【住む街ガイド】小説『左京区七夕通東入ル』の舞台・出町柳は青春を感じる街だった
京都の川がはぐくむドキドキ学生恋愛小説『左京区七夕通東入ル』。その舞台である京都・左京区出町柳に足を運んだら、2人のように自転車で鴨川の土手を駆け抜けたくなる風景がそこにあった

左京区七夕通東入ル
瀧羽麻子・著 669円 小学館文庫
『左京区七夕通東入ル』のあらすじ
京都市内の大学の4回生である「花」が、七夕の夜、合コンで出会った龍彦。典型的な今どきの女子大生である花に対し、理学部数学科の龍彦は、恋愛の駆け引きも通用しない数学バカ。ままならない二人が運命の恋人と呼ばずにはいられない関係になる過程に胸キュン必至。龍彦の仲間の非モテ理系男子を主人公にした『左京区桃栗坂上ル』もあわせてどうぞ。
若者群像のドラマにふさわしい街
「京都の街には碁盤の目のように東西南北に道が走り、東西に延びる大通りは北から南にかけて一条、二条、三条、というふうに数が増えていく」
架空であっても一目で京都の地名とわかるタイトルのこの小説は、京都で過ごす大学生たちの若者群像を描く恋愛小説。京都を舞台にしながら神社仏閣がほとんど登場しないのは珍しいが、そこには「学生の街」という京都のもう一つの顔がある。
観光客のように駆け回り去っていく存在でもなく、古くからの京都人でもなく、肩の力を抜いて4年間の京都生活を過ごす主人公たち。学生は全国から集まっているから、京言葉へのひけめもない。観光客を横目に賀茂川を自転車で駆け抜け、友達から教えてもらったタルト屋さんに行ったり、木屋町の居酒屋で合コンしたり。「古都」とか「世界遺産」とかいった枕詞が不要な京都の町がそこにある。
登場人物と同じように鴨川のデルタに降り立ち、橋を行き交う人々や、飛び石伝いに川を渡る子どもたちをのんびり眺めてみよう。京都に住むことの魅力がなんとなく感じられるかもしれない。

出町商店街の夏の風物詩、七夕夜店。作中では七夕の夜に二人が出会う
小説に登場するスポットを歩いてみよう!
スポット①:鴨川三角デルタ

作中の主人公たちが花火を楽しんだ鴨川三角デルタ
合コンで出会った4人組が花火を楽しんだ「デルタ」と呼ばれる賀茂川と高野川の合流点。小説内でたびたび登場する出町柳駅もこのすぐ近くにある。
●住所:京都市左京区下鴨宮河町
●アクセス:京阪鴨東線・叡山本線出町柳駅から徒歩すぐ
出町柳をますます好きになる イチオシスポット
出町 ふたば

並んででも食べたい出町柳スイーツ、ふたばの豆餅
豆餅で知られる河原町今出川交差点そばの生菓子店。大正時代から京都大学や同志社大学の学生のおやつとして親しまれていたとか。現在でも遠くから訪れるお客さんが行列を作っている。
●住所:京都市上京区出町通今出川上ル青龍町236
●アクセス:京阪本線出町柳駅から徒歩5分
●TEL:075-231-1658
●営業時間:8:30~17:30
●定休日:火曜・第4水曜(祝日の場合は翌日)
進々堂 京大北門前

進々堂 京大北門前。京大生お墨付きの老舗喫茶店

重厚な木のテーブルは人間国宝の作家によるものだ
昭和5年に創業し、現在も当時のままのレトロモダンな建築・内装を伝えているカフェ「進々堂 京大北門前」。
●住所:京都市左京区北白川追分町88
●アクセス:叡山電鉄出町柳駅から徒歩10分
●TEL:075-701-4121
●営業時間:8:00~18:00(L.O.17:45)
●定休日:火曜
出町柳の暮らしやすさについて
京都の出町柳は京阪電鉄の始発駅であり、京都市内だけでなく大阪方面へも京橋へ約47分と通勤圏に入る。周辺は京都大学、同志社大学をはじめ学校や病院が多く、夜は比較的静かで治安の面も安心。買い物施設は大型店はないものの、駅近くに出町枡形商店街や24時間営業のフレスコミニがある。
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文=上田泰久
写真=桂 伸也
※「CHINTAI2017年9月号」の記事をWEB用に再編集し掲載しています
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