三省堂の書店員&月刊KELLyの編集部員が推薦! 名古屋がもっと好きになる本・8選

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この街にきっと住みたくなる! 書店員&街情報誌編集部が推薦する物語とは?

街の情報を知り尽くした街情報誌の編集部と、その街の書店員に、読んだらその街に住みたくなる本を紹介してもらうこの企画。

今回は名古屋にくわしい三省堂書店の書店員と、名古屋の女性雑誌『月刊KELLy』編集部に、読んだら名古屋がもっと好きになる、オススメの本を教えてもらった。

書店員が推薦する街が好きになるこの1冊

教えてくれたのは?

三省堂書店 名古屋本店 本間さん
名古屋のタカシマヤ ゲートタワーモールにあるJR直結の大型書店。東海地区最大級のスペースを誇り、児童書から専門書まで幅広く扱う。書店員歴9年になる本間さんは文芸・文庫棚のコーナーを担当している。

三省堂書店名古屋本店 本間さんの推薦本①:劇団42歳♂(著・田中兆子)

劇団42歳♂

40代、不惑の歳。迷える男たちの奮闘劇!

大学で劇団を組んでいた5人の仲間。今は違う道を歩む彼らだが、卒業後21年の節目に「劇団42歳♂」を再結成した。1日限りの公演に向けて「オセロー」に挑むが、各自の抱える事情もあり、稽古はなかなか捗らない。果たして無事に幕は上がるのか? そして彼らが直面する問題の行く末は? 迷える不惑の男たちにエールを贈る、連作短編集。

名古屋のオアシス21にある芸術文化センターでの公演を目指す、5人のおじさんたち。それぞれ事情もあるけれど、それでも今を懸命に生きている。そんな登場人物たちのストーリーに、元気をもらえる中年青春小説! ちょっぴり落ち込んだ時にぜひ読んでみてほしい。(本間さん)

三省堂書店名古屋本店 本間さんの推薦本②:すべてがFになる(著・森博嗣)

すべてがFになる (講談社文庫)

人気作家・森博嗣伝説のデビュー作

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川と女子学生・西之園が、この不可思議な密室殺人に挑む。

20年以上前に出版された作品だが、2015年にアニメ化されるなど今でも絶大な人気を誇るサイエンスミステリの金字塔。理系の知識目白押しでちょっと難しそうに感じるが、魅力のあるキャラクターと衝撃の展開の連続に、文系脳でもしっかり楽しめる。

原作の舞台である愛知県の那古野市は名古屋の古い表記で、モデルは名古屋市。実在のスポットも多数登場する。(本間さん)

三省堂書店名古屋本店 本間さんの推薦本③:電車で行こう!超難解!? 名古屋トレインラリー(著・豊田巧)

電車で行こう! 超難解!?名古屋トレインラリー (集英社みらい文庫)

鉄道好きよ、集まれ!大人気児童書シリーズ

電車大好き小学生の集う「トレイン・トラベル・チーム」がついに名古屋に集結! トレインラリーのゴールにたどり着いたら賞金1億円!? 怪しいと思いながらも、鉄道が好きじゃないと解けないと聞き、鉄道魂に火がついた! 時刻表や路線図をフル活用して謎を解く、大人気シリーズの名古屋篇。

4年ほど児童書棚を担当していたので、この「電車で行こう!シリーズ」にはかなり思い入れがある。あおなみ線・名古屋駅、リニモ・藤が丘駅、ゆとりーとライン・大曽根駅などなど……、子鉄(鉄道マニアの子ども)はもちろん、大人でもワクワクする名古屋の鉄道スポットが目白押し。

鉄道という特殊な趣味を通し、街を知ることのできるおもしろい一冊。(本間さん)

三省堂書店名古屋本店 本間さんの推薦本④:名古屋駅西 喫茶ユトリロ(著・太田忠司)

名古屋駅西 喫茶ユトリロ (ハルキ文庫)

事件の鍵は、名古屋メシ!?ほのぼのおいしいミステリー

東京生まれの鏡味龍は、春から名古屋大医学部に通う大学生。喫茶店を営む祖父母宅に下宿した龍は、祖父母から、店の常連客から家にピンポンダッシュをされ、外に出ると家の前に手羽先の骨が置かれ困っている……と相談を受ける。龍は友人と先輩の助けを借りて、謎に挑む。

手羽先唐揚げ、寿がき屋ラーメン、味噌おでん―名古屋のソウルフードが満載の連作ミステリー。地元民なら誰しもが頷く名店が各話ごとに登場するので、グルメガイドとしての側面もあわせ持っている。

「うみゃー」な名古屋の味を思い浮かべながらの謎解きは、読書が楽しい!と心から思える一冊だ。この本片手に、名古屋うまいもんめぐりなんていかがだろうか。きっと名古屋メシの虜になるはず!(本間さん)

編集部が推薦する街が好きになるこの1冊

教えてくれたのは?

月刊KELLy 編集部 下川裕子さん
名古屋の女性雑誌『月刊KELLy』。“ナゴヤの女磨きマガジン”として、名古屋女子の支持を集めている。今年で創刊30周年を迎えた。
web:http://kelly-net.jp/

月刊KELLy編集部 下川さんの推薦本①:やっとかめ探偵団(著・清水義範)

やっとかめ探偵団 (光文社文庫)

パワフル婆チャン探偵団がどえりゃー事件の謎を解く!

名古屋で駄菓子屋「ことぶき屋」を営む波川まつ尾・74歳。まつ尾のさっぱりとした性格と頭の良さを慕って婆チャンたちが訪れ、連日大賑わい。そんなある日、近所の寝たきり爺さんが何者かに殺された! まつ尾を中心に、婆チャン連中の探偵団が立ち上がる!?

「やっとかめ」とは、名古屋の方言で「久しぶり」という意味。殺人事件を扱う本作だが、おばあちゃん・おじいちゃんたちのにぎやかな名古屋弁のおかげか、どこかユーモアがあり、身構えず気楽に読むことができる。ときどき文中に入る筆者の補足コメントも、お気楽ながらもクスッと笑いを誘う。

中川区を中心に、舞台となった名古屋の下町の空気を思う存分味わえる作品だ。(下川さん)

月刊KELLy編集部 下川さんの推薦本②:甘栗と金貨とエルム(著・太田忠司)

甘栗と金貨とエルム (角川文庫)

高校生探偵・甘栗晃 名古屋の街を疾走する!

高校生の甘栗晃は、突然亡くなった父親の代わりに探偵の仕事をすることに。依頼は、ナマイキな小学生・淑子の母親探し。「美枝子は鍵の中に」? 謎めいたこの一言だけを手がかりに、調査を始めた晃だったが―。著者の出身地・名古屋を舞台に繰り広げられる、ほんのりビターな青春ミステリー。

主人公の軽妙な語り口と、言葉遊びのような表現がユニークな作品。東海道新幹線の車内で販売されている硬いアイスに挑戦するシーンは、経験者ならニヤリとするはず。

その他にも、名古屋市民や名古屋に詳しい人なら思わず頷いてしまう地元ネタが満載。少しずつ謎が明らかになっていくストーリーは爽快感があって読んでいても気持ちがいい!(下川さん)

月刊KELLy編集部 下川さんの推薦本③:異世界駅舎の喫茶店(著・Swind)

異世界駅舎の喫茶店

列車を降りるとそこは……!? 異世界×名古屋グルメ小説!

主人公・タクミは、名古屋へ帰る電車の中で眠っていたはずが、気づくと蒸気機関車に乗って、ヨーロッパのような田園風景の中を走っている。そして、隣の妻は猫耳の少女になっていた―!? ある日突然異世界に転移してしまった夫婦が、喫茶店「ツバメ」を営むスローライフ・ストーリー。

転移した先の世界で夫婦が営むのは、名古屋ではおなじみの喫茶店。老若男女のお客さんによろこんでほしいと、小麦粉もソースも味噌もない世界で“名古屋めし”を提供するべく奮闘する物語だ。

見事に再現された異世界版・“名古屋メシ”の描写には、思わずお腹が鳴ってしまうほど。レシピも収録されていて、作中の料理を自分で作れるのも魅力的。(下川さん)

月刊KELLy編集部 下川さんの推薦本④:1980 アイコ 十六歳(著・堀田あけみ)

1980アイコ十六歳 (河出文庫)

みずみずしい感性で描く16歳の揺れる乙女心

弓道部に所属する16歳の高校生・三田アイコ。平凡な少女が、大人へと成長するひと夏を描いた青春物語。当時17歳の著者が、その年齢の少女のありのままの息づかいをユーモラスな文体で描き出し、圧倒的な共感を呼んだ大ベストセラー。

1980年、バブル直前の日本を生きる女子高生を描いた作品。思春期特有のヒリヒリとした心情や衝動、同級生との些細なやりとりに一喜一憂する主人公の姿は、読んでいるだけで眩しく感じてくるから不思議。コテコテの名古屋弁で会話するキャラクターたちが、読み終わる頃には愛おしく思えてくる。

忘れかけた青春時代を思い起こさせてくれる一冊。ちなみに映画化もされており、作品の舞台である名古屋でロケが行われた。(下川さん)

本を読めば、街がわかる!

今回は本のプロたちに、名古屋という街の雰囲気がわかる作品を紹介してもらった。名古屋に住もうと考えている人はぜひ本を参考に、街の様子に思いをめぐらせてみてほしい。

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※「CHINTAI2017年9月号」の記事をWEB用に再編集し掲載しています
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CHINTAI編集部
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1992年創業、お部屋探しや生活の情報を発信してきた株式会社CHINTAIが運営するWebメディア。引越しに関する情報はもちろん、家事や家計、季節の楽しみなど日々を豊かにする知識を調査・ご紹介。
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