一人暮らしで楽器演奏がしたい!物件選びのコツや防音の工夫とは?
誰にも邪魔されず、一人暮らしの部屋で楽器の演奏がしたい!

楽器を弾く人にとって、「練習する時間をいかに捻出するか」というのは大きな問題だ。自宅に練習できる環境があれば理想的だが、一人暮らしの部屋では防音設備が整っていないことも多い。だからといって、日々スタジオを借りて練習するには労力もお金も必要になってくる。
そこで、今回は一人暮らしの物件で楽器を練習したいと考えている人へむけ、どういった視点で物件を選ぶべきかを紹介しよう。
この記事でわかること
楽器OKの物件でも、「防音設備完備」から「楽器相談可」の物件まで種類がある
防音性の高い物件の見分けポイントは「鉄筋コンクリート造」「壁が厚い」「二重サッシ」
一人暮らしスタート後は「時間帯のルールは厳守」「吸音シートを貼る」「遮音カーテンをかける」での防音対策
このページの目次
楽器OKの物件なら、どれだけ大きな音を出しても大丈夫なの?
楽器を思いっきり練習したい!と思ったとき、真っ先に思いつくのは「楽器演奏OKの物件に引越すこと」ではないだろうか。
あまり楽器に興味がない人は「カラオケボックスやスタジオを借りてたまに練習できれば良いのでは?」と思うかもしれない。しかし、楽器の上達には日々の練習がとても大切。「1日休めば自分が、2日休めば他人が、3日休めば素人が、腕が落ちたことに気づく」とも言われている。空いた時間に楽器に触れるということは非常に大事なのだ。
実は同じ「楽器OK」の物件でも、いくつか種類がある。不動産検索サイトや店舗によって表記が微妙に異なる場合もあるが、大まかには以下の3種類に分けられる。順に見ていこう。

防音(防音室あり)物件
部屋自体が防音仕様になっている、または居室内に防音室が設置されているなど、防音設備完備の物件のこと。
防音設備が整った物件は、当然家賃も相場より高くなる。都市部では1万円~3万円程度高いなんてこともザラ。音楽を仕事にしている人はともかく、趣味で音楽をしている人にとってはなかなか手が届きづらい家賃帯であるのも事実だ。
遮音物件
防音物件と比べると音漏れがしやすいが、それに準ずる物件として評価できるのが遮音物件だ。その名の通り、一定の音量を遮ることができるため、音漏れを防ぎやすい。
遮音物件の場合は、使用できる楽器の種類に制限が設けられることがある。ピアノやギターの場合はNGにならない場合が多いが、ドラムなどの打楽器はNGに指定される場合があることに注意しよう。また、楽器を使える時間帯が限定される物件もある。
「楽器可」の物件
特に防音設備があるわけではない普通の物件だが、常識の範囲内であれば演奏しても良いとされる物件。24時間いつでも演奏をすることができるというところは少なく、多くは演奏可能時間帯が設定されている(朝~夜9時頃までなど)。
また、ピアノやバイオリンなどはOKでも、打撃音が響くドラムや音量の大きい金管楽器はNGなど、楽器の種類によって居室内での演奏可否が異なるケースも多い。
「楽器相談可」物件
「楽器可」の物件と同じく、特に防音設備があるわけではない物件。違いは、貸し手である大家さんの事情(長らく空き部屋になっているなど)や厚意によって、条件によっては演奏が許可される場合がある
「楽器可」「楽器相談可」物件は、防音物件に比べ、そこまで家賃が高くない。ただし、防音設備が特に整っているわけではないので、楽器演奏時の音漏れについては住人のマナーにゆだねられている。

「楽器可」「楽器相談可」の中でも、防音性が高い物件を見分けるには?
たとえ「楽器可」であっても、防音性があまりに低い物件に入居してしまうと、近隣からの音漏れで眠れなかったり、逆に自分の楽器の音が近隣へ響いてしまったりしてトラブルになることもある。
そこで、ここでは防音設備以外の面で、防音性の高い物件を選ぶコツを紹介する。
防音性が高い一人暮らし物件:「鉄筋コンクリート造」または「鉄骨鉄筋コンクリート造」
鉄筋コンクリート造とは、コンクリートに強度の高い鉄筋を埋め込んだ建物構造のこと。RC造とも呼ばれる。鉄骨造や木造に比べて壁の密度が高いため、高い防音性が見込める。
一方、鉄骨鉄筋コンクリート造とは、コンクリートに鉄筋・鉄骨を埋め込んだ建物構造。建てるのにコストが掛かるため、主に高層マンションで用いられている。耐久性は鉄筋コンクリート造よりも高いとされているが、防音性ではそこまでの差はない。
部屋で楽器を練習したいなら、鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造を選ぶとよいだろう。

防音性が高い一人暮らし物件:壁が厚い
防音物件でもそうでない物件であっても、防音性を大きく左右するのが壁の厚さだ。防音性を気にするなら、壁の厚さの目安は15cm以上が望ましい。知りたい場合は、大家さんや不動産会社に資料を確認してもらおう。

防音性が高い一人暮らし物件:二重サッシ
二重サッシとは、その名の通り二重になっている窓のこと。防音性はもちろん、断熱高価や結露防止、防犯などの効果もある。

防音性が高い一人暮らし物件:隣戸との境界に「空間」が挟まる間取り
アパト・マンションでは、隣の部屋と接している「境界壁」から音が伝わりやすい。そこで、隣の部屋との境界にクローゼットや廊下、トイレなどがある間取りを選ぶと、音の伝導が妨げられて音漏れを緩和することができる。

楽器OK・防音設備のある一人暮らし物件を探す2つの方法

比較的自由に楽器を使える物件や、防音設備を備えた物件を見つけるための方法は2つある。順番にご紹介するので、これから物件を探す場合は参考にしていただきたい。
楽器OKの一人暮らし物件を探す方法①楽器OKの物件を特集しているサイトで探す
楽器OKの物件は決して多いとは言えず、むしろ楽器NGにしている物件がほとんどだ。せっかく見つけて気に入った物件で楽器が使えず、契約を断念するというのは避けたい。そこで、最初から楽器OKの物件だけを取り上げて紹介しているサイトを参考にしよう。
後述するように、不動産会社に直接問い合わせるという方法も有効ではある。しかしインターネットで検索すれば、24時間どこにいても有力な引越し先候補を見つけられる。いくつかの物件を一気に見て、比較しながら選べることもメリットと言えるだろう。
楽器可・楽器相談可の物件はこちらでチェック!
https://www.chintai.net/feature/gakki/
楽器OKの一人暮らし物件を探す方法②不動産会社に相談する
もっとも確実な探し方と言えるのが、不動産会社に相談して楽器OKの物件を探すという方法だ。不動案会社なら、希望するエリアや家賃を伝えるだけで、楽器を使える物件を探し出してくれる可能性が高い。インターネットでは見つけにくい物件に巡り合える場合があることも魅力と言える。
また、気になっていた物件が既に成約済みだったというような問題もほとんど起こらない。入居審査に落ちない限り入居できる物件だけを紹介してくれるので、時間を無駄遣いすることもないだろう。問題行動を起こす住人がいるかどうかといった情報も、不動産会社なら持っている可能性がある。
一人暮らしを始めてからできる、防音や近隣トラブル防止の工夫
防音物件や楽器可物件だからといって、楽器で際限なく爆音を響かせていいというわけではもちろんない。近所への影響を考慮し、楽器の練習を行うべきだ。ここでは、楽器可物件に入居したあとにできる音漏れ対策をご紹介する。
一人暮らしの防音:演奏時間のルールは厳守
当然だが、演奏して良い時間が決められている物件では時間外の演奏は厳禁。必ずルールを守って楽器を演奏するようにしよう。
時間外に演奏する場合は、電子楽器であればヘッドホンで行うという方法がある。ギターやベースなどの場合はアンプに、電子ピアノであれば本体にヘッドホンを挿せるので、実際の音より大幅に音量を減らすことができる。ただし、ヘッドホンを挿したとしてもピアノの打鍵音は消すことができないので、深夜の演奏はやはり控えるべきだろう。
一人暮らしの防音:壁に吸音シートを貼る
市販の吸音シートを壁に直接貼る方法もある「ホワイトキューオン」は軽くてある程度厚みがあるので、ピンなどで壁に刺したり、立てかけたりして使用できる。外部への音漏れをある程度緩和することが可能だ。
一人暮らしの防音:窓に遮音カーテンを掛ける
部屋の最も大きな開口部である「窓」。いくら壁が厚い物件を選んでも、窓に対策がされていなければ外部へ音が漏れやすくなる。
そこで、特殊な生地で作られた防音カーテンを使用するのがおすすめ。
一人暮らしの防音:楽器の下に防振マットを敷く
電子ドラムのような打楽器や、ピアノや電子式オルガンのような鍵盤楽器は、楽器の音色だけでなく振動音が発生しやすい。床への衝撃を緩和するため、防振マットを敷くのが有効だ。
一人暮らしだからこそ、楽器の演奏を楽しみたい
一人暮らしだからこそ、誰にも邪魔されずに楽器の練習に没頭したいところ。 自分がどんな楽器をどれだけ演奏したいのかによって、部屋の造りや防音対策について検討し、物件を選ぶ基準にしよう。
文=星野貴史
2021年7月加筆=CHINTAI情報局編集部