元弁護士が解説! 賃貸物件の途中解約、損をしないために準備しておくこと違約金が発生する場合とは

公開日:2018年9月12日

賃貸物件の契約期間中に途中解約はできる?

アパートやマンションなどの賃貸借では、あらかじめ2年などの契約期間が決められている。しかし、契約期間内に引越さなければならない事情が生じることがある。

賃貸契約の期間中でも、途中解約して退去することはできるのだろうか? 今回は大家とトラブルにならないように、また途中解約で損をしないために、元弁護士ライターの私・ぴりかが解説を行う。転勤族の人や、急な引越しが必要になったという人はぜひ参考にしてほしい。

まずは手元の契約書類を確認
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賃貸で途中解約するには「退去予告」を行う必要がある

マンション・アパートなどの賃貸契約では、契約期間は2年と定められていることが多い。契約期間中にの途中解約することはできるのだろうか?

途中解約したいときには、まずは契約書の内容を確認し、途中解約に関する条項があるかどうかチェックしよう。

ほとんどの賃貸物件では、基本的には契約期間の途中で転居をしても、違約金が発生することはない。基本的には引越しのタイミングは入居者が自由に決められることが大半だ。

とはいえ、急に「明日引越します!」ということは基本的には不可。退去した後、大家さんは部屋のクリーニングを行い、次の入居者を探す必要がある。急に退去されると、家賃収入が得られない期間ができてしまい大家さんとしては困ることになるのだ。

そこで、ほとんどの賃貸契約書には、定められた期限までに「退去予告」を行う必要があると定められている。 定められた期限までに、部屋を出ていくことを事前に通知することによって途中解約ができるのだ。契約書面では「契約を途中解約する場合、〇か月前に通知すること」等と書かれている。

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賃貸契約期間中に途中解約するとき。損をしないための注意点

途中解約するとき、損をしないためには以下のような点に注意しよう。

契約書をもう一度しっかり確認しよう
契約書をもう一度しっかり確認しよう

賃貸を途中解約する際の注意点①:退去予告は早めに

賃貸借契約を途中解約するときには、退去予告の期限が定められていることが多い。この期限に間に合わないと、たとえ退去したとしても本来期間が経過するまで解約ができず、その分の家賃を余分に支払う必要が生じてしまう

退去予告の期限は物件によって異なるが、退去日の1ヵ月~2ヵ月前までとされていることが多い。引越しが決まったら、早めに大家さんや管理会社に通知しよう。

賃貸を途中解約する際の注意点②:短期間の解約による「違約金」

物件によっては、短期で解約すると違約金が発生するケースがある。これを「短期解約違約金条項」という。契約内容にこういった内容が含まれている場合、退去予告の期限を守ったとしても違約金が発生するので注意が必要だ。

契約内容に「短期解約違約金条項」が含まれている場合、契約の継続が必要な期間が経過してから解約した方が得になる可能性がある。契約書をよく読み、短期解約違約金条項が含まれていないか確認しよう。

賃貸を途中解約する際の注意点③:家賃の精算方法

賃貸借契約を途中解約するときには、解約月の家賃の精算が必要となる。

月の途中で退去する場合などは、家賃が日割り計算になるのか、半月ごとの精算にするのか、はたまた1ヵ月分まるごと支払わなければならないのかが変わってくる。これらは契約書で定められているのでチェックしておこう。月の途中で退去しても家賃が1ヵ月分まるごとかかってしまうならば、月末に明け渡しをした方が得ということになる。

賃貸を途中解約する際の注意点④:敷金返還について

賃貸契約時に敷金を差し入れている場合、賃貸借契約終了時には原則として敷金を返してもらえる。

賃貸物件の入居者には原状回復義務があり、退去する際には借りた時と同じ状態に戻す必要がある。補修にかかる費用は預けておいた敷金から差し引かれ、それでも足りない場合は入居者が支払うこととなる。
(参照:民法598条616条

たとえば、カーペットに落ちない汚れをつけてしまった場合や、壁に大きな穴を空けてしまった場合、タバコのヤニや臭いをつけた場合、ペットによって柱に傷をつけた場合などには、補修費用を負担しなければならない。

ただし、原状回復義務はあくまで入居者の故意・過失による汚れやキズだけが対象。「通常の住まい方」をしていても発生すると考えられる範囲内の損傷は「原状回復」の対象にはならない。

たとえば、日に焼けた壁紙や床材の張り替え費用、経年劣化で壊れた風呂の交換費用などは逆に大家さんの負担となる。特に事前の説明なく、これらを理由に敷金を返さないことは違法なので、万が一大家さんや管理会社から経年劣化にかかわる補修費用を求められても応じる必要はない。

賃貸契約の途中解約を行う場合は、契約書の確認がなにより大事

一般的な賃貸物件の場合、途中解約は決して難しくはない。ただし、契約内容によっては特約などにより、予想外の出費や負担が生じる可能性もある。本来払う必要のなかった余計な出費が発生してしまってはもったいない。

賃貸の途中解約を検討する際には、契約内容をしっかりと読み込んで内容を確認するようにしよう。わからないことがあれば、契約時の不動産会社へ相談を!

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契約したばかりの新居。早期に解約したらどうなる?

せっかく見つけた新居。賃貸借契約を結んだものの、急な辞令や家族の病気などのやむを得ない事情で物件の契約を解約する事態になるのは、誰しもあり得ることだ。すぐに引越しが必要になる心理的・体力的な大変さはもちろんのこと、解約による違約金や、次の物件のための仲介手数料など、予想外の出費も大きい。

月額2,980円で、最大50万円を補償する「住みかえ解約補償」

そんなもしもの出費に備えてオススメしたいのが、「住みかえ解約補償」。この補償では、「転勤」・「病気やケガによる療養」・「親族の介護」を理由として、居住する物件から別の物件へ転居せざるを得ない場合に、住替先への引越費用などの補償を受けることができる。

月額2,980円の料金で最大50万円が補償されるため、“もしも”の転居があった場合は助けになるだろう。 この補償は賃貸借契約日から14日以内しか申込することができないため、物件の契約後忘れずに申込したい。

※詳細は、住みかえ解約補償の重要事項説明書および約款等をご覧ください

文=ぴりか
京都大学法学部卒。約10年間の弁護士経験を活かし、現在はライターとして活動中。不動産賃貸、売買、活用等の分野も得意。
Twitter:@pirica8 ブログ:https://legalharuka.com/

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CHINTAI編集部
CHINTAI編集部

1992年創業、お部屋探しや生活の情報を発信してきた株式会社CHINTAIが運営するWebメディア。引越しに関する情報はもちろん、家事や家計、季節の楽しみなど日々を豊かにする知識を調査・ご紹介。
不動産店舗での業務経験者、宅建試験合格者などお部屋探し分野のプロも活躍する編集部が、新生活に役立つ情報をお届けします。

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