
【スプレー缶の“より良い”捨て方】芸人で現役ごみ清掃員のマシンガンズ滝沢さんが解説!
スプレー缶の分別は?より良い捨て方は?マシンガンズ滝沢さんに聞く

毎日何かと出てしまう「ごみ」。いざ捨てようとなったときに「分別は?」「どう捨てたらいいの?」と疑問に思うことはないだろうか。
この記事では、芸人であり現役のごみ清掃員でもあるマシンガンズの滝沢秀一さんに、家庭ごみを中心に「どうやって捨てるんだろう?」と疑問に思ってしまうものの捨て方を解説してもらう!
家庭ごみの「より良い捨て方」を知るためのポイントは大きく3つ
- 住んでいる自治体の分別のルールにあった分別を
「自治体によって処理の仕方が違います。捨て方を間違えると事故の原因や税金の無駄遣いになることもあるので、必ず確認してください」 - リサイクルできるものはリサイクルに
「ごみとして出してしまうと処理だけでもお金がかかります。しかし資源として出せば、価値のあるものに変わります。みなさんの気持ちひとつでごみになるか資源になるかが決まりますよ」 - 収集する清掃員の方にやさしい捨て方を
「ごみは出して終わりではなく、その先に必ず誰かが回収してくれています。皆さん、よりよい捨て方に協力してくれると嬉しいです!」
次の収集日から、あなたも「より良い捨て方」でごみを捨てよう。
意外と知らない「スプレー缶」の捨て方を解説!
とりあえず「缶」の仲間かな?と思う人、「中身が出し切れてない場合はどうしたらいいかわからない」という人もいるのでは。スプレー缶の捨て方の基本的な考え方は下記のとおり。
- スプレー缶本体の分別は「不燃ごみ」や「危険ごみ」「缶」など自治体ごとに変わるので確認しよう
- ほかのごみと混ぜずにスプレー缶だけわかるようにして捨てよう
- 事故を防ぐために捨てる際の穴開けを禁止している自治体が増えている※
- 中身が残っているスプレー缶は、中身を使い切ってから捨てよう
※スプレー缶を取り扱う日本エアゾール協会は、スプレーによる事故を防ぐために、家庭ごみ(一般ごみ)では穴開けをせずに、使い切った後で適切な場所で「ガス抜きキャップ」を使用してガスを出し切ることを推奨しています(適切な場所、キャップの使用方法などの解説:協会サイト)
スプレー缶、こんな捨て方していませんか?

「言語道断よ!!こんな捨て方!
そりゃ地域(や自治体)によっては、穴を開けた上で『普通ごみ※』で捨ててよいという地域はあるが、この捨て方にしている自治体はあまり多くない。
マジで清掃員からのお願いとして、必ず自治体のルールに従って捨ててください!」
「スプレー缶は捨て方を注意してほしいごみのひとつ」と強調する滝沢さん。というのも、スプレー缶は内部にガスを含んでいるため、適当に捨ててしまうととても危険なのだ。捨て方の注意点と危険な点を説明してもらった。
※『普通ごみ』とは、「空き缶・ペットボトル、空きびん、使用済み乾電池、ミックスペーパー、プラスチック製容器包装、小物金属、粗大ごみ」以外のごみ(川崎市ホームページより)
スプレー缶は何ごみ?自分の自治体の分別方法を調べてみよう
スプレー缶は、行政によって分別方法や捨て方が変わる。
フタによく使われているプラスチックも『可燃ごみ』だったり『プラごみ』だったりすることがある。
特に悩むことが多いのは、ガスを含んでいる本体の方だろう。「不燃ごみ」や「危険ごみ」「缶」など、調べて確認したほうが確実だ。
自治体によっては「ごみの分別ガイドブック」や「リーフレット」を発行している場合もある。ネットで見つけた分別リストをスマホに保存しておくのも便利かもしれない。
「『スプレー缶 自治体の名前 捨て方』で検索すると出てくるので、ネットが使える環境の人は必ず調べてください! この記事が見れているということは、間違いなくネット環境が整っているというとこで、全員が調べられる!頼む!面倒がらず調べてください!」
分別だけでは不十分?スプレー缶はほかのごみと分けて捨てよう
「スプレー缶は、僕が回収している東京23区の多くの自治体は『不燃ごみ』として回収している。 ここで注意して欲しいのが、出来ればフライパンや鍋、割れた茶碗などの他の『不燃ごみ』と混ぜないで、スプレー缶はスプレー缶でまとめて袋に入れて出してほしいということ」
分別だけでなく、例え同じ分別であってもほかのごみとは分けてほしいという。
「分別さえしてあれば一緒に捨ててもよい」と思っていた人は多いのでは……?
「写真のような捨て方はもちろん、同じ『不燃ごみ』のフライパンや鍋などに隠れて、我々清掃員がスプレー缶に気付かず、清掃車の中に入れてしまったとする。すると清掃車の中で、圧縮されたスプレー缶が破損して、中に入っていたガスが清掃車の中に充満する。ここで重要なのは、ライターも不燃ごみになる場合が多い、ということ。
スプレー缶のガスにライターが引火すれば、瞬く間に火は燃え広がり、清掃車火災に繋がる。実際に年間600台の清掃車が燃えていると言われている」
分別はもちろん、安全のためには捨てる際に清掃員の方がスプレー缶の存在に気づけることが大切だ!
スプレー缶を捨てる時は穴を開けるの?開けないの?
編集部が「スプレー缶の捨て方」を調べている中でも、「穴を開けて捨てる」「穴開けは禁止」という情報が両方あった。
「スプレー缶は、ここ10年程『穴を開けずに出してください』という地域が増えています。
昔はどこの地域でも穴を開けて出してくださいと言っていたのが、だいぶ減りました。それは何故かというと近年、家庭で穴開けをすると台所に引火したり、目にガスが入って事故に繋がることが多発していたからです」
ただし、やはりこれも地域によってバラバラで今現在も「穴を開けて出してください」と呼びかけているところもあるそう。個別に確認が必要だ。
「どこも共通しているのが『中身を使い切ってください』と言っています。なので中身を出し切ってからごみに出してくださいね」
中身がうまく出し切れないものは、商品に記載の“お客さま相談室”や“販売元”に確認してから捨てよう。
また、実際に中身を出し切ってからスプレー缶を捨てる際、「穴あけをしなくてよい」自治体の場合はどうやって捨てたらよいのだろうか。
「そういう場合は、今はスプレーの多くが蓋の裏にガスを出し切れるようにしてくれているもの(=ガス抜きキャップ)を付属しているので、それを利用してみてください※」

※ガス抜きキャップを使用する際は、使用上の注意をよく読み、屋外などの風通しの良い、火気のない場所でおこなってください。静電気や火気に引火する場合があります。空気の乾燥する冬季は特に気を付けましょう。使用方法を解説したエアゾール協会のサイト
「もし蓋にそれ(ガス抜きキャップ)も付いていなければ、清掃事務所に連絡してみてください。『では持ってきてください』というかもしれませんし、『スプレー缶でまとめておいて出してくれれば、大丈夫ですよ』というかもしれません」

スプレー缶のガスを抜くときは、安全な方法を確認してから行おう。
参考サイト:使用方法を解説したエアゾール協会のサイト
ごみの危険な捨て方はやめて!
「写真のように違う分別のごみに混ぜて出す方は、「つい」の感覚で捨てるが、僕らにとっては命に関わることだ。だからお願いしますよ!」
一個のスプレー缶から大きな事故につながる可能性があると話す滝沢さん。そしてもう一点、知っておきたいことがある。
「もうひとつ重要なことは、無駄な税金が使われてしまうということ。清掃車は特殊車なので、高級車だ。一台につき、一千万円する。もし清掃車火災になれば、新しい清掃車を買わなければならない」
新しい清掃車を用意する場合、新たに一千万円かかる費用は、本来は使わなくても良かった税金ということ。
「ひとりのほんのちょっとの「面倒臭い」が、これほど大きな問題になるということは知っていましたか?僕の知り合い運転手も過去、清掃車が燃えて大変な思いをしたという話を聞きます。なので面倒でも少しでも考え直してくれると嬉しいです」
まずは「スプレー缶 自治体名 捨て方」で検索を!
「いいですか!この記事を見れているということはあなたは『ネットで調べられる』ということだと思うので、必ず自分の自治体の捨て方を知ってください」
あなたの自治体ではどう捨てればよいのか。スプレー缶の捨て方を調べるポイントは大きく2つだ。
- スプレー缶は何ごみか(同じ分別のごみがあっても、スプレー缶はほかのごみと分けて捨てよう!)
- 捨てる際は穴あけが必要か(中身は出し切って、ガスを安全な方法で抜いてから捨てよう!)
「スプレー缶の捨て方として、同じ23区でも『不燃ごみ』だけでなく『缶などの資源』の日に出して欲しいという自治体もありますし、県外だと『危険ごみ』と呼んでいるところもあります。なので『自分の自治体がスプレー缶を何ごみで出して欲しいか』を調べてみるといいですね!」
年末年始や引越しなどの大掃除でも分別を忘れずに!
「という訳でそろそろ年末に近づいてきます。大掃除になると捨てるものが多くなり、分別が面倒臭くなりますが、だからといって『適当でいいや』とならずに、誰かが回収するというのを思い浮かべてくれると嬉しいです。素敵な年末年始をお過ごし下さい」
滝沢さん、ありがとうございました!次回もお楽しみに。
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編集・構成:CHINTAI編集部
協力:一般社団法人日本エアゾール協会