【住む街ガイド】小説『百瀬、こっちを向いて。』の舞台・久留米は人々が温かい街だった

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小説『百瀬、こっちを向いて。』(中田永一・著)の舞台・福岡県久留米市。そこには人と人とが関わりあえる温かさが存在していた

百瀬、こっちを向いて。 中田永一・著 617円 祥伝社

百瀬、こっちを向いて。
中田永一・著 617円 祥伝社

『百瀬、こっちを向いて。』のあらすじ

不器用で社交的とは言い難い主人公たちの恋を描いた、切なさMAXの短編集。収録されている4話のうち、表題作は主人公が博多駅のホームに降り立ち、西鉄久留米駅へ向かう場面から幕を開ける。この世の誰もが、何の躊躇いもなく恋愛モードに突入できるわけじゃないという切実さが胸に沁みる。ミステリー的な仕掛けもたっぷりな作品だ。

淡い恋物語の舞台はあたたかい“人”の街

土曜日のお昼過ぎ。西鉄久留米駅のバスターミナルには多くの人が行き交う。なかには楽しげな学生もいて『百瀬、こっちを向いて。』の情景を思い起こさせる。

本作では、冴えない高校生活を送る主人公・相原ノボルの淡い恋が描かれている。ひょんなことから野良猫のような目つきの百瀬陽と偽りの恋人関係となり、次第に本当の恋心を抱くようになる。

作品の舞台である久留米は「ほとめきの街」を名乗る。ほとめきとは、筑後地方の方言で「おもてなし」の意。その言葉どおり、久留米の人たちはどこかあたたか。実際、親切な人が多く、街について尋ねると「おいしいものがいっぱいあります。特に焼き鳥! 店舗が人口比で一番多いみたい」「都会でもなく田舎でもなく住みやすいですよ」と教えてくれた。心根の優しさは若く不器用だった登場人物たちにも通じるところがある。

小説に出てくる東町公園に向かう道すがら、ほとめき通り商店街を歩いた。久留米を代表する商店街で、いくつもの個人商店が軒を連ねる。夜に祭りがあるらしく、多くの人が協力し準備している様子は、地域での触れ合いの良さを感じさせた。人と人があたたかく関わりあえる土壌がこの街にはあるのかもしれない。

小説に登場するスポットを歩いてみよう!

スポット①:西鉄久留米駅バスターミナル

西鉄久留米駅 バスターミナル

西鉄久留米駅 バスターミナル

西鉄バスが1日に何百台と発着する巨大なバスターミナル。作中では、相原ノボルと百瀬陽、宮崎瞬と神林徹子のダブルデートの待ち合わせ場所だった。

●住所:福岡県久留米市東街

スポット②:筑後川

作中のエピソードも多い九州最長の川、筑後川

作中のエピソードも多い九州最長の川、筑後川

九州最長の河川。河川敷は野球場やソフトボール場、広場などとして整備されている。相原と宮崎の家は筑後川のそばにあり、子どもの頃、土手で転んで気絶した相原を宮崎が見つけてくれた。

スポット③:甲子園三代目 あつい飯

懐かしさが漂う「甲子園三代目 あつい飯」の店内

懐かしさが漂う「甲子園三代目 あつい飯」の店内

「甲子園三代目 あつい飯」の人気メニュー、モダン焼き

「甲子園三代目 あつい飯」の人気メニュー、モダン焼き

作中では「甲子園」という名前で登場。相原たちがダブルデートで映画を観た帰りに訪れたお店だ。西鉄久留米駅2階にあったが移転し、名前も変えて営業している。創業してから47年間、変わらぬ味で地元の人に愛されている。人気メニューは「モダン焼」(900円)。

●住所:福岡県久留米市東街39-27 森光第1ビル2階
●アクセス:西鉄久留米駅から徒歩3分
●TEL:0942-37-1286
●営業時間:[日~木曜]11:00~15:00、18:00~24:00
[金・土曜・祝前日]11:00~15:00、18:00~翌1:00
●定休日:水曜

久留米の暮らしやすさについて

市内は広いがバスでどこにでも行ける。衣食住も整っていて、結果、久留米市が行った意識調査では、市民の4人に3人が「これからも住み続けたい」と答えている。特筆すべきは街の医療で、市内に34の病院と300を超える診療所などの医療機関がある。人口10万人あたりの医師の数は全国トップクラスであり、生活の安心にもつながりそうだ。

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文=綱島 剛
写真=湯浅立志

※「CHINTAI2017年9月号」の記事をWEB用に再編集し掲載しています
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