軽量鉄骨造とは?木造との違いはなに?物件を選ぶときのポイントも解説

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軽量鉄骨造ってなに?木造との違いは?

軽量鉄骨造1

建物を造るときの建築工法にはいくつかの種類があり、建築物の高さや建てる場所、用途などによってそれぞれ異なる。その中にある軽量鉄骨造は「鉄骨造(S造)」に分類される建築工法であり、建物の骨格部分に鉄や銅などの軽量鉄骨を用いるのが特徴だ。

日本で古くから建築に用いられてきた木造は、通気性や吸湿性が高く、一年を通じて過ごしやすい。一方の軽量鉄骨造は、木造と比較すると強度が高く、耐震性に優れている。

今回はそんな軽量鉄骨造のメリットやデメリット、木造物件との違いや軽量鉄骨造の物件を選ぶときのポイントについて解説する。軽量鉄骨造について知りたい人はぜひ参考にしてほしい。

軽量鉄骨造とは

賃貸の部屋

建築物の構造は、大きく分けると4種類ある。「木造(W造)」「鉄骨造(S造)」「鉄筋コンクリート造(RC造)」「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」といったものだ。

その中でも鉄骨造は「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」に分けられる。軽量鉄骨造は使用される鋼材の厚さが6㎜以下の場合で、6㎜を超える鋼材を使用したものが重量鉄骨造だ。

鉄骨造と呼ぶ場合、一般的に重量鉄骨造を指すことが多い。重量鉄骨造は、一般的な住宅よりも大型マンションやビルを建てる際に使われる。

ただし、ハウスメーカーが鉄骨造の住宅といったときは、多くの場合プレハブ工法を使った軽量鉄骨造を指す。プレハブ工法とは、工場で材料を加工して床や壁を事前に作っておき、現場では搬入して組み立てるだけという建築工法のことである。

材料を大量生産でき、さらに現場での作業が楽になることから、大手ハウスメーカーでよく用いられている。

軽量鉄骨造の建物には、メリットもあればデメリットもある。それぞれをしっかり把握することで軽量鉄骨造の良し悪しが見えてくるだろう。

軽量鉄骨造のメリットとは

軽量鉄骨造の場合、事前に部材を工場で生産する。施工する職人の経験や技術に左右されず、安定した品質が保証される。

大量生産されたパーツを使用することで材料費も抑えることができ、現場では大がかりな建設作業を行う必要もない。短い工期で施工を終えられるため、人件費などの建築コストも抑えることができるだろう。

賃貸物件としても築年数や立地、広さなど条件が同じ鉄筋コンクリート造などの物件と比較すると、建築費用が抑えられる軽量鉄骨造の物件は家賃が低めの傾向がある。とはいえ、木造よりは高くなることが多い。

軽量鉄骨造のデメリットとは

一方デメリットとして、デザインや間取りなどで自分の希望が実現しにくいというものが挙げられる。また、鉄骨鉄筋コンクリートや鉄筋コンクリートの住宅に比べると、防音性や耐久性が低くなってしまう。

軽量鉄骨造の建物は、通気性もあまりよくない。湿度の調整がしづらく、内の湿度や室内外の温度差によって結露が発生しやすい傾向がある。こまめに換気を行うなど、しっかりと対策を行うようにしよう。

また、いくら軽量とはいえ鉄骨のため、木造建築の建物よりも重い仕様になっている。地盤状況次第では、地盤強化工事を行わなければいけない場合もある。

「軽量鉄骨造」物件と「木造」物件の違い

軽量鉄骨造2

ここからは、軽量鉄骨造の物件と木造物件の違いについて解説する。1つずつ見ていこう。

軽量鉄骨造と木造の違い①:品質の安定性・耐久性

前述の通り、軽量鉄骨造の材料や部品は工場で一律生産されている。そのため、一定の品質を保つことが可能だ。

一方木造では、施工する職人の技術や使用する木材によって品質にばらつきが出る可能性がある。木造で建設する場合は、評判のよいハウスメーカーや工務店に依頼しよう。極端に安価だったり工期が短かったりする場合は注意が必要だ。

また、建物には減価償却の計算に用いられる「耐用年数」が定められている。つまり建物が物理的・経済的に使用可能な年数があらかじめ決められているということだ。

木造の耐用年数は22年だが、軽量鉄骨造の耐用年数は、骨格材の厚みによって変化する。具体的には、厚さが3㎜以下の場合は19年、3㎜以上4㎜以下の場合は27年となっている。

ただし、耐用年数はあくまで基準であり、耐用年数が過ぎたからといって急に住めなくなるわけではない。実際にどれくらいの耐久性があるかは、建物のメンテナンス次第で違ってくる。

軽量鉄骨造と木造の違い②:耐震性

耐震性については、軽量鉄骨造の方が木造より優れている。耐震性を構造で比較すると「木造 < 軽量鉄骨造 < 重量鉄骨造」となっている。鉄骨は折れにくいため、倒壊のリスクはほとんどない。

ただし鉄骨造は重量があるため、地震の揺れを感じやすい。また、耐震性を重要視することで間取りの自由度が下がる可能性もある。

軽量鉄骨造と木造の違い③:断熱性・防音性

断熱性は木造の方が優れている。木材は断熱性や調湿性が高く、日本の気候に適している。夏は涼しく冬は暖かいので、一年中快適に過ごせるだろう。一方軽量鉄骨造は一般的に断熱性が低い。高品質の断熱材を使用するなど、断熱対策が必須となる。

防音性については、軽量鉄骨造の方が若干優れている。ただし、軽量鉄骨造はすべての壁内にコンクリートを詰めているわけではないので、木造とあまり変わらないといえる。

軽量鉄骨造と木造の違い④:通気性・調湿性

軽量鉄骨造は、木造に比べると通気性・調湿性が劣るといわれている。木材には湿気を吸収・放湿する調湿性という機能があるため、部屋の湿度を快適に保てるのだ。このため木造建築では梅雨でもちょうどいい湿度で心地よく過ごせる。

一方の軽量鉄骨造は、気密性が高いため湿度を下げることができず、結露が発生しやすい。カビの原因にもなるので、適度な換気が必要だ。

軽量鉄骨造と木造の違い⑤:家賃

木造とは違い、工業製品である軽量鉄骨は、必要な部材を工場で製造しているため品質が安定している。しかし木造よりも材料費がかかり、さらに工期も比較的長めなので、その分家賃が高くなってしまう。できるだけ家賃の低い部屋に住みたいという方は木造物件を中心に探してみるとよいだろう。

軽量鉄骨物件を選ぶときのポイント

人差し指を立てる女性

ここでは軽量鉄骨造の物件を選ぶ際のポイントについて紹介する。

軽量鉄骨物件選びのポイント➀:隣の住人の状況を確認する

アパートやマンションは声や足音が響きやすい。隣人の活動時間と合わない場合、騒音トラブルに発展する恐れがある。

また、小さな子どもがいたり、ペットなどと暮らしていたりする場合もある。音に敏感な人は、契約前に近所の状況を確認しておいた方がよいだろう。

自分が在宅している時間帯に内見に行くと、より詳しく近隣の状況を知ることができる。ただし、夜は不動産会社が営業していないことが多い。物件の周辺を歩いて、周囲の状況を確認しておくとよいだろう。

軽量鉄骨物件選びのポイント②:内見時に壁をたたいて響き具合を確認する

物件は構造によって防音性や耐震性などの性能が異なる。そのため、物件がどの構造で建てられているかどうかを確認することが大切だ。

軽量鉄筋造の中には、壁の両側に石膏ボードを貼ってクロス仕上げのみという手抜き物件もある。防音性が考慮された物件の場合、石膏ボードが二重に貼られ、さらに石膏ボードの間に遮音性を高めるための材料を入れるなどの対策がなされている。

内見の際、軽く壁をたたいてみてほしい。「コンコン」と高い音がしたら、中が空洞である可能性がある。そのような音がした部屋は、壁が薄く音が響きやすいので、防音性はあまり期待できないだろう。

軽量鉄骨物件選びのポイント③:過去に騒音トラブルがなかったか聞いておく

契約前、過去に騒音トラブルがなかったか聞いておくようにしよう。頻繁に騒音トラブルが起きている物件は、建物の構造や近隣環境に問題がある可能性が高い。

不動産会社には重要事項説明責任があるため、尋ねれば教えてくれるはずだ。しかし、騒音トラブルの原因が構造上の問題ならば、改善は難しいだろう。

軽量鉄骨造の特徴、木造との違いを把握して物件を探そう

今回は軽量鉄骨造の特徴や木造物件との違いを解説した。木造と比べると軽量鉄骨造は耐久性や耐震性に優れている。しかし、断熱性は木造よりも劣ってしまうので、気になる場合は断熱対策用のカーテンを購入したり、寒さを軽減させるカーペットを敷いたりしながら工夫しよう。

また、利便性や暮らし方、好みなど重要視する点は人それぞれ異なり、それらによって最適な物件は変わってくる。軽量鉄骨造のメリットとデメリットを比較しながら、納得できる物件を見つけよう。

文=CHINTAI編集部

CHINTAI編集部
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1992年創業、お部屋探しや生活の情報を発信してきた株式会社CHINTAIが運営するWebメディア。引越しに関する情報はもちろん、家事や家計、季節の楽しみなど日々を豊かにする知識を調査・ご紹介。
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