【友達とのふたり暮らし】ストレスの心配なし!シェアハウスで失敗しない「女子のルームシェア術」教えます!
揉めがちな女子のルームシェア、成功の秘訣は!?
“長続きしないから”と世の中の大家さんたちも敬遠することが多いという女性二人のルームシェア。大学の同級生だったという北村さんと中山さんは、同居歴1年にして喧嘩もストレスもないという、稀有な女子ルームシェア組だ。
そのシェア成功のコツや役割分担、お金の話まで、突っ込んで聞いてきた。

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プロフィール
名前・年齢:北村さん(24歳)/中山さん(24歳)
職業:会社員
ルームシェア歴:11ヶ月
ルームデータ
所在地:東京都
間取り:2K(約40㎡)
家賃:10万円(管理費込み)
築年数:32年
“生きるか・死ぬか・田舎に帰るか” 究極の選択から始まったルームシェア
大学時代の同級生だったという北村さんと中山さん。当時から、友人のなかでも一番頻繁に中山さんが北村さんの家に泊まっていたという。しかし「まさか一緒に住むことになるとはね……」と顔を見合わせて笑った。
なぜ二人でルームシェアをすることになったのか。事の顛末はこうだ。中山さんは付き合っている彼の東京赴任に合わせて、二人で暮らすためにこの部屋を探した。駅から徒歩2分、2LDKというかなり理想に近い部屋。しかし予想を大きく外して、彼はまさかの地方勤務に決定。一人で暮らし始めたもののお金も続かず、まさに「生きるか・死ぬか・田舎に帰るか」の究極の選択を迫られることに。
「新卒2年目で都心10万円の部屋を借りるのは、かなり無謀。仕方ないから彼に半分払ってもらったが、いつまでも負担してもらう訳にもいかなかった……」(中山さん)
そこで頭に浮かんだのが北村さんの顔。以前会った時に「寝に帰るだけなのに、駅近でもない家に毎月7万円も払って住んでいる」と現在の部屋への不満を漏らしていた。すぐに電話で呼び出し、ルームシェアを提案。その場で即決したという。
生き死にを賭けた中山さんはともかく、北村さんに躊躇はなかったのか。「私は管理栄養士という職業柄、料理さえできれば何でもOK。特に断る理由もなかった」と驚くほどあっさりした答えが。この“あっさり感”がルームシェア力の源かと想像しつつ……。
力まず・考え過ぎずにスタートした女子二人のルームシェアだった。


なりゆきで開始したルームシェアはメリットの宝庫だった!
職業は同じく“会社員”だが、不思議と生活リズムはズレている。
北村さんは、お弁当を作って朝7時前には出勤。帰宅は7~8時頃で、そこから夕食を作って食べて寝るという規則正しい生活。一方中山さんは、仕事が終わってから夜の第二部(飲み)が始まり、帰宅は夜中。さらに休日も、平日休みが多い北村さんと土日休みの中山さんという具合。お風呂も洗面室を使うタイミングも、一度も重なったことがないというズレっぷりだ。
「中山さんはほとんど家にいないので私一人で過ごす時間が多い。売れないバンドマンと暮らしているような気分」と笑う北村さん。ほぼなりゆきでスタートした二人暮らしだったが、意外とメリットが多かったと話す。
「家賃も光熱費も折半できるので、条件の良い広めの部屋に住めるのが最大のメリット。それに荷物の受け取りや支払いを、自分ができない時にお願いでき、家族と住むような便利さがあります」(北村さん)
「お互いの友だちにも会えるしね」と中山さんが言うように、ルームシェアには珍しく、彼氏も友だちもウェルカムなのだそう。
「二人とも人懐っこいので、友だちを呼んで家飲みしたり泊まっても抵抗がない。人の数だけ楽しみが増える感じです」(中山さん)
もちろん「誰でも」という訳ではない。お互い苦手そうなタイプ・嫌いなタイプは絶対に敷居をまたがせない。そのボーダーラインを守り合う信頼関係が根底にある。
二人で住み始めて1年だが、喧嘩もなければストレスもない。何かと揉めがちな女子二人暮らしにあって、度肝を抜く平和さである。
ただ、二人が口を揃えて力説するのは、「ルームシェアに大事なのは相手選び」。できれば家庭環境や価値観、人との距離の取り方が似ている人の方がうまくいくのだそうだ。

それぞれの部屋を持つのではなく、用途で部屋を分けるルームシェア
2Kの部屋をシェアしていると聞くと、普通は1人1部屋と思うだろう。しかし北村×中山ペアの場合は、ベッドルーム、和室の居間をそれぞれ二人で使う形でシェアをしている。


「縦長の2Kなので、1人1部屋にするとどちらかの部屋が通り道になってしまう」というのが大きな理由だったが、実際、各部屋に用途を持たせ、それぞれが使う形にしたところ使い勝手が良かったという。
「遅くに帰って来ても北村が寝ているのは一番奥のベッドルームなので、手前の和室で仕事ができるし、お風呂も遠慮せず入れる。それぞれのスペースが独立しているので、遠慮なく使えるからストレスもない。寝る時は奥へ、それ以外は和室、と生活にもリズムがついて一石二鳥です」(中山さん)
部屋ごとに用途が決まっているので、例えばテレビは和室に1台で済むし、収納力の高い押入れも二人でシェアして効率的。一見プライベートがなくなりそうなシェア方法でも、生活リズムのちょっとしたズレや考え方ひとつで、使いやすい環境が創出できるという好事例だ。
当番制ではなく、得意な分野で役割分担
家事の役割分担にも“シェア成功”のコツが隠されている。日々の家事役割分担を、当番制ではなく完全に得意分野で分けているのだ。
食事の支度と食品・日用品の買い出し、家賃などの振込は北村さん。ゴミ出しや風呂トイレなどの掃除全般は中山さんが担当する。ちなみに洗濯だけは、主に朝イチで北村さんが回して出勤し、中山さんが出勤前に干す「共同作業」だ。
「役割分担は自然な流れで決まりましたね。当番制だと嫌いなこともしなくちゃいけないけど、好きなこと・得意なことなので無理がなく、お互いの不平等感がない」と中山さん。
すべてを均等に平等にするのではなく、本人がやりやすい種別の家事を受け持つことで精神的な負担を軽くする。好きなこと・得意なことがテレコ(互い違い)になっているお陰で、家事全般がカバーできるうえ不平等感がない。それぞれの仕事の分量は厳密には対等ではないかもしれないが、不満のない役割分担になっている。


また、和室の棚の分け方もユニークだ。9つある仕切り棚は、中山さんが6つ、北村さんが3つ使っている。明らかにアンフェアに見えるが……。北村さんは、「中山さんはカメラがあって荷物が多いので……。私は今のところ3つで足りているから大丈夫。足りなくなれば相談して、スペースをもらえばいいだけの話」とあっさり。
形だけの平等では意味がない。本人が満足し納得していることが大切で、不満があれば話し合う。これを聞いて「足るを知る」という老子の言葉が思わず浮かんだ。二人人暮らしは、本音の人間関係がむき出しになる場。「ちょっとの我慢とちょっとの優しさ」、生きていくうえで大事なものがルームシェアにはぎっしり詰まっている。

女の二人暮らし、気になるお金はどう分ける?
そもそも二人暮らしを始める際の、家財道具の手配はどう分担したのか聞いてみると、
「先に中山が住んでいたので、冷蔵庫と洗濯機は中山さんのもの。私はオーブンレンジが必須だったので、中山のレンジを処分してもらった。私の冷蔵庫と洗濯機は使い込んでいたのでリサイクルショップへ持ち込みました」(北村さん)
また食費や光熱費など、目に見えないお金のシェア割合も気になるところ。実際のお金の動きはどうなっているのだろうか。
「家賃10万円と光熱費は折半しますが、一旦中山に支払ってもらいます。それ以外の食費と日用品は私が払って、月末に不足分・過剰分をやり取りするという形。中山は夕食を食べないことが多いので、食費は朝食とお弁当分だけをもらって、大体6対4くらいの割合にします。その明細を、月別にLINEのノートに書き込んで共有します」(北村さん)。
必見!女子同士ルームシェアの成功への道
どんな意地悪な質問を振っても、相手への不満も揉め事の話も出てこなかった北村さんと中山さん。なぜこんなに自然体で、他人と一緒に住めるのか……。最後に女性同士のルームシェアを成功させるコツを聞いてみた。
「まず自分の性格を知ること。家族でもない他人と二人で住めるのか?と自問自答してからスタートさせた方がいい」(中山さん)
「してあげたことは忘れること。してもらったことは覚えておくこと。そして相手に干渉しないこと」(北村さん)
と、なかなか深い答えが返ってきた。ルームシェアを平和裡に進めるには、まずは「自分」の寛容さや謙虚さを整えることが先決のようだ。相手選びも大事だが、それは二の次。友だち同士で一緒に暮らすことを考えている皆さん、焦らず今一度、自分を見つめ直してみてはいかがだろう。
文=元井朋子
写真=編集部