掃き出し窓とは?防犯対策や内見でチェックしておきたいポイントを紹介
掃き出し窓とは大きな引き戸式の窓
みなさんは「掃き出し窓」という窓をご存じだろうか?
掃き出し窓とは、窓の下部分が床まである窓のことだ。賃貸物件では、ベランダなどに続く窓は掃き出し窓であることがほとんどだ。自分の家の窓が「掃き出し窓」ということに、この記事を見て改めて気付く人も多いだろう。しかしこの「掃き出し窓」、なぜ掃き出し窓と呼ぶのだろう? と疑問に思った人も多いのでは?
日本では掃除機のなかった時代、床掃除はほうきを使って行われていた。その際に家の中のほこりや塵を窓から掃き出していたことから、現在も「掃き出し窓」と呼ばれている。当時は家の中のほこりを掃き出す役割の窓であったため、現在の掃き出し窓よりも小さいサイズだったようだ。しかし時代の流れとともに、掃除機が家庭に普及して、家の中でほうきを使うことはほぼなくなった。そのため、現在ではベランダや庭に出るための窓として機能している。テラス窓と呼ばれることがあるのはその理由からだ。
そして、掃き出し窓は引き戸式が一般的だが、物件によっては上下にスライドするタイプ、外に押し出すタイプや、外開きタイプの掃き出し窓もある。
今回は、掃き出し窓のメリット・デメリットや、防犯対策などを解説していこう。賃貸物件の1階や2階に住んでいる人で、部屋に掃き出し窓があるという方は、特に防犯面で参考にしてほしい。
このページの目次
掃き出し窓のメリット・デメリット
賃貸物件を探す際に、ベランダがあることが条件という人も多いぐらい、ベランダつきの賃貸物件は人気だ。
洗濯物を干したりガーデニングを楽しんだり、最近ではベランダキャンプを楽しむ人もいる。そして、ベランダに通じる窓はほとんどが掃き出し窓となっている。
何気なく生活しているとあまり考えたことがないであろう、掃き出し窓のメリット・デメリットを解説していこう。
メリット
掃き出し窓のメリットは以下のようなものがある。
室内が明るい
掃き出し窓のメリットは、何といっても太陽の光を取り入れやすいということ。床まで窓があるわけだから、必然的に窓も大きくなる。そのため、太陽光を遮らず部屋へ取り入れることができ、室内が明るくなるというわけだ。
風通し
窓が大きいため、風通しが良いということも掃き出し窓のメリットだ。湿気が多い部屋は特に、大きな窓による風通しの良さがカビ対策に有効だ。掃き出し窓を開けるときは、対面側に窓があればさらに風邪通しが良いので、内見に行った際にチェックすると良い。
開放感
上記のメリットに付随することだが、窓が大きいと開放感が生まれる。ベランダでガーデニングをしている人も、窓からの景色を楽しむことができるし、ベランダのDIYによってはリビングと一体感を出すこともできる。
ベランダへ出入りがしやすい
賃貸物件の場合、掃き出し窓はベランダに直接つながっていることが多い。物件によっては、個別の庭がついている物件などもあり、掃き出し窓によって直接出入りができる。
ベランダや庭への出入りがしやすいというのも、掃き出し窓のメリットだ。ベランダは洗濯物を干すのに便利なのはもちろん、ベランダで日なたぼっこをしたり、DIYでベランダにカフェスペースなどを作ったりといろいろと楽しめる。
デメリット
掃き出し窓のデメリットは以下のようなものがある。
カーテン代が高い
大きな窓は、室内が明るくなり開放感があるというメリットがあるが、窓が大きいということは、カーテンのサイズも大きいということだ。窓によっては既製品のカーテンでは寸法が足らないということもある。その場合はオーダーすることになり、割高となってしまう。
冷暖房効率が下がる
窓ガラスが大きいとそれだけ断熱性が下がる。つまり、外気の影響を受けやすく、夏は暑く、冬は寒いというデメリットがあるのだ。
戸建て住宅と比較すると、賃貸物件の窓はどうしても断熱性が下がるので、内見のときに窓の種類を確認すると良いだろう。寒さ対策としては、窓断熱シートなどを活用するのをおすすめする。
防犯面
掃き出し窓のある賃貸物件に住んでいる人は、防犯面に気をつける必要がある。部屋からベランダへ出入りしやすいということは、外部からも部屋へ入ってきやすいということでもある。1階や2階に住んでいる人は特に、掃き出し窓の防犯対策をしてほしい。
掃き出し窓におけるカーテン代の対策
掃き出し窓用のカーテン代は意外と高額になりやすい。値段を調べてみると、「こんなに高いの?」と驚いてしまうほどだ。しかしカーテンは、部屋の印象を左右するため、何でもいいというわけにもいかないのが難しいところである。
部屋の雰囲気に合う色や素材にこだわると、それだけ費用がかかる。意外と高いカーテン代を抑えたいという方に、カーテン代の節約方法を紹介しよう。できる限り費用を抑えて、希望の掃き出し窓のカーテンを手に入れてもらいたい。
友人などからカーテンを譲り受ける
まずは家族や友人、職場の人など、不要なカーテンを持っている人が周囲にいないか探してみよう。使われなくなったカーテンがクローゼットの奥に眠っていることがある。もし譲ってもらえたら、出費はかなり節約できる。処分に困っている場合は、引き取ってもらえるほうが相手も嬉しいはず。引越しや大掃除など、新調するタイミングで尋ねてみると、譲ってもらえる可能性が高い。
フリマアプリで購入をする
インターネット上で、フリーマーケットのように商品を買えるフリマアプリを使えば、お得に買い物ができる。ものによっては未使用の商品もあるため、フリマアプリで理想のカーテンを探してみよう。
店舗で購入するよりも、個人が出品できるので多種多様な商品がそろっており、選択肢が多いという利点がある。出品者によっては値下げ交渉が可能な場合もあり、自分の希望する価格で手に入りやすいところも魅力だ。時期によっても商品が異なるので、定期的にチェックしよう。
リサイクルショップへ足を運ぶ
自分の気に入るデザインを実際に見てから購入したいという方は、リサイクルショップがおすすめだ。カーテンは買い取ってもらうことが難しいため、品数は少ない可能性もあるが、見た目や、触り心地を自分の目で確認できる。掘り出し物に出会えることも考えられるので、近くにリサイクルショップがある方は一度足を運んでみよう。
掃き出し窓における冷暖房効率の対策
室内の温度は、窓によって大きく変化する。夏は外からの熱のせいで室内にいても蒸し暑く感じるが、熱の約70%は窓から入っているといわれている。その熱によって、冷房で冷やされた部屋の空気の温度が上がってしまうのだ。反対に、冬の寒い時期には、暖房で暖めた空気の半分以上が窓から屋外に逃げている。室内の温度を快適に保つためには、窓の対策が欠かせないのである。
掃き出し窓は光がたくさん入るので明るく、開放感があるが、その分外気の影響を受けやすい。面積が大きいため、夏の蒸し暑い空気や、寒い外気の侵入も許してしまうもの。掃き出し窓の冷暖房効率を向上させるためには、窓の工夫が重要になる。電気代の節約にもつながる、冷暖房効率の対策ポイントをお伝えしていこう。
断熱シート
窓に貼り付けるだけで外気を遮断する断熱シートは、すぐに取り入れられる手軽な冷暖房効率アップの方法だ。窓に貼ると、外の冷気から室内を守ってくれるので、部屋の暖かさを保てる。ホームセンターや家具屋で購入可能で、断熱効果の高いプチプチシートや、透明のもの、かわいい模様のものなど豊富な種類がそろっている。断熱シートは暖房効率を高めてくれるだけでなく、結露も防止できる優れものだ。
夏に使える断熱シートも販売されており、エアコンで冷やされた冷気を外に逃さないつくりになっている。年間を通して使えるタイプは割高だが耐久性があり、季節ごとに張り替える必要がなく、手間がかからないのが嬉しい。夏用、冬用を分けてそろえることもできるので、用途に合わせて検討してみよう。
保温性が高いカーテン
カーテンを保温性の高いものにすると、冬の寒さや夏の暑さを和らげてくれる。夏は熱の侵入を遮断し、冬は断熱性によって室内の熱が逃げるのを防止する。保温性の高いレースカーテンを使用すれば、暗い時間帯だけでなく、日中も空気の出入りを防いでくれるので便利だ。
掃き出し窓にも必ずカーテンの取り付けが必要になる。カーテンを購入する際には保温性の高い製品を選ぶと、より快適に過ごせるだろう。保温や遮熱を備えた機能性の高いカーテンなら、1年を通して冷暖房効率の向上が望めるはずだ。
掃き出し窓における防犯対策
掃き出し窓のデメリットである防犯面。窓から人が出入りしやすいのはメリットでありデメリットでもあるのだ。空き巣は窓から侵入することが多く、その際に掃き出し窓が狙われやすい。そのため、掃き出し窓の防犯が重要であるといえる。今回は、掃き出し窓のある物件に住んでいる人向けにどんな対策が必要なのか、おすすめアイテムを紹介しよう。
防犯フィルム
窓を割って侵入されるのを防ぐために、防犯フィルムを貼るのもおすすめ。しかし、防犯フィルムといってもピンキリで、プロが施工するものから、自分で貼れるものまでさまざま。
本格的なプロの施工をするのであれば、賃貸物件の場合は大家さんや管理会社へ必ず相談する必要がある。物件によっては、すでに防犯ガラスを採用していることもあるので、内見の際に不動産仲介会社へ確認すると良いだろう。
窓用の防犯ブザー
空き巣対策には、窓用の防犯ブザーがおすすめ。窓に異変が生じると大音量の警告音が鳴る仕組みとなっており、留守中はもちろん就寝中も安心だ。
通販なら低価格で買えるものやWi-Fi対応のものもあり、留守中に何かあればスマホへ通知がくるシステムのものもある。
シャッター
窓にシャッターを取り付けると、防犯対策に有効である。シャッターが閉まっていれば、空き巣の手口に多い、窓を割られるという被害をでき、犯行を断念させやすいといわれている。室内の様子をうかがうこともできないため、侵入しにくい家を作れるのだ。
しかし、毎日シャッターの開け閉めを行うことが面倒になってくるかもしれない。そんな方には開け閉めが楽な電動シャッターがおすすめだ。また、スマートフォンで外出先から開閉できるタイプもあり、閉め忘れも防いでくれる。
窓ロック付きの鍵
掃き出し窓に防犯用の窓ロック付きの鍵を付けるのも、不審者の侵入を阻止するのに役に立つ。窓に付いているクレセント鍵と呼ばれるものだ。通常の鍵を外されたとしても、窓ロック付きの鍵があれば窓を開けられない仕組みになっている。
鍵は数千円程度で購入でき、窓のサッシに取り付けるだけで簡単に防犯ができる。上下2箇所に付ければさらに安全だ。掃き出し窓を少し開けて、換気をしたいときなどにも、窓の隙間を固定できるようになっているので実用的だろう。
内見でチェックしておきたいポイント
それでは、掃き出し窓がある賃貸物件の場合、内見に行った際にチェックしておきたいポイントを紹介しよう。
カーテンの寸法
掃き出し窓は、床の下から天井近くまであることがほとんど。サイズも物件によってまちまちだ。
内見の際にはスケールを持参して、寸法を確認することをおすすめする。高さが足りないと、防犯上で問題が生じるし、長すぎても床についてしまうからだ。
掃き出し窓の種類
掃き出し窓にもさまざまな種類がある。1階の物件で掃き出し窓になっている場合は、防犯窓になっていたり、シャッターがついていたりするという物件もある。これらは防犯対策の面で内見の際にしっかりチェックしておきたいことだ。
掃き出し窓のデメリットに、断熱性が低いということがあるが、物件によっては断熱性の高い窓を設置している場合もある。防寒対策において、チェックしておこう。
防犯対策
掃き出し窓の防犯は欠かせない。部屋を見るときには忘れず確認しよう。先述した防犯グッズをあとから自分で付けることもできるが、備え付きのほうが余計な出費も必要なく経済的だ。特に窓に付けることができるシャッターは、本体価格が高く、設置するのにお金も手間もかかってしまう。掃き出し窓の場合には必ずチェックしたいポイントである。
掃き出し窓は防犯対策さえしっかりすればメリットが大きい
今回は掃き出し窓のメリットやデメリット、防犯対策などを解説した。掃き出し窓のデメリットである、防犯面に関しても対策をしっかり行えばメリットが大きいことがお分かりいただけただろうか。
掃き出し窓つきの賃貸物件は、ベランダがついている物件がほとんどだ。防犯対策をしっかり行って、ベランダを有効活用しよう!
また、賃貸物件に住む際は、窓の種類を不動産仲介会社にしっかり確認し、スケールを持参してカーテンの寸法をはかるのも忘れずに行うと良いだろう。
2021年4月加筆=CHINTAI情報局編集部