アパートの隣室がうるさい! 騒音への正しい対処とは?【CHINTAI法律相談所】

アパートの隣室がうるさい! 騒音への正しい対処とは?【CHINTAI法律相談所】

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賃貸物件に関する疑問に弁護士がアドバイス

賃貸にまつわるトラブルや疑問について解説する【CHINTAI法律相談所】。

入居前から入居中、退去時まで、さまざまなタイミングで発生しやすい賃貸トラブル。その疑問や対応について、不動産トラブルに強い瀬戸仲男弁護士に聞いた。

賃貸トラブルは、いつ巻き込まれてしまうかわからない。現在トラブルにあっている人だけでなく、これから賃貸物件を借りる予定の人もぜひ参考にしてほしい。

瀬戸仲男さん
瀬戸仲男 弁護士

「アルティ法律事務所」所長。東京弁護士会、および東京簡易裁判所・民事調停委員に所属。顧問弁護士業務や遺産相続など取扱分野は多岐に渡り、特に不動産問題に精通している。弁護士になる前に不動産会社に勤務しており、不動産業界・実務にも詳しい。テレビやラジオなど多数のメディアに出演し、不動産関係の講演も行っている。
アルティ法律事務所 公式HP

Q.アパートの隣室から騒音が……解決策を教えて!請求できる?

夜中でもアパートの隣室から騒音が響き、うるさくてたまらない。すぐにアパートの管理会社に連絡したんだけど、状況はまるで変わらず……。騒音トラブルは、どうやって解決するべきか知りたい。

A.管理会社の注意で改善されない場合、弁護士に相談するのが妥当

前提として、アパートの大家さんは、入居者に対して「物件を使用収益させる義務」がある。
使用収益、要は部屋を問題なく使えるようにする義務が課せられており、入居者が平穏に通常の生活を営める環境を提供する責任があるのだ。

入居者から騒音のクレームや相談があった場合も、解決する責任は大家さん、あるいは管理会社にある。入居者は、騒音トラブルに対応するよう大家さんに要求できるのだ。

だが、問題となるのは、大家さんが対応しても騒音トラブルが解決されない場合だ。いかに隣室がうるさくとも、明確な証拠がない限り、騒音の原因と“推測”されているだけ。賃貸借契約書で騒音を禁止する事項が記載されていた場合でも、いきなり退去勧告などの措置はできない。大家さんや管理会社の現実的な対応としては、注意を促すくらいにとどまるだろう。

加えて言うと、騒音トラブルは基本的に個人間での“紛争”であることが多い。警察には個人間のトラブルに介入すべきではないとする「民事不介入」のルールがあるため、警察に通報しても、同様に注意してもらうことしかできないのだ。

どれくらいの騒音か録音しておくのが重要

騒音トラブルを解決したい場合は、自分自身で行動するしかない。ただ、直接苦情を言うのはトラブルがより大きくなる恐れがあるため、弁護士に解決を依頼するのが妥当だろう。

ポイントは、事前にスマホなどで騒音の様子を録音しておくこと。騒音の発生源であることだけでなく、「受忍限度」を超えた音量であることが立証されないと不法行為として認めらない。

受忍限度とは、過去の判例によると「社会生活を営むうえで我慢するべき限度」を指す。各自治体が設けている規制基準が目安となり、生活音は40~60デシベル程が一般的。この音量を超えていた場合、騒音とみなされる確率が高い。

そうは言っても、弁護士に依頼するのは最終手段。まずは管理会社に連絡して様子を見よう。それでも解決されないようなら、保健所や自治体の公害苦情相談窓口などに相談。第三者を立てて話し合いをして、話がこじれるようなら弁護士への依頼を検討すると良いだろう。

ここがポイント!

賃貸物件の管理会社には騒音トラブルの対応を要求可能です。それでも解決できない場合、騒音を録音して弁護士に依頼するしか現状解決策はありません。ただ、揉め事を起こした相手と近くに住むのはストレスだと思うので、自分が引越しをして心機一転するのも選択肢のひとつでしょう。

覚えておきたい賃貸用語「受忍限度」

「社会生活を送る上で我慢できる限度」のこと。公害などの訴訟で用いられることが多く、被害の程度が受忍限度を超えていないと賠償責任などは認められない。なお、民事裁判で不法行為と判断されるのは、主に以下のような音だ。

  • 深夜に大人数で開催された宴会の話し声
  • 外まで響き渡る楽器の演奏音
  • 明確に嫌がらせだと判断できる音

生活音でも受忍限度を超える音は民事訴訟へと発展することもある。子どもが飛んだり走ったりする足音が騒音と判断される判例もあるので、悪意がなかったとしても周りに迷惑をかけるような音は発しないように注意しよう。

取材・文=綱島剛(DOCUMENT)

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