暗渠(水路跡)を巡る街歩き!基本ワザを散策家の志歌寿ケイトさんに教えてもらった
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テレビでもよく見る「暗渠」。どうやって見つけるの?
あの大物司会者も大好きと公言し、テレビでよく取り上げている水路跡「暗渠(あんきょ)」。でも、街中を見渡してみても「ここは本当にそうなのかな?」と、見つけ方がわからない方も多いのでは?
そこで、街のことなら何でも知ってる(!?)散策家の志歌寿ケイトさんに、そもそも暗渠とはどういうものなのか、そしてどうやって見つけるのかを教えてもらった。
そもそも「暗渠」ってなに?


これはいわゆる「暗渠」(水路跡)。こんなに狭くてもある程度細く長く続いていて、こちら側には家の表玄関(間口)はほとんどない。ちょっと不思議な感じ……。
「暗渠というのは、本来は溝に蓋をしたり地中化したりしたもののことを指す言葉です。しかし都市観察や散策界隈の人々に徐々に拡大解釈され、暗渠化された水路の有無にかかわらず、川跡や水路跡の土地すべてを暗渠と表現することが多くなっています(俗称ですのでご注意を)」(志歌寿ケイトさん)
こんな「暗渠」を歩いたり辿ったりするという趣味が、この10年ほどじわじわと人気を集め、いくつかの書籍も発売されている。日本にはもともと数多くの水路があり、都市化によって水面が見えなくなっても公共用地として残っている例は無数にあるのだ。

こうした水路跡を利用した通路は、実はとっても散策向きの場所なのだ。地形的に谷底であるため急な坂が少なく、自動車が入れないことが多いため比較的安全(ただし街路との交点では角の見通しが悪いため注意)。
緑道や小公園化されていることも多いので休憩しやすいのもポイント。そして何より普段あまり目にしない家々の裏側や、スリルのある崖下や苔むした谷底を通過していくので、都市の中でちょっとした冒険気分が味わえるのだ。
「暗渠」がある場所を調査!
それでは実際にどんな場所が「暗渠」なのか、いくつか見てみよう。
暗渠1:水路にそのまま蓋をしたもの


「まずは水路にそのまま蓋をしたもの。暗渠の基本ですね。歩くとボコボコと音がしたり、地下から水の音や匂いが感じられます。ずっと追いかけていくと、どこかで蓋が途切れて水面が見られるかもしれません」(志歌寿ケイトさん)
暗渠2:細長い緑道

「次にわかりやすいのは、細長く公園化された緑道でしょう。日本でわざわざ緑道を作るのは水路跡か廃線・廃道敷地くらいなのです。ある程度の幅がある川跡の場合、親水公園となっていることも多いですね」(志歌寿ケイトさん)
暗渠3:やたら広い歩道

この場所、車道の幅に比べて歩道がかなり広いが、こんなのも実は暗渠。
「道路の左右で歩道が入れ替わる場所は、おそらくかつては橋があったのでしょう」(志歌寿ケイトさん)
暗渠4:謎の車止めの奥


何の変哲もないポールや車止めにも注意。
「私道でもないのに無意味だなぁ」「こんな狭い道路に車が入れるわけないのに」なんて思える少し不思議な車止めがある道路は、その車止めの奥が水路跡の可能性大なのだ。
暗渠5:太めの側溝

ちょっと気付きづらいが、ただの太い側溝に見えるこんなものも、実は水路敷だったりする。
「側溝と違い道路と一体化した構造ではなく、そのまま辿っていくと道路から逸れて単独の水路・暗渠として流れ続けていることがしばしばあります。身近な側溝を追いかけてみると小さな川の源流だった、なんていう発見があるかもしれませんよ!」(志歌寿ケイトさん)
暗渠6:微妙な段差

最後は「段差」。
「普通の道路と道路の交点なら微妙な段差を作る必要はないですよね。このような場合、低いほうの道が水路だった可能性が非常に高いということになります。こんな地形を見ただけで「暗渠かも」と想像できるようになれば、立派な暗渠ウォーカーと言えるでしょう」(志歌寿ケイトさん)
暗渠を見つけて冒険気分な街歩きを楽しもう!

暗渠の中には整備されておらず途中で草に阻まれて進めなくなったり、何の予告もなく行き止まりになることもあるが、立入禁止でない限りは歩くことに問題はない。
こんな意味ありげな通路を見つけたら、静かに探検してみてはいかが?