
都市ガスとは?プロパンガスとの違いや料金、成分など特徴についても徹底解説!
ガス代はどう決まる?地域ごとに料金が違うって本当?都市ガスの基本をおさらい!
都心部を中心に多くの人が利用している「都市ガス」。就職や転勤、地方からの上京といったタイミングで、プロパンガスから都市ガスに切り替わった人もいるのでは?
そこで今回は、都市ガスの特徴やプロパンガス(LPガス)との違いを徹底解説!成分特徴や料金システムといった基本情報をしっかり押さえて、都市ガスを上手に使いこなそう。
このページの目次
都市ガスとは?

「都市ガス」は、地下に敷かれたガス導管によって供給されるガスのこと。都市ガスの大手事業者としては、東京ガスネットワークや大阪ガスネットワーク、東邦ガスネットワークなどが有名だ。
都市ガスの普及率は東京や大阪では80%以上を誇る一方で、10%を下回る県も存在するという調査データもあり(※1)、都市部エリアと地方エリアで大きな差がある。
実際、日本の都市ガスの普及率は約50%ほどだが、その供給エリアは国土面積のわずか6%ほど(※2)。都市部エリアに利用者が集中しているのが特徴だ。
また、今まで独占状況にあったガス販売ビジネスだが、2017年に全ての利用者に対しての小売が自由化された。ガス販売ビジネスに新規参入する企業が増えることによって価格競争などが生まれ、結果的にガス料金の抑制や、サービス向上に繋がるというメリットがある。
(※1)参照:経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会
(※2)参照:一般社団法人日本ガス協会HP
都市ガス会社の例
- 東京ガスネットワーク
- 大阪ガスネットワーク
- 東邦ガスネットワーク
- 西部ガス
- 京葉ガス
- 楽天ガス
- 東京電力
- ENEOS都市ガス
…など
プロパンガスとの見分け方は?
一般家庭で利用されているガスは、都市ガスとプロパンガス(LPガス)の大きく2種類。液化天然ガスを原料とする都市ガスに対し、液化石油ガスを原料としているのがプロパンガスだ。
プロパンガスはガスボンベを運搬して供給をおこなうスタイルなので、全国どこでも供給可能。ガス導管がない地方エリアなどでは、プロパンガスが使われている。
現在使っているガスが都市ガスかプロパンかを見分けるには、下記のポイントをチェックしてみよう。
プロパンガス | 都市ガス | |
---|---|---|
検針票 | 供給地点特定番号/ご使用場所番号が、7から始まる10ケタ | 供給地点特定番号/ご使用場所番号が、01から始まる17ケタ |
ガス機器のシール | 対応ガス種に ・LP ・LPG などと記載 | 対応ガス種に ・12A ・13A などと記載 |
ガスホースの色 | オレンジ | 白っぽい |
原料は液化天然ガス。都市ガスは環境にもやさしい

都市ガスの原料となる液化天然ガス(Liquefied Natural Gas)は、燃焼時に硫黄酸化物がまったく排出されないほか、石油や石炭といった他の化石燃料と比べて二酸化炭素や窒素酸化物の排出量が小さいのが特徴だ。
二酸化炭素と窒素酸化物は主に化石燃料の燃焼によって生じる物質で、二酸化炭素の排出は地球温暖化の原因に、窒素酸化物は酸性雨や大気汚染の原因になるとされている。
その点、都市ガスは環境負荷の少ないエネルギー資源を使っていることから、クリーンで環境にやさしい燃料といえるだろう。
また化石燃料による環境への影響は燃焼時だけではなく、加工や輸送といった段階での温室効果ガス排出量も重要になってくる。この部分でも、都市ガスに使われている液化天然ガスは運送のコストや二酸化炭素の排出量が少なく、環境に配慮できるのが魅力となっている。
都市ガスの料金はどう決まるの?

都市ガスの料金は、一般的に「基本料金」と「従量料金」の合計額で決まる。
ガス料金=基本料金+従量料金(ガスの使用量(㎥)× 従量単価)
「基本料金」はガスの使用量に関わらず請求される固定料金のこと。そして「従量料金」は、ガス原料費や容器配送費など、使用量に応じて支払う料金だ。
ただし都市ガスの自由化によって、基本料金がなく従量料金のみで計算するプランなども登場している。企業やプランによって計算方法が変わってくるため注意しよう。
ガス会社や地域によってガス代は変わる
ガス料金やそれに応じたサービスは、ガス会社によって異なっている。
2017年の都市ガス自由化によってガス会社を選べるようになったため、ガス料金やサービス内容などを比較し、自分に合った事業者を選ぶのがおすすめだ。
また同じガス会社との契約でも、居住エリアによって料金が異なることもある。
(1)東京地区等のエリアなど
(2)群馬地区
(3)群馬南地区
※2023年4月1日より、群馬南地区は群馬地区へ統合
プロパンガス(LPガス)との違いをチェック

違い①料金の違い
都市ガスの料金特徴 | プロパンガスの料金特徴 |
---|---|
・プロパンガスより安い ・ガス会社間での価格差が小さく、他社に乗り換えてもメリットが少ない | ・都市ガスより高い ・ガス会社間での価格差が大きく、他社に乗り換えた際にメリットが大きい |
一般的に「プロパンガスは高い」と言われている通り、都市ガスはプロパンガスよりもガス代が安いのが魅力となっている。
実際に日本生活協同組合連合会が2016年におこなった調査(有効回答は1,990件)によれば、都市ガスとプロパンガスの平均料金には次のような違いが出たそう。
都市ガス | プロパンガス |
---|---|
集合住宅:5,012円 戸建て :5,632円 | 集合住宅:6,939円 戸建て :5,725円 |
調査結果を見ると、集合住宅・戸建てともに都市ガスの方が安く、特に集合住宅では2000円近く安いことがわかる。
プロパンガスは以前から自由料金制が採用されていた背景から、ガス会社間での価格差が大きい傾向がある。一方で、2017年に自由化されたばかりの都市ガスでは、ガス会社間の価格差が小さいため、他社に乗り換えてもメリットを感じにくいこともあるだろう。
しかし、今後価格競争が起き、より安価なプランが出てくることも考えられる。また、ガス会社の切り替えを促進するために「数ヵ月分の基本料が無料」、「キャッシュバック」等のキャンペーンなどを行っている場合もあるため、タイミングによってはお得に切り替えることも可能だ。
違い②供給地域の違い
都市ガスの供給エリア | プロパンガスの供給エリア |
---|---|
ガス導管がある都市部が中心 | 全国どこでも可能 |
都市ガスの供給エリアは、その名が示す通り都市部が中心だ。人口が多い都市部で利用されているため高い普及率を誇るものの、供給エリアは少ない。
その理由は、ガスの供給方法にある。地下のガス導管を通って届けられる都市ガスは、その埋設に莫大な費用が必要になるため、契約世帯数が担保できる都市部が中心になるというわけだ。
一方でプロパンガスは、ガスボンベを配送・設置すればガスを届けられることから、全国どこでも供給可能。ガス導管が通っていない地方など、全国各地で利用されている。
違い③供給方法の違い
都市ガスの供給方法 | プロパンガスの供給方法 |
---|---|
気体の状態で、地下のガス導管で供給 | 液体の状態で、ガスボンベによって供給 |
都市ガスは液体の状態で海外から輸入されるが、供給の際は気体の状態で製造所から送り出され、地下の配管を経由して各家庭に届けられる。
一方でプロパンガスは、マイナス42度で液化するため液化が容易で、運搬しやすいのが特徴。そのため各家庭にガスボンベを配置し、定期的にガスボンベを交換する仕組みで供給されている。
違い④成分の違い
都市ガス | プロパンガス | |
---|---|---|
原料 | 液化天然ガス(LNG) | 液化石油ガス(LPG) |
主成分 | メタン | プロパン、ブタン |
重さ | 空気より軽い | 空気より重い |
ガスの特徴 | ・マイナス42度で液化する ・石油や石炭と比べ、硫黄酸化物が全く排出されず、二酸化炭素の排出量も少ない | ・マイナス162度で液化する ・石油や石炭と比べ、二酸化炭素の排出量が少なく、硫黄酸化物もほとんど発生しない |
都市ガスは液化天然ガス、プロパンガスは液化石油ガスを原料としていることから、それぞれの主成分も異なっている。
都市ガスの主成分であるメタンは空気より軽く、プロパンガスの主成分であるプロパンとブタンは空気より重い。そのためガス漏れによって空気中にガスが放出した際は、都市ガスの場合は天井付近に溜まりやすく、プロパンガスの場合は床付近に滞留しやすいという特徴がある。
ガス漏れ警報器の設置位置の高さが都市ガスとプロパンガスで異なるのはこのためだ。
違い⑤発熱量や使える器具の違い
都市ガス(13A)の発熱量 | プロパンガスの発熱量 |
---|---|
45mj (約10,750Kcal/m3) | 102mj (約24,000Kcal/m3) |
都市ガスとプロパンガスは、発熱量にも違いがある。
都市ガスの発熱量は大手都市ガスの場合で1m3あたり45MJ(約10,750Kcal)なのに対し、プロパンガスは全国どこでも99MJ(約24,000Kcal)。
都市ガスよりもプロパンガスの方が発熱量が高いのが特徴だ。日常生活でお風呂を沸かしたりコンロに火をつけたりする際には、プロパンガスと比べて都市ガスの方が多くのガスが必要となる。
ただ、都市ガスは供給圧力を高めて調整しているため、発熱量に違いはあってもプロパンガスと比べてお湯の出方やガスコンロの火力に差が出ることはほとんどない。もし都市ガスでお湯の出方が気になるときは給湯器に、火力が気になるならコンロ機器に問題がないか確認してみよう。
都市ガスをお得に使うなら、毎日の暮らしにちょっとした工夫意識を!

プロパンガスと比べて安価な料金が嬉しい都市ガスだが、「それでもガス代が高い!」と感じたら、次の節約行動(※)を心がけてみよう。
①同居人と間隔をあけずに入浴することで、追い焚きをやめる(※1)
→1年間で約6,190円節約!(ガス38.20m3の省エネ)
②シャワーの不要な流しっぱなしをやめる(※2)
→1年間で約2,070円節約!(ガス12.78m3の省エネ)
③コンロの炎が鍋底からはみ出ないように調節する(※3)
→1年間で約390円節約!(ガス2.38m3の省エネ)
(※1)2時間の放置により4.5℃低下した湯(200L)を追い焚きする場合(1回/日)
(※2)45℃の湯を流す時間を1分間短縮した場合
(※3)水1L(20℃程度)を沸騰させる時、強火から中火にした場合(1日3回)
(※)参考:省エネルギー政策について/経済産業省 資源エネルギー庁
(※)1㎡あたり162円で計算 (平成29年版 ガス事業便覧 平成28年度実績 供給約款 料金平均(合計平均)を45MJに換算 小数点第一位を切り捨て(税込))
電気代やガス代といったエネルギー価格の高騰が気になる昨今。ぜひこのタイミングで、都市ガスの事業者選びや節約法について改めて考えてみては?