【日本最古の地下街】観光の街・浅草でディープでレトロな浅草地下商店街を散策してみた
「浅草地下商店街」の生き証人がいる「亀すし」
きっと頑固な大将が黙々と切り盛りしているのだろう……とドキドキしながら暖簾をくぐると、そこには温厚な面持ちのご主人が待っていた。
オススメのちらし寿司をいただきながら「浅草地下商店街」の変遷を聞かせていただく。初代店主(ご主人の父上)は吉原の入り口で寿司屋を営んでいたが、地下街開通に伴う店舗募集を見て63年前に移転してきたとのこと。
「昔はここから松屋の花売場が見えてね。福ちゃんのところは証券会社だったんだよ。景気のいい時は常連さん達と〝友亀会(ともきかい)〟と称して旅行したり、楽しかったよ。店主が亡くなると店も終わっちゃうって感じでね、気がついたら開業年からやってる店はウチだけになっちゃったね」と、生き証人ならではの言葉があふれる。長く続くことの尊さに感じ入るばかりだった。







「亀すし」で心もお腹も大いに満たされたし、そろそろ帰ろう……と思ったのも束の間。目線の先に忍者を発見!
昭和ノスタルジーに支配された「浅草地下商店街」で忍者、しかも背後には近未来風ディスプレイ。思わずカメラを向けると忍々ポーズで応えてくれた。よし、一体どういうことなのか話を聞いてみよう。

ワンカップ酒と缶詰で楽しむスタンディングバー「忍者場」
長身イケメン忍者の説明によれば、この店は平成29年9月にオープンしたばかりのスタンディングバーらしい。全国各地のカップ酒を常時約300種、カクテルやビールも約80種ラインナップしているとのこと。しかもノーチャージ、WiFiフリーだ。
客の約4割は外国人観光客らしく、お酒片手にコスプレやカラオケを楽しんでいくという。昭和一辺倒の「浅草地下商店街」に新風を吹き込んでる店だなぁ……とりあえず乾杯!











地下探訪を終えて……
まもなく平成も終わるというのに、今なお昭和であり続ける「浅草地下商店街」は〝レトロ〟なんて甘っちょろい言葉では片付けられぬ、ディープな空間だった。
しかし、ユニークなアイディアで勝負する新しい店も登場していることがわかり、訪れる前に抱いていた〝消失しそうなの?〟というお節介な気持ちは薄らいだ。昔から続く店で人情に触れ、新しい店で好奇心を満たし、明日も楽しく生きていこうと思わせてくれる空間だった。
それは「浅草」という街の魅力に通じるかも知れない。古いものをとても大事にしているけれど、新しいものを楽しむ余裕もある街。そんな「浅草」に興味が湧いたなら、さっそく部屋を探してみよう!
写真・文=野中かおり
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