【マニキュア、釣り針……あのごみの“より良い”捨て方は?】芸人で現役ごみ清掃員のマシンガンズ滝沢さんが解説!

【マニキュア、釣り針……あのごみの“より良い”捨て方は?】芸人で現役ごみ清掃員のマシンガンズ滝沢さんが解説!

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マニキュア、釣り針……あのごみの“より良い”捨て方は?マシンガンズ滝沢さんに聞く

毎日何かと出てしまう「ごみ」。いざ捨てようとなったときに「分別は?」「どう捨てたらいいの?」と疑問に思うことはないだろうか。

この記事では、芸人であり現役のごみ清掃員でもあるマシンガンズの滝沢秀一さんに、家庭ごみを中心に「どうやって捨てるんだろう?」と疑問に思ってしまうものの捨て方を解説してもらう!

今回は、みんなが捨て方に困るごみについてTwitterで大募集!

家庭ごみの「より良い捨て方」を知るためのポイントは大きく3つ

  1. 住んでいる自治体の分別のルールにあった分別を
    「自治体によって処理の仕方が違います。捨て方を間違えると事故の原因や税金の無駄遣いになることもあるので、必ず確認してください」
  2. リサイクルできるものはリサイクルに
    「ごみとして出してしまうと処理だけでもお金がかかります。しかし資源として出せば、価値のあるものに変わります。みなさんの気持ちひとつでごみになるか資源になるかが決まりますよ」
  3. 収集する清掃員の方にやさしい捨て方を
    「ごみは出して終わりではなく、その先に必ず誰かが回収してくれています。皆さん、より良い捨て方に協力してくれると嬉しいです!」

次の収集日から、あなたも「より良い捨て方」でごみを捨てよう。

マシンガンズの滝沢秀一
マシンガンズ滝沢秀一

1976年、東京都生まれ。太田プロダクション所属。東京成徳大学在学中の1998年、 西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。「THE MANZAI」で認定漫才師に選ばれるなど コンビとしての実績をあげている中、2012年、妻の妊娠を機に、ごみ収集会社で働きはじめる。 ごみ収集の体験をもとにSNSや執筆、講演会などで発信している。
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前回の記事はこちら!

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みんなが知りたい「あれ」の捨て方を解説!

今回の募集で、数十個の「どうやって捨てたらいいの?」というものが集まった(ありがとうございました)。この記事で紹介するのは下記の14個。注意点を正しく理解して、より良い捨て方をマスターしよう!

  1. ケーキ用花火
  2. 電子タバコ本体
  3. 子供用の歩くと光る靴
  4. 乾燥剤
  5. 釣り針や縫い針
  6. 薬(錠剤)の空き容器
  7. 金属チューブ入りの軟膏
  8. 金属とプラを使ったシャワーヘッド
  9. マニキュア
  10. レシート
  11. シャンプーや漂白剤の空き容器
  12. お惣菜のトレーや納豆のトレー
  13. 車のエンジンオイル

「清掃員としても一瞬、迷うようなご質問がいくつも混じっていました。こういう物の捨て方に皆さん、迷われているのですね!今日、ここでまとめて解決しちゃいましょう!皆さん、ご質問ありがとうございました!

※2022年3月調査時点の情報です。最新の情報は各自治体やメーカーのお知らせを確認してください

1.ケーキ用花火のより良い捨て方「ひと晩~1週間ほど水に漬けてから捨てる、未使用品は特に注意!」

via AdobeStock

花火というのは火薬を含んでおり、そのままでは発火する可能性があります。なので、多くの自治体では、バケツ等に水を入れ、花火を漬けて、火薬として機能しないようにしてから捨ててくださいと呼びかけています。可燃ごみに出す場合、燃えやすいものと一緒に捨てることとなるので、注意が必要です」

誕生日やパーティーで盛り上がるケーキ用の花火や手持ち花火が、未使用の状態で後日見つかることもあるだろう。花火自体、保管・使用には注意が必要なものだが、捨てる際にも事故を防ぐ対応が必要になる。

まずは自治体のホームページを確認しよう。未使用のものは回収できないという自治体もあるため、その場合にはメーカーなどに問合せてほしい。多くの自治体で、未使用の花火を捨てる際はひと晩~1週間水に漬けてから可燃ごみなどに出すように案内されている(参考:世田谷区「花火(未使用・使用済)の捨て方」)。事故につながらないよう、しっかり対応しよう。

※水に漬ける際、花火を分解するのは大変危険です。捨てる際にどうしたらいいかわからない場合には、メーカーや自治体の案内を必ず確認しましょう

2.電子タバコ本体のより良い捨て方「リチウムイオン電池を含む製品のため、取扱い注意」

写真はイメージです via AdobeStock

「電子タバコはもちろんですが、モバイルバッテリーなどの充電式の製品の多くはリチウムイオン電池というものを使用しています。これが現在、最も清掃業界を困らせているものです。少しでも圧力がかかると発火する恐れがあるので、取り扱い注意です。基本的には拠点回収といって市役所や清掃事務所に持っていかなくてはなりません。量販店でも回収している所がありますので、利用してみてください」

リチウムイオン電池と、それを含む製品の捨て方については、以下の記事で詳しく説明している。捨てる予定がある方は必ず読んでほしい。間違っても可燃ごみに出したり、ほかの不燃ごみに紛れさせて捨てないように注意だ!

3.子供用の光る靴のより良い捨て方「危険・有害ごみになるなど、注意が必要なごみ」

写真はイメージです via AdobeStock

「スニーカー等は可燃ごみで出してほしいと呼びかける自治体が多い。一方、光る靴は不燃ごみだったり、危険、有害ごみの地域が多い。なぜ靴が光るかというと、電池が入っているから。そしてその電池は多くの場合、取り出せない。なのでこれが捨て方が難しくなるポイントです」

子ども用の靴は取り外しのできないボタン電池が入っているものが多い。分解できないおもちゃのようなイメージで、自治体による指示を確認しよう。いくつかの自治体では「電池が取り外せないおもちゃは『危険・有害ごみ』として捨ててください」という指示があった(参考:武蔵野市「危険・有害ごみ」)。

なんとなく不燃ごみに捨ててしまうのではなく「電池が抜けなかった」ということを前提に、捨て方を判断することが大切だ。

4.乾燥剤のより良い捨て方「発火の危険があるので注意が必要!」

「意外だが、不燃ごみで出してほしいという自治体が少なくない。もちろん素材として燃えるものではあるが、捨てる時に問題が生じる場合があるという。乾燥剤(石灰乾燥剤)は水に濡れると発熱するため、発火につながる恐れがあるらしい。生ごみは可燃ごみですよと分類している自治体が多いので、そうなると生ごみの水分が乾燥剤に付着して発熱する可能性があるということだ。可燃ごみと明記されている自治体でも『水分に触れぬよう袋に入れて』と書かれている所もあるので、注意しましょう」

一部の乾燥剤の材料となっている生石灰は、水と反応して発熱する性質がある。通常の使用の際も水分と一緒に置かないように注意が必要だ。これまで、台所で食品から取り出した乾燥剤をポイっと生ごみに捨てていたという人も多いのでは……?
「何となくこうだろう」と思って捨てていたものも、意外な注意点が存在している。次の回収日からぜひ確認してみてほしい。

5.釣り針や縫い針のより良い捨て方「突き抜けないように手当して、『危険』などの表示を」

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針の類いはそのまま捨てると簡単に袋を突き抜けます。複雑な刺さり方をする可能性がありますので、捨てる前の準備が大切です。基本的には不燃ごみの所が多いですが、そのまま捨てるのではなく、ガムテープで貼り付けて包んだり、紙に包んだりして『危険』など袋に書いたり、貼り紙をしていただけると助かります。同じようなことは割れた茶碗やグラスにも言えます。回収する側は人の手で回収していることを想像していただけると嬉しいです」

画鋲や千枚通し、包丁など、うっかり手を傷つける可能性のあるものをそのままビニール袋に入れて捨てれば、当然危険だ。
包丁の捨て方についても、以前の記事で解説しているので、ぜひ読んでみてほしい。

6.薬の空き容器(錠剤のシート)のより良い捨て方「プラか可燃か要チェック」

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「薬が入っている場合はリサイクルできないので可燃ごみになりますが、中身を出しているのであれば、プラスチック資源となる自治体が多いです。ただし材質がPVCと呼ばれる塩化系の容器があるので、これをプラスチックリサイクルの機械に入れると機械を傷める恐れがあります。それを嫌がる自治体は可燃ごみにしてほしいと明記している場合があります。薬の容器が、最も自治体によって分かれるごみかもしれません」

回収日に「プラスチックの日」を指定している自治体は、どういったものが対象で、どういったものがそうでないかを丁寧に解説しているところが多い。中央区ではプラマークのついた錠剤のシートを回収対象と指定している(参考:中央区「プラマークの分け方・出し方」)。容器のマークをチェックして、自治体ごとの対応を確認しよう。

7.軟膏などの金属チューブのより良い捨て方「不燃ごみの自治体が多い」

「調べてみるとほとんどの自治体が不燃ごみ(金属という分別があればそちら)でしたね。やはり金属という点に焦点を合わせて、燃えないものとして処理をするみたいです。一部の地域ではこの程度だったらいいよ、ということで可燃のところもありました」

中身が残っている場合はまずは出し切って、空に近い状態にして捨てるようにしよう。その際、中身は水に流すのではなく、新聞紙や古布などに絞り出して(成分として問題なければ)可燃ごみに出すようにしよう。次に紹介するマニキュア同様、軟膏などチューブの中身が、下水に流れることで環境に影響を及ぼす場合があるためだ。

8.シャワーヘッドのより良い捨て方「素材の確認を!」

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「シャワーヘッドとひと口に言っても、様々な種類がある。プラスチックが大部分を占めているのか金属製の物かで処理の仕方が変わってくる。いくつかホームページを見たところ、プラスチックが大部分を占めるものは可燃ごみ、もしくはプラが不燃の地域もあるので、不燃ごみへ。素材が金属の物は、不燃ごみ。また、金属資源に出してほしいという地域もありました。なので、まず捨てようとしているシャワーヘッドが何の材質か確認することが大切です」

まずは捨てたいシャワーヘッドの素材をよく確認してみよう。異素材を組み合わせている場合もある。シャワーヘッドに限らず「これって何でできているんだろう?」と悩んでしまうものは、なんとなくで捨てずに立ち止まって確認しよう。

9.マニキュアのより良い捨て方「中身は水に流さないで!」

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「液体が固まっていれば、そのまま不燃ごみでお出しください。問題は液体が残っている場合。マニキュアを台所やトイレに絶対に流さないでください。下水処理に負担を掛けたり、海を汚す原因になります。また固まってパイプか詰まることもあります。残ってしまったら、新聞紙等に塗って、乾かしてから、可燃ごみへ。容器については、びんなら不燃ごみ。プラスチックなら可燃ごみです。揮発性があるので火気のある場所では作業しないでください

可能な範囲で、容器に除光液を入れて混ぜ、固まったところを溶かすなど、きれいにして捨てるのが望ましい。滝沢さんもいうように、作業の際は火気のある場所を避け、換気をしっかりして行おう。

10.レシートのより良い捨て方「ほとんどの自治体では可燃ごみ」

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可燃ごみで出してほしいという自治体が9割9分ではある。古紙で出してはいけない理由は、レシートが普通の紙ではなく、熱が加わると黒くなる『感熱紙』という性質の紙だから。リサイクルをして次の紙に生まれ変わった時に黒い色がでてしまうと、商品としての品質が下がる。しかし僅かながらも、レシートを古紙で出してほしいという自治体もあるので、確認してみてください」

もうひとつ気にする人が多いのは「(一部の)クレジットカードナンバーなどの個人情報が記載されているレシートをどうしたらいいか?」ということではないだろうか。家庭用のシュレッダーで細かくしてしまう、外から見えないようにして捨てる、など工夫している人が多いようだ。

11.シャンプーや漂白剤の空き容器「ペットボトルと間違えないで」

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資源の日にペットボトルと一緒にシャンプーやハイターの容器が出されていることが多いが、これは間違い。裏の表示を見れば、ペットボトルはPETマーク、シャンプーの容器等はプラマークがついているので、出す前にご確認ください。プラ資源がある地域の方はプラ資源に、無ければ可燃ごみに出してほしいと言う自治体がとても多いです」

迷ったときは基本に返って、素材の表示を確認しよう。ペットボトルのより良い捨て方は、以前の記事でも解説している。

12.お惣菜のトレイや納豆のトレイのより良い捨て方「回収しているものかを確認の上、近所の回収拠点へ」

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「プラスチックの回収がある地域はそちらに、回収がなければ可燃ごみ(不燃の地域もある)が基本の考え方ですが、ご協力いただけるのであれば、スーパーなど施設で回収しているところに持っていってほしいです。トレイだけを集めれば、また純粋なトレイにリサイクルされます。プラスチックの分別で家庭から回収される時はトレイ以外にも色々な素材が出されているので、再びトレイに生まれ変わることはほとんどありません。リサイクルのためには、同じ種類できれいなものを集めることが大切です」

このコメントを見てから近所のスーパーに行ってみると、食品トレーや牛乳パック、ペットボトルなど回収ボックスが設置されていた。納豆やインスタント麺などの容器は、においが取りづらいなどの理由から回収していないところが多いようだ(参考:文京区「食品トレイ」)。この機会にどういったものが近所のスーパーや自治体で回収の対象になっているかチェックしてみては。

13.土のより良い捨て方「ほとんどの自治体で回収していません!」

基本的には回収不可です。よく可燃ごみに出されている方がいますが、回収できないことを説明するシールを貼って置いていくことになります。なぜかというと土は燃えないからです。一部の自治体で不燃ごみで少量という条件付きで持っていくところもありますが、数える程です。お金を払って業者に頼むか、もしくはお近くのホームセンターが回収してくれる場合もあります。確認してみるといいかもしれません」

例えば中央区は、園芸用の土のリサイクルに取り組んでいるため「一世帯20リットル袋を一つまで」という制限のもと回収をおこなっている(参考:中央区「土のリサイクル」)。まずは自分の住んでいる自治体が対応しているか確認をしてみよう。

14.車のエンジンオイルのより良い捨て方「危険物として注意を。自治体、販売店・ガソリンスタンドなど専門の会社に相談」

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「自治体によって、対応がまるで違います。まずは販売店に問い合わせてほしいという自治体が多いです。ガソリンスタンドでも、セルフの所はあまり引き取って貰えず、サービスとして車の整備をしている所が比較的対応してくれるようです。使用済のエンジンオイルは、ホームセンター等で売っている『オイルを固まらせるボックス』で処理したら、可燃ごみで回収するという自治体も少ないけどありました

まず、エンジンオイルには引火性があり、取扱いに注意が必要な危険なものであることを認識してほしい(各行政のページでも「有害性・危険性のあるもの、著しく悪臭を発するもの」は特に注意して、適切に廃棄に出すよう呼び掛けている)。川や海、土壌に廃棄することはもちろん、安易に収集所に放置したり、指定されていない方法で回収に出したりするなどの行為は絶対にやめて、適切な捨て方を調べよう。
ちなみに世田谷区の場合は回収をしていない。「販売店に引取を依頼してください。引取店が見つからないときは、清掃事務所にて処理業者をご案内します」と記載されていた(参考:世田谷区「資源・ごみの分別」)。

滝沢さんの紹介していた「オイルを固まらせるボックス」は、下記のような「廃油処理箱(廃油ボックス、オイル処理ボックスなど)」のこと。ただし、滝沢さんのいうように、こういったもので廃棄できる自治体も限られている。危険物を捨てる認識をもって、自治体のルールを調べてから対応しよう。ちなみに、よくスーパーで売っているてんぷら油などを固めるタイプの凝固剤は用途が異なるため、絶対に使用してはいけない。

近しいものでは、灯油が入っているポリタンクの捨て方についての質問もあった。

「基本的に液体自体をごみ回収で収集することはできません。灯油などを入れていたポリタンクや、まだ使い切っていない場合は、エンジンオイル同様販売店やガソリンスタンドに問合せるのが最もポピュラーな解決法だと思います。ちなみに灯油が体に掛かると熱傷につながるので、もし掛かったら、すぐに洗い流して病院に行きましょう

灯油についても、エンジンオイル同様危険物ととらえ、慎重に扱った方が良いだろう。また、灯油は長期の保管には向いておらず、国民生活センターも昨シーズンのものはストーブなどで使用しないように呼びかけている。シーズンの最後に適切な方法で廃棄するようにしよう。

メッセージをくださったみなさま、滝沢さん、ありがとうございました!次回もお楽しみに。

「今回ご紹介したのは基本の考え方であって、自治体によって、回収ルールが全く違うことがあります。なので一度、捨てる前にご自身で調べたり、問い合わせしていただけるとうれしいです」

マシンガンズの滝沢秀一
マシンガンズ滝沢秀一

1976年、東京都生まれ。太田プロダクション所属。東京成徳大学在学中の1998年、 西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」を結成。「THE MANZAI」で認定漫才師に選ばれるなど コンビとしての実績をあげている中、2012年、妻の妊娠を機に、ごみ収集会社で働きはじめる。 ごみ収集の体験をもとにSNSや執筆、講演会などで発信している。2018年、エッセイ『このゴミは収集できません』(白夜書房)を上梓したあと、 漫画『ゴミ清掃員の日常」(講談社)、『ごみ育』(太田出版)などを出版。 2020年10月、環境省『サステナビリティ広報大使』に就任。 同12月、消費者庁『食品ロス削減推進大賞』の委員長賞を受賞。
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編集・構成:CHINTAI編集部

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