかけレポート②（1/26放送回）
雨あられと降ってくる矢、投石機で飛んでくる石、深い落とし穴。方々から切りつけてくる敵、突き立てられる槍。勢いよく転がり迫ってくる、火がついた俵。
「麒麟がくる」第二回となる「道三の罠」は、加納口の戦い。
「人間味が命取り」の戦国時代
稲葉山城に迫る織田軍（織田信秀・高橋克典）と、迎え撃つ斎藤軍（斎藤道三・本木雅弘）による乱戦が描かれた今回。戦の真っただ中に放り込まれ、逃げ惑う兵のひとりになったような臨場感があった。
第一回でも野盗たちが次々に斬られる描写があったが、今回もたくさんの人々が自分のすぐ隣で死んでいく恐怖を味わった。
数で劣っていた斎藤軍は、籠城と見せかけて奇襲に転じる作戦が功を奏し勝利をおさめる。負けた信秀は、落ちのびる中で仲間の死を知らされると束の間悲しむ。が、すぐに顔を上げ「帰って寝るか～」と気の抜けた声を出していた。たぶんこのくらい力を抜いていないと生きていけない、生死を深く考えると恐ろしくて戦場には立てない、という時代だったのだろう。
「人間味」が命取りになるのだ。
一方、主人公の十兵衛は道三から「侍大将の首二つで、貸した（ことになっていた）旅費を帳消しにする」という条件を提示される。西への旅で得たたくさんの「初めて」の代金として、敵将の命をとるのだ。
「侍大将！侍大将！」と声をあげ、敵の首をとろうと戦場を駆け巡る十兵衛。その姿は滑稽にも感じるほど。人の命を奪うことを「金を返すためなのだ」と思い込まないと戦えなかったのかもしれない。
力を抜くことで生を保った信秀とは違うやり方、狂気じみた行動をすることで、あの乱戦を乗り越えようとしていた。しかし、叔父によく似た侍を斬るのをためらうところで、思いがけず十兵衛の「人間味」が出てしまう。
「その後」を予感する十兵衛の苦悩
侍大将をとった手柄を讃えられても、顔色の晴れない十兵衛。医師の東庵に「こんなことが武士の誉（ほまれ）か」「しかし戦がある限り勝つしかない」「首を落とすのをためろうた自分は愚か」と吐露する。
味方まで欺いて勝利し、娘婿をあっさり毒殺する斎藤道三や、負けてもさばさばとしている織田信秀。彼らに比べて明智十兵衛という若者は、この時代を生き抜くには人間くさすぎるのかもしれない。現代に生きる我々から見たら、彼の感じる葛藤や悩みはごく当たり前に思える。それが後あと命取りになるのではと、じわり不安を感じる第二回だった。
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