【2022年最新版】Amazonプライムビデオおすすめ映画32選!見逃せない新作も一挙解説

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話題のAmazonプライムビデオ、最新配信作を紹介!

Amazonプライムビデオにて、2022年9月2日よりオリジナルドラマ『ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪』が独占配信されている。映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ3部作の数千年前を舞台としたオリジナルストーリーが紡がれており、シーズン1の製作費は約4億6500万ドルにも上る。日本を含む世界240以上の国と地域で配信された初日の視聴者が2500万人を超え、大きなムーブメントを起こしている。

強力なコンテンツも続々と誕生するAmazonプライムビデオでは、細田守監督最新作『竜とそばかすの姫』(2021)や社会現象となった漫画の実写映画版『東京リベンジャーズ』(2021)などの人気作も続々と見放題となっている。ここでは2022年より見放題となった中から厳選した、以下のジャンル別におすすめ映画を一挙32作品紹介しよう。

この記事で紹介している作品リストは目次をチェック↓

※作品の年齢制限はAmazonプライムビデオの表記を参考にしていますが、視聴前に公式の指定をご確認ください

話題の新作!大ヒット日本映画2作を解説

Amazonプライムビデオは続々と有名作品も見放題となっている。まずは昨年公開され、コロナ禍の中でも大ヒットを記録した日本映画2作を紹介しよう。

Amazonプライムビデオおすすめ映画1:『東京リベンジャーズ』(2021)※PG12

累計発行部数が6500万部(2022年7月時点)を超える大ヒットマンガの実写映画化作品だ。うだつのあがらないフリーターの青年が、不良学生だった頃に付き合っていた彼女とその弟の死を知り、10年前にタイムリープしてその運命を変えるべく奮闘する物語が綴られている。PG12指定がされており暴力的なシーンも多いが、不良同士の喧嘩や一方的な蹂躙の「痛み」を感じさせるためには必要なものだった。

目玉は豪華若手俳優陣が魅力的なクセの強い不良たちを見事に演じ切っていること。特に主役の北村匠海の序盤のヘタレな印象から成長を遂げる過程、“マイキー”役の吉沢亮の狂気と親しみやすさを併せ持つキャラクターは一度見たら忘れられないほどのインパクトがあった。現実ではあり得ないタイムリープを描きながら、「やるかやらないか」という選択で「やる」を選ぶという、現実に通ずる大切な決断が描かれているので、勇気づけられる方も多いだろう。

『東京リベンジャーズ』(2021)の情報

監督:英勉
出演:北村匠海, 山田裕貴, 吉沢亮 ほか
公開:2021年
時間:1時間59分

Amazonプライムビデオおすすめ映画2:『竜とそばかすの姫』(2021)※PG12

国民的なアニメ映画監督となった細田守監督の最新作だ。田舎で父と2人暮らしの少女が、仮想世界での歌姫として世界的な人気者となっていく様子、そして竜の姿をした謎の存在との出会いが描かれている。最高峰のCG技術により構築された広大な仮想世界、そして世界中で支持を得ることに説得力を持たせた楽曲のクオリティと中村佳穂の歌唱力に圧倒される内容となっていた。

物語の主軸は『美女と野獣』にも着想を得た、過去の悲劇により塞ぎ込んでいた少女が、誰かのために行動を起こすという尊いもの。「行きすぎた正義」や「勝手な罵詈雑言」などがはびこる悪意に満ちたネット社会でも、善い行いの意義やかけがえない出会いはきっとあるという、SNS時代ならではの願いも込められていた。ただ、終盤の展開は、「正しくなさ」を含む行動を前提としても登場人物たちの対応が納得し難く、とある現実の社会問題に対して不誠実とも言えるものになっていた。それも含めて、観た人と議論する価値もある作品だろう。

『竜とそばかすの姫』(2021)の情報

監督:細田守
出演:中村佳穂, 成田凌, 染谷将太 ほか
公開:2021年
時間:2時間1分

ここでしか観られないオリジナル映画3選!

ここからは、Amazonプライムビデオでおすすめの映画を紹介していく。まずは、Amazonプライムビデオだけで観られる、オリジナル映画3作品を紹介する。いずれもクオリティの高さをストレートに感じられるはずだ。

Amazonプライムビデオおすすめ映画3:『13人の命』(2022)※16+

Amazonプライムビデオで映画を1本だけ選ぶなら?と問われれば、まずおすすめしたい作品だ。題材となっているのは2018年にタイで起きたタムルアン洞窟の遭難事故。上映時間は2時間29分とやや長めだが、序盤は日数があっという間に経過していくため、むしろ「何もできなかった」無常さが際立つようになっている。

洞窟内の閉塞感、自然の恐ろしさ、少年たちを救うために全力を尽くすプロフェッショナルやボランティアの人々のプレッシャーなど、種々の要素が過不足なく描かれており、同じくロン・ハワード監督の、生存のために人々が手を尽くす様を描いた『アポロ13』(1995)が好きな人にもぜひ観てほしい。

『13人の命』(2022)の情報

監督:ロン・ハワード
出演:ヴィゴ・モーテンセン, コリン・ファレル, ジョエル・エドガートン ほか
公開:2022年
時間:2時間29分

Amazonプライムビデオおすすめ映画4:『サマリタン』(2022)※16+

『ロッキー』『ランボー』シリーズでおなじみのシルベスター・スタローンが主演を務めたアクションヒーロー映画だ。実質的な主人公はもう1人いて、それは貧しい暮らしをしている13歳の少年。伝説的な存在である「サマリタン」に強い憧れと信仰心を抱いている彼が、実際に年老いて孤独に暮らす彼と出会い交流をしていく様が見所になっていた。

シンプルな「圧倒的な強さでギャングたちをボッコボコにする」という爽快さもあるし、一方で「戦わずに逃げるという選択肢も肯定する」など、ヒーローとしてのあり方を再定義するような奥深さもある。王道の部分も備えつつ、変化球気味な展開で驚きも与えてくれるヒーロー映画を求める方におすすめだ。

『サマリタン』(2022)の情報

監督:ジュリアス・エイヴァリー
出演: シルベスター・スタローン, ジャボン・“ワナ”・ウォルトン, ピルー・アスベックほか
公開:2022年
時間:1時間42分

Amazonプライムビデオおすすめ映画5:『HOMESTAY』(2022)※13+

過去にも日本やタイで実写映画化・アニメ映画・ラジオドラマ化がされた森絵都の小説『カラフル』を再映画化した作品だ。物語は、主人公が「管理人」と呼ばれる存在から、転生の条件として亡くなった高校生の身体への「ホームステイ」を促され、彼が自ら死を選ぼうとした理由を解き明かそうとするというもの。その時点でミステリーとしての面白さがあり、管理人が「あらゆる人物に姿を変えた」上に「時間を止めて」話しかけてくる様がコミカルに描かれる、親しみやすい作風となっている。

そして、物語の中心に据えられているのは、思春期の少年の切実な心情。長尾謙杜(なにわ男子)が映画初主演とは思えないほどに繊細な心理を演じ切っていて、天真爛漫な少女を演じた山田杏奈も愛らしい。「自分の存在価値」を爽やかに説教くさくなく提示した、若者にこそ観てほしい1本だ。

『HOMESTAY』(2022)の情報

監督:瀬田なつき
出演:長尾謙杜, 山田杏奈, 八木莉可子 ほか
公開:2022年
時間:1時間52分

正統派?カッコいいアクション映画4選!

お次は「カッコいいアクションが観たい!」という気持ちにストレートに答えてくれる映画を4本紹介。いずれも正統派でありつつ少し変化球気味な要素を持ち合わせており、主演俳優の魅力も堪能できるだろう。

Amazonプライムビデオおすすめ映画6:『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)※R15+

ご存じ『007』シリーズの最新作にして、ダニエル・クレイグが演じるジェームズ・ボンドシリーズの最終作。物語は『カジノ・ロワイヤル』(2006)『慰めの報酬』(2008)『スカイフォール』(2012)『スペクター』(2015)(いずれもAmazonプライムビデオで見放題)から続いているので、可能であればこれまでの作品も観ておいたほうがいいだろう。

オープニングの寒々しい土地での緊張感のある攻防戦、高低差を感じさせるダイナミックなバイクアクションなど見所はもちろん満載。『007』シリーズの魅力を踏襲している一方、長年のファンからはやや賛否両論もあったネタバレ厳禁の新機軸の展開も用意されていた。上映時間は2時間43分と長いが、世界最高峰のアクションとシリーズの大団円を見届けた満足感が得られるであろう作品だ。

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)の情報

監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
出演:ダニエル・クレイグ, アナデアルマス, ラミ・マレック ほか
公開:2021年
時間:2時間43分

Amazonプライムビデオおすすめ映画7:『Mr.ノーバディ』(2021)※R15+

ドラマ『ベター・コール・ソウル』などで知られるボブ・オデンカーク扮するごく普通の中年男性が、とある理不尽な出来事に遭遇して怒りを爆発させて大暴れし、やがてマフィアを相手に本気の戦いを繰り広げるというシンプルなプロットだ。いわゆる「ナメてた相手が殺人マシンでした映画」であり、復讐もの×アクションの定番的な面白さを追求しながらも、後半にはツイストの効いた意外な展開も待ち受けいて大笑いもできるという、サービス精神満点の快作になっていた。

あらすじを聞くと『ジョン・ウィック』(2014)(こちらもAmazonプライムビデオで見放題)に似ていると思う方も多いだろう。実際に『ジョン・ウィック』の脚本家のデレク・コルスタッドと、監督のデビッド・リーチ(クレジットはチャド・スタエルスキのみが記載されている)が製作として名を連ねていたりもする。1時間31分というタイトな時間でまとめ上げたのも大正解。普段の日常のストレスを映画の中で発散したいという方におすすめだ。

『Mr.ノーバディ』(2021)の情報

監督:イリヤ・ナイシュラー
出演:ボブ・オデンカーク, コニー・ニールセン, RZA ほか
公開:2021年
時間:1時間31分

Amazonプライムビデオおすすめ映画8:『キャッシュトラック』(2021)※R15+

大作アクション映画でも大活躍するジェイソン・ステイサムの主演作であり、フランス映画『ブルー・レクイエム』(2003)のリメイクだ。「現金輸送車=キャッシュトラック」を運転する警備員の新人が、襲ってきた強盗を圧倒的な戦闘スキルで阻止し、周囲を驚かせるというプロットで、観客が登場人物と共に「この主人公はいったい何者だ?」と思いながら観るという構図がある。

実写映画版『アラジン』(2019)などで知られるガイ・リッチー監督が、近作のスタリッシュかつゴージャスな作風ではなく、ハードなクライムアクション映画に真正面から取り組んだということも面白い。原題が『Wrath of Man(男の怒り)』となっている理由も、観終わればわかることだろう。かなりネタバレ厳禁な内容でもあるので、なるべく予備知識なく観ることをおすすめする。

『キャッシュトラック』(2021)の情報

監督:ガイ・リッチー
出演:ジェイソン・ステイサム, スコット・イーストウッド, ホルト・マッキャラニー ほか
公開:2021年
時間:1時間58分

Amazonプライムビデオおすすめ映画9:『ガンズ・アキンボ』(2020)※R15+

『ハリー・ポッター』シリーズでおなじみのダニエル・ラドクリフが冴えないプログラマーに扮し、「両手に銃が固定された状態で強制的にデスゲームに参加させられた上、最強の女殺し屋に襲われる!」というシンプルだがとんでもない内容の映画だ。雰囲気はポップだが、普通の映画の軽く50倍は人が死んで行く、R15+指定も大納得の過激な作風となっていた。

主人公がデスゲームの運営者の逆鱗に触れてしまったのは、ネットでいわゆる「クソリプ」を送ってしまったせい、というのが今のSNS時代らしい物語の発端だ。両手に銃を固定される様は、これまで言葉で人を傷つけていたことを、今度は暴力をもってその「加害性」を自覚させていたと言えるかもしれない。しかし、そんな批評性はごく小さなこと。基本的にはハイテンションで過激なアクションを期待すれば大満足できる1本だろう。

『ガンズ・アキンボ』(2020)の情報

監督:ジェイソン・レイ・ハウデン
出演:ダニエル・ラドクリフ, サマラ・ウィーヴィング, リス・ダービー ほか
公開:2020年
時間:1時間37分

親しみやすさも存分なアメコミヒーロー映画2選!

次は、エンターテインメント映画の頂点とも言える、アメリカンコミックの「マーベル」原作のヒーロー映画を2本紹介。どちらもシリーズを観てこその感慨深さと感動もあるが、予備知識なく観ても親しみやすさがある。

Amazonプライムビデオおすすめ映画10:『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2022)※13+

全てのアメコミヒーロー映画の中でもトップクラス、絶賛の嵐となっている本作も、早くも見放題となった。物語は、正体が暴かれてしまったスパイダーマンが、仲間のドクター・ストレンジに「自分が世間から知られていない世界にしてほしい」と願うことから始まる。親友たちと共に大学進学をしたいというささやかな夢を願うスパイダーマンと、違う世界からやってきたヴィラン(悪役)たちとの戦いが描かれる内容になっている。

同一世界内でのヒーローたちの活躍を描く「マーベル・シネマティック・ユニバース」27作目にして、いずれもAmazonプライムビデオで見放題の『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)と『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019)から続く「ホーム」シリーズの完結編であるが、この1作だけでも「親愛なる隣人」という親しみやすいヒーローの物語の「終わり」を、真摯に考え抜いた作品ということがわかるだろう。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2022)の情報

監督: ジョン・ワッツ
出演:トム・ホランド, 東名まりさ, ゼンデイヤ ほか
公開:2019年
時間:2時間9分

Amazonプライムビデオおすすめ映画11:『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)

人気ダークヒーローを主人公に迎えた『ヴェノム』(2018)(こちらもAmazonプライムビデオで見放題)の続編となる作品だ。見所は、主人公の記者と、寄生生物のヴェノムのケンカ。実はお互いを憎からず思っているという、「ケンカをするほど仲が良い」を突っ走るような関係性だ。そこから、漫画の『ど根性ガエル』や『寄生獣』を思い出す方も多いだろう。

1時間37分と上映時間もタイトであり、テンポ良くガンガン話が進み、凶悪な殺人犯を追う内容でありながら、ヴェノムのかわいらしいキャラクター性もあって、良い意味であまり深刻にはならない。ちょっと怖い描写はあるものの、『48時間』(1982)のような昔懐かしのバディものの魅力を、ファミリー向けの娯楽作に仕立てたような楽しさがある、万人向けの1本だ。

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)の情報

監督:アンディ・サーキス
出演:トム・ハーディ, ウディ・ハレルソン, ミシェル・ウィリアムズ ほか
公開:2021年
時間:1時間37分

ゲーム原作の派手なアクション映画2選!

ここから紹介するのは、世界的な人気を誇るテレビゲームの実写映画化作品だ。どちらも正直に言ってかなり「大味」な内容ではあるが、それも含めて楽しんでしまうのがいいだろう。

Amazonプライムビデオおすすめ映画12:『映画 モンスターハンター』(2020)

本作の見所は「エリート特殊部隊が突然、巨大なモンスターがはびこる異世界へ迷い込む!」というわかりやすい流れそのもの。ゲームをプレイしなくても、『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997)に似た「一歩間違えば死ぬ」スリリングなバトルを楽しめるだろう。さらにこちらもAmazonプライムビデオで見放題の『ミスト』(2007)のような凶悪なホラーシーンも盛り込まれ、屈強な軍人の女性とかわいい少年のような男性との「恋愛が一切絡まない男女のバディムービー」としての魅力もあった。

基本的には映画『バイオハザード』シリーズのポール・W・S・アンダーソン監督らしい、良い意味で深みなんて全くない娯楽作であり、劇場公開時に「ボンクラハリウッド映画からしか摂取できない栄養素がある」「牛丼食いたい時に出てくる牛丼みたいな映画」「木曜洋画劇場で観たい」「スカッと爽快、無内容!」など、その突き抜け感も込みで好事家から愛されことも納得だ。確かに雑に思える展開も多々あるが、クライマックスからラストの流れは逆に爆笑できたので筆者は大好きである。

『映画 モンスターハンター』(2020)の情報

監督:ポール・W・S・アンダーソン
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ, トニー・ジャー, ロン・パールマン ほか
公開:2020年
時間:1時間42分

Amazonプライムビデオおすすめ映画13:『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』(2022)

ミラ・ジョヴォヴィッチ主演×ポール・W・Sアンダーソン監督の映画『バイオハザード』シリーズはオリジナルの展開が多かったが、こちらは「原作ゲームを忠実に再現すること」を重視した新作だ。良くも悪くもゲームの『1』と『2』の舞台をパッチワーク的に繋げたような印象があり、ゲームを知らない人が観るとゾンビ映画としての雑すぎる展開に苦笑してしまうのかもしれないが、ゲームを遊んでいると「あったあった!」と、そのリスペクト具合に良い意味でニヤニヤできるという塩梅になっている。

監督はサメ映画の『海底47m』(2017)や、アメリカ興行収入がわずか72ドルだったことが逆に話題を集めた『ストレージ24』(2012)など、低予算映画でじわじわと支持を得たヨハネス・ロバーツ。サービス精神に溢れ、そしてゲームが大好きな監督にお金と権利をあげたら、要素を全て詰め込んだ無邪気な映画が誕生した、という事実はなんだか微笑ましい。「ゲームが好きだ!」という溢れんばかりの愛を生暖かく見守ることができれば、楽しめると信じている。

『バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』(2022)の情報

監督:ヨハネス・ロバーツ
出演:カヤ・ステゴラリオ, ハナ・ジョン=カーメン, ロビー・アメル ほか
公開:2022年
時間:1時間47分

心の変化をじっくりと描くドラマ映画3選!

ここからは、人の心をじっくりと描く、世界中から高い評価を得たドラマ映画を3作品紹介する。いずれも堅い印象はあまりない、とっつきやすさも十分な作品であるので、ぜひ観てみてほしい。

Amazonプライムビデオおすすめ映画14:『コーダ あいのうた』(2022)※16+

フランス映画『エール!』(2014)のリメイクで、アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚色賞の3部門に輝いた作品だ。物語は、家族の中で唯一の聴者である女子高生が自身の歌の夢と、手話通訳者として家族に必要とされる現実の狭間で葛藤するというもの。下ネタ込みの攻めたギャグもありつつ、シビアでありながら優しい物語は万人が楽しめるだろう。

タイトルの「CODA(コーダ)」は「Children of Deaf Adults=耳の聴こえない両親に育てられた子ども」のこと。両親と兄は実際にろう者の俳優が演じており、CODAである主人公の悩みと、その家族の関係が「本当の家族にしか思えない」ほどに自然な、愛情に溢れた(だが現実的な問題にも直面する)ものに見えるのも見所だ。日本でも知られている有名な楽曲も多数登場するのも嬉しい。

『コーダ あいのうた』(2021)の情報

監督: シアン・ヘダー
出演: エミリア・ジョーンズ, フェルディア・ウォルシュ=ピーロ, マーリー・マトリン ほか
公開:2022年
時間:1時間51分

Amazonプライムビデオおすすめ映画15:『燃ゆる女の肖像』(2019)※PG12

第72回カンヌ国際映画祭で脚本賞とクィアパルム賞を受賞するなど、絶賛に次ぐ絶賛で迎えられた作品だ。物語は、見合いのための肖像画を依頼された画家が、その相手と共に美しい島を散歩しながら語り合っていくというもの。大仰な音楽や演出が一切ない、静謐な作風だからこそ、相対的に「燃えるような激しい恋」が際立つようになっていた。

さらに目を引くのは「絵画のような美しさ」。風の吹く草原、波が砕けては散る崖。さらに城の荘厳な内装や、妖しく揺らめく夜の焚き火 など“闇”も強調した画が多く、うっとりするような魅力を放ちつつも、どこか「深淵」を覗かせるような恐ろしさも醸し出していた。同性愛、そして女性たちの関係性を尊く描く「シスターフッド」ものとしても最高峰だろう。次々と展開していくようなエンターテインメントではないのである程度好みも分かれるだろうが、ぜひ集中できる環境で観てほしい1本だ。

『燃ゆる女の肖像』(2019)の情報

監督:セリーヌ・シアマ
出演:ノエミ・メルラン, アデル・エネル, ルアナ・バイラミ ほか
公開:2019年
時間:2時間1分

Amazonプライムビデオおすすめ映画16:『博士と狂人』(2019)

殺人者が世界最高峰の大辞典の編纂に貢献していたという、驚きの実話を映画化した作品。辞書に載せるための「用例」を印刷物や記録から徹底的に集め編纂(へんさん)するプロジェクトを描いていることから、映画化やアニメ化もされた三浦しをんによる小説『舟を編む』を連想する方も多いだろう。言葉にまつわるトリビアや、無理難題に立ち向かう過程そのものを、エンターテインメントとして存分に楽しめるようになっていた。

さらに、貫禄たっぷりなメル・ギブソンと、心を病んだショーン・ペンとの関係性もたまらないものがある。学士号を持たない叩き上げの博士と、片や残酷な戦争の体験のために心の闇に飲み込まれた悲しい男という、一見対照的に見える2人は、言葉への情熱やその知識を持つこと、もっと言えば「オタク」であることは共通していて、友情を超えた信頼を築いていく。ものものしいタイトルや見た目のイメージとは裏腹に、実は万人が楽しめる優れた作品だ。

『博士と狂人』(2019)の情報

監督:P.B.シェムラン
出演: メル・ギブソン, ショーン・ペン, ナタリー・ドーマー ほか
公開:2019年
時間:2時間4分

Amazonプライムビデオおすすめ映画17:『AWAKE』(2020)

将棋のプロ棋士の夢を諦めた青年がAIを開発し、かつてのライバルと再戦を果たすという構図はエンターテインメント性抜群。スポ根ものと青春物語を掛け合わせた面白さに満ちている内容だ。緊張感のある演出と、幼少期からの愛憎うずまく関係性のドラマも丁寧で、将棋に詳しくなくても問題なく楽しめる内容になっている。

ベースとなっているのは、実際のプロ棋士とAIの対局である「将棋電王戦FINAL」で、今回の映画では独自の「解釈」を加えている。そこには、現実の勝負にリスペクトを捧げながらも、全く欺瞞も感じさせない誠実さがあった。孤独かつ変人でもある青年を見事に体現した吉沢亮と、天才としての葛藤を見せる若葉竜也、クセが強すぎる先輩役の落合モトキなど、実力俳優の演技も素晴らしい。もっともっと多くの人に観てほしい傑作だ。

『AWAKE』(2020)の情報

監督:山田篤宏
出演:吉沢亮, 若葉竜也, 落合モトキ ほか
公開:2020年
時間:1時間59分

Amazonプライムビデオおすすめ映画18:『名も無き世界のエンドロール』(2021)

「小説すばる」新人賞を受賞した行成薫の同名小説の映画化作品だ。それぞれ複雑な家庭環境で育った幼なじみたちの物語であり、その中の1人である女性が20歳の時に姿を消してしまう、というミステリーが中心に据えられている。劇中に登場する主人公たちのとある計画には「プロポーズ大作戦」という名前だけが提示され、観客はその内容がわからないままグイグイ興味を引かれていく。時系列を入れ替えた構成も展開として上手く機能していた。

岩田剛典と新田真剣佑がそれぞれに秘めた想いのある役、さらに山田杏奈が天真爛漫だがどこか影を感じさせる愛らしい少女を好演している。彼らの友情がかけがえのないものとして描かれているからこそ、後の展開に切なくも熱い気持ちになれるだろう。「社会的弱者が強者に戦いを挑む」物語としても、きっとカタルシスを得られるはずだ。

『名も無き世界のエンドロール』(2021)の情報

監督:佐藤祐市
出演:岩田剛典, 新田真剣佑, 山田杏奈 ほか
公開:2021年
時間:1時間40分

ビターテイストの日本の恋愛映画2選!

ここから、かなりビターなテイストもある、日本の恋愛映画を2作紹介しよう。いずれも好き合うだけの恋愛ではない、切なさや怖さも備えたラブストーリーを期待する方におすすめだ。

Amazonプライムビデオおすすめ映画19:『ちょっと思い出しただけ』(2022)

ケガのためダンサーの道を諦めた青年と、タクシードライバーの女性のラブストーリーであり、その最大の特徴は青年の誕生日である7月26日を1年ずつ巻き戻していく形で物語が綴られていくこと。時間逆行型の構造で、それが恋人たちのかけがえない時間の記憶を慈しむように、そして残酷なまでに「もう元には戻らない関係」を見せていく効果を生んでいた。

「ちょっと思い出しただけ」というタイトルは、観終わった時にもう「これしかない」とまで思える素晴らしいものだ。恋愛に限らず、人生の中で得た苦さも含めた経験を、どこかのタイミングでちょっと思い出し、それを「糧」として前向きに捉えるということは、誰にでも起こり得ることだからだ。池松壮亮と伊藤沙莉の「どこにでもいそうな」カップルの愛おしさ、それぞれの演技力も絶品。ここであげた映画の中でもイチオシの傑作だ。

『ちょっと思い出しただけ』(2022)の情報

監督: 松居大悟
出演: 池松壮亮, 伊藤沙莉, 河合優実 ほか
公開:2022年
時間:1時間54分

Amazonプライムビデオおすすめ映画20:『先生、私の隣に座っていただけませんか』(2021)

「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM」という映画企画とクリエイター発掘プログラムで準グランプリを受賞した、オリジナル企画の映画化作品だ。共に漫画家である夫婦を主人公にした作品であり、夫が妻が描いた新作漫画のネームを盗み見てみると、それは自身の浮気の内容そのままだった!という恐ろしくも可笑しいホラーコメディ的な要素が前面に押し出された内容となっている。

主人公が漫画家ならではのサスペンスという点では、こちらもAmazonプライムビデオで見放題の『キャラクター』(2021)にも通じている。浮気かバレないかとドキマギする柄本佑のリアクションのどれもが滑り知らずであるし、浮気についてそこはかとなく怒りを覚えている(?)ように見える黒木華の可憐さと怖さを同居させている演技も面白い。観た人によって解釈が異なるであろう、さまざまな含みも込めたラストシーンにもきっとニヤニヤできるだろう。

『先生、私の隣に座っていただけませんか』(2021)の情報

監督: 堀江貴大
出演: 黒木華, 柄本佑, 金子大地 ほか
公開:2021年
時間:1時間58分

女性の切実な心情を綴るホラードラマ3選!

次は、かなり辛い経験をする女性を描く映画3作。いずれもホラー的な辛さや怖さがあるからこそ、その切実な苦しみが伝わってくる内容だ。

Amazonプライムビデオおすすめ映画21:『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021)※R15+

ファッション・デザイナーの学校に進学した女性を主人公としたホラー映画だ。憧れの仕事に就くために都会に進出し、その雰囲気に馴染めずに塞ぎ込んでしまうという序盤の流れは、アニメ映画『魔女の宅急便』(1989)を連想させる。主人公が田舎から出てきたばかりのダサさを気にする(いじられてしまう)様や、「トンボ」のように主人公に親身に接してくれる男友達ができる様も似ていたりするのだ。

そして、主人公はなぜか夢の中で憧れの1960年代にタイムリープし、そこでおぞましい事実を知る。監督は『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)や『ベイビー・ドライバー』(2017)など絶賛された娯楽作で知られるエドガー・ライトで、これまでの作品では排他的な田舎の風習の恐ろしさを描いてきたが、今回はその反対の一見華やかな都会の裏に潜む「暗部」を描く内容になっている。R15+指定がされており、かなりショッキングな殺傷シーン、ならびに性的暴行またはそれに類するシーンがあるのでご注意いただきたい。

『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021)の情報

監督:エドガー・ライト
出演:トーマシン・マッケンジー, アニャ・テイラー=ジョイ, マット・スミス ほか
公開:2021年
時間:1時間56分

Amazonプライムビデオおすすめ映画22:『82年生まれ、キム・ジヨン』(2020)

韓国の作家チョ・ナムジュの同名小説の映画化作品だ。主人公は結婚を機に仕事を辞め、そして育児と家事に追われ、いつしか「他人が憑依した」かのような言動をするようになってしまった女性。

大きな事件はあまり起こらず、極めて淡々と展開していく内容だが、そのことがむしろ「小さなことの積み重ねが女性を苦しめる」という普遍的な事実を教えてくれている。なぜなら、劇中では「日常的」かつ「当たり前」のように口にされる、女性への差別的な言動が数多く提示されているからだ。「まともで優しそう」に見える夫でさえも、ふとしたきっかけで無神経さを表出させる様から、反面教師的に学べることはきっと多いだろう。解釈が分かれるであろう結末は、ぜひ一緒に観た人と話し合ってみてほしい。

『82年生まれ、キム・ジヨン』(2020)の情報

監督: キム・ドヨン
出演:チョン・ユミ, コン・ユ, キム・ミギョン ほか
公開:2020年
時間:1時間58分

Amazonプライムビデオおすすめ映画23:『ずっと独身でいるつもり?』(2021)※PG12

おかざき真里の同名コミックを原作とした映画だ。10年前に執筆したエッセイが異例のヒットを記録したものの、今では作家として迷走しかけている36歳の女性を主人公としており、女性の結婚にまつわる息苦しさが容赦無く描かれていながらも、「独身と既婚者のどちらが幸せか」という二元論に落とし込まない、誠実な作劇がなされていた。

さらに、SNSで悪口を発しつつ元カレとの因縁の再会を果たす独身女性、「なんちゃってイクメン」の夫への不満を募らせる主婦、表向きは華やかだが就職の経験も資格もないことがコンプレックスの港区女子など、極端なようでいて「こういう人いるいる」と思える、多様な女性たちが織りなす群像劇になっている。それぞれの容赦ナシの現実を見せる一方、最終的には優しさも感じられるだろう。女性の気持ちを理解する一助として、男性にこそ観てほしい1本だ。

『ずっと独身でいるつもり?』(2021)の情報

監督: ふくだももこ
出演: 田中みな実, 市川実和子, 松村沙友理 ほか
公開:2021年
時間:1時間33分

楽しくて笑える!ラブロマンス&コメディ映画2本!

次は、ラブロマンスとコメディが融合した映画を2本紹介。いずれもクスクス笑いながらも、恋愛に真摯向き合った作品である。

Amazonプライムビデオおすすめ映画24:『パーム・スプリングス』(2020)※PG12

本作はいわゆる「ループもの」。妹の結婚式でタイムループに巻き込まれた女性が、同じく時間を繰り返しているやさぐれ男と出会うという内容で、何をやっても時間を戻されてしまう2人のヤケクソ具合がなんとも可笑しく、その一方で論理的な考えでタイムループの脱出を図る過程、執拗に命を狙ってくる驚異的な存在、そしていがみ合っていた相手と心の距離を近づけていく過程など、あらゆる要素が渾然一体となった楽しいエンターテインメントになっていた。

(AmazonではNRと表示されているが)PG12指定らしい性の話題も満載で、それが短絡的な下ネタというわけでなく、しっかり物語に絡むという、大人向けの娯楽作として真っ当な作りとなっていた。そして、まだまだ先行きが不明瞭なコロナ禍の今、同じ日を繰り返してしまい「終わりが見えない」タイムループは、より切実な問題として響くようになっている。観た後は、日頃の「明日へと積み重ねる」喜びを、きっと実感できるだろう。

『パーム・スプリングス』(2021)の情報

監督: マックス・バーバコウ
出演:アンディ・サムバーグ, クリスティン・ミリオティ, ピーター・ギャラガー ほか
公開:2021年
時間:1時間30分

Amazonプライムビデオおすすめ映画25:『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』(2019)※PG12

うだつの上がらない青年が、機種変更をしたスマホのAIの充実した機能のおかげで恋人ができるものの、今度はそのAIに嫉妬されて大騒動が起こるというコメディだ。設定は荒唐無稽そのもので、PG12指定でもやや甘いと感じる下品なギャグが満載。ストーカーと化すAIの言動に基本的には恐怖を覚えつつも笑ってしまうという内容だが、恋愛で最も大切な「一歩を踏み出す大切さ」も存分に描かれており、なんだかんだで勇気ももらえる物語になっている。

さらなる魅力は日本語吹き替え版。超人気声優の花澤香菜がヤンデレなAIを楽しそうに演じるばかりか、「ドアホ」「おマヌケ野郎」「このチキンが」と罵倒の言葉を口にする様は、その筋の人にはたまらない(?)だろう。ヤバい状況にしどろもどろになる主人公に扮した杉田智和や、端役ながら存在感のある役に朴璐美と木村昴というのもたまらないキャスティングだ。

『ジェクシー! スマホを変えただけなのに』(2019)の情報

監督: ジョン・ルーカス, スコット・ムーア
出演: アダム・ディヴァイン, アレクサンドラ・シップ, マイケル・ペーニャ ほか
公開:2019年
時間:1時間23分

家族と一緒に!ファミリー向けアニメ映画3選!

ここから紹介するのは、家族で一緒に観るのにおすすめしたいアニメ映画3選。いずれもとんでもない展開のギャグに子どもから大人まで笑って楽しめる作品だ。

Amazonプライムビデオおすすめ映画26:『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』(2021)

2017年の『ボス・ベイビー』の続編だが、物語は独立しているので今回から観ても問題なく楽しめるだろう。なんと前作の25年後が舞台という、なかなかに攻めた設定。ボス・ベイビーは見た目も中身も大人のエリートビジネスマンになり、兄ティムは専業主夫のパパになっている。子どもが成長し、やがて子離れもしないといけない親の切なさもつぶさに示されるなど、メッセージそのものは大人向けと言える内容になっていた。

とは言え、基本的にはクレイジー寄りのギャグ&アクションこそが見所の内容だ。子どもになれる薬を巡っての兄弟喧嘩はくだらなすぎるし、学校に向かうまでの大騒動はむちゃくちゃすぎるし、かわいい忍者軍団の活躍もすごいし、エンヤの有名楽曲「オリノコ・フロウ」の意地悪な使い方には大笑いしてしまった(全て褒めている)。ムロツヨシや宮野真守や芳根京子や大塚芳忠が実に楽しそうに自身の役を演じている吹き替え版もぜひおすすめしたい。

『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』(2021)の情報

監督: トム・マクグラス
出演: アレック・ボールドウィン, ジェームズ・マースデン, エイミー・セダリス ほか
公開:2021年
時間:1時間47分

Amazonプライムビデオおすすめ映画27:『ピーターラビット2 /バーナバスの誘惑』(2021)※7+

ビアトリクス・ポターの児童書『ピーターラビット』を原作とした作品ながら、2018年公開の前作は、人間とウサギたちが女性と土地をめぐって命懸けのバトルを繰り広げる、まるで「子どもも観られる『アウトレイジ』」とも言えるとんでもない内容であることが話題となっていた。そして、前作が『アウトレイジ』なら、今回は『オーシャンズ11』シリーズのような泥棒チームの大作戦が描かれる内容となっている。

地下組織を率いるハードボイルドな男(バーナバス)が仲間になり、相変わらず殴る蹴るの暴力沙汰がコミカルに描かれるなど、「本当に子ども向けなのかこの映画」と思う部分は多々あるものの、ちゃんと悪い行いは反省するし、物語そのものも「負のスパイラルから抜け出すためにはどうすればいいか?」を問う寓話なのでモラルはちゃんとしていたりする。「時には批判を受け入れることも大切」という言葉も、大人こそ響くだろう。

『ピーターラビット2 /バーナバスの誘惑』(2021)の情報

監督:ウィル・グラック
出演:エリザベス・デビッキ, ローズ・バーン, ドーナル・グリーソン ほか
公開:2021年
時間:1時間33分

Amazonプライムビデオおすすめ映画28:『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』(2022)※7+

ご存じ『劇場版ドラえもん』の最新作にして、1985年の『のび太の宇宙小戦争』のリメイクが、早くも見放題となった。タイトルに「2021」とあるものの、新型コロナウイルスの影響もあり丸々1年の延期がされた同作。劇場公開時に「独裁者が市民の暮らしを脅かし、街では戦車が走り、常に監視の目がある光景が日常」という劇中の状況が、現実のロシアによるウクライナ侵攻と重なる内容だと話題になっていた。

藤子・F・不二雄が原作でも提示していた「(個々人が)やれるだけのことをやるしかない」という切実なメッセージも、今の困難な世の中ではよりダイレクトに響く。細かいアップデートも良くできていて、弱さを見せるスネ夫がより愛おしい存在として映るようにもなっていた。そして、クライマックスの大笑いできるスペクタクルもパワーアップしており、まさに子どもから大人まで楽しめるエンターテインメントとして理想的と言えるだろう。

『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』(2022)の情報

監督:山口晋
出演: 水田わさび, 大原めぐみ, 嘉数由美 ほか
公開:2022年
時間:1時間48分

青春と恋を描く日本のアニメ映画2選!

ここから紹介するのは、青春と恋が描かれた日本のアニメ映画2選。爽やかな作風を求める方におすすめだ。

Amazonプライムビデオおすすめ映画29:『ジョゼと虎と魚たち』(アニメ版)(2020)

田辺聖子の同名の短編小説を原作としたアニメ映画だ。外の世界に強い憧れを抱いている車椅子の女性と、海洋生物学を専攻する大学生とのラブストーリーであり、表情豊かで可愛いキャラ、アニメとしての表現の細やかさ、車椅子の女性が「世界」を知っていく過程など、それぞれの要素がとても丁寧に描かれている。

中川大志と清原果耶の演技も素晴らしく、正反対であるがかわいらしい2人の幸せをきっと願いたくなるだろう。図書館の絵本を基軸とした新しいエピソードや、これまでとは違った結末にも大きな感動があった。原作や2003年の実写映画版とは違い性描写は皆無。老若男女におすすめしたい1本だ。

『ジョゼと虎と魚たち』(アニメ版)(2020)の情報

監督:タムラコータロー
出演:中川大志, 清原果那, 宮本侑芽 ほか
公開:2020年
時間:1時間38分

Amazonプライムビデオおすすめ映画30:『海辺のエトランゼ』(2020)※PG12

紀伊カンナの同名BL(ボーイズラブ)コミックを原作とする映画。好きと言われて両思いになったはずなのに、気持ちがすれ違ってしまう様が繊細に描かれていて、ライバルキャラとの掛け合いもコメディとして笑えるなど、上映時間59分で中編の恋愛物語として過不足なくまとまっていた。

PG12指定ならではの性の話題や描写もあるが、それも彼らの「一歩踏み込む」愛情表現として必要なもの。猫が可愛らしく描かれていたり、爽やかな沖縄の空気をたっぷりと感じられたりするのも楽しい。女の子同士のカップルも登場するが、同性愛を過剰に「特別なもの」として描かないことも含め、とても誠実な1本だと言える。

『海辺のエトランゼ』(2020)の情報

監督: 大橋明代
出演: 村田太志, 松岡禎丞, 嶋村侑 ほか
公開:2020年
時間:59分

ツッコミながら観よう!「ウォッチパーティ」で楽しさ倍増な2本!

最後に紹介するのは。あえてツッコミどころ満載な2作。マジメに観るぶんには全くおすすめしないが、誰かとシェアして一緒に楽しむ「ウォッチパーティ」の機能がAmazonプライムビデオにはある。そちらで気心の知れた仲間と観ると最高に楽しい内容だろう。

Amazonプライムビデオおすすめ映画31:『必殺!恐竜神父』(2017)

タイトルの時点で「普通の映画じゃないな」と思ったあなたは正解だ。冒頭の車が爆発して両親が亡くなるという悲しいはずのシーンでは、炎上する車を映さず堂々と「VFX:Car On Fire(特殊効果:炎上する車)」とテロップが出てくる。さらには近所にありそうな林のシーンでも大きく「CHINA(中国)」とテロップを出し、ロケなし・CGなしで「ここが中国です!」と主張する。全編が「超低予算ですが何か問題でも?」的な開き直り精神に溢れており、観る人を思いっきりふるいにかけてくれていた。

しかしながら、神父と恐竜と忍者という「面白いもの詰め合わせセット」な設定は憎めないし、「聖職者が悪人を成敗するダークヒーローになる」プロットは皮肉が効いているし、残酷描写もチープすぎて笑えるし、わかりやすすぎる「死亡フラグ」のギャグもパンチが効いていたし、復讐譚としてテンポ良く観られるので、「あれ?ちゃんと面白いじゃん」と本当に思えたりする。アメリカのAmazonプライムで人気急上昇作品で(一時的とはいえ)1位を獲得するなど、一部の好事家から支持を得たことも納得できた。とある終盤に出てくる歴史的人物の言葉の引用は説得力皆無すぎて爆笑ものだったので、ぜひみんなでツッコんでほしい。

『必殺!恐竜神父』(2017)の情報

監督:ブレンダン・スティアー
出演: グレッグ・コーハン, アリッサ・ケンピンスキー, クレア・ハウス ほか
公開:2021年
時間:1時間10分

Amazonプライムビデオおすすめ映画32:『ムーンフォール』(2022)※13+

前述した『必殺!恐竜神父!』は超低予算であることがこれでもかと伝わってくるが、こちらは1億5000万ドルの製作費がかけられたSF大作。監督は「ハリウッドの破壊王」という異名を持つ、『インデペンデンス・デイ』(1996)や『2012』(2009)などのローランド・エメリッヒであり、今回はタイトル通り「月が地球に落ちてくる」という「その手があったか!」と思わざるを得ない巨大災害を描く内容になっている。

物語はとてつもなく大味だ。オタクでフリーターの陰謀論者が夢を叶えようとするプロットは強引であるし、終盤に明かされる「真実」は脳の処理が追いつかないほど情報過多かつ荒唐無稽。「もう訳がわからない」「君の話はイカれているを超えてぶっ飛びすぎてる!」「今までの常識は通用しない」など、観客のツッコミを代弁するようなセリフも満載で逆に楽しかった。大迫力でリッチな画はふんだんにあり、スケールの大きさは十分に感じられるので、できるだけ大きい画面で観ていただきたい。

『ムーンフォール』(2022)の情報

監督: ローランド・エメリッヒ
出演:ハル・ベリー, パトリック・ウィルソン, ジョン・ブラッドリー ほか
公開:2022年
時間:2時間10分

もちろん、ここで紹介したAmazonプライムビデオで見放題の映画はほんのごく一部。ぜひ、公式Twitterなどの最新の配信情報も確認しつつ、Amazonプライムビデオを楽しんでほしい。

ヒナタカ

WEB媒体を中心にオールジャンルの映画を紹介・解説する雑食系映画ライター。「サイゾー」「女子SPA!」「ねとらぼ」「Cienams PLUS」などで執筆中。おすすめは「リリイ・シュシュのすべて」「ビッグ・フィッシュ」で検索すると1ページ目に出てくる解説記事。

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