「駅徒歩〇分」の距離とは?基準・計算方法を専門家に聞いてみた!

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「駅徒歩〇分」の距離はどのくらい?基準・計算方法が知りたい!

都市部で賃貸物件を探すとき、「駅近」を条件に挙げる人も多いのではないだろうか。しかし、「駅徒歩5分」と書かれていたのに、実際に歩くと8分くらいかかったというケースも少なくはない。どうしてこんなことが起こってしまうのか、疑問を抱く方も多いだろう。

この記事では、「駅まで徒歩○分」の設定基準について詳しく解説していく。

踏み切り
写真のように、物件までの間に線路がある場合、どうしても時間がかかってしまう
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株式会社CHINTAIにおいて、不動産の広告掲載及び広告表示全般を審査・管轄する部門。CHINTAI掲載物件の独自調査等を行う一方で、不動産業界の動向や最新ルールのキャッチアップ及び啓発を行っている。景品表示法や宅地建物取引業法、不動産の公正競争規約等の関連法規を守り、CHINTAIが消費者に向けて正確で信頼性の高い情報を発信していくための活動に取り組んでいる。

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「駅徒歩〇分」の設定基準を専門家に教えてもらった!

「徒歩○分」は何を基準に定められているのか、不動産の広告掲載及び広告表示全般を審査・管轄するCHINTAI情報審査室の担当者に教えてもらった。

「計算方法はシンプルです。道路距離80mを徒歩で1分かかるものとして、端数は切り上げます。この基準は、『不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)』で定められていますので、全国の不動産会社で共通の計算法だと思っていただいて大丈夫です」(CHINTAI情報審査室)

つまり、「徒歩〇分」を算出する計算式は下記のように表すことができる。

徒歩分数=物件から駅までの道路距離(m)÷80

たとえば、物件から駅までの距離が600mだった場合は、「600÷80=7.5」。端数は切り上げるため、徒歩8分かかる計算だ。

CHINTAI情報審査室のお話から、徒歩時間と距離の関係を表にしてみると以下のようになる。

徒歩時間距離
1分80m
2分160m
4分320m
6分480m
8分640m
10分800m
12分30秒1km

物件から駅まで徒歩6分で約500m、徒歩12分30秒でちょうど1キロとなることがわかる。徒歩1分で歩ける距離が80mであれば、1時間では4,800m進むことができ、これは時速にすると4.8キロとなる。

「駅徒歩〇分」の表示と実際の所要分数にはズレが生じる

駅から徒歩○分の物件
実際の所要時間に影響を与えることとは?

注意点として、「駅徒歩○分」という表示を一概に鵜呑みにしてはいけない。なぜなら、表示の時間と実際の所要時間には、多少のズレが生じることが多いからだ。その理由として、以下の3つが挙げられる。

駅徒歩〇分:駅は出入口・物件は敷地の端(マンションの場合は出入口)までの距離になっている

徒歩での所要時間は、物件から駅までの道路距離をもとに算出されている。肝心なのは「物件や駅のどの箇所が起点・着点なのか」ということだ。

不動産広告に駅からの徒歩時間を掲載する場合、駅は「駅舎の出入口」が計測の起点として定められている。地下鉄などで出入口が複数ある場合は、「物件から最も近い出入口」(※1)で計測することになる。

※1:ただし、通常利用されているものに限り、一時的に利用できる出入口を除く

「駅舎の出入口」から計算するということは、電車から降り改札を出るまでと改札から駅の出口までの時間は考慮されていない。たとえば、都営大江戸線などのホームから改札まで距離のある沿線では思ったより遠く感じることもあるだろう。

一方物件については、「敷地の一番近い端(マンションの場合は、出入口)」が着点となる。起点は「駅の改札」、着点は「物件の玄関」と思っている方も多いため、徒歩時間を確認するときは間違えないようにしよう。

駅徒歩〇分:歩行の障害になるものは考慮されていない

物件から駅までの道のりには、信号や砂利道、上り坂など歩行の障害になるような要因が多くある。しかし、実際にはこのようなものを考慮せずに所要時間を計算している。

「当時、不動産公正取引協議会の女性職員の方が実際に歩いて計測した結果をもとに設定されたと聞いています。ただ、信号や坂道、踏切といった歩行の障害になり得るものは考慮されていないため、立地によって多少の誤差が生じてしまう可能性はあります」(CHINTAI情報審査室)

「駅徒歩○分」という表示と、実際にかかった時間が異なってしまうこともうなずける。表示されている数字を過信せず、一定の目安と認識しておいた方が良さそうだ。

駅徒歩〇分:歩行のスピードは人によって異なる

人によって歩くスピードが異なるのは当然である。年齢や性別、体力などに差があるためだ。しかしこれらの点についても、実際の計測の際には考慮されていない。

「そもそも、誰がどのくらいのスピードで歩くのかの基準がありませんし、たまたま信号で止まらずに歩けたなど、実測値には不確定な要素が少なくありません。つまり、実測値そのものにあまり意味がないのです。ですので、単純に80mを1分とした方が合理的だということですね。資料に表示されている徒歩分数はあくまで目安として捉え、物件選びのときにご自身の足で確かめられるのが安心ではないかと思います」(CHINTAI情報審査室)

歩行スピードは人それぞれ異なり、不確定な要素も多い。「駅徒歩○分」という情報については、上記で説明した一般的な「80m=1分」という大まかなものになってしまうのだ。

「駅徒歩〇分」は自転車だと、どのくらいかかる?

自転車をメインにして移動する人にとって、「駅徒歩〇分」がどのくらいかかるのかは知っておきたいところだろう。

一般的に、「徒歩は自転車の3~4倍ほどの時間がかかる」といわれている。つまり、自転車は徒歩の半分以下の時間で移動できるということだ。

自転車の移動時間を徒歩の3分の1~4分の1と仮定した場合、「駅徒歩〇分」の所要時間は次のようになる。

徒歩での移動時間自転車での移動時間
10分2分30秒~3分20秒
12分3~4分
14分3分30秒~4分40秒
16分4分~5分20秒
18分4分30秒~6分
20分5分~6分40秒

ただし、自転車も歩行と同じく、年齢や体力などによって移動時間には差が生じる。また、自転車の種類によっても異なってくる。

たとえば、通称「ママチャリ」と呼ばれているシティサイクルの平均スピードは、1時間あたり約4~20kmで、平均的な速度は15km/h。電動アシスト自転車の平均スピードはシティサイクルに比べ2km/hほど速くなるものの、信号などがある公道ではそれほど速度差がない。

また、マウンテンバイクやクロスバイクは1時間あたり約18~25km。そして、最もスピードの出るロードバイクになると1時間あたり20~30kmほどとなる(※2)。

※2 :各自転車の速度は、自転車部品の製造を行う株式会社シマノが運営するWebメディアの「自転車通勤の速度に関する記事」より参照

もちろん、上記で示した所要時間はあくまでも目安なので、ケースによってはより長い時間がかかったり、逆に短くなったりするだろう。

「駅徒歩〇分」はあくまでも目安!内見時は実際に歩いて確認してみよう

物件から徒歩○分の駅
表示は「80m=1分」で決まっているが、自分の足で歩いて計ってみよう

「駅徒歩○分」という表示は「80m=1分」という決まりを覚えておこう。この表示は、駅から物件の近さを把握するのに一役買うが、これまでご紹介したような理由で時間にズレが生じることも多い。「駅徒歩○分」はあくまで目安と考えるのがよさそうだ。

時間帯によって信号の待ち時間が違うほか、体調の善し悪しや天候によっても歩行速度は変わってくる。気になる物件が見つかったら、一度自分の足で歩いて正確な時間を計ってみてほしい。

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(両角はるか+ノオト)
2025年5月加筆=CHINTAI情報局編集部

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