賃貸契約の入居審査とは?チェックの基準や審査に通るためのポイントを解説
賃貸物件の契約前に行われる入居審査について確認しよう!
部屋探しをするなかで住みたい物件が見つかったら、不動産会社で入居のための申込手続きを行うことになる。ただし、この申込手続きだけでは、賃貸契約はまだ成立しないのをご存じだろうか?
賃貸契約では、貸す側と借りる側、双方の同意がなされることが成立の条件となっており、「入居審査」を通過しなければ、賃貸契約を結ぶことができないのだ。
今回は入居審査とはそもそもどんなものなのか、チェックされる内容や審査に要する期間、審査に通りやすくするためのポイントなどについて説明をしていく。

このページの目次
賃貸物件を契約する際の入居審査とは
賃貸物件は、その所有者である大家さんや管理会社の資産である。貸す側の立場から考えると、条件なしで誰にでも貸せるものではない。
もし入居後に家賃の支払いが滞れば、大家さんに多大な迷惑がかかる。また、トラブルを起こすような人が入居すれば、ほかの入居者が物件を出て行ってしまい、空き部屋が増えるということにもなりかねない。
このため、入居希望者がその物件に住むにふさわしい人物かどうかを判断するための審査が設けられている。これが入居審査なのだ。入居審査では書類だけでなく、不動産会社へ来店したときの言動や人となりなども判断基準となることがある。
また、入居審査は大家さんか管理会社が行う場合が多い。なお、家賃保証会社を利用した場合には、家賃保証会社による審査も必要になる。
賃貸物件の入居審査に必要な書類
入居審査で必要となる書類には、どのようなものがあるのだろうか? 直前になって慌てることがないように確認しておくと良いだろう。
主なものは次のとおりだ。
- 入居申込書
- 本人確認書類(運転免許証や健康保険証などのコピー)
- 住民票(借主全員分で、発行から3ヶ月以内の原本)
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内の原本)
- 保証人が必要な場合は、保証人の承諾書
入居申込書には入居者の名前や生年月日、勤務先や年収などのほか、連帯保証人が必要な場合は連帯保証人の情報も記載する。
そのほかに必要となる書類は不動産会社によってそれぞれ異なる。上記で紹介した書類のほか、本人や連帯保証人の収入証明書を求められる。詳細は不動産会社から説明があるので、わからないことがあればその都度質問して確認しよう。
賃貸物件の入居審査完了までにかかる期間にはバラツキがある
前述したとおり賃貸契約を結ぶためには、入居審査に通過しなければならない。
入居申込後、審査の結果がわかるまでには一般的に、3〜10日ほどかかるといわれている。日数はケースによってまちまちだが、審査に時間がかかる理由としては主に次の3つがある。

入居審査に時間がかかるケース①:繁忙期や定休日に被っている
入居審査が不動産会社の繁忙期や休日に被っていると、審査の完了までに時間を要する。毎年4月は入学や入社、異動などにともなう引越しシーズンとなり、直前の1〜3月は繁忙期だ。引越しをする人が増えることで、1日当たりの入居審査件数も多くなり、審査結果が出るまでに時間がかかってしまう。
また、不動産会社や保証会社の定休日に被っている場合も入居審査に時間がかかる原因になる。
入居審査に時間がかかるケース②:入居申込書に不備がある
入居申込書に不備があった場合、入居審査は開始されない。申込書には自分自身のことはもちろん、保証人になっている人物の勤務先や年収なども記載しなければならないため、間違いが発生しやすいのだ。
この場合、すぐに確認の連絡が来ることがほとんどだ。その際は、すみやかに書き直しや訂正の手続きをしよう。
また、連帯保証人をお願いする人の情報については、部屋探しを始める際にあらかじめ集めておくとスムーズに手続きを進めることができる。
入居審査に時間がかかるケース③:保証会社を利用している
保証会社を利用する場合、不動産会社の入居審査とは別に、保証会社でも審査が行われる。審査の工程が増えるため、結果が出るまでの時間もより長くなってしまう。
通常ならプラス1〜2日、繁忙期の場合はプラス4〜5日ほどかかることも珍しくない。
賃貸物件の入居審査の基準は何?チェックされる5つのポイント
入居審査の基準は、全国で統一されているわけではない。大家さんの中には「家賃を滞りなく支払ってくれさえすれば良い」という考えの人もいる。
大家さんの考えや不動産会社の方針によって基準はまちまちだが、ここでは多くの大家さんや不動産会社が判断基準にしている「入居審査でのチェックポイント」を紹介していく。

入居審査のチェックポイントは次の5つ。
- 家賃の支払い能力
- 連帯保証人
- 人物像
- 過去・現在の滞納の有無
- 職業
このうち1つでも引っかかってしまうと、入居審査に通るのは難しいといわれている。それぞれについて詳しく見ていこう。
入居審査でのチェックポイント①:家賃の支払い能力
一般的に、入居審査時に最も重要視されるのが収入金額。多くの大家さんは、賃貸物件の購入時に借りたお金を毎月の家賃収入から返済している。
また、管理組合に支払う固定費もかかってくることから、家賃を滞納されるとその支払いも滞ってしまう。そのため、家賃を継続して支払う能力があるか、年収に見合った家賃の物件を選んでいるかがチェックされる。なお、収入が安定しているかどうかを判断する際、職業や勤務先、過去の滞納歴などもチェックされることとなる。
入居審査でのチェックポイント②:連帯保証人
一般的に、賃貸契約には連帯保証人や保証会社が必要となる。連帯保証人は、賃借人と近い関係の親族を求められることが多く、父親や母親に連帯保証人となってもらうように頼むケースも少なくはない。
賃借人が家賃の支払いを滞納した際、連帯保証人は賃借人に代わって家賃を支払わなければならない。そのため連帯保証人が負う責任は重く、「収入面に問題ない人物かどうか」がチェックされる。
入居審査でのチェックポイント③:人物像

入居者の人物像も入居審査で重要なチェックポイントのひとつだといわれている。不動産会社が大家さんへ渡す入居者に関する書類の中には、入居者の人柄・応対態度に関するコメントが記載されることになっている。入居後のトラブルを避けることを目的として、入居者の人物像もチェックしているため注意が必要だ。
物件を探すために不動産会社へ電話をしたり、店舗を訪れたりした時点からすでに入居審査がスタートしていると考えよう。不動産会社のスタッフは、希望者の服装や清潔感、言葉遣い、態度などをチェックしている。
入居審査でのチェックポイント④:過去・現在の滞納の有無
過去から現在までの家賃やクレジットカード、ローン支払いなどの滞納の有無もチェックポイントとなる。たとえば、家賃の滞納経験がある人とない人の2人から入居者を選ぶとすれば、大家さんとしては家賃の滞納経験がない人を選びたいのは当然だろう。返済遅延などの情報は、信用情報機関に登録されるので注意しよう。
なお、信用機関に残っている返済遅延などの情報は、5〜10年ほどで消失する。不注意による支払い遅延なら5年が目安だが、家賃を半年以上滞納したり、裁判まで発展したりすると10年ほどかかるといわれている。
不安な方は一度自分で信用情報を調べてみてほしい。本人確認書類の提出のほか、手数料として1,000円ほど支払えば、専用機関で情報を開示してもらえる。
入居審査でのチェックポイント⑤:職業
大家さんの立場から考えて、家賃の支払い能力が高いと判断されるのは、収入が安定している公務員、大企業の正社員などである。逆に、フリーランスや無職の人は、収入が不安定とみなされるため入居審査に通りにくい場合が多い。
無職の場合は支払い能力を示そう
無職の場合の入居審査は不利ではあるが、たとえば今までは社員寮に住んでいたために、新しく住む部屋を探す必要がある場合もあるだろう。「無職」といってもさまざまなケースがあるが、求職中であれば働く意欲があるということと、支払い能力を示すことが大切なのである。無職の人が入居審査で提出する必要がある書類は以下のものだ。
- 前年度の源泉徴収票、確定申告書の写し、所得税の納税証明書等(今まで働いていた場合)
- 給与支払い予定証明書(働き始めたばかりの場合)
- 内定通知書(新社会人の場合)
- 家賃約2年分の貯金が入っている預金通帳の写し(上記のどれにも当てはまらず無職の場合)
無職の場合でも、準備できる書類はしっかり集めて正しい手順をきちんとふめば、入居審査に通る可能性は高くなることを知っておこう。
次のページでは、入居審査通過のポイント、落ちてしまった時の対応などを紹介!