包丁の寿命はどれくらい? 切れない場合は買い替えが必要なの?
包丁に寿命はあるの?切れ味が悪くなってきたなと感じたらどうすればいい?

キッチングッズの中で欠かせない包丁。包丁は使い続けると切れ味が落ちてくるが、切れ味が悪くなる原因は包丁の質よりも使用頻度だといわれている。
包丁全体の劣化の様子によって買い替えが必要になるが、切れ味の衰えの場合はメンテナンスで復活することがある。また包丁は、素材に応じてメンテナンス方法も変わってくるため、ある程度の知識をつけなければならない。
今回は、「ステンレスの包丁」と「鋼の包丁」それぞれの特徴と、切れ味が落ちたときのメンテナンス方法を紹介する。
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包丁の寿命は「柄のダメージ」で決まる

包丁の刃の材質がステンレスであれ鋼であれ、研ぐことで切れ味は復活することが多い。刃こぼれも相当ひどいものでなければ、メンテナンスでリカバリーできる。それに対して、包丁が使用できるかどうかに大きく関わってくるのが「柄の状態」。
切れ味が鈍った包丁もケガの原因となるので使用を避けたいが、それ以上に危険なのが柄のぐらつきだ。もし包丁を使っていて刀身と柄の間にぐらつきが出た場合、直ちに使用を中止すること。柄から折れると重大な事故も起こり得る。
鋼のものが多い和包丁の場合、柄が傷んでも交換は可能だ。ただし古い柄を割ったり柄の中の部分のサビを落としたりするなどの作業が伴うので、自分で行うのが難しいようならプロの研ぎ師に依頼すると良いだろう。
逆に洋包丁の場合、柄が緩んでしまった場合は基本的に買い替え時だ。交換自体は可能だが、修理代のコストが比較的高いので、包丁そのものの質や価格などを考慮して判断しよう。
包丁の寿命・買い替えの頻度は4〜5年から数十年と人によってさまざま

包丁を買い替えするかどうか、寿命の判断は人によって異なる。プロの場合、研ぎの頻度が高いために一年経たない間に刃が小さくすり減ってしまう。そのため、短期間の買い替えが必要になる。
一方、一般家庭の場合はプロのように使い込むことはほとんどないので、摩耗が原因で買い替えというパターンはあまりないかもしれない。
また、求める使用感などから鋼の包丁を刃が小さくなるまで使う人もいれば、シルエットが変わってきた頃合いで買い替える人もいる。使用者によって異なるため、「この包丁は◯年程度で買い替えるのが目安」とは一概には言えない。
質の良い包丁であれば耐久性も高いのがほとんどなので、定期的にメンテナンスをすることで長く使うことができる。一方安価なものであれば、研ぎ代のコストを考えると買い替えた方が安いというケースも多々ある。
手入れの頻度で包丁の寿命は大きく変わってくる。手入れに時間やコストがかけられない場合は、切れ味の劣化を目安に定期的に買い替えた方が良いと言えるだろう。
包丁の刃は主に2種類の素材がある

包丁の刃には、主に「ステンレス」と「鋼」の2種類の素材がある。両者は、サビやすさなど特徴が異なるため、購入前に理解しておいた方がいいだろう。どちらも、使い終わったら乾燥させて保管しておくことで長く使える。それぞれの包丁の特徴について、詳しく見ていこう。
ステンレスの包丁
ステンレスタイプの包丁は、主に家庭用として使用されることが多い。こまめに研がなくても切れるため、メンテナンスをする時間がない人でも日常使いしやすいのが特徴である。メンテナンス自体も楽にでき、手入れが苦手な人にも使いやすいタイプの包丁と言えるだろう。
また、材質は「モリブデン鋼」が一般的。ほかにも、「銀三鋼」や「V金10号」などは評価が高いのでぜひ使用してみてほしい。
鋼の包丁
鋼タイプの包丁は、主にプロが使用することが多い。鋼タイプの包丁は基本的に手入れをしないとサビてしまうため、家庭ではなかなか使用しづらいのだ。しかし手入れ自体は簡単で、慣れたらサビやすさはそれほど問題ではなくなる。
切れ味や切れ味の持続性などはステンレスタイプより優れている。また同じクラスの材質であれば、ステンレスタイプよりも価格が安いのも魅力の1つだろう。ちなみに、おすすめの材質は切れ味が良く持続性もある「青鋼二号」だ。
包丁の刃の2種類の研ぎ方を紹介

包丁の刃には、「シャープナー」と「砥石」を使用する2種類の研ぎ方がある。「研げるならどちらでも関係ない」と思うかもしれないが、それぞれ特徴や研ぎ方が異なるので、自分に合う方を選ぶようにしよう。ここではそれぞれの研ぎ方について、手順やメリット、注意点について詳しく解説していく。
シャープナーで研ぐ方法
まずはシャープナーで研ぐ方法について手順を紹介しよう。シャープナーには電動タイプと手動タイプの2種類がある。
1.電動の場合は電源を入れる
電動の場合は、シャープナーの電源を入れて、事前に起動させておく。
2.隙間に包丁を差し込む
次に、シャープナーの隙間に包丁の刃を差し込もう。
3.包丁を研ぐ【手動の場合】
手前に、10回程度繰り返し引き込むように研いでいこう。押し引きせず、一方向に向かって繰り返し研ぐのがうまく研ぐためのコツである。その際、刃全体が垂直にシャープナーに当たるよう、丁寧に動かすことを意識しよう。
4.包丁を研ぐ【電動の場合】
電動の場合は、5回程度スライドさせて研いでいこう。できるかぎり角度を保ちながら、ゆっくり動かすのがうまく研ぐ際のポイントである。
5.両面研げたら完了
両面研げたら、包丁を数回スライドさせ、カエリ(金属の毛羽)を取って完成。電動の場合は、研ぎ終わったら必ず電源を忘れずに切っておこう。
シャープナーは手軽に短い時間で研げるので、日常使いに最適である。また、砥石で研ぐよりも簡単なので、失敗することも少ない。ただし、切れ味の持続性は決して長いとは言えないため注意しよう。
砥石で研ぐ方法
続いて、砥石で研ぐ方法について手順を詳しく見ていこう。砥石で研ぐ場合はシャープナーよりやや難しいので、何度も繰り返し研いでコツを掴むことが大切である。
1.包丁を洗う
まずは中性洗剤で包丁の汚れを落とし、研ぐ準備をする。
2.包丁の表面を研ぐ
砥石に対しおよそ45度の角度で包丁の根本をあてる。その後は、包丁からカエリ(金属の毛羽)が出てくるまで表面を研いでいこう。
3.包丁の裏面を研ぐ
包丁を裏返し同じ要領で、研いでいく。3〜5回程度を目安にしっかり研げばカエリが出てくるので、根気強く丁寧に研ごう。
4.カエリを取る
刃を砥石にあてて、3回程度研げばカエリが取れる。
5.包丁を洗う
研ぎ終わったら包丁を中性洗剤で洗っていく。研ぎ汁などの汚れを取り、しっかりと乾燥させよう。
砥石で研げば、包丁本来の切れ味を取り戻せるうえに、その切れ味が持続しやすくなる。そのため、シャープナーで切れ味が戻らない場合でも、研石で研げば改善されることもじゅうぶん考えられる。
ただし、砥石は何度も研ぎ続けると次第に表面が凹み、うまく研げなくなる。「面直し砥石」で定期的に平らにしなければならず、手間も時間も余計にかかる可能性がある。そのため、日常使いではシャープナー、本格的に研ぐ際は砥石を使用するといった使い分けがおすすめだ。
寿命を迎えるまで、包丁を正しく手入れして長く使おう

包丁を長持ちさせたいなら水に浸けることは避け、使ったらすぐに洗って水気を切って乾燥させるのがポイント!水分はサビや柄の部分の劣化につながってしまう。
毎日研ぐのが理想だが、定期的に砥石で研ぐようにすれば長く使うことができる。簡易シャープナーは、一時的に切れ味を復活させることはできるが、刃を整えることはできない。自分で研げないときは、できれば年一回程度研ぎ師に手入れをしてもらうのが理想と言える。
包丁の寿命は、よほどのことがなければ使う人の考えで決まってくる。気に入っている包丁であれば、メンテナンスをどうするかを考えながら使うようにしたい。
文=平野さゆり
webライター。田舎で野菜を育てながら、暮らしに密着した記事を中心に執筆活動している
2021年6月加筆=CHINTAI情報局編集部