FC東京サポーターのYouTuberコハロンさんに、活動のきっかけやオフシーズンの過ごし方を聞いてみた
過去最高の動員で注目されるJリーグ
2019年のJ1リーグの観客動員数は、過去最多となる約634万人を記録した。
ヴィッセル神戸のアンドレス・イニエスタ選手などのビッグネームの加入により、毎試合熱い試合を繰り広げていたJリーグを見ていたファンたちにとって、悩みの種となるのが、11月から2月後半までのオフシーズンの過ごし方だ。
人によっては抜け殻のようになってしまう、そんな時期を快適に過ごすための方法を、今回はFC東京のサポーターであり、「Jリーグを盛り上げよう」というテーマを掲げてYouTuberとして活動しているコハロンさん(@Kohalon)に話を伺った。
取材のためにコハロンさんのご自宅に向かうと、住宅街に入り込んだ。注意深く地図を見ながら進んでいくと、ここだと思う家の前の電信柱に、真っ青の全身タイツの男性が立っていた。
「こんな遠いところまで、すみません!」
恐縮しながら挨拶をした男性こそが、コハロンさんだった。

191㎝の高身長に全身タイツ姿のコハロンさんはスタジアムでも目立つ存在だ
最初は結婚式の余興だった
──全身タイツの男性を前にすると、まずはその恰好についてお聞きしたくなってしまうんですが……その全身タイツ姿はいつ頃から始めたんですか?
最初は友人の結婚式がきっかけでした。それは新郎と新婦のなれそめを紹介するビデオを作って、僕が演じて再現をしたんですよ。それが結婚式で受けまして、それを見た新郎が、僕とビデオを編集したぽんP(現在の相方で企画、編集を担当)の2人に『もっと動画を撮った方が良い』とアドバイスをしてくれたんです。
そこから、いざ動画を撮るとなった際に、背が高くて顔が長いという変わった体つきが一番シャープに出る衣装を着るようにと、ぽんPから全身タイツを与えられたことがきっかけです。
──それからすぐにYoutuberになったんですか?
準備期間が少しあって、数カ月後には動画を撮影して、とりあえずYouTubeにアップしてみました。それが今から4年前です。
最初は手探りだったんで、何かにチャレンジしたりする、いかにもYouTuberって感じのネタでした。ピカチュウの格好をして、渋谷に行ったりとか。
でも、手ごたえみたいなものが感じられなかったんですよ。それである時、「自分達が好きなものを撮った方がいいのかもしれない」というぽんPのアドバイスがあり、2人で話し合って、たどり着いたのがJリーグだったんです。
ぽんPは川崎フロンターレのサポーターで、僕はFC東京サポーター。Jリーグは共通の趣味であり、2人で観戦に行くこともありました。そこで、最初は応援動画をアップしたんです。
「全身タイツで大好きなFC東京を応援しに行く」という動画です。
始めは、熱心なサポーターからの反応に怯えていました(笑)。しかし、全身タイツの格好をイジりつつ、とても優しく接してくれ、この活動を応援してくれました。
──全身タイツになることに抵抗はなかったんですか?
昔から目立ちたがり屋でしたから、最初は少し恥ずかしかったですけど、そこまでの抵抗は無かったですね。試合の時はもちろん着ます。その時は、最寄りの駅でサッと着替えて、電車はこの格好のまま乗る時もあります。
もうFC東京関連の動画をアップし続けて3年ぐらい経ったので、だいぶサポーターのみなさんから声をかけてもらうことも増えました。一番嬉しかったのは、FC東京の練習場に行って、選手とサポーターが触れ合うところで、現キャプテンの東慶悟選手に「動画見てますよ」と声をかけてもらったんです。あれは本当に嬉しかったですね。この活動をやって良かったと思いました。
ありがたいことに、動画を見てくださったサポーターの方からスタジアムで差し入れにお菓子をもらったり、アウェーに行ったら別のチームのサポーターからタオルマフラーをもらったり、色々ともらっていて、本当にありがたいです。押し入れにたくさん入っているので、大切に食べています。この机の上のティッシュカバーも差し入れですね。

このかわいらしいティッシュカバーは手作りのものを差し入れしてもらったという
自分が好きなものを発信したら反応が変わった

FC東京との出合いは小学校時代までさかのぼる
──コハロンさんとFC東京との出会いはいつ頃ですか?
小学生の頃にサッカーをやっていて、駒沢競技場の近くに住んでいたので、自転車で駒沢競技場で開催されているサッカー教室に行ったんです。それがFC東京のサッカースクールでした。当時のFC東京はまだJ2で、のちに「キング・オブ・トーキョー」と呼ばれる、アマラオ選手がいた頃でした。
FC東京の魅力は良い意味で「泥臭い」ところだと考えています。泥臭くボールを奪って、素早く攻める。そういう意味では、いまの長谷川健太監督になってからのFC東京は良いですね。
僕自身は、足が速い選手が好きです。FC東京だと、スピードスターと呼ばれた、2017年に引退した石川直宏選手。現役選手だと日本代表の永井謙佑選手、五輪代表候補の田川亨介選手ですね。
ずっとFC東京を応援していますが、印象に残っている時期は初めてナビスコ杯のタイトルをとった2004年。それと石川選手が大活躍した2009年が印象深いですね。
──好きなことをテーマにしたことがYouTuberとしての転機だったんですね
そうですね。ピカチュウは嫌いじゃないですけど、心から好きで語れる、という対象ではなかったので(笑)。そういう意味で「FC東京、さらにJリーグ全体を盛り上げたい」というテーマが見つかって良かったです。
コハロンさんが語る、オフシーズンを有意義に過ごす2つの方法とは?
──さて、改めてオフシーズンの過ごし方を教えてもらえますでしょうか
そうですね。大きく分けて2つのことをしています。
①.サポーター同士で過ごす
FC東京のサポーター同士で飲みに行ったり、フットサルをしながら来期の補強の話をしたり、昨シーズンを振り返ったりしますね。印象に残ったプレーとか、思い出の一戦などを語り合います。
サポーターは、幼なじみやFC東京サポーターの方々から広がった人間関係もありますし、あとは全身タイツという目立つ格好でスタジアムに行くので、話しかけられることも多くて、そこからサポーターの友達も増えました。
今年はリーグ戦の上位チームだけが参加できるACL(アジアサッカー連盟が主催する、クラブチームによるサッカーの大陸選手権大会)にFC東京が出場するので、アウェーの試合会場となる韓国や中国、オーストラリアに行く交通手段とか、現地の美味しいグルメ情報などを話しています。
②.サッカーゲームをする
もうひとつはサッカーゲームです。動画でも配信していますが、FC東京を始めとしたJリーグや海外サッカーのチームでプレイできる『FIFA』というサッカーゲームをしています。
最近は各チームのサポーターで集まって、それぞれが好きな選手を取り合って、それでチームを作って対戦する「J1ドラフト会議」という企画を開催しました。
また動画配信を行っていることから、そこからJリーグファンとの交流もあり、楽しいです。それにしてもFC東京はずっと好きでしたが、こんなに自分の人生に関わってくるとは思いませんでした(笑)。
もうすぐ2020年シーズン開幕!
昨シーズンの思い出を振り返りながら、補強情報などを見て来シーズンの躍進を想像するというコハロンさん。辛いオフシーズンを乗り切る原動力は、同じJリーグのサポーター仲間との楽しい時間にあるようだ。
せっかく同じチームを応援している、という共通項があるのだから、それを活かして、ぜひみなさんもサポーター同士の交流を深めてみてはいかがだろうか。

)自分の名前にちなんで背番号は「586」にしているコハロンさん
PROFILE
コハロン
FC東京・Jリーグが大好きなYouTuber。
Jリーグを盛り上げるため、魅力を伝える動画を制作・公開している。
Twitter:@Kohalon
YouTube:KOHALON TOKYO
取材・文・写真=きなこなん