メゾネットとは?間取りや住み心地は?メリット・デメリットも徹底解説
メゾネットの物件はやめた方がいい?メリット・デメリットや使い方、内見時の確認ポイントまで解説!

一般的なフラットタイプ(=お部屋の中に階段がない)の間取りに比べると、賛否分かれる印象のあるメゾネット。「メゾネットの賃貸物件って実際どうなの……!?」と気になっている人は多いのでは?
そこで今回は、メゾネット物件のメリット・デメリットからおすすめの使い方、内見時に確認すべきポイントまでを徹底解説!納得いく賃貸物件選びのためにも、メゾネットに関する知識をしっかり深めておこう。
このページの目次
そもそも「メゾネット」とは?間取りや特徴をおさらい

メゾネット(複層住戸)とはマンションやアパートなど集合住宅に見られる間取りの一種で、1つの住戸が2階以上で構成されるタイプの間取りのこと。
住戸内の階段で上階と下階が繋がっていて、戸建て住宅のような住み心地を味わえるのが魅力だ。たとえば、1階にはダイニングやリビング、2階には寝室や仕事部屋、子ども部屋と、役割ごとに生活スペースを区切ってメリハリをつけることもできる。
また集合住宅の2階分を使って1住戸を形成するメゾネットは、1つの物件に対する戸数が少ない傾向にあるのも特徴。戸数の少ないマンションやアパートで静かに暮らしたい人にも利用しやすい賃貸物件といえるだろう。
メゾネットとロフトの違いは?
住戸内に階段やハシゴで登れる2階部分がある物件といえば、「ロフト」を思い浮かべる人も多いはず。ロフトとメゾネットの違いは、わかりやすく言えば広さと高さだ。
メゾネットの特徴 | ロフトの特徴 |
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・上階の天井が、下階や他の階同様に高い ・しっかりとした階段 ・上階も生活空間として十分な広さ ・上階も生活スペースとして自由に利用可能 | ・天井高が1.4m以下で、2階扱いにはならない ・はしごや簡易的な階段 ・面積は居室部分の2分の1未満 ・収納・就寝スペースとして利用可能 |
ロフトは、建築基準法において「小屋裏物置等」とされていて、天井の高さは最大で1.4m以下、面積は居室部分の2分の1未満とするなどの規制が設けられている。さらに、建築基準法においての採光・換気の基準を満たしてないことから、居室としては正式に認められない。
ロフトは収納スペースや就寝スペースとしては利用できるものの、日常生活を過ごす居住空間としては利用し難くなっている。一方、メゾネットの2階部分は1階と同様の構造で作らなければならない決まりがある。したがって収納や就寝に限らず、生活空間として幅広い使い方が可能だ。
メゾネットとテラスハウスの違いは?
テラスハウスとは、戸建ての家が複数連なったような集合住宅のこと。いわゆる「棟割長屋」の形態で、隣の家と壁を共有したつくりになっている。
メゾネットとテラスハウスとの違いは、簡単に言ってしまえば建物構造が集合住宅かどうかだ。
メゾネットの特徴 | テラスハウスの特徴 |
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・集合住宅の形態 ・共用玄関や共用階段がある | ・棟割長屋の形態 ・共用玄関や共用階段がない ・各戸の玄関へ直接出入りできる |
集合住宅タイプのメゾネットは、エントランス(玄関)や廊下、階段、エレベーターなどを共有するつくりになっているのに対し、長屋タイプのテラスハウスはこれらを共有しておらず、各戸の玄関が独立しているのが特徴。
そういう意味では、テラスハウスの方がより一軒家に近い感覚で住めるといえる。
メゾネットに住むメリット

メゾネットのメリット①生活音を気にせず過ごしやすい
メゾネットのメリット1つめは、生活音を気にせず過ごしやすいこと。
フラットタイプの賃貸物件の場合は、1階、2階といった各層に住戸が入るため、階下に音がダイレクトに響いてしまう恐れがある。それに対し、上下階に住人がいないメゾネットの場合は、フラットタイプに比べて上下階に生活音が響く心配が減る。
「夜に洗濯機や掃除機を使うのに気が引ける」「階下に足音が響いてないか気になる」などと防音性が気になる方をはじめ、「子どもが室内を走り回って、うるさくないか心配……」というファミリーにもおすすめ。お子さんがいるときは、2階を子ども部屋にすると安心だ。
メゾネットのメリット②居住エリアのゾーン分けができる
メゾネットのメリット2つめは、階層によって居住エリアのゾーン分けができること。1階はくつろぎスペース、2階は仕事スペースと役割に応じて生活エリアを分ければ、生活がぐっと快適に。リモートワークなどの切り替えもしやすくなって便利だ。
二人世帯や家族世帯の場合、それぞれが異なる階層で過ごすことで、ちょうどいい距離感を保ちつつプライベートな時間を確保しやすくなるのもメリット。1階のリビングでひとりがテレビを見ているとき、ひとりは2階の寝室で就寝するなど、異なる過ごし方も容易で、生活リズムが異なる人とも気兼ねなく過ごせる。
メゾネットのメリット③日当たりや風通しが良くなる
メゾネットのメリット3つめは、間取り次第で良好な日当たりや風通しを期待できること。2階にベランダや窓があるメゾネットは、開放感のある空間設計が魅力。窓から階下まで降り注ぐ自然光や、吹き抜けによる十分な通気性を確保できるのが嬉しいポイントとなっている。
日当たりの良さは、日中に照明をつけずに過ごせたり、部屋が暖まりやすかったりと電気代の節約にも繋がる。さらに、たっぷりの日差しを浴びることで、精神的に落ち着く効果も期待できそうだ。
風通しの良さは、梅雨時期のジメジメを抑えてくれるほか、部屋干しした洗濯物を乾きやすくする、夏場のクーラー代を浮かせてくれるといったメリットもある。
メゾネットに住むデメリット
メゾネットのデメリット①階段が負担になる可能性がある
メゾネットのデメリット1つめは、階段の存在が負担や不安要素になる可能性があることだ。たとえば高齢の方や妊娠中の方、足腰に自信がない方にとっては、階段を上り下りするだけでも一苦労。また小さいお子さんがいる場合は、ベビーゲートなど安全を守る工夫や見守りが必要になる。
そのほか、家を出るときに2階に忘れ物をしてしまうと、慌てて階段を上り下りしなければいけない羽目に……。「階段があることでいい運動になる!」と考えられる健康志向の人の方が向いているといえそうだ。
メゾネットのデメリット②家事の手間が増えやすい
メゾネットのデメリット2つめは、家事の手間が増えやすいこと。階層が分かれているメゾネットでは、階段の掃除機がけが必要になったり、掃除機を持って上下階を上り下りしたりと家事動線が煩雑になってしまう。また1階にある洗濯機で洗濯をして2階のベランダで洗濯物を干す場合も、階段を使って洗濯物を持ち運ぶ手間が生じる。
家事負担をラクにしたいなら、上下階に持ち運びしやすいコードレス掃除機を使う、洗濯機置き場と洗濯物を干す場所を同じフロアにするといった工夫をしよう。
メゾネットのデメリット③居住スペースが狭くなる
メゾネットのデメリット3つめは、同じ床面積のフラットタイプのマンション・アパートと比べ居住スペースが狭くなってしまうこと。理由は、内階段に面積が取られてしまうためだ。
階段によるデッドスペースを有効活用するなら、階段下の空間を収納スペースにするのがおすすめ。
メゾネットが向いている人の特徴
メゾネットが向いている人の特徴は次の通り。
メゾネットが向いている人
・お手頃な価格で、一戸建てのような住み心地を求める人
・お子さんの足音などの生活音が気になるファミリー世帯
・生活空間をゾーン分けしてメリハリをつけたい人
上下階が繋がっているメゾネットは、フラットタイプの賃貸物件に比べて生活音が響きにくい。お子さんのいるファミリー世帯をはじめ、戸建てのような住み心地を求めたい人に最適だ。
また居住空間を区切りやすいので、生活スペースを適度に分けたい二人暮らしのカップル、仕事とプライベートでオンオフを切り替えたい一人暮らしの方にもおすすめ。
【人数別】メゾネットのおすすめの使い方は?

一人暮らしにおすすめの使い方
・上下階で仕事スペースとくつろぐスペースを分ける
・階ごとにインテリアの雰囲気を変えて楽しむ
一人暮らしなら、用途に応じて1階と2階の部屋を使い分けるのがおすすめだ。たとえば1階はリビングや寝室といった「くつろぎスペース」に、2階の部屋はリモートワークをする「仕事スペース」にすれば、オンオフの切り替えがしやすくなる。
また、上下階でインテリアの雰囲気を変えやすいのもメリット。1階はシンプルな北欧風に、2階はゆったりくつろげるアジアンテイストにするなど、自分好みの自由な部屋づくりが可能だ。
二人暮らしにおすすめの使い方
・それぞれ異なる階で、プライベート感のあるくつろぎ時間を過ごす
・生活リズムの違いに配慮した部屋の割り当てをする
メゾネットでは、1階と2階でお互いにほどよい距離感を保ちながら、好きな時間を過ごすことができる。パートナーが1階のリビングでテレビを観ている間に自分は2階で好きな映画を観るなど、二人暮らしでも自分の時間と空間を確保しやすい。
また、ひとりの帰宅が深夜遅くになるような場合でも、階層が分かれていることで睡眠の邪魔になりにくいのも嬉しいポイント。生活リズムが違うときには、それに配慮した部屋の割り当てを心がけてみて。
3人以上のファミリーにおすすめの使い方
・騒音対策のため上階を子ども部屋にする
・2階で子どもを寝かせて、1階のリビングで夫婦の時間を過ごす
3人以上のファミリー世帯で住む場合には、大人と子どもで階層を分けると快適だ。子ども部屋を2階にすれば、お子さんが走り回ったりジャンプしたりしたときの騒音対策ができる。別階なら音が響きにくいため、寝かしつけ後のお子さんが起きにくいのもメリットだ。
寝かしつけた後は1階のリビングでゆったりと夫婦の時間を過ごすこともでき、子育て世代にはもってこいな物件となっている。
ただし、小さなお子さんがいる場合は前述した転落防止対策や、ベビーモニターなど見守りをおこなう仕組みがあると良いだろう。
メゾネットの内覧時のチェックポイント3つ!事前に確認しておくべきことは?

確認ポイント①階段の使いやすさ
内覧時に確認したい1つめのポイントは、階段の使いやすさだ。メゾネット物件を内見する際には、実際に階段を上り下りしてその長さや段の高さ、角度などをチェックしよう。
特に、妊婦さんや足腰に自信がない方がいる場合は要注意。入居後にお子さんを抱っこして上り下りする可能性があるかなど、ライフステージや生活環境もふまえて検討するのがおすすめ。
確認ポイント②騒音・音漏れ
2つめの確認ポイントは、ファミリー世帯なら特に気になるであろう騒音と音漏れだ。メゾネットに「騒音・生活音を気にせず過ごしやすい」というメリットを求める人は多いものの、構造によっては音が響きやすい物件もあるので気をつけよう。
騒音対策でメゾネットを選ぶなら、木造や軽量鉄筋よりも、鉄筋コンクリートのアパートやマンションを選ぶと安心。内見時には、壁の厚さや防音の性能もしっかり確認しよう。
確認ポイント③間取りと空間の広さ
3つめの確認ポイントは、間取りと空間の広さ。内階段が特徴のメゾネットは、居住スペースが想像以上に狭く感じられることも少なくない。間取り図だけで空間の広さを判断せず、内見で確認しておくと安心だ。
またリビングに階段があるなど天井が高い物件の場合は、部屋が涼しくなりにくい・暖まりにくいケースもある。冷暖房の効率を意識してチェックすることも忘れずに。
冷暖房が効きにくい間取りなら、サーキュレーターを取り入れるなどの工夫をしてみて。
一人暮らし・二人暮らしから家族世帯まで!豊富なニーズに応えてくれる「メゾネット」
上下階が繋がっていて、戸建てのような感覚でのびのび過ごせるメゾネット物件は、さまざまな世帯やライフスタイルを持つ方が利用しやすくなっている。「上階は仕事スペースに」「2階は子ども部屋に」とニーズに合わせて空間づくりの幅が広がるのも、メゾネットならではの魅力だ。
一方で、生活動線に階段があることによる不便さなどは検討の余地があるだろう。内見の際は上り下りを試してみるなど、実際の使用感を体験することを忘れずに!