【住む街ガイド】小説『泣いたらアカンで通天閣』の舞台・浪速区恵美須町は人情味あふれる街だった

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浪速の人情がつむぐ悲喜劇は実際住んでも味わえる!? つらい時、悔しい時、うれしい時。そこにはいつも、あったかい街の存在があった

泣いたらアカンで通天閣 坂井希久子・著 648円 祥伝社

泣いたらアカンで通天閣
坂井希久子・著 648円 祥伝社

『泣いたらアカンで通天閣』のあらすじ

大阪・新世界の北の端にある「ラーメン味よし」は、何かと問題の多い中華店。仕事嫌いの放蕩オヤジに、留守番はぼんやり気味のおばあやん。26歳になる一人娘・千子は唯一真面目に商事会社で働いてはいるものの、絶賛不倫真っ最中!

読売テレビの開局55周年記念ドラマ&映画化もされた、うっとうしくもたまらなく愛おしい浪速の愛情家族小説だ。

通天閣の下に広がる「大阪」を濃縮した街

「―――行き交う人も街並みも、充満するにおいまでもが乱雑で汚らしく、どこか懐かしい」

主人公、千子がジャンジャン横丁を表現する言葉には、生まれ育った街への嫌悪と愛情が交錯している。愛人の細野が「すげえ、昭和のテーマパークみたいだ」と声を上げた、ごった煮のような世界は、その先の通天閣まで続いている。

典型的な大阪のイメージを感じさせる場所ではあるけれど、その姿は時代と共に変わっている。すぐ近くの天王寺駅には日本一の高さを誇るあべのハルカスのほか、高層ビルが並び立ち通天閣もちょっと離れれば目立たない存在になった。最近では海外からの観光客も数多く、確かにここも観光地なのだけど、それは周辺の開発が進み、ここだけが昔の「盛り場」といった雰囲気を残しているからだろう。

もっとも、ここには「昔を守り育てる」なんて意識はなく、それぞれの商売が交錯するままに変化している。「二度づけ禁止」で有名になった串カツ屋だって、最近になって一気に増えたものだ。『泣いたらアカンで通天閣』の登場人物たちが暮らす街は、この新世界の一角だ。うっとうしいほどに優しく、お節介な人々が、掛け合いのようなやりとりで日常を重ね、それぞれの人生を生き抜いていく。

小説世界のような住人の機微に立ち入ることは簡単じゃないけれど、恵美須町をのんびり歩いていると、そのちょっとした断面に出合うことはできる。外から聞けばケンカ腰のような声で会話をしているおっちゃん、アーケードの真ん中で、客をほっぽって知り合いに声をかけるおばちゃん。隣人を見て見ぬふりで過ごす生活に慣れた街から来ると、そういったざっかけなさに少しだけあこがれを感じてしまう。

小説に登場するスポットを歩いてみよう!

恵美須町周辺のスポットMAP

恵美須町周辺のスポットMAP

スポット①:新世界商店街

現在の通天閣は1956年に建った2代目で、現在はネオンもLEDとなった

現在の通天閣は1956年に建った2代目で、現在はネオンもLEDとなった

作中さながらに「乱雑で汚らしく、どこか懐かしい」通天閣本通

作中さながらに「乱雑で汚らしく、どこか懐かしい」通天閣本通

づぼらやをはじめ、ハリボテ看板で賑やかな商店街

づぼらやをはじめ、ハリボテ看板で賑やかな商店街

作中、千子が、気持ちが凹むと地元の人間に会わない場所として訪れていた通天閣。ストーリーの各所に登場する新世界のシンボルだ。現在の通天閣は1956年に建った2代目で、現在はネオンもLEDとなった。

●住所:大阪市浪速区恵美須東界隈
●アクセス:地下鉄堺筋線恵美須町駅から徒歩3分

スポット②:ジャンジャン横丁

ジャンジャン横丁。正式名称は南陽通商店街

ジャンジャン横丁。正式名称は南陽通商店街

物語では大事なシーンが描かれるジャンジャン横丁のゲームセンター前

物語では大事なシーンが描かれるジャンジャン横丁のゲームセンター前

物語では「―――串カツ屋にホルモン屋、年季の入ったゲーセンや強者ばかりが集まる将棋センターなど、昭和レトロがお腹いっぱいになるほど詰まっている」と描写されるジャンジャン横丁。千子が不倫相手の細野と歩いている時、運悪く父親の賢悟と出会ってしまったのが、ジャンジャン横丁のゲーセン前だった。正式名称は南陽通商店街。狭くて活気のある通りだ。

●住所:大阪市浪速区恵美須東3丁目
●アクセス:御堂筋線動物園前駅から徒歩3分

恵美須町をますます好きになる イチオシスポット

串かつ ひろたか屋

串かつ ひろたか屋。串かつを食べるなら個人店を攻めるべし

串かつ ひろたか屋。串かつを食べるなら個人店を攻めるべし

新世界周辺は大阪屈指の串カツ激戦区。あまりの旨さについつい食べ過ぎてしまう

新世界周辺は大阪屈指の串カツ激戦区。あまりの旨さについつい食べ過ぎてしまう

今や全国的に有名になった串かつの食べ方、二度づけ禁止

今や全国的に有名になった串かつの食べ方、二度づけ禁止

「なぁ、頼むわぁ。二度づけ禁止、俺も味わいたいやんかぁ」という細野の願いで、千子は地元の商店街で初めてデートをすることになる。

●住所:大阪市浪速区恵美須東3-4-3
●アクセス:JR大阪環状線新今宮駅から徒歩4分
●TEL:050-1135-0226
●営業時間:11:30~15:00、17:00~22:00
●定休日:水曜

千成屋珈琲

大阪名物「ミックスジュース」発祥の店、千成屋珈琲

大阪名物「ミックスジュース」発祥の店、千成屋珈琲

大阪人のソウルドリンク、ミックスジュース

大阪人のソウルドリンク、ミックスジュース

ジャンジャン横丁にある、大阪の「ミックスジュース」発祥の店。千子と大阪に帰ってきたカメヤが通天閣で飲んでいたのは缶で再現した「みっくちゅじゅーちゅ」。

●住所:大阪市浪速区恵美須東3-4-15
●アクセス:地下鉄御堂筋線動物園前駅から徒歩2分
●TEL:06-6645-1303
●営業時間:9:00~21:00
●定休日:なし

恵美須町周辺の暮らしやすさについて

なんと言っても新世界。買い物や食事には不自由しないはず。ショップ、レストラン、近鉄百貨店のある天王寺駅直結のあべのハルカスも徒歩圏内。治安の点でも昔に比べればはるかに良くなり、街自体もきれいになっている。大阪市内では貴重な緑である天王寺公園や天王寺動物園も隣接。新世界の周辺地域にマンションが増えつつある。

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文=上田泰久
写真=桂 伸也
イラスト=さとうみゆき

 

※「CHINTAI2017年9月号」の記事をWEB用に再編集し掲載しています
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