DIYの達人に聞いた!築45年の古民家賃貸を住みやすくおしゃれにアレンジするコツ
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自分らしい住まいをつくりやすい! 古民家賃貸の魅力とは?
自分らしさがあふれる住まいに暮らしたい、部屋を自由にアレンジしたい――。今、住まいにも個性を求める人の間で密かなブームになっている古民家暮らし。
古民家には最新のマンションなどにはない懐かしさと温かさがあり、日本の伝統的な間取りが家族団らんに適していると考える人もいる。また、築年数が経っていることから、自由に改装することが認められているケースも少なくない。
今回は兵庫県で古民家の賃貸物件をDIYしたおユキさんに、古民家の魅力やDIYでおしゃれかつ住みやすくする部屋作りのポイントを教えてもらった。
プロフィール
名前:おユキさん
職業:会社員
instagram:@atelier.oyuki_t
居住形態:2人
ルームデータ
所在地:兵庫県赤穂市
家賃:5万円
間取り:5SLDK
築年数:45年
建物:木造2階建て
最初は乗り気ではなかった古民家暮らし
結婚後、兵庫県のマンションに暮らしていたおユキさんご夫婦。ご主人は海外出張で留守が多く、丁度ご主人と離れて暮らしている時、親戚からおユキさんにこんな相談があった。
「赤穂で古民家物件を管理しているんだけど、しばらく入居者がいないので住んでくれない?」
引っ越せば、買い物や通勤などの面で今暮らしているマンションよりも不便になってしまう。おユキさんは乗り気ではなかったが、ご主人に電話で相談したところ「親戚が喜ぶならええやん!」という答えが。
ご主人に背中を押されたことでおユキさんも「自由に内装を変えていいなら、住んでもいいかな」と思うようになり、4年前に引越した。
壁紙を変えて、部屋を明るく!
古民家ならではの懐かしさにあこがれる人も増えているが、おユキさんはどちらかというと古民家暮らしに消極的だった。引越し当初は「家全体が暗くてまるでお化け屋敷みたいで怖かったし、しばらくこの家で暮らすのが憂鬱で仕方なかった」という。
でも引越してしまった以上はこの家を快適にするしかない。
そこで手始めに部屋の壁紙を自分で変えることに。すると家の中が以前よりも明るくなり、憂鬱だったおユキさんの気分も晴れてきた。そして「次はここをこういう風にアレンジしよう」「こうしたらもっと便利になる」というアイデアがどんどん浮かんできたそうだ。
実はおユキさんのお父様は建具職人。子どもの頃から工具を借りて端材で工作するのが好きだったという。中学時代は砂壁の和室だった部屋を自分で洋風に改装し、部屋の半分に小上がりをつくるまでに。家全体が古くて暗い古民家に移り住むことになり、建具職人の娘の血が騒いでしまったのかもしれない。
部屋ごとにテーマを決めて、セルフリノベーション
柱や窓など、もともとの古民家らしさは残しつつも、DIYで個性を表現しているおユキさんの住まい。ここでそれぞれの部屋のテーマを紹介しよう。
リビングはネオ古民家風に
新しさを感じる古民家にしたかったというおユキさん。壁紙を張り替えて明るくきれいな印象が出るように改装。写真左側にある押入はPCを置いて作業机の代わりにすることで、部屋を広く使えるようにしている。
部屋全体が暗かったので、もともとは障子だった仕切りを100円ショップで買ってきた塩ビ板でガラス戸風にリメイク。外から光が入るようになり、家の中が明るくなった。
「インダストリアル風」の寝室は押入れを改造
おユキさんが暮らす古民家の中で、もっとも個性が表れているのが寝室。中でも目を引くのが、倉庫の扉のような収納ドア。もともとは普通の押入だったが、見た瞬間に「倉庫かトラックの荷台風に改装しよう」とインスピレーションが湧いたという。
「ただ、トラックの荷台っぽくするためには押入全体に手を加えないといけないので諦めました(笑)」
水まわりは使い勝手の良さを最優先に
年季の入った古民家はどうしてもトイレや洗面所などの水まわりに古めかしさを感じてしまう。おユキさんはそんな水まわりを特にこだわりぬいてDIY。予算を割いて可愛らしい洗面ボウルと蛇口を選び、窓枠もエメラルドグリーンのマスキングテープを使って明るい雰囲気にアレンジした。
一方で、見た目だけを重視しやみくもにDIYしてしまうと、水回りにトラブルが起こった際に修理しづらくなってしまう可能性も。そこで板はあえて立てかけるだけにし、修理しやすくしている。
また、背板に隠れてしまう水洗レバーはリモコン式にするなど、「使いやすさ」を大切にしたこのトイレにはDIYにさほど関心のないご主人も「ええやん!」と大絶賛だったそうだ。
古民家DIYを成功させるコツ
幼少時代に培ったDIYの腕前を発揮して古民家を自分流にアレンジしているおユキさん。ただ、やみくもにつくって満足するのではなく、ポリシーをもって取り組んでいる。ここで、おユキさん流・古民家でのDIYを成功させるコツをまとめておこう。
・見た目のおしゃれさ以上に大切にすべきは、使い勝手の良さ
・おおらかな気持ちを忘れない(少しくらい壁紙が剥がれても気にしない)
おしゃれさを優先しすぎて機能性が損なわれてしまっては意味がない。また、同居の場合は周囲の理解も得にくいだろう。「使いやすさ・住みやすさ」を重視することが成功の秘訣といえる。
また、放置されれば産業廃棄物になってしまうような古道具をDIYに取り入れることで、新たな意味や価値を生み出すことも心掛けているという。
広い部屋を信じられないくらい安い賃料で借りることができることも多い古民家賃貸物件。設備面では築年数の浅い物件の方が便利かもしれないが、少しの努力とアイデア次第で暮らしやすい部屋に変えていくことができるとおユキさんは話す。
「古民家は冬は寒いと感じることもありますが、コタツを使えば案外平気なもの。それよりも夏を涼しく過ごせるのはとても気持ちがいいですよ。まさに住めば都です!」
もちろん新築物件や築浅物件と比べれば古民家物件には不便を感じるところもある。でも自分好みに住まいをアレンジできる楽しさは、古民家だからこそ味わえるもの。住まいでも自分らしさを出したい人は、ぜひ古民家物件を選択肢に入れてみよう。
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文=高橋満
写真提供=おユキさん